パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー

登録日:2012/09/22(土) 13:37:57
更新日:2023/07/02 Sun 13:50:46
所要時間:約 7 分で読めます





Go,Galactic!!


パワーレンジャーロスト・ギャラクシーとは、日本のスーパー戦隊シリーズを基にアメリカなどで展開されているパワーレンジャーシリーズの第五作である。
原典は『星獣戦隊ギンガマン』。



【概要】

シリーズ五作目にあたる今作では、前作『イン・スペース』で長年続いたシリーズに一区切りついた事を受け、それまでは無かったレンジャー総入れ替え及び作品の舞台の一新といった大胆な改革が行われた。
しかし従来のシリーズとの繋がりが完全に途絶えたわけではなく、一部キャラの続投や前作のレンジャーとの共闘などのイベントも用意されている。
この方法は上手くいったようで、次作以降からは前任のレンジャーとの共闘を除けば(世界観は共通だが)基本的に独立した作品になっている。
…まあ日本からすればどれもこれも当たり前の話だが、アメリカでヒーローと言えばスーパーマンやバットマンのように縦の歴史が長く続くのが当たり前だったので、この一年毎に一新する試みは割と革新的な話だったりする。
シリーズ開始当初は、東映側が日本のやり方を伝えてもアメリカのスタッフは「人気があるのに何で変える必要があるの?」と取り合わなかったとか。が、東映が危惧した通りマンネリによる売り上げ低下が起きて『パワーレンジャー・ターボ』の時期にシリーズ存亡の危機に陥ったために今作からはこの方式に。

また今作はファンタジー系の作風だったギンガマンとは異なり、宇宙とそこにある神秘の力を舞台にしたSF作品(ある意味、本家より「ギンガマン」な感じ?)。なのでレンジャー達も「アース」のような能力は使えない。
日本ではラスボスだったゼイハブも途中から表れた強敵といった扱いであり、ラスボスは本作オリジナルキャラクター。

サバン側から東映に「監督を貸して欲しい」と要請があったため、『ギンガマン』でもメガホンを取った田﨑竜太氏が監督を務めた。
これには現地スタッフが日本のノウハウを取り込みむ狙いがあったらしく、田﨑監督もプロデューサーから「日本式のやり方で」と要望されたことから、彼の担当回ではディレクターズカット版がそのまま放送されている*1



【あらすじ】

パワーレンジャー達の闘いが終わってから数年、地球から都市型宇宙船テラ・ベンチャーが新天地を求めて地球から旅立つこととなった。
一方、地球から遠く離れたミリノイ星は伝説の剣ギャラクシー・サーベルを狙うスコーピウスとその配下に襲われていた。
ミリノイ星の少女マヤは襲撃から逃れる最中に月にワープ。
そこにいたテラ・ベンチャーの警備隊のマイク、ケンドリックス、カイ、そして警備隊に潜り込んで密航しようとしていたマイクの弟レオに出会い助けを求める。

マイクとケンドリックス、そしてレオはマヤと共に、カイは後から整備士のデーモンとサポートメカのアルファ6の協力を得てアストロメガシップでミリノイ星へ旅立った。

一行はミリノイ星でギャラクシー・サーベルを手に入れパワーレンジャーとなるが、ミリノイ星は石化されてしまい、マイクもギャラクシー・サーベルをレオに託して地割れに飲み込まれて消えてしまう。

ショックの中、何とかアストロメガシップでテラ・ベンチャーに帰還する一行。
しかしスコーピウスもギャラクシー・サーベルを狙い攻撃をしかけてくる。
ギャラクシー・サーベルとテラ・ベンチャー、そして宇宙を守るレンジャー達の戦いが始まった…。



【登場人物】

レオ・コービット/レッドレンジャー

(吹き替え:小川輝晃)
日本版のリョウマと同じく、優れた兄を持ち、正規のメンバーには選ばれず、兄の代理で戦うようになった青年。
だが穏やかなリョウマとは全く異なる性格をしており、警備隊に紛れてテラ・ベンチャーに密航する、自爆覚悟でラスボスにゼロ距離射撃をしかけるなど豪胆な性格。体もかなりガチムチ。しかし正義感と優しさを持った青年であることには変わりない。
何気にパワーレンジャー初のマスク割れを披露した人物。

どうでもいいが、レンジャー達の変身は日本版とは微妙にポージングが変更されている。

日本語吹き替え版では原作では黒騎士/ヒュウガ役だった小川輝晃であり、元々バルバンの襲撃がなければギンガレッドはリョウマではなくヒュウガが継承するはずだった。


カイ・チェン/ブルーレンジャー

(吹き替え:前原一輝)
テラ・ベンチャーの警備隊。
軍人の家系であり「気は優しくて力持ち」を地でいったゴリマッチョのゴウキとは異なり生真面目な細マッチョ。
料理が得意。
日本語吹き替え版ではギンガレッド/リョウマだった前原一輝が当てている。


デーモン・ヘンダーソン/グリーンレンジャー

(吹き替え:小野塚貴志)
博物館となっていたアストロメガシップのメカニックだったが、ミリノイ星に向かうカイを手伝った結果、パワーレンジャーとなりテラ・ベンチャーに乗り込んだ。
生真面目な正確だったハヤテとは正反対の陽気なムードメーカー。
優秀なメカニックだが、デスクワークが嫌いなので出世願望は無い。


マヤ/イエローレンジャー

(吹き替え:田中恵理)
ミリノイ星の少女。
故郷が石化されてしまった為、テラ・ベンチャーに乗り込んだ。
動物の声が理解でき、当初は彼女以外ゾードの意志が分からなかった。
日本では男性のヒカルが黄色だったが、アメリカ版では「女性が1人だと差別的」という問題の関係で女性が演じる。
日本語吹き替え版ではギンガマンの前作『電磁戦隊メガレンジャー』のメガイエロー/城ヶ崎千里役だった田中恵理が当てている。


ケンドリックス・モーガン/ピンクレンジャー

(吹き替え:松岡由貴
テラ・ベンチャーのクルー。腕が斧だったりはしない。日米通しても珍しい、知的なメガネ美人レンジャー。
レオとは出会いのシーンから着実にフラグが建設されていたが、中盤に復活したサイコレンジャーに対してスペースレンジャーと共闘して戦っている最中に死亡した(役者が白血病になったための降板。)。
しかし最後はギャラクシー・サーベルの奇跡で蘇り、翌年のライトスピードレスキューとの共闘でも彼女がレンジャーとして戦った。



カローン/ピンクレンジャー

(吹き替え:折笠愛
前作の敵組織の幹部であったアストロネマにしてスペースレンジャーのレッドだったアンドロスの妹。
洗脳されていたとはいえ、アストロネマとしてやってきた己の過去の悪行を悔やんでいる。
ケンドリックスの魂に導かれピンクレンジャーに。


マイク・コービット/マグナ・ガーディアン

(吹き替え:土田大)
レオの兄にしてテラ・ベンチャーのクルー。
元々ギャラクシー・サーベルを引き抜いたのは彼だが、地割れに巻き込まれた際にレオにサーベルを託して行方不明に…まぁギンガマン見てた方ならお察しだろうが、落ちた先にいたマグナ・ガーディアン(黒騎士)に肉体を利用されており、後にマグナ・ガーディアンが犠牲になった際は復活を果たした。
復活後は彼がマグナ・ガーディアンとなり戦ったが、最後はテラ・ベンチャーを守る為にパワーとゾードを犠牲にして戦闘不能になった。

ブル・ゾード「とんだとばっちりだよ」

ちなみに変身アイテムであるマグナガーディアンモーファーは、ダイレンジャーの登場が見送られたため使われなかったオーラチャンジャーの流用。
剣を空中に放り投げ、ダイレンジャーの変身ポーズをやった後に引き抜いたチェンジャーの押す側を落ちてきた剣と接触させることで変身する。
ダイレンジャーと黒騎士の変身プロセスがかなり自然に組み合わさっており、非常にカッコいい。
ちなみに、吹き替えの人は元ニンジャブルーでもある。


○マグナ・ガーディアン

(吹き替え:佐々木誠二)
日本の黒騎士ブルブラック。基本的には日本と変わらない設定だが、何故か「兄」から「父親」に設定が変更されている。
死後は魂の形でマイクを導き、彼が身を挺して人々を守った際には賞賛した。


○アルファ6

(吹き替え:まるたまり)
かつて善の支配者ゾードンの下にいたサポートメカ。
ゾードンが宇宙を救うために消滅したので、メガシップ博物館の案内係として働いていたが、再びパワーレンジャーのサポートをすることに。


○ディナ(D.E.C.A.)

(吹き替え:小田木美恵)
アストロメガシップの女性型AI。
前作ではアンドロスの女房役として存在感を発揮したが、出番が少ない上に最後はアストロメガシップごと消滅した。


○バルク

(吹き替え:大山昇)

○エリオット・フェノーメナス博士

(吹き替え:北山勝博)
前作から引き続き登場するコメディ担当。
テラ・ベンチャーの住民に選ばれるが、バルクの相棒スカルは寝坊して地球に取り残されたため、主に登場するのはこの2人のみ。



【敵】

○スコーピウス

(吹き替え:谷昌樹)
本作のメイン敵である昆虫軍団の支配者…だったのだが途中退場。
昆虫らしさを全面に押し出したかなり不気味なデザインだが、これは日本側のスタッフが『スターシップ・トゥルーパーズ』にハマっていた影響であり、皮膚の表現は同作のブレイン・バグがモチーフ。


○トラキーナ

(吹き替え:朝倉佐知)
スコーピウスの娘。ワガママな性格で、最初は戦闘力皆無だったがビラマックスに鍛え上げられたことで恐るべき戦士となった。本作のラスボス。
次回作にて一時復活した。


○フリオ

(吹き替え:高橋翔)
昆虫軍団の幹部。
ギャラクシー・サーベルを狙ってミリノイ星を襲撃し、惑星全土を石化させてしまう。
その後もサーベルを狙ってテラ・ベンチャーを執拗に攻撃するも悉く返り討ちに遭い、最後はスコーピウスに見捨てられた末にレオとの決闘で自爆し死亡。
後述のビラマックスに代わって原典におけるサンバッシュのポジションを担当したオリキャラであり、スーツは『イン・スペース』では使用されなかったDr.ヒネラー怪人態の微改造。


○スティング・ウインガー

昆虫軍団の戦闘員。
目から撃つビームと両腕の鎌を武器とし、背中の翅で空を飛ぶ。
『スターシップ・トゥルーパーズ』のウォリアー・バグとホッパー・バグがモチーフ。


○ビラマックス

(吹き替え:斉藤次郎)
日本で言うサンバッシュ…なのだが規制の関係で武器は銃から剣に変わった。
性格もチンピラだったサンバッシュとは異なり、正々堂々とした騎士道精神の持ち主であり、爆発による建物の崩壊から少女を体を張って守ったこともある。
悪漢に絡まれていたトラキーナを救った上に鍛え上げた後はパワーレンジャーに父親の復讐を誓う彼女を補佐。
しかし関わりの無い民間人までも巻き込む彼女のやり方に反感を覚え、戦場となったテラ・ベンチャーから脱出する民間人達のスペースシャトルに攻撃しようとしたことで完全に対立した。
しかし元々彼女を鍛えた身であるが故に彼女への攻撃を躊躇っていたところ、一方的に攻撃を食らい続けて殺害された。
だが彼が犠牲になり時間を稼いだことによってレンジャーが間に合いシャトルは無事守られた。
そしてそのシャトルには以前彼が救った少女が乗っていたのだった・・・


○サイコレンジャー

日本における邪電戦隊ネジレンジャー。前作で封印されていたが強化されて復活。
しかしスペースレンジャーと共闘したレンジャーに完全敗北した。



【武装・巨大戦力】

基本的には共通だが、オリジナル装備としてバイクや小型飛行艇も登場。
更に、前作で好評を博したレッド・バトライズド・レンジャーを踏襲し、レッドレンジャー専用の強化形態(レッド・アーマード・パワーレンジャー)が登場した。
これは前作にも登場した「怒りの戦士」から託されたもの。
これ以降、本格的にバトライザーがシリーズの恒例となる。

また星獣(ギャラクシービースト)たちは「スコーピウスに捕らえられていた宇宙生命体」という設定。
銀星獣は「ギャラクシー・ゾード」と呼ばれている。

またこちらでも鋼星獣は爆散する。しかも大量の虫型の雑兵に、ミツバチよろしく全身をホールドされた上で自爆攻撃をくらいバラバラになるという惨い最期…

鋼星獣「アメリカでも爆破オチかよ…。」

ちなみに、今までのシリーズにおける巨大戦力は基本的にタダのロボ*2だったため、「自立した意思を持った巨大戦力」はこれがシリーズ初*3

また前作からアストロメガシップも登場しているのだが、頭になるシャトルが無いのでスペースレンジャーと共闘した際を除いて変形はしなかった。
最後は敵艦に特攻して爆散してしまった。
まあ、『ワイルドフォース』のエピソード『FOREVER RED』では同型機のアストロメガシップMk-2が登場したけどね。よく用意できたな、アンドロス…。


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最終更新:2023年07月02日 13:50

*1 アメリカでは監督が撮影したディレクターズカット版にプロデューサーが編集を加えたファイナルカット版を放送するのが一般的だが、田﨑監督は「監督が責任を持つのが日本流」として、「プロデューサーが気に入らないところは直すから」と要望してこの方式を採用してもらったとのこと

*2 大獣神の「神」という設定が宗教上問題視され、このようになった影響。ゾードンという指導者がいたのもあるだろう

*3 等身大戦力も入れるなら、シーズン2に登場した白虎真剣ことサーバが初