琥珀(TYPE-MOON)

登録日:2012/07/17 Tue 23:11:25
更新日:2023/06/23 Fri 19:15:36
所要時間:約 7 分で読めます




TYPE-MOON制作の同人ゲーム月姫』のヒロイン。
CV:植田佳奈(真月譚)/高野直子(MELTY BLOOD)/桑原由気(月姫 -A piece of blue glass moon-)

身長:1m56cm
体重:43kg
B78/W58/H80
誕生日:3月12日

イメージカラーは赤紫。イメージソングはCocco「やわらかな傷跡」。

遠野家の使用人であり、翡翠の双子の姉。
常にメイド服を着用する翡翠と異なり、和服に割烹着*1を普段着としている。
猫又が嫌い。
館の食事係や庭園の整理を担当し、遠野家の健康管理や財政、更には遠野秋葉の身の回りの世話等、幅広い業務をこなしている。
翡翠は料理がアレな為、琥珀がストをすると遠野家が存亡の危機…になるかもしれない。

薬学の心得があり、簡単な薬の調合であれば庭園から採取した薬草で行うことが出来る。
薬剤師の資格もきちんと持っており、その資格を取る為に戸籍を偽造した。

妖しげな薬にも精通しており、MELTY BLOODではそれがタタリによって拡大解釈されて世にも不思議なマジカルドクターと化した。
また遠野邸地下で怪しい研究を行い、様々なマジカルウェポンを作り出した。
屋敷の裏庭にあるサイコガーデンで怪しい草花(主に毒草)を栽培する。そのくせ不文律は『薬は人を助けるモノ』。

唯一彼女が苦手とするものが掃除。
翡翠曰く、「姉さんが箒を持つと館が壊れていく」とか。ある意味才能である。

明朗快活な女性で、いつも笑顔を絶やさない。
遠野家の中では一番庶民的な性格をしており、有間家から戻ったばかりで館に慣れない遠野志貴を持ち前のほんわかさで励まし続けた。

本人も気付いていないがきわめて冷静に物事を判断する。それ故、ゲームがとても強い。
また、基本的には分別があり大人の対応ができるが、根はいたずらっ子。

相手を喜ばせることは得意でよく気が回るが、人に尽くされることにはまったく慣れていない。
そのため、他人に嬉しいことをされるとものすごく照れる。

ちなみに彼女はカレーを料理と認めていないため、彼女が台所を担っている遠野家では食卓にカレーが上がらない。






以下ネタバレ













だから…人形だったら、良かったのに


翡翠と同じく、対象との性的接触によりその対象の生命力を増幅させる「感応」の能力を持つ。

巫浄の分家の娘だが、幼い頃に母が禁を破った為に没落。彼女達2人は、前当主である遠野槇久の「反転」を抑える為に遠野家に引き取られた。

初めて槙久に襲われたのは8歳の誕生日で、贈り物があるから部屋に来いと騙されてのことだった。
それ以降、同じ体質の妹・翡翠を槇久の魔の手から守る為に、琥珀は槇久からの暴行(凌辱)に1人で耐え続けたが、心身が徐々に瓦解していくことは避けられなかった。
彼女は自分の心を守る為に、ある策を講じた。

「人形であろう」と。

元々感情を表に出す事が苦手であった彼女は、「人間らしさ」を急速に失っていくことになる。
その頃の日記帳には『タスケテ』としか記されておらず、最後のページには自分が人形になればいいという旨のことが書いてあった。
その後、秋葉が中学二年生になり、関係がばれてからは普通の使用人として仕えている。

そして彼女は、奪われた自分の「人間らしさ」を取り戻す為、「遠野家への復讐」を講じる。


琥珀は世話を任されていた、地下の座敷牢に幽閉された四季に『槙久は四季を一生閉じ込めておくつもりだ』という嘘を吹き込んで槙久を殺害させ、
その後に四季と秋葉をぶつけて残った方を志貴に殺させる、という方法で遠野家への復讐を企てる。
秋葉に血を与えていたのも感応の為ではなく、秋葉を遠野よりのものにする為の計略。
秋葉自身も何となく琥珀の復讐に気付いていたが、琥珀がされてきた事への負い目から黙認していた。

もっとも人間性を失った琥珀は、秋葉は勿論、凌辱され続けたにも関わらず四季と槙久にすら憎しみを抱いていない。
というより、四季と槙久には何の感情も抱いていないらしい。
復讐自体も恨みの感情からではなく「こんな酷い事をされたのだから、復讐するのが人間らしいのでは?」という考えから。

人間性を喪失したことで琥珀は人形のように無表情な少女となったが、遠野志貴が瀕死の傷を負い、翡翠が寡黙になって以降、琥珀はかつての明るかった翡翠の役割を演じるようになった。
演じているだけで失った人間性はそのままのため、ほがらかな表情は実のところ仮面であり、無表情ながら喜怒哀楽がはっきりしている翡翠に対し、琥珀は笑顔しか見せることはない。
しかし、志貴の帰還は凍り付いてしまった琥珀の感情を徐々に溶かし、気付かぬうちに「人間らしさ」を彼女に与えていくこととなる

ルートに入ると琥珀はそんな志貴に惹かれ、彼と恋仲になるが、それは同じく彼を愛する主、秋葉との衝突を招く。
そうなって初めて、自分が本当に秋葉を家族のように思っていたことに気付いた琥珀は、秋葉をできるだけ傷付かせずに志貴との仲を認めてもらう方法を模索していく。
ちなみに、幼い頃からの凄絶な性体験故に性経験自体はあるが、異性と恋愛関係になったのは(自身のルートでは)志貴が初めてなので、恋仲になってからは、
床上手ではあるが、それ以外の状況で自分が好いている異性から好意を伝えられたりすると、慣れていない故に顔を真っ赤にして照れてしまうという二面性を見せるようになる。

なお、作中では翡翠と琥珀が入れ替わっているシーンがある。翡翠と入れ替わる時には翡翠を薬で眠らせ、カラーコンタクトで瞳の色を変えて入れ替わっていた。
見分け方は琥珀の呼称であり、翡翠本人は琥珀の話をする際に「姉さん」と琥珀を呼ぶが、琥珀が化けている時は「姉」とだけ呼ぶので、そこに注目すると見分けることができる。

制作当時こそサブキャラ扱いであったが、半月版(製品化以前の試作版)にて思わぬ人気を博し、急遽最後に出現する専用ルートが設けられることとなった。
しかしフローチャートの不備により、他の全てのヒロインを攻略して初めて攻略可能になる、という要素が初回版では抜け落ちてしまい、最初から琥珀が攻略可能になってしまうという不備が生じた。

これを聞いた脚本・演出・フローチャート担当の奈須きのこは激怒したという。相方であり、イラスト担当の武内崇をして「見たことも無いほど怒っていた」と言わしめたとか。
ミスをしたのは当人なのだが、まあテストプレイをした人間がこのことを報告しなかったことにブチ切れたのかもしれない。



てややー! 正義の魔法少女、只今参上!

琥珀流抜刀術、奥義!


ファンディスク『歌月十夜』では、原作のダークな設定等まるで無かったかのように楽しく暴れ回る。
2D格闘ゲーム『MELTY BLOOD』シリーズでは自身を「魔法少女マジカルアンバー」と称し、邪魔な人物の討伐、もとい三咲町の治安維持に奔走する。

きのこ公認、メルブラで一番はっちゃけたお人。ちなみにこの作品で振りまいている笑顔は仮面ではなく本物。
「歌月」でのBAD END、心底うれしそうに怪しげな色の液体が入った注射器を両手に構えるCGがそもそもの発端。
そこのチャイナドレスやらなんやらの怪しげなファクターが入り混じり、ついにはメルブラのアレに帰結してしまったのだそうで…いいぞもっとやれ。

自動車の運転ができるが、赤信号につかまるたびにドリフトターンをする等無茶苦茶。
あまりのはっちゃけぶりに遠野家の面々は頭を抱えており、何か事件が起こると真っ先に琥珀を疑う。
仲の良い姉妹である翡翠も例外ではなく、メルブラの戦闘後台詞(翡翠勝利時)では堪忍袋の緒が切れた翡翠にお説教されている。
一方、トラブルを起こしていない時には仲良くやっているようで、志貴との戦闘後台詞(琥珀勝利時)では休日デートの約束を取り付けている。
各種アンソロや同人誌でも「遠野家の資金を勝手に使いこんで悪行三昧*2するのは日常茶飯事である。
大帝の場合、最後はブチ切れた秋葉様に焼かれるオチが待ってるんですけどね*3

型月が同人出身の為か「ファンからのネタを公式にしてシリアスなキャラをギャグキャラ化させすぎてぶっ壊す」「公式があまりに悪ノリしすぎる」という悪癖が存在する。
ルートがないことをネタにされ、公式で影が薄いキャラにされてしまった弓塚さつき同様、琥珀の露骨な腹黒キャラ化というキャラブレイクに対して不満をしめすファンは決して少なくない事を留意しておきたい。
ただ、何の脈絡も無いものではなく一応『いろいろなものから解放された結果はっちゃけた』という設定でもある。
本編での凄惨な設定もあり、ネタ抜きでこの変化を良い傾向として歓迎するファンもまた決して少なくない。
琥珀ファンならこの変化に否定的である、もしくは歓迎していると一概に言えるものではないことには気をつけておこう。

当然ながら軋間紅摩とは知り合いであり、『軋間の坊ちゃん』と呼ぶ。
志貴との因縁も知っている様子だが、琥珀本人としては別段悪感情は抱いていないらしく、志貴が不在の時なら遠野家に来ても歓迎するとか。

『MBAA』から参戦したロア(遠野四季)には、数少ない彼を知っている人物ながら過去が過去なので友好的ではなく、
琥珀のアーケードモードでラスボス直前に出て来た彼に対して「チェンジ」「空気読んでください」とのっけから塩対応でお出迎えし、
「私が知っている四季さまはそんなピアニストみたいな恰好してない」と全否定。そもそも最初から「ネロ」「ネロア」と意図的に名前を間違って呼んでいる。
勝利台詞では、「長年地下室で積み上げてきた上下関係、体はたぁっぷり覚えているんですから♪」と、割と際どいことを言っている。

また、これらのはっちゃけた設定は性格はともかく翡翠や都古と共に『タタリによる拡大解釈を受けた』という設定であり、本来なら志貴や秋葉のような人外、あるいは死徒をはじめとする吸血鬼と渡り合えるような実力ではない。
無論、薬品類などの発明品も含めて一応合切タタリの影響下にあるので、琥珀本人の実力では無いのだ。

いや、無かった『はず』なのだが……

上記のような事情もあり、月姫新作をベースとしている最新作『TYPE LUMINA』では当然タタリの影響もなくなるため、初報が出た際にはタタリの影響を受けている他のキャラと共にキャラ数大丈夫なのかという危惧も含めて出演が危ぶまれていた。

が発売日決定トレーラーを目にしたファンは我が目を疑うことになる。そう、いたのだ。それも翡翠とともに。
一体どんな理屈で原作月姫設定の琥珀さんがこのトンデモパワーを手に入れたのか全く不明だが、そこには旧メルブラと全く遜色なく暴れ回る琥珀さんの姿があった。いいぞもっとやれ。
でも原作時点でこんだけできるんだったら、琥珀さんあんな回りくどいことしなくて良かったんじゃないですかね。

一応琥珀、翡翠、都古の三者、加えてボスラッシュのストーリーを見る限り、彼女ら一般人に関しては『夢落ち、もしくは盛りすぎた作り話』という設定が適用されている様子ではある。
同じくタタリの影響で登場人物のイメージを統合した幻として現出していた軋間紅摩に関してはご本人の登場(MBにおける幻影でない紅摩本人の出演はMBAC青子ルートに敵として登場するのが初出とのこと)という形でクリアし、七夜と紅赤主、メカヒスイに関しては未登場(パンダ師匠いるけど)、暴走アルクも大幅なリデザインを受けているなど設定面の整合を図っている形跡があり、この辺はある程度意識して彼女らが出演できるよう取り計らった結果と思われる。
え? 3人とも他のルートでも平気で出てくるし翡翠&琥珀ルートは夢落ちでも何でもない? 細かい事ぁいいんだよ!


MELTY BLOOD中では大抵の人々(善悪人拘わらず)は彼女のほんわかペースに絆されてしまうが、ネコアルクを非常に苦手としている節があり、
ドラマCD『アーネンエルベの一日』では、ネコアルクについて「私が唯一苦手とする、同タイプのトリックスター」と言及している。

Carnival Phantasm』では全編お祭り騒ぎなのをいいことにものすごくはっちゃけている。いつも通りといえばいつも通りだが。


コハエース』では遂に主役化し、セガの話を始めたり身内の自虐をしたりと好き放題している。というか作者の分身。
その流れを汲む『Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚』では「月姫の物語が戦前にスライドした状態で終わっている」という設定上、月姫の本人が歌月十夜やメルブラ寄りの性格でそのまま登場。シリアスではあるがダークな設定は引きずっていない。というより、 乗り越えた後 というのが正しいか。

『ぐだぐだエース』では「帝都聖杯奇譚のキャラ」という体で無理矢理続投。そこまでして出たいのかこの使用人。


TYPEーMOONエースVOL3の漫画において、おきてはならないことが起きてしまった。
琥珀とほうき少女マジカルアンバーが、平行世界の壁を越えて

出会った

因みにメルブラ(特に中期以降)では
  • 夢の低コスト人工魔力ニボシニウム(G666の動力源)の独占
  • 二次元キャラクター保護法に触れるネガポジウム光線(お手軽2Pキャラ作成光線)の開発
  • 平行世界転移装置メターボウ・マルチドライブの立案

等から抑止力が現れる程までにおかしいスペックを持ってしまっている
第二魔法ェ………



原作をプレイしていない方は、彼女を「脳天気な色物キャラ」と誤解してしまう可能性が高い。
しかし、琥珀を知ることなくしては月姫の世界は語り切れないだろう。
TYPE-MOONの世界観に興味を持たれた方は、是非とも月姫をプレイして頂きたい…が、現在では入手困難なのが現状か。
いつも明るくほがらかな彼女の背負った壮絶な過去は見るだけで辛い。
秋葉と衝突することに取り戻した心を痛めながら、それでも志貴と一緒にいることを諦められない琥珀の心境を思うだけで切なくなる。

でもそれを乗り越えた彼女の本当の笑顔は、きっとプレイした貴方の心に、温かいものを込み上げさせてくれるだろう。
それを前提として歌月十夜以降の彼女を見れば、印象はまるで違ったものになるに違いない。


―――はい。わたしもこの琥珀が一番好きでした




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最終更新:2023年06月23日 19:15

*1 と作中では言われているが実際は和服にエプロン

*2 当然だが横領罪が即座に適用される

*3 関係としては主人と使用人であり、使用人でありながら主人に迷惑をかけてしまったら制裁されるのは、そりゃやむなしである