ヘッポコ冒険者シリーズ

登録日:2011/02/07(月) 14:19:06
更新日:2023/03/16 Thu 16:22:33
所要時間:約 3 分で読めます




富士見ドラゴンブックで刊行されているTRPGソードワールドRPGリプレイの中の1シリーズ。全10巻。
正式名称は『新ソードワールドRPGリプレイ』。

著者 秋田みやび

初心者ゲームマスター(以下GM)とプレイヤーが紡ぐ、コメディタッチのリプレイ(1巻裏より抜粋)
GMの繰り出す濃いキャラやGMの予想を超えるプレイヤー達の行動、発言により好評を得た。
設定的には水野良の『魔法戦士リウイ』(短編集・長編第一巻)と同じ「剣の国オーファン」を舞台とする話であり、リンクする発言やサブキャラがある。
ただし、長編第一巻の時系列では諸事情で登場キャラクター達は不在だったことになっている。


◇登場キャラクター
ファンからは「ヘッポコーズ」とも呼ばれているパーティ。
重戦車並みの力・装甲を誇るイリーナが突出しているが、実は全員が「魔法使い」だったりする。

  • イリーナ・フォウリー
至高神ファリスに仕える神官戦士であり、キャラクター作成時にPCの出せる最大値の筋力24*1を叩き出した(なお、一度ほぼ全ての能力値で最大値またはそれに近い数字を出しているが、完璧すぎるとリプレイ的に面白くないとの理由で能力値の振り直しをさせられている)「ファリス(至高神)の猛女」(鉄塊娘)。決め台詞は「汝は邪悪なりー!」。
父の治療費*2を得るため冒険者となり(その後5巻頃で病気は全快した)、幼馴染のヒースを「ヒース兄さん」と呼び慕っている。なお実の兄クリストファーは父から勘当され出奔中。
性格は脳筋で正義を愛する悪即斬系だが*3真面目でいい子であり、3巻では悪人に乱獲されていた植物モンスターマンドラゴラの事情を知り、彼らが欲しがる「血」を提供。
結果マンドラゴラの手によりイリーナ顔の幼女3人(マンドラゴラが人の血で変異した亜種アルラウネ)が誕生。彼女たちから「まま」と慕われている。
その力からくる重装甲(5巻以降では分かりやすく金属鎧姿)はデュラハンの駆る2頭立てのチャリオットの突撃を受け(サポートがあったとはいえ)ダメージを1点で抑え切り、アイアンゴーレムと棍棒(こちらも必要筋力24。通称「電信柱」)で殴り合う程。
また極限の筋力ゆえに彼女の最も気に入る得物「必要筋力24のグレートソード(大剣)」は店先には置いておらず、注文してから届くまでかなり時間がかかり、より高品質にする度ある種シナリオの基になっていた。
武器マニアの側面もあり、「グレソ(グレートソードの略)、いいグレソ(高品質で打撃力が5高い。限界突破もしているため30の大台に乗る)、電信柱(前述の棍棒)、風林火山(高品質の棍棒)、石(当然必要筋力24。もはや岩)、つまようじ(必要筋力15の魔法の剣。普通の戦士なら喉から手が出るほど欲しい代物)」といった多数の武器を常に持ち歩いている。
ちなみに2巻でホブゴブリン相手に物理攻撃ダメージ最大記録を叩きだしたが*4、その後バスの狙撃と『新ソードワールドリプレイNEXT』のブック(二人とも兼業シーフ)のフィニッシュヒットに抜かれてしまっている。
GMの予定をたびたび崩壊させるシナリオブレイカー。終盤では2人目の死亡者となり話を延長させてしまった。これにより、同じGMが担当した他の作品で「誰かPCが死んだら1巻くらい話が伸びる」とPC側からネタにされている。
実は意外と性格が悪い。だがこれまでのSW作品にて「教条主義的で狭量」と負の面を強調されがちだったファリス信者の再評価につながってもいる。
キャラ作成で全てのダイス運を使い切ったのか、総じて出目が悪い傾向にある。プレイヤーはむしろ普段はダイス運のいいタイプであることが終了後の座談会で語られており、死亡事故が起きた時は少し泣いてしまったらしい。

  • ヒースクリフ・セイバーへーゲン
自称・魔法狩人(狩人の家から頭の良さで魔術学院に入った特待生のため)。
某筋肉魔術師に対抗意識を燃やして冒険者になった魔術師。
終盤ではその魔術師の父親(オーファン建国王)と対面し、彼の私生活に関するやや下世話な話を持ち出していた。
また、彼の師であるハーフェンがオーファン魔術師ギルドでも穏健派の重役であるため、某筋肉魔術師の活躍で魔術師ギルドに動きがあるたびに立場が重くなり*5、必然的にヒースの立場もシレっと重くなっている。
調子が良く口が悪すぎる上にセージ技能の判定に失敗すると法螺を吹くためパーティメンバーからの信用はあまりないが、根は善良。
またイリーナの血で誕生したアルラウネを「チビーナ」と命名、9巻で出会った残り2人に名をねだられ「プチーナ」・「ロリーナ」と咄嗟に付けている。*6
最大の特徴は魔法を使った際の独特すぎる出目。相手を眠らせる「スリープクラウド(1レベルで覚える呪文)」をことごとく失敗して遺失呪文と言い張る、
自分の行動と引き換えに相手を止める「パラライズ(4レベルで覚える呪文)」はここぞという場面で何度も成功しボスを無力化する、
攻撃魔法の「ライトニング(範囲攻撃する稲妻の魔法)」の初使用で誤って射線上にいたイリーナにクリティカルを出しつつ敵を貫くとその後イリーナの出目が良くなる(本人曰く補助魔法サンダーウェポン)などなど。
セージ技能も平行で上げているため、パーティの知恵袋でもある。

  • ノリス・ウェストイック
知力10の為、共通語の読み書きが出来ないアホの子(イリーナも一緒)でパーティー初の死亡者。
職業はシーフ兼祖母譲りの精霊使いなのだが、器用なので罠解除は得意でもアホの子で素早さも人並みというステータスの低さに加え、軽率でおっちょこちょいな盗賊に不向きな性格からたびたびトラブルを引き起こす為にガルガドに謀殺されそうになったり放逐を企まれたりする。
シナリオ中では茶巾包みになったり、女装して「ノリーナ」になったり、猫と精神が入れ代わったあげく元の体は他人に奪われたりと散々。
中盤でガルガドと共にパーティから離脱、終盤に復帰するもガルガドとは違いNPC扱いで、しかも体を奪われた際捕縛のため指名手配されたせいで、ノリーナ姿でないと街を歩けなくなった。
ちなみに死亡した時は
ピンゾロでなければHPは残る→ピンゾロ→生死判定もピンゾロ以外なら大丈夫→ピンゾロ→オワタ\(^0^)/
ちなみに本作終盤からスタートした同世界観のリプレイシリーズ「新ソードワールドリプレイNEXT」ではHP・MPが紙並みのスケベ盗賊少年がメインだったが、そっちでは彼含め一人も犠牲者が出なかった。なぜだ。

  • マウナ・ガジュマ
人間育ちのハーフエルフでシャーマン(精霊使い)。レンジャー持ちでもある。
冒険者の宿「青い小鳩亭」の養子になることを狙い、普段はウェイトレスをしながら生活。4巻で宿の主人夫婦を助けたことから正式に養女となった。
憧れのアイテムはティンダー(可燃物に火をつける魔法)のコモンルーン。
ガルガドに次ぐ常識人でツッコミ役だがお金に目が無いためネズミ講に引っ掛かったりしていた。
作画担当のお気に入りらしく、毎話ごとに髪型が変わる。

  • ガルガド
戦神マイリーの神官戦士。本作の舞台となる「剣の国オーファン」にはマイリーの最高司祭ジェ二がいるため、ノリス・イリーナの蘇生時には彼女に蘇生を依頼するコネになった。
36歳というのは種族的にはまだ若者のはずなのだが*7、言動は完全に落ち着いたオヤッサン。
パーティーのまとめ役で苦労人。
たびたびノリスを謀殺し新しいシーフを勧誘しようとしたが、最終的にはノリスが一度死亡したこともあり、旅に出たノリスについていった。
終盤で復帰し、対アンデッド戦となったラスボス戦で大活躍した。


●5巻から登場するキャラクター

  • エキュー
若いながらも歴戦の傭兵。精霊使いでもある。
傭兵らしい言動もしたりするがエルフが関わった時点でダメ人間に変化する。
黒かろうが半分だろうが女性のエルフならなんでも来いというエルフという種族に夢見る男子。
マウナに憧れパーティーに加入したが、エルフに夢を見すぎな為かマウナは多少引き気味。
…それでもパーティの中ではマトモな方である。

  • バス
旅に出たガルガドの推薦により加入したパーティーの新たなシーフ兼バード兼プリースト。
だがノリス以下の知力(但し人生経験はあるので頭の回転は速い)と素早さにより、シーフとしてよりもバード、またはパーティーの財布として活躍しがち。
芸術神ヴェーナーを信仰しており、新たな英雄譚を求め冒険に同行する。
「ワタシは盗賊などではなくエレガントなアーティストですぞ」はお約束。イリーナのワイバーン一刀両断という偉業をたたえ「ファリスの猛女」と名付けた。
しかし「ユニコーンを故郷に返してくれ」という国からの依頼を受けた時、「ユニコーンの『処女判定力』のせいで宮廷にスキャンダルの嵐が勃発」等と法螺を吹きヒースが乗ったため、
その後同じ会社から発売される他の作品で「ユニコーン=スケベ馬」なる認識が共有される様になってしまった(ちなみに本作では処女のイリーナでも鉄装備で固めていると逃げられている)。
最終回では障害敵に対する狙撃で大ダメージを叩きだし、イリーナが初期に出したダメージ記録を抜いてしまった。


◇ゲストパーティメンバー
一部回でゲスト登場し、10巻のパーティ分割シナリオ時参戦したキャラクター達。
ゲストPC達のプレイヤーは(ノリス含め)その時パーティに不在のプレイヤーが担当している。

  • チビーナ・プチーナ・ロリーナ
イリーナの血で生まれたアルラウネ3姉妹。成長途上なので本来のアルラウネより弱めだが土と樹の精霊呪文を使う。
性格は親(?)と同じく正義を愛する猪突猛進型で、母イリーナになついている。
9巻で森の危機からにて故郷(マンドラゴラの群生地)の守護をロリーナに任せ再び登場し、後半ではヒースが森で迷っていたプチーナを回収し合流。
そして10巻でチビーナとプチーナが1セットキャラとしてゲスト参戦。最終決戦直前に故郷へと帰っていった。
…が、なぜかクラウスに恨み節を呟きマウナにエキュー押しを囁いていた。

  • クラウス
「青い小鳩亭」を営む夫婦の甥なファイター。イリーナが持つ魔法の剣(つまようじ)の元の持ち主でもある。
4巻後半で叔父夫婦が行方不明になった時へっぽこ達と知り合い、共に叔父達を呪うデュラハンに立ち向かうことに。
割と優良物件でかつ夫婦の伝言もあってか「マウナとくっついちゃえよ」ムードになり、9巻で再登場した際はエキューの嫉妬を買っていた。

  • ヤムヤル
オーファンの山奥に住み、竜となるため修行を積み竜の力を使う竜司祭(ドラゴンプリースト)*8の青年。
初登場時は竜の下位種ワームとの激闘で記憶を失いヒースに「デケーナ」と命名されていたが、ワームのいた洞窟へと行く事で記憶を取り戻し、へっぽこ達と腕試しの勝負をした後新たな洞窟の主となった。
高位竜司祭なためワイバーンも召喚出来る呼び出した後制御を手放しちゃった為イリーナはワイバーンキラーとなった。
9巻では強者との戦いをヒースに誘われ助っ人となり、クラウスと共に最終決戦まで同行している。

  • ラヴェルナ
オーファンの新宮廷魔術師な9レベルソーサラー。"魔女"の異名を持ち、夫婦で世界を巡りリアルで発売された『ワールドガイド』の元になった『アレクラスト見聞録』を執筆した才女でもある。
夫共々最終巻で登場し、国を襲うバンパイアパニック解決への協力を要請。自身はバンパイアの情報収集と拠り所である「汚れた土」を探索すべくイリーナ・マウナ・アルラウネ姉妹・バス・クラウスと冒険した。
なんか微妙にヒースが移った様な言動と出目が目立ったが、高位ソーサラーとして呪文の猛威を振るい、魔神を透視呪文「シースルー」と座標指定呪文のコンボで瞬殺している*9
最終決戦時にはへっぽこ達の活躍の傍ら、夫と強モンスターがうようよいるダンジョンの攻略に回っていた。

  • ローンダミス
ラヴェルナの夫でオーファン近衛騎士隊の隊長。妻共々『魔法戦士リウイ』「剣の国の魔法戦士」からのゲスト出演者でもある。
リプレイ『バブリーズ』のアーチー・『ロードス島戦記』の主人公パーンに並ぶ(レベル初出はこっちが先)8レベル戦士で、思わずイリーナが戦いたがっていた。
本作ではレッサーバンパイアの動きを調べるため、ヒース・ガルガド・エキュー・ノリス・ヤムヤルという大変色気のない面子(バス命名『漢組』)で出発。
…が、妻がいない反動からか色街に行きたがったり(バレるともちろん呪文を喰らう)、馬に「クラウン」と名付けかけて周囲から簒奪疑惑を向けられたリとはっちゃけキャラ化し、
戦闘では出目に恵まれず「剣の国の魔法戦士」準拠の微妙な装備とステータス的に「劣化イリーナ」でないかとも言われる始末。
ちなみに、『ソード・ワールド2.0』では彼と同じように乗騎(竜)に「クラウン」と命名したマッチョエルフ大司祭「パトエルデン・エラー」が登場しており、プレイヤーが同じなことが示唆されている。




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最終更新:2023年03月16日 16:22

*1 後に成長させて限界突破の25に。

*2 裏設定では父親が自分で病気の治療をするはずが、判定でミスって治せなかった事になっている。

*3 2巻ではうっかり「通りすがりの悪そうな人」に邪悪感知器ファリス呪文「センス・イービル」を使用するという失礼な行動をとってしまった(相手が本当に悪かつ人外だったため周囲からの注意で済んだが、危うくシナリオを崩壊させかけておりGMが無茶苦茶焦っている)。

*4 だがその時振るった新品のグレソは、鉄をも溶かすブロブをそれとは知らず斬ったせいで使用後溶けてしまった。

*5 ハーフェンはカーウェス、フォルテス、ラヴェルナに次ぐ第四席ではないかと言われており、それだと『剣の国魔法戦士』でフォルテスが死んだため第三席に昇格し、へっぽこーず本編終了後の『魔法の国の魔法戦士』でカーウェスも死んだため第二席に昇格した可能性が高い。

*6 ただし、ロリーナについては直後自分で「最悪な名前」と自虐している……が、Loreenaとして実在する名前なので特に問題は無かったりするが「チビ」「プチ」と続いて「ロリ」になったんだから仕方がない。

*7 ドワーフ・ハーフエルフの寿命は人間の2倍

*8 ちなみに本作の舞台オーファンは、竜司祭が変じた邪竜を倒した英雄リジャールの建てた国であり、リジャールの庶子リウイが主役の『魔法戦士リウイ』では邪竜の転生竜と女性竜司祭がサブメンバーとして登場している。

*9 この後「新ソードワールドリプレイNEXT」最終回でも透視による一方的攻撃コンボが炸裂したこと等から、「NEXT」後半や「新ソードワールドリプレイxS」最終巻ではGMから「シースルーが封じられた巻物は危険かつ高価だから市場に出回らない」と断言されている。