志村ダンゾウ

登録日:2013/12/23 Sun 22:53:16
更新日:2024/03/28 Thu 09:53:14
所要時間:約 18 分で読めます







強欲の独裁者か、はたまた崇高なる忍の体現者か

その“根”は深く、深く・・




漫画NARUTO』の登場人物。


●目次

◆プロフィール

所属:木ノ葉隠れ
役職:上忍
忍者登録番号:000272
誕生日:1月6日
星座:やぎ座
年齢:72歳(享年)
身長:170cm
体重:52kg
血液型:AB型
性格:野心家、秘密主義、強硬
CV:糸博

◆概要

第一部には全く登場せず、第二部から登場する。
木ノ葉隠れの里に所属する忍者暗部養成部門「根」の創設者かつリーダーを務める男。
暗部の忍に対し強い影響力を持っており、里の中でも「忍の闇」の代名詞的な存在で汚れ役として活動していた。
二代目火影こと千手扉間の教え子の一人で若い頃は彼の護衛小隊に所属していた。
また同じく扉間の教え子にして三代目火影こと猿飛ヒルゼンとは幼馴染ライバル関係であり、穏健(ハト)派のヒルゼンに対して、武闘(タカ)派と呼ばれていた。
ヒルゼンの他に同期はうちはカガミ、秋道トリフ、御意見番のうたたねコハル、水戸門ホムラがいる。

容貌は顎に×印の傷があるのが特徴*1
頭部と右目にかけて包帯を巻いており、その下の右目にはうちはシスイから奪った写輪眼を移植し保持している。
普段は服で隠している右腕には枷が嵌められており、とある特殊な体質の持ち主の腕を移植したもの。
移植元の持ち主が埋め込んだ10個もの写輪眼に加えて、初代火影千手柱間の細胞が足されており、極めておぞましい腕になっている*2


ヒルゼンや相談役の二人を始め、作中の人物から一定の信頼を得ているが、里の闇に深く関わり、また実際に彼の行動や思惑が本編に悪い影響を及ぼしたこともあるため、読者からの強い批判を受けやすいキャラクター。

特にアニメ版・小説版ではフリー素材のごとく話の悪役・黒幕・原因に使われることが多く、原作においてハッキリした原因が語られてない部分に元凶としてねじ込まれることが多い。
例(アニメでは九尾を宿しているうずまきナルトが差別されるきっかけを作った張本人であることが描かれている*3

原作におけるダンゾウ自身、清廉潔白とは真反対に位置する立ち位置なこともあり、アニメや小説を根拠に「だいたいダンゾウのせい」にしておけば問題ないという風潮もあるが、
NARUTOのアニメ版・小説版ともに原作に忠実とは言い難い部分も多く、原作の考察において混同されることを嫌う人もいるため注意。

◆性格

自己犠牲は忍の本分』の考えを持ち、里を守るためなら卑劣な手段も平然と実行し、自分の命が犠牲になることも厭わない。
しかし同時にこの考えを自分だけでなく他者にも強いている部分が目立ち、自分の部下には拷問などで情報を吐かせないため舌に呪印をかけてある。
これは父と祖父が戦場で命を失ったのが大きく影響している。

常に不穏な噂が付きまとい、同じ木の葉の者達にまで冷酷非道な野心家として危険視されている。
事実、裏では大蛇丸との取引も幾つかしており、を動かしているのがうちはマダラ(トビ)である事も知っていた。
だが、それらも全ては「木ノ葉という大木を目に見えぬ地の中より支える」という強い信念故。
自分が疎まれることは端から承知の上であり、影から木の葉を支える役目を担っていたことをコハルやホムラに評価されている。
ヒルゼンも自身の甘さが彼に里の闇を背負わせたと考え悔いている辺り、ヒルゼンが二度の忍界大戦を挟みながらも、長期間政権を保てたのは彼の功績が大きいと思われる。
また、ダンゾウもヒルゼンが光を浴びる木の葉なら、自分は闇の中の根であるとしている。

一方、自分の器をやや過信しがちなところがあり、「己がやらねばならない」と頑ななまでの自負と気負いに似た信念を持っている。

◆能力

暗部を統べ、曲がりなりにも火影に立候補するだけあり、実力はかなり高いレベル。
木ノ葉では比較的稀少な風遁の使い手で、呪印や封印術にも長けている。また体術も高齢に見合わぬ高い技量と力を持つ。
その他暗殺に来た小里の忍部隊20人近くを風遁で一蹴している。しかも、これでも実戦から久しく遠のいていたせいで体が鈍っていたのだという。

うちは一族屈指の瞬身の使い手・うちはシスイ相手に眼を奪ったことからも、その実力が窺える。なおシスイから眼を奪った経緯は媒体によって異なる。
小説「イタチ真伝」では油女一族の部下を使って動きを封じている。テレビアニメでは二人きりで会話をしている最中に襲いかかり、幻術で麻痺させられるも右目に埋め込んだ写輪眼でのイザナギで隙を作った上で体術を素早く叩き込みつつ眼をもぎ取った。
「ナルティメットストームレボリューション」に収録されているオリジナルアニメでは1VS1で対決して、互いに息が乱れ膠着状態になった所を部下に援護させて眼を奪った。

はたけカカシもその戦闘力には一目置いており、うちはサスケが独力でダンゾウを倒したと聞いた時には俄かには信じられずに驚愕していた*4トビも(その時ダンゾウがシスイの目を使えない状態だったことを踏まえた上でも)サスケが彼を追い込んだことを賞賛している。
更に穢土転生で蘇ったうちはイタチも、イザナギを使った彼と戦ったということをサスケから聞くと「お前よく生きていたな」と驚きを見せている。
このように、基礎能力自体も高い水準にはあるが、なりふり構わず交戦する際に用いるイザナギが脅威的である。

イザナギを使用している間に何度も致命傷になるような攻撃を喰らってはいるものの、
サスケの動きを呪印で縛ったと確信してイザナギを解除し、斬首しようとした時に須佐能乎で不意を突かれた際にも軽傷は負えども無事に回避していた上、弓矢の一撃も木遁で軌道を逸らすことにより対処しており、
ダメージを受けては不味い時には相手の術に対してキッチリ的確に対応している。

サスケとの戦いでは右目を使用出来なかったが、本来であればイザナギのみならず、写輪眼の基本能力に加えて究極幻術『別天神』をも併用することが可能なので脅威度は跳ね上がる。

◆術

  • 風遁・真空玉
口から空気の玉を発射する。
銃弾のように敵の体を貫く。

  • 風遁・真空大玉
真空玉より大きな玉を発射する。

  • 風遁・真空波
真空の刃を発射して敵を切り裂く。単に敵に攻撃ではなく、地面に向かって使うことで砂埃を発生させて目くらましとして使うこともできる。
更にアニメでは手裏剣にこの術を纏わせて殺傷力を上げていた。

  • 風遁・真空連波
口から真空の刃を連発する。
口寄せした獏の吸引と組み合わせることによりサスケの第二段階須佐能乎に隙間を空けるほどの威力を発揮する。
尚、我愛羅カンクロウテマリダルイと共に攻撃をしても第一段階の骸骨型の須佐能乎に傷一つ付けることが出来ず、
雷影はその更に前の段階の肋骨型の須佐能乎に雷虐水平を炸裂させても内部のサスケに大したダメージは与えられなかったため、ダンゾウのこの攻撃は相当な威力であることがうかがえる。

悪夢を喰らう化物の獏を口寄せする。因みにこの獏はダンゾウと同じように頭部に包帯をしている。もしかして仲良しなんじゃね?……
凄まじい吸引力を有し、その吸引力はサスケが須佐能乎で地面にしがみ付いたまま動けなくなるほどである。
しかしサスケに吸引力を利用され、火遁・豪火球の術を飲み込んでしまい、消滅した。

  • イザナギ
うちはの禁術たる瞳術の片方。
眼のを失う代わりに、制限時間の間は、術者にを含めた不利な展開をにして攻撃など有利な展開を現実に書き換える究極幻術。
この術を使うには術を発動する写輪眼が外界を認識する必要があるため、本気になる際は右腕の枷と包帯を外す。
術者ごとに持続時間が異なる*5。ダンゾウとは視覚や感覚は共有されていないようで、眼が光を失い閉じていくのをダンゾウ自身が直接眼で確認してタイマー代わりにして持続時間を確認ししなければならない。

要するに結果を自分の都合よく変える幻術という強力な力だが、柱間の力を制御できていないため不完全であり、
陰遁で「不利な事象を夢に変える」ことしか出来ない*6
ナルスト4では技バージョンと奥義バージョンがあり、前者は一定時間無敵、後者は右腕の木遁を暴走させて相手ごと自分を押しつぶし、自分だけ復帰する。

  • 別天神(ことあまつかみ)
シスイの万華鏡写輪眼の瞳術。
対象者を幻術に掛けられたと自覚することなく操ることが出来、かかった方はそれが自分の意志だと錯覚して動く。
普通はどれ程高度な幻術だろうと、いずれはかけられた術者や周囲が違和感を覚えて自分が術中にあると気付くことが出来るが、
この術は特殊な瞳術や感知能力者がチャクラの異変に気付かない限り、誰も気づかないまま半永久的に機能し続ける。
一度使用すると再使用には十数年のサイクルがかかる欠点を持つ為、ダンゾウは柱間細胞でこのサイクルを数時間レベルまで短縮している。

右肩の柱間細胞から大樹を出す。
木遁として使用すると大量のチャクラを消費してしまうので、
普段はうちは一族や千手の血統以外には過剰な負荷を強いる写輪眼を制御するためだけの処置という扱い。
サスケの須佐能乎の矢の軌道を反らす為に止むを得ず使用した。ちなみにこの腕は後日談に出てきたうちはシンから移植したもの。
またアニメでは、根に配属されたばかりのヤマト「初代火影のように木遁の術を使いこなせ」と言い、手本として術を使った。

  • 自業呪縛(じごうじゅばく)の印
対象者を動けなくさせる呪印。
サスケとの戦闘でサスケの首を掴んだ際に使用した。イザナギでダメージを無効化出来るのを利用して、捨て身で接近して相手の身体に触れながら仕掛けていた。

  • 舌禍根絶(ぜっかこんぜつ)の印
機密情報の口外を禁じる呪印。
その事項について話そうとすると身動きができないほどの麻痺に襲われる。
ダンゾウは自分の部下の舌に口止め用の呪印を施している。

  • 裏四象封印(うらししょうふういん)
ナルトに施されている「四象封印」の変種。
術者の死をトリガーに発動し、周辺の物質を根こそぎ削り取って封印してしまう。
ナルスト4では一撃必殺技に設定されており、本人は直後にイザナギで復帰する。


◆来歴

過去

若き頃は扉間の側近として活動していたが、
会談に同行した際クーデターを謀った金角部隊に追われ部隊は窮地に立たされ誰かが囮になる必要が出た。

この時ダンゾウは名乗り出ようとしたが理性とは逆に恐怖が体を動かさず、
更にヒルゼンが名乗り出た時には安堵した自分が許せず、「他の連中を頼む」と言われ感情的になって自分が囮になると反発した。
最終的には「これからの里にはダンゾウとヒルゼンの2人共が必要」と考えた扉間が自ら囮になり、同時に彼の指名でヒルゼンが火影を継ぐように命じられた。

その後、ダンゾウは「手段を選ばず影から木ノ葉の里を守る」という意志を持つようになり、
優しすぎるヒルゼンが出来ないあらゆる手段を用いて里を守ろうとするようになり、
決して表に出ない部分で多くの木ノ葉の不穏分子を消し、また他国の戦力を削り、汚い仕事を協力することで戦いを避けるなど手段を選ばず活動している。
ヒルゼンはダンゾウがこのような役回りをするようになったことについて、「二代目様の里づくりを上手く引き継げなかった そのためダンゾウに… 里の闇を背負わせてしまった…」と語っている。

一方で、雨隠れの長の半蔵と手を組み暁を襲撃したことでペイン誕生のきっかけに関わったこと、
暗部の人手不足から諜報部だった孤児院のマザーのノノウに遠まわしの脅迫で長期任務を命じ、薬師カブトを根に差し出した上で、
情報操作で別人に見せかけられたカブトに暗殺指示を下すことで禍根も断とうとするが失敗し、
カブトは木の葉への反抗心を持つようになるなど、後々に木ノ葉に仇なす失敗もある。

うちはイタチの一族抹殺の真実を知る男で、
うちは一族のクーデターの際には木ノ葉の里のために生きることが出来るとイタチを信じてクーデターを止めるための決断を促し、実際に成し遂げた自己犠牲の行動を忍として高く評価をしている。

それと同時に親も恋人も里のために殺したイタチが遺したサスケが、自身の復讐心に囚われイタチの想いを無視して里に仇為し、
遂には五影会談襲撃まで起こしたことで、サスケを「イタチの唯一の失敗」と見ている。



自己犠牲…それが忍だ
日の目を見る事もなく…影の功労者…それが昔からある……忍本来の姿

イタチだけではない
多くの忍がそうやって死んでいった
世の中は……キレイ事だけでは…回らん

そういう者達の……おかげで…平和は維持されてきたのだ

イタチの意志を……はき違えたお前には…分からぬだろうが……



なぜ…? こんなゴミの命など残す必要があったというのだ、イタチ…
見てみろ…この様を…
こいつは…お前の唯一の―――失敗そのものではないか


また時期は不明だが里を抜けた大蛇丸とは取引をしており、彼から柱間の細胞の提供を受けていた。


第二部

部下のサイヤマトの部隊に配属される際に、
大蛇丸と接触した上でサスケ暗殺を命じるもナルト達との触れ合う内に感情を取り戻した事で、その任務は失敗する。
サイが帰還した際には、感情を取り戻したことを見抜いていたが特に指摘せずにしていた。

ペインによる木の葉の里襲撃時にはナルトを呼び戻すために里で待機していた連絡蛙のコウスケを殺害。
ナルトを妙木山に閉じ込めて九尾の手に渡る事を防ごうとした。

その後、ペイン襲撃の際綱手は術の酷使により意識不明になったため、
六代目火影を決める会議が行われ、その会議で綱手やヒルゼンなどの初代火影に連なる忍達を批判し、
自身こそが火影にふさわしいと主張したことにより火影に就任する*7

サイにはナルトの監視、里の忍達にサスケの始末を指示し、フーとトルネを護衛に火影として五影会談に出席。会談場がある鉄の国への道中で暗殺集団を撃退した際に初めて彼の右目に写輪眼が埋め込まれていることが判明する。
会談で右目のシスイの万華鏡写輪眼による瞳術「別天神」でミフネを操り、
忍連合結成による忍界の統一とそのリーダーになるように仕向けるも霧隠れが隠し持っていた白眼で見破られてしまい、
ミフネらの信用を失い、サスケ達の襲撃を利用して会談から逃亡した。

逃亡後、部下と共にトビの襲撃を受けて、サスケと交戦。
禁術イザナギを駆使してサスケを追い詰めるも須佐能乎の猛攻に対してイザナギを10分間使い続けたことにより腕に移植した写輪眼を使い切ってしまい、
サスケのピンポイントの幻術でイザナギがまだ解けていないと思い込まされたところに無防備状態で千鳥刀を受け深手を負った。

更に無理がたたって柱間細胞を暴走させてしまい使い物にならなくなった右腕を切り落とさざるを得なくなり追いつめられる。

それでもなお隙をうかがい香燐人質に取り逃亡を図るも容赦なくサスケに香燐ごと急所を貫かれてしまう。
もはや自身の命が尽きる事を悟り、忍の世を守るためにあらかじめ身体に施した「裏四象封印術」でトビとサスケを道連れにしようとするが失敗し、壮絶な死を遂げた。

遺体はトビにより回収されるも、右目の万華鏡写輪眼を奪われるのを予期し、死の間際に自分で右目を潰していた。

BORUTO‐ボルト‐

故人であるため本人は登場しないが、彼が「根」において進めていた研究が次々と表面化している。
「BORUTO」においては何と大筒木一族の存在に迫っていたことが判明するなど、死んでもなお黒幕としての存在感が衰えていない。

いろいろやらかしていたため色々な人から呼び捨てされているが、
それでも、部下であったサイからは「非人道的な手段を用いても木の葉を守ろうとした男だが、その行動は最後まで彼なりに里のためを思ってのことだった」という評価はされている。



◆おもな人間関係

師。彼の冷徹な思想を色濃く継承しているが、その根底にある柱間譲りの「火の意志」までは受け継げなかった。

扉間班の同期。常に彼に一歩先を行かれており、評価している一方で強烈なコンプレックスを抱えていた。
一方でヒルゼンも自身の甘さが里の闇をダンゾウにのみ背負わせる結果となってしまったと悔いており、
後に穢土転生で復活しダンゾウの死の顛末を聞いた際には悔恨を口にしている。

  • 水戸門ホムラ・うたたねコハル
共に木ノ葉隠れの里のご意見番をしている老人。
同期で扉間班の元同僚。
ヒルゼンと並ぶダンゾウの数少ない理解者で、ダンゾウが死んだ際はその死を惜しんでいた。
小説ではダンゾウの方は「大した才能もなく戦乱の時代に遭ってただ運だけで長生きしただけの年寄」と余り高く評価していなかった模様。

元部下。
アニメではヒルゼンが火影を引退した際、後任の火影に推薦するなど評価していた模様。
大蛇丸が抜け忍になった後も裏で繋がっており、ダンゾウの右腕は大蛇丸から提供されたもの。

元部下。
大蛇丸の里抜け後、実験体だった彼を保護。
キノエという名前を与え、部下として働かせていた。

元部下。
密偵として各地に送り込み情報の収集を行わせていた。
大蛇丸によると、知り過ぎたため、切り捨てたとされる。
切り捨て工作のネタバラシをした大蛇丸にそのまま拾われ里に敵対することになる。

「根」における部下。
第七班に潜り込ませていたが、途中から半分離反されることに。
ただ、サイに感情が戻ってきていたことを察してもそのままにした節があったり、
サイ側もダンゾウの死後も手段は間違っていたものの、その行動は最後まで彼なりに里のためを思ってのことだったと一定の評価はしている。

  • 山中フー・油女トルネ
両名とも「根」の中でもトップクラスの忍で五影会談ではダンゾウの側近として共に護衛を務めた。
なお、この二人の初登場シーンでは他に「テライ」という側近もいたが、こいつはその後出番がない。

クーデター阻止とサスケの命を口実に彼を動かした。
もっとも操られたというわけでもなく、実際に里にとっての差し迫った危険だったことが最大の決め手であり、悩みながらも自身の意思でうちは一族を殲滅した。
ダンゾウも彼の意思を理解しており、ひたすら裏から里とを守るために動いたその姿勢をある種異様なほど高く評価しているが、イタチ本人はダンゾウ含む上層部をほとんど信用していなかった。
サスケは里抜けしてあれこれと暴走するまでは里に不信感を抱いている様子は見受けられないため、ダンゾウは彼との約束を守っていた模様。

  • うちはシスイ
右目の万華鏡写輪眼を奪った。
よりによって彼が洗脳によってうちは一族のクーデターを阻止しようとしたタイミングで襲撃したが、シスイはクーデーター派と繋がりがあったことや、
シスイ本人の「奴はオレを信用していない…なりふりかまうことなく自分のやり方で里を守るつもりだ」と言うダンゾウへの評価からすると、別天神を危険視し、クーデーター派に利するように使われる前に動いたのだと思われる。実際、マダラ(オビト)にシスイの眼が奪われる前に潰し、木の葉の敵に渡るを阻止した。

大蛇丸の実験体だった男。本編終了後の外伝で、右腕は彼に柱間細胞を移植・培養したものをさらに移植されたものと明かされた。
本編内でも右腕の眼について「色々とあってな……話すと長い」とだけ語られていて出自不明だったイザナギに使い潰された多数の写輪眼も彼が増やしたものを使用していたと思われる*8

  • 半蔵
雨隠れの里長。里の主権を守ることに固執し暁の隆盛を危惧する彼と密かに手を組み、中核である弥彦・長門・小南の三人を抹殺する場にも居合わせている。
全盛期の半蔵は彼を倒せなかった自来也、綱手、大蛇丸のことを「伝説の三忍」と称しただけで有名な異名になるなど凄まじい影響力を持った忍者であり、彼と協力関係を持てることは木の葉にとってもダンゾウ個人にとってもメリットに繋がったろうが、弥彦を失った長門はこの件をきっかけに自来也の理想を捨てて「」となり、後々木ノ葉を壊滅させることになったため、予想しろというのは酷とはいえ悪手といえば悪手。
実は長門はうちはマダラに眼をつけられて輪廻眼を移植されており、同じようにマダラに利用されたオビトの件を見ると長門に悲劇が起きるのは遅かれ早かれだったとも考えられるが……。
アニメ版では半蔵を騙して暁殲滅に走らせた黒幕になっている。


  • 信楽タヌキ
ダンゾウの側近で「根」の研究班を率いていた。
「根」が解体された後は、妻子を連れて地下に潜伏し、ダンゾウが他里への侵攻に使うために開発させていた禁術「牛頭天王」でダンゾウの復讐を目論んでいた。

◆余談

扉間とダンゾウ

イタチ、サスケ、長門、カブトの人生に悪い意味で関わったり、
結局は自身の野心の為に勢力温存などの背信行為をしたとして読者からよく批判される。
一方で「やり方こそは汚いが誰よりも里想い」と彼の考えに賛同する読者もいる。

ちなみに、ダンゾウの思想は「里こそが第一に優先すべきもので、必要ならば人も部下も己も火影も犠牲にする」というタカ派の極地のようなもの。

里を守るために手段を選ばなかったのは事実だが、
結局のところ千手兄弟の掲げた「木のために森を見る」が「森を見て木を見ず」になってしまったのがダンゾウのそもそもの失敗とも言える。

扉間の容赦のなさと合理性は、柱間の「人のために里を守る」を徹底した結果であるが、「里を守る」の部分だけが一人歩きして「里を守るために人を殺す」に入れ替わってしまっている。

また「これからの忍は感情を抑えるべき」とは幼い頃の扉間の言であるが、
ダンゾウにおいては「感情があるから憎しみが生まれ、戦争が起こる」感情削除論にまで先鋭化している。
(そもそも「サルと張り合うより感情を制御する術を覚えろ。仲間に迷惑だ(意訳)」と注意されたのがダンゾウである)

誰もが師のように成れる訳ではないという諦観だったのかもしれないが、
そのために「根」で実施されたのは「最終選考まで生き残った者による、親しい者同士の殺し合い」という人材不足に拍車をかける悪手であった。

更にそのツケが回りに回ってノノウの経営する孤児院への恐喝、ひいては里の情報を握るカブトの離反に繋がっており、
この様な手際の悪さを含め「凡人が扉間の真似をするとダンゾウになる」と言われたりもする。

扉間とダンゾウが一番違うのは先見の明の有無であり、扉間のそれは自らの死後まである程度見据えているのに対し、
ダンゾウはほとんど目先しか見えていないのと、後を託すことを考えていないことである(この「自分でやる病」はNARUTO世界の敵役の共通項でもある)。


小説版(及びそれを原作としたアニメ版)「イタチ真伝:暗夜編」では、イタチに実行させたうちは一族殲滅の件は、クーデターの阻止は口実に過ぎなかったことになってしまっている。

元よりうちはを「里の安寧を脅かす最大の障害」と考えて危険視していたダンゾウは、里からうちは一族を排除するタイミングを図っており、
クーデターの気配を察するや創設からの因縁を断ち切れることに内心歓喜しつつ行動を開始。
元々強硬派のホムラ・コハルの意見を利用する形でヒルゼンを実質封じ込め、同時にイタチを取り込んで利用していた。
うちは一族がクーデターを画策するに至った大きな原因も、「九尾が暴れた際にうちは一族が一切動かず、うちはの写輪眼ならば九尾も操れるので黒幕はうちは一族ではないのか」とダンゾウが指摘しそれを木の葉隠れの住民が信じた事で一族の立場が大きく悪化したから、と言うのが大きく、
そもそも救援に動こうとしたうちは一族に待機命令を出したのはダンゾウである

シスイの目を奪ったのは単に瞳術を狙ったのみならず、別天神でクーデターを阻止されては困るからであり、そのため、証拠が残らないよう配下・スガルの蟲でシスイを殺そうとし、瞬身で逃げられた際も「必ず殺せ」と命じている。

このように、小説版(アニメ版)ではマダラ(オビト)の暗躍以外はすべてダンゾウが悪いとばかりに元凶として描写されているが、
  • うちは一族をクーデーター前から危険視し、族滅を目論んでいた。
  • 九尾事件の際にうちは一族が動かなかった理由
  • 九尾事件後にうちはに里民が強い嫌疑をかけた理由
  • シスイの眼を奪った際のダンゾウの思惑
これらは全て原作では描かれていない。考察においては注意が必要な部分だろう。

なお、うちは一族は、元々いつ爆発するか分からない上に個々も超厄介な危険因子になりうる性質を持ち、末期には実際にクーデターも画策していたため、「クーデター阻止の口実」も、「里の安寧を脅かす最大の障害」も見当違いの意見ではなく、師の扉間も将来そうなることは予見していた*9
更にダンゾウの対応は賞賛されるものではないが、かと言って他の対応は対応で被害が大きくなっていた可能性は高いと言えるだろう。
イタチが一族抹殺した理由もダンゾウの思想・行動によるものというよりは上記が理由である。

最終的に、サスケを生かすことを条件にイタチを動かしたものの、
それが巡り巡ってサスケの離反、そして自らの死へと繋がったのだから、小説版基準で考えるならば手際の悪さもここに極まれりと言ったところである。
もっとも過剰な自己評価や自業自得な問題行動はあるが、この時のサスケに対する批判については至極まっとうと言える。

やり方に問題は多々あれど、「里を守る」という意志は終始揺らがず根付いており、一概に悪と断じることはできない。
結局のところ、志村ダンゾウという男を表現するならば「間違えすぎた男」というべきだろう。

次世代編ではそんな彼の思想をさらにはき違えて「復讐のために里を滅ぼす」という本末転倒なことをやらかそうとした人物まで現れている。

ダンゾウの行動とその結果

簡単にまとめると次のようになる。

  • 半蔵に協力し、当時勢力を増しつつあった暁殲滅の場に居合わせた
    • →生き残った長門と小南がトビの誘いに乗り、雨隠れを掌握して暁を再結成。尾獣狩りを決行し、木ノ葉の里が一時壊滅、忍界そのものも存亡の危機に陥った

  • 感情を消し去るため、「根」において受験者同士の殺し合いを行わせた*10
    • →慢性的な人員不足となり、引退したノノウを脅迫して引っ張り出すことになった

  • 現役復帰したノノウを引き抜いたカブト共々密偵とし、後に情報を持ちすぎたため同士討ちさせる
    • →生き残ったカブトが大蛇丸に拾われ、木ノ葉の機密情報を持ったまま音隠れの参謀として木ノ葉に敵対

  • うちは一族を危険視し、殲滅のためにクーデター直前まで放置。阻止に動いたシスイを妨害、最終的にイタチを使って殲滅を実行した
    • →生き残りのサスケが復讐に取りつかれて里を抜けた後、一連の事情を知るトビに扇動・利用されて敵対。結果ダンゾウ自身が殺された


◆ダンゾウ語録

  • 「感情は憎しみを呼ぶ……そして憎しみは戦いを生み出すものだ……」

  • 「木ノ葉を守るためなら、安いものだ!」

  • 「ワシにとっては必要な犠牲だ。ワシが火影になるためのな」

  • 「三代目のその教えが―――里を壊滅させたも同然なのですぞ!」

  • 「心配するな。今やナルトは里の英雄だ。里の皆もナルトを信頼しきっている…。このワシ、六代目火影よりもな」

  • 「里を潰した“暁”のリーダーはかつて自来也の弟子だった男だ。他国に同情し戦力を与えた結果がこれだ! 甘いのだ! 何もかもが!!」
    「代々続くその甘さが同盟国の砂の裏切り……そして大蛇丸の木ノ葉崩しを許し、“暁”の台頭、さらにはうちはの残党サスケが抜け忍になり暗躍する事になった!」
    「今こそ必要な火影とは!? この最悪な事態の後始末をし、忍の世界に変革を成し、忍の掟を徹底させる希代の火影、このワシだ!!」

  • (これで…綱手の時代は終わった)

  • 「兄弟……能力は同じとて、眼が悟るものはこうも違うものか」
    「お前にとってはイタチの真実などさほど重要ではない。ただ憎しみを手当たり次第にぶつけたいだけだ。うちは一族の犠牲を無駄にしている」

  • 「自分の命が……惜しいわけではない。木ノ葉のため……忍の世のためワシはこんなところで……死ぬわけには……いかん」
    「どんな手を使っても……生き残る……ワシは……この忍の世を変える唯一の……変革者と……なるべき者……」

  • 「オレの父も祖父も戦場で命を落とした! 自己犠牲は忍の本分……!」

  • (お前はいつも……オレの先を歩きやがる……)

  • 「忍の世のため、木ノ葉のため、お前らは決して生かしておかぬ!!」











ヒルゼン…次はワシの番のようだ…


かつてお前が……命と引き換えに木ノ葉を守ったように……



今度はワシが……こいつらだけは……




だがワシは…結局……火影にはなれなかった…





どこまで行っても…お前には、追いつけなかったよ………






お前は光を浴びる木ノ葉、オレは…闇の中の根







こんなオレをお前はどう思う?









なあヒルゼン……。お前にとってオレは……







追記・修正は扉間の思想を正しく継承してからお願いします。

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最終更新:2024年03月28日 09:53

*1 この傷は青年期から既に存在している

*2 トビは、これらの力を使ってナルトの中の九尾を操るつもりでいたのだろうと推測してる

*3 ただ、ダンゾウが行ったのはナルトの中に九尾が封印されているという機密情報を里に広めただけで、その後の差別と迫害は里の人々が自発的に行ったこと

*4 なおこの時のカカシはダンゾウの右腕の写輪眼およびイザナギについて知らなかったはずなので、イザナギ抜きの実力でサスケよりも強いと思っていた模様。もっとも、高齢とは言え三代目火影のライバルだったことを考えると驚愕してもおかしくない。

*5 ダンゾウの場合は1つの目につき1分

*6 完全版は続けて陽遁で「有利な事象を描き出して上書きする」ことで成り立つ

*7 ただし信任投票が終わってないため候補

*8 アニメ版ではアニオリでうちは殲滅の際に奪ったように描写されており、色々となく話すと一瞬な理由になっている

*9 というより過激なうちはヘイト発言は原作においてこの人だけしかしていない(ダンゾウはサスケに対して「うちは一族の犠牲を無駄にしている」と語るなど里の平和のために生じた犠牲であり、障害とは考えていない節がある)。それだけではないと理解していたとはいえ、『うちはの者か 悪党に付くだけはある』『うちはの呪われた運命』『奴らうちはは悪に憑かれた一族』などわりととんでも発言をポンポンしている。小説版・アニメ版におけるダンゾウがうちはヘイトキャラになったのは、師の言葉の影響を強く受けてしまった、という解釈かもしれない

*10 桃地再不斬の凶行まで里単位でこれを行っていた血霧の里の存在もあり、対抗するためとも取れるが。また、あくまで作中において噂の範疇であり、原作おいて実際に根でこれが行われていた描写はなかったりする。