G-SAVIOUR(ガンダムシリーズ)

登録日:2010/07/05 Mon 13:18:00
更新日:2024/03/23 Sat 01:27:49
所要時間:約 10 分で読めます






未来を“築く”ための戦い




概要

2000年に発表された、ガンダム生誕20周年記念プロジェクトの1作。
サンライズと、アメリカのポールスター・テレヴィジョン社との合同で製作された、合作スペシャルTVドラマ。
監督はグレーム・キャンベル。

タイトルにも本編にもガンダムの文字は1つも無いが、れっきとしたガンダムシリーズの作品である。
また、シリーズ初の実写作品として(1996年のゲーム『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』は除く)製作され、このインパクトは当時も現在も不変となっている。
MSの描写はコクピット以外全てCGで表現されており、駆動音に“ウイ~ン”といった実際の機械音を取り入れ、無重力宇宙空間ではフワフワと漂い、重力下では低音と重量感を意識した独特のある種リアルな描写は、“非常にリアリティ溢れる”か“もっさりしてる”の二分の評価に分かれるところ。
他にも後述するコクピットのデザインやハリウッドSF恒例のデブリ抜けなどから、『ウルトラマンパワード』と同様に、海外と日本のSF描写観の違いを味わえる。

ハリウッド制作という宣伝もされたが、TVドラマ故に実際の所はそこまででもない予算(およそ10億円)で製作されたためか、実写パートは少々しょっぱいものとなっている他、『スターシップ・トゥルーパーズ』の戦闘服の流用など、残念な部分もチラホラ……
吹き替え版は主人公を加藤晴彦が、ヒロインを篠原涼子が声を当てるなど話題性を重視してキャスティングを行った為この二人だけ棒読みが目立つ。


発表当時、模型雑誌「月刊ホビージャパン」で毎月特集が掲載され、後述するメディアミックスなど精力的なプロモーション行われたが大ヒットとはいかなかった。
しかし、展開から最初期の頃の公式の年表にはきちんと宇宙世紀0223年の物語として記載されていた。
ところが、やがて宇宙世紀公式年表では記載されていない扱いを受けることが多く、『UC NexT 0100』が展開されている現在の本作の正史における扱いは不明となっている。

Gジェネなどのゲーム出演が一切無いのは、日米合作という版権絡みの問題であるとも言われているが詳細は不明である。
小説版の表紙のキャラは実写ではなくイラストであり、仮に参戦するなら違和感のないイラスト版のような絵になるかもしれない。
例として、CGの『IGLOO』やコロ落ちのキャラはカード、Gジェネ、ギレンの野望OPではアニメ絵になっている。


ストーリー

ザンスカール帝国戦争(宇宙世紀0153年)から70年、そして1年戦争(宇宙世紀0079年)から144年を経た宇宙世紀223年。地球。
元国家議会軍の青年マーク・カランの働く大西洋深海農業研究所リグにスパイが進入。
捕縛されたが、マークはそこでシンシア・グレーブスと出会う。
彼女らは中立セツルメントであるサイド8・ガイアの研究者達であり、リグで食料不足を救う鍵となる「生物発光体」の開発のため侵入したと話す。
マークは彼女を留置所から連れ出し、リグの研究所で「生物発光体」の開発実験に大成功した。
しかし、それを強奪して独占しようと企む国家議会軍ガーノー総督の手が迫り、マークはしてない筈の殺人の罪に問われて指名手配されてしまう。
シンシアはマークとガールフレンドのミミ・デビアを連れてサイド4ニューマンハッタンに逃亡。そこでマークはかつて事故死したはずの戦友フィリッペ・サン・シモンと再会する。
彼は事故死に見せかけ離反、秘密結社「イルミナーティ」の幹部をしていると告白、更に最新型MSのGセイバーのパイロットを務めるよう促す。
なし崩しにGセイバーを受け取ったマークたちはサイド8ガイアへ亡命した。しかしそれも束の間、ミミはガーノーのスパイであり、彼女はガイアのコンピューターに侵入して意図的に議会軍の艦を砲撃する。
これを口実に議会軍が武力侵攻を開始、マークを憎む元上官ジャック・ヘイルが率いるMS部隊が迫る。マークは「生物発光体」、そしてシンシアたちを守る為、Gセイバーで立ち向かう!

本作の出来事は「ガイアの光事件」として記録される。


用語

●セツルメント

本作における、スペースコロニーの名称。
連邦が分裂した余波で、各サイドが地球と国際法上対等な関係になったことから、コロニー(植民地)は差別的な名称ということでセツルメント(入植地)となった。
本作においてはアースノイドとスペースノイドの軋轢はVガンダムの時代よりは比較的少ないらしい(無論完全に解消したわけではない)。サウンドシネマでは親善野球試合ユニバースシリーズが毎年開催されていることも語られている。


●地球

地球は過去の戦乱によって自然環境が壊滅的打撃を被っており、特に農耕地の状況は絶望的。
人口増加問題と併せて深刻な食糧危機問題が到来しており、セツルメントからの輸入でどうにか持ちこたえている状態。


●セツルメント国家議会

かつての地球連邦の後身組織。
一度は「崩壊」した地球連邦だったが、地球が無政府状態になるわけもなく、またサイド2、3、5、7が連邦寄りの姿勢を取っていたことから、地球連邦とこの四つのサイドが再合流して成立した。
中央議会から派遣された知事が各地域の統治を行っている。
多分に軍閥的な部分があり、かつてのティターンズを彷彿とさせる武力にまかせた強権政治から、反感を持つ者も多い。
しかし七つのサイドのうち四つが参加した・反連邦サイドのほうが実は少なかったという事情から見ても、「崩壊した」と言いながら地球連邦の権威や求心力は依然として大きなものがあったようだ。


●セツルメント国家議会軍

セツルメント国会議会の擁する軍隊。
要は地球連邦政府にとっての地球連邦軍である。構成人員も、連邦崩壊時に戦犯として裁かれた指導部以外は旧地球連邦軍人がスライドしてきている。
ちなみに小説版によると地上でのMS運用は空軍が担当しているとのこと。


●セツルメント自由同盟

サイド1、4と月が国家議会に対抗して作り上げた勢力。
詳細な描写はない。
なお、残るサイド6がどうなっているかは不明だが、小説版の巻末コーナーでは「国家議会にも自由同盟にも属さない小国家群」についてもチラリと触れられているため、恐らく中立と思われる。


●ニューマンハッタン

サイド4に存在するセツルメントのひとつ。
自由同盟所属のセツルメントではあるが、インターナショナルな気風に溢れている。
セントラルパークを再現した公園や、自由の女神像のレプリカなどもあったりする。


●サイド・ガイア

サイド4と同じラグランジュ4に存在するサイドの呼称。
セツルメントでありながら優れたバイオテクノロジーによって緑豊かな環境を持っており、自然と共存した独自の文化が築かれている。
国家議会成立の時点ではまだ建造中だったため中立サイドとして扱われているが、食料開発力に目をつけた国家議会に狙われている。
サイド4との間の空域も大部分が議会軍の監視下に置かれており、気づかれずに行き来するためには危険な暗礁空域を通るしかない。
本編ラストにて、ガイアの光事件を重く見た国家議会によってサイド8としての正式な認可を受け、自治権を獲得した。


●イルミナーティ

秘密裏に設立された武装組織。連邦時代の末期に退役軍人が中心となって結成されたプライベートクラブが元になっている。
地球圏で起こった紛争の調停を行い、時には独自の戦力で武力介入を行う。
国家議会と対立することが多いため反国家議会組織とみなされがちだが、実際の目的は地球圏の勢力バランスを保つことであり、場合によっては国家議会と協力することもある。
国家議会と自由同盟の双方に対してパイプが太いようで、実態を把握するのは困難。
まんまソレスタルビーイングとか言ってはいけない。というかこっちが先である。
ニューマンハッタン内の「サン・シモン劇場」は彼らの拠点の1つであり、劇場内の酒場「フィリッペ・ハンガー」にてフィリッペ・マルガリータを注文することがメンバーを見分ける合言葉となっている。


●リグ

正式名称は「大西洋深海農業研究所」。
地表と比べて汚染が進んでいない海底での食糧生産技術の開発を目的として設立されたが、
生物発光体無しでは熱水鉱床付近の狭い農地で栄養価の低い作物をごく少数生産するのがせいぜいで、国家議会からは税金泥棒扱いされている。


●セイバーチーム

ジョン・セイバーなる人物に率いられたMS開発チーム。
元々は旧連邦の所属であり、フリーダムやブグも彼らが手掛けた。
小説版によれば、弱体化した連邦の異常な体制が兵器開発にまで影響を及ぼしていた状況を打開し、当たり前の兵器を開発するための力を再び取り戻すために編成されたスペシャリスト集団とのこと。
作中では解散したと思われていたが、実は密かにイルミナーティ側についている。
その技術力は本物で、彼らが開発したセイバーシリーズMSはいずれも極めて高い性能を誇りながら、コンセプトモデルであるGセイバー以外は量産されている。
なお、ジョン・セイバーは非常に謎が多い人物で、チーム内にすらその存在自体を疑問視する者がいるほど。


●モビルスーツ

ガンダムシリーズではお馴染みの人型機動兵器。
小型化が主流だった宇宙世紀150年代の頃よりも再び大型化*1しており、シンプルな外見も合間って先祖返りしたようなものとなっている。ただし性能設定を見る限りは非常に高い推力重量比を持つ高性能っぷりなので、映像解釈の問題と思っておくのが吉である。
また、この時代にはミノフスキー粒子を無力化する技術が確立されている*2らしいが、小説版によると本作のMSも従来同様にECM(電子妨害)の庇護下において威力を発揮する兵器として位置付けられているため、ミノフスキー粒子に代わる何かが存在する可能性も考えられる。
コクピットは全天周モニターとリニアシートが廃止されており、パイロットの正面に斜め向きのメインモニターを1枚、その両脇に三角形のサブモニター2枚(トレーラー版ではさらに足元にも1枚)をスポーツカーの窓のように配置し、そこから奥にシートをそなえつけたレイアウトが特徴。
全天周モニターに対しては本作以前の時期から「ニュータイプでない一般のパイロットでは情報量の多さに混乱し、戦闘に支障をきたす」「側面や後方を確認するためにいちいち振り向かないといけない」という欠点がしばしば指摘されてきたらしいため、恐らくこの点をセイバーチームが考慮した結果と思われる。
なお、後付けではあるが、『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』においては長きに渡る宇宙戦国時代の中で技術が大きく衰退し、全天周モニターなどの技術は最早維持することすら出来ず、ビーム兵器の希少化によって小型機の利点も薄まったとされている…が、衰退や再興の流れ的には本作における描写や設定との関連性を見出すには違和感もある。


●モビルウェポン

通称MW。コンピューターによって制御される無人MS。
紛らわしいがモビルワーカーではない。
議会軍は指揮官である有人MSとその手足となるMWの配備数を増やすことで戦力を増強する「MW計画」を推進している。
緻密な作戦行動と死を恐れない戦いぶりでかなりの力を発揮するが、指揮官機からの命令がなければ作戦行動中にプロトコルの更新が出来ず、とっさの状況に対応できないという欠点もある。そのため一度暴走すれば手がつけられなくなり、本編の数年前には暴走MWが居住区を丸ごと一つ焦土に変えてしまう事故が発生している。
また、前述した死を恐れない戦いぶりという点から、熟練パイロットにとってはある意味カモ同然の存在でもある。
戦闘行為に人の意思が介在しないことから嫌悪感を示す者も多い。
またPS2ゲーム版でも登場しており、ストーリーの核に絡む存在となってもいる。


●生物発光体

ホタルや深海生物特有の熱を起こさない光を発する物質。
リグでは、熱を持った生物発光を起こせる生物発光体を組み込むことで、光合成に必要な熱と光を自ら生み出す植物を開発し、
荒れ果てた地上の代わりに深海に農場を作ることで食糧危機を打開することを目標として、リバ博士主導で研究開発が行われていた。


登場人物

●マーク・カラン
(演:ブレナン・エリオット)

頼むぞ、Gセイバー!

本作の主人公。
かつては議会軍で凄腕のMSパイロットとして知られていたが、事故に遭った同僚ソウヤーを救えなかった辛い経験やジャックの非人道的な指導に嫌気がさしたことなどから退役する。
その後はリグで働いていたが、シンシアたちとの出会いによって事件に巻き込まれ、その人生を大きく狂わされる羽目に。

ソウヤーの一件からMSでの戦闘にトラウマを抱いていたものの、議会軍に次々と殺されるパイロット達の姿を目の当たりにしたことから苦悩を振り切って出撃、Gセイバーで獅子奮迅の活躍を見せる。

ミミとシンシアという2人の女性にキスしまくったリア充。

●シンシア・グレーブ
(演:エヌカ・オークマ)

ええ・・・実験は大成功よ!

シリーズ通して唯一の純黒人ヒロイン。
ガイアのウィズダム大学に所属する生化学者。
学会では若いながらも生物工学の権威として知られており、「生物発光体」の開発実験を行うためにリグに侵入した。
徐々にマークと心を通わせるが…。

なお、演じたオークマ女史は声優としても活動しており、「ガンダムW」の英語吹き替えでリリーナ役を務めている。

●ミミ・デビア
(演:カタリナ・コンティ)

最高じゃない、あたし達にピッタリの最期ね!あんたと心中なんてちょっと悔しいけど!

マークのガールフレンドであり、議会軍の諜報部所属。
マークと付き合っているのもお目付け役としての部分があるが、本人はマークを心から愛している。

マークらと共にガイアまで行くが、シンシアとマークのキスを目撃したショックから、シンシアとガイアへの憎しみに任せて議会軍に侵攻の口実を与えてしまい、そのことを知ったマークからは完全に見限られてしまう。
しかし、「生物発光体」の食料不足解決への活用には賛成しており、最終的には本性を現したガーノーを裏切り、彼と運命を共にする。

サウンドシネマ第1話にも登場。ヒロインのエリーシアを激励、手助けして活躍する。

●フィリッペ・サン・シモン
(演:ロシュガー・マシューズ)

あとは我々イルミナーティに任せろ!

かつてのマークの同僚で、嫌気が差していた議会軍を事故死に見せかけて離反していた。
その後はイルミナーティに参加し、幹部を務める。
Gセイバーをはじめとするセイバーシリーズの開発にも携わっている。

マークへGセイバーに乗るよう提言したり、苦戦していたガイア軍のピンチに駆けつけたナイスハゲ。
サウンドシネマ第2話にも登場し、こちらでも印象的な活躍を見せた。

●フランツ・ディーター
(演:アルフォンソ・キーハダ)

"マーク、太刀打ちできない!このままじゃやられちゃうよ!"

シンシアと共にリグへ侵入した、ガイアの研修生。
MSパイロットでもあり、同じくパイロットであるマークに対抗心を燃やしたり、レイに乗りたがったりと若さが目立つ。

ガイアでの戦いにおいてMWレイにフルボッコにされてしまうが、マークとイルミナーティに助けられ、なんとか生還する。

●コウビィ
(演:ターイラ・マイケル)

"マークの、勝ちね…!"

ガイアの研修生。カスタマイズの天才。
ディーター同様、シンシアのお供としてリグに潜入した。
終盤でガーノーの部下に撃たれるも、なんとか一命は取り留めた。

ちなみに、彼女が使っていた携帯端末は小説版にて「ハロと呼ばれており*3、命令を遂行した際に「ハロッ」と喋るシーンもある

●グレーブス委員長
(演:ブル・マンクマ)

"このガイアが続く限り永遠に語り継がねばならないのです!今のこのガイアがあるのは、この尊い犠牲があったからこそなんだと!"

シンシアの父であり、ガイア議会の委員長。
穏健派のようで、議会軍との戦闘には難色を示していたが、議会軍に黙って従うつもりもなく、世界の行く末については彼なりに真剣に考えている。

交友関係があるニューマンハッタン市長を通し、シンシアが地球に降下するための算段を整えるのに協力した。

●リバ博士
リグに所属する高名な科学者。本編では名前と顚末のみ語られ、サウンドシネマ第3話にて登場。
どんな困難にぶつかっても不屈の執念で乗り越えてきたらしく、リグ内部での人望も厚い。

人類を食糧危機から救うために生物発光体の研究開発を行うも、最終実験に必要な触媒の開発に手を染めようとした矢先、議会軍に暗殺されてしまう。

モーリスという一人息子がおり、サウンドシネマ第3話にて主人公を務めた。

●ガーノー総督
(演:ケネス・ウェルシュ)

シーザーもナポレオンも民衆に恐怖を与え、成功したのだよ

議会軍の総督で本作きっての悪役。
当初は軍を退役したマークと親しげに話しかけていたが、心では見下しており、会話の端々からも深海農業を馬鹿にするような言葉が見え隠れする。

民衆の飢餓感を煽ることで地球圏に混乱を起こし、それに乗じて食料調達を名目に自由同盟と中立セツルメントを制圧することで、崩壊した地球連邦を再建する野望を抱いている。
サウンドシネマでは、その為に工作員を利用して意図的に食糧危機を加速させるという非道な行いにまで平然と手を染めていたことが発覚。

アンティーク武器を多数コレクションしており、軍服にもその意匠を取り入れるなど、センスには若干疑問が残る人。

イルミナーティがガイアへの救援に駆けつけた際、攻撃を受けないようガイアのシャトルで脱出するが、ジャックがMWレイに「ガイアから脱出する民間シャトルは全て撃墜しろ」と命令していたため、敵と誤認されて宇宙のチリと化す。

吹き替えは両さん。サウンドシネマではスケジュールの都合からか糸博氏が代役を務めていた。

●ジャック・ヘイル
(演:デイヴィッド・ラヴグレン)

勝つためなら何してもいいんだ!それが悪役なんだよ!

国家議会軍のMSパイロット。階級は大佐。
絵に描いたような高慢エリート系かつ徹底した合理主義者であり、
それについていけず退役したマークを裏切り者として目の敵にしている。

ガイアへの侵攻の際には闘いを楽しむように次々とMSを撃破し、マークとの一騎打ちではあくまで議会軍と対立する彼を当てこするように上記のセリフを吐き捨てた*4

●ティム・ハロウェイ
(演:ピーター・ウィリアムズ)

"誰か…誰か応答してくれ!頼む、助けてくれ…!

冒頭で登場した議会軍のMSパイロット。階級は中尉。
イルミナーティが衛星軌道上から投下した人工衛星(シンシア達が地球に潜入するために使ったカプセル)を追跡している最中に誤って大気圏に突入し、大西洋に墜落。
耐圧処理がされていない宇宙用ブグに搭乗していたためコクピットへの浸水で溺死しかけるが、マークによって救出され事なきを得た。
因みに、装備なしで大気圏に突入したにもかかわらず死ぬどころか気絶すらしていない。ブグの耐久性が凄いのか、彼が凄いのか…


登場兵器

セイバーシリーズとフリーダムの詳細は当該項目参照

●G-SAVIOUR Gセイバー

セイバーチームが7番目に開発した試作型MS。
専用の換装チューブによってスペースモード、テラインモード、テライン・ホバーモードの3形態に換装し、あらゆる環境で活動可能。

後にガンダムビルドファイターズにまさかの登場で本作を知るガノタに衝撃を与え、その後ガンダムウォーネグザにビルドファイターズの登場機体として参戦。
どうやら、「あくまでガンプラ」ということで版権問題をどうにかクリアしたようだ。
出番自体はニルスの百式に瞬殺されて終わりではあったが、それでもファン達は公式の映像媒体への登場に歓喜したのだった。


●I-SAVIOUR イリュージョン

セイバーチームが開発した9番目の機体。
徹底的な軽量化と強力なスラスターによる機動性が自慢の宇宙専用機。


●RGM-196 フリーダム

フリーダムガンダムでもガンダムフリーダムでもなく、フリーダム
連邦最後の主力量産機にして最後のRGMシリーズ。
作中では既に旧式化しているが、運用性の高さから民間で普及している。


●CAMS-13 MSレイ/CAMW-13 MWレイ

議会軍の量産型MS及びMW。MW計画によって開発された新型機。
トーラスみたいなものだと思えばいい。
昆虫の様なデザインが特徴で、ツインアイが怪しく光る。
ジャックは有人型の指揮官機、MSレイに搭乗。

ビームライフル兼用のビームランサーと背部ロケットランチャー、そして肩部マシンガンなど充実した武装を備え、当初はガイア軍より少ない部隊で一方的に撃破しまくるも、マークのGセイバーによって形勢を覆された。
増援を呼んで再び窮地に落し入れるが、今度は更に倍あるイリュージョン部隊によって全滅した。

作中では鳴り物入りで登場した超高性能機と言われていたものの、格下のフリーダム相手には無双しても同格のGセイバーが出てくると(パイロットが凄腕だったとはいえ)途端に形勢逆転し、
挙句自軍の指揮官が乗ったシャトルを撃沈する大失態を犯すなど、その実態は到底実用レベルとは言い難い未熟な代物。
小説版では、そもそもMW計画自体ガーノーの政治的判断を元に現場の要望を無視して進められたものであり、
ガーノー死後の議会軍は実用性に欠ける本機を持て余し、計画の見直しを決定したと解説されている。

デザインは現地スタッフのケビン・イシオカ氏が手がけた。


●CCMS-03 ブグ

議会軍の主力量産型MS。西洋の鎧を思わせるデザインが特徴。
ザクのプロトタイプではない。

ブラッシュアップされた既存技術のみで建造されたことでトータルバランスに優れた機体として完成し、「同年代で最も完成されたMS」と評されることすらある。
中でも耐久性は桁外れで、装備無しで大気圏に突入しても機体もパイロットも五体満足、数発程度ならGセイバーのビームライフルがノーガードで直撃しても耐えられる*5程。またコクピットはそのまま脱出ポッドにもなり、パイロットの生存性を重視していることが窺える。
戦闘能力も優秀なようで、サウンドシネマ第2話ではパイロットの技量差があったとはいえGセイバー相手に単独で善戦してみせた。

ガイア侵攻の際、ジャックが連れて来た2機がガイア内部まで攻めるが、マークのGセイバーにより瞬時に撃破された。

本編では実弾ライフルとジャイアントハチェットを主武装として、稼働時間が通常のMSと比較して3倍にも増えているが、ビーム兵器を選択する事も当然可能である。

何気にジンのデザインモチーフだったりする。


●MMS-DS209 グッピー

冒頭でマークが操縦していた旧式の深海作業用MS。
潜水服のような姿をしている。

四肢を後ろに回すことで巡航形態への変形が可能で、また腕部は様々なツールに換装できるようになっている。
あくまで深海作業用機のため、地上では歩く程度の機動性しか持たない。

劇中では海中に墜落したブグを作業中に発見し、射出された脱出ポッドを手動でキャッチして救出した。

レイ同様にイシオカ氏のデザイン。


●ニンバス

イルミナーティが保有する小型のMS運用母艦。Gセイバー運用を前提として建造された。
武装は一切持たないがMS3機を搭載可能で、それぞれが前述のハッチを利用して装備を換装できるようになっている。

ガーノーが終盤で乗り込んだ艦はニンバスと外見が同じだが、同じ艦なのか似ているだけの別の艦なのかは不明。


●ユリシス

議会軍が保有する駆逐艦。
ガイア領空に侵入し、対デブリ火器「KI-ASAT砲」による砲撃を受けた。
ガーノーによると死者が6人出たらしいが、真偽は不明。


●MS母艦

戦艦以上の規模を誇る、議会軍最大の艦。
両舷のカタパルトは従来よりもスムーズにMSを射出することができる最新鋭のもの。
多数(小説版によればジャックのMS型を含めて25機)のレイとブグ2機を搭載してガイアを襲撃した。


メディアミックス

●サウンドシネマ

地球のぶどう農家を主役に据えた第1話「イカロスの紅い翼」、Gセイバー開発秘話を取り扱った第2話「Before the mission」、シンシアが地球に降りるまでのいきさつを描いた「深海のプロメテウス」の全3話構成。
一部FMラジオ局で放送され、後にドラマCDとして発売された。


●小説版

上下巻の2部構成。集英社スーパーダッシュ文庫より出版された。
著者は本作の企画書製作も担当した河原よしえ。

基本的なストーリーは本編と同じだが、設定や心理描写がより掘り下げられているほか、サウンドシネマからの小ネタもある。
また、巻末には作中世界の人物のレポートという設定で、世界観やMSに関する解説が記載されている。

河原氏は『植田益朗のアニメ!マスマスホガラカ』に出演した際に小説版はサンライズが許諾していない事情から電子化が不可能であることを述べており、封印作品として扱われている可能性が示唆されている。


●コミカライズ版

エンターブレイン発行のファミ通ブロスで掲載された。未単行本化。
ゲーム版第1話を題材としている。


ゲーム版

本編の1年後を舞台とした作品。対応ハードはPS2、ジャンルは3Dシューティング。
PS2初のガンダムゲーにして、現状では宇宙世紀最新の物語となる。

単調なゲーム性やストーリーの完成度の低さから評価は低いが、グラフィックはPS2初期タイトルとしては中々綺麗で、音楽やメカデザインも好評。
本編の内容をまとめたスペシャルPVが3種類収録されている。

当初は別世界の話だった本編とは異なり、こちらは過去の宇宙世紀作品のネタが多く存在することも注目要素の一つ。


放送形態

本放送に先駆け、JAL羽田-ホノルル便の機内上映にて吹き替えキャストの異なる特別編(未ソフト化)が上映され、各種イベントでのショート版上映や沖縄アメリカンショートフィルム映画祭での本編上映の後に、
「ガンダム誕生20周年スペシャル G-SAVIOUR」として名古屋テレビをキーにANN系で放送された。

映像ソフトはVHSで吹き替え版と字幕スーパー版、DVDで両方を収録したフルバージョンが発売されており、本放送ではカットされたシーンが加えられている。


立体化

ガンプラはGセイバーのスペースモードのみ発売された。
流石に今日の基準から見ると古臭くはあるが、可動範囲の広さや造形の細かさなどは当時としては十分に良質。
ランナーの構造などから、他のモードを発売する予定もあったのではないかと推測されている。
デザインのおかげもあって高く評価されたものの、作品が作品だけにどのガンプラよりも再販がかかっておらず、マニアの間ではプレミア価格で取引されていた。
しかしBF参戦以降は何度か再販がかかっており、現在ではそれなりに値段も落ち着いている。
また、G3セイバー、ブグ、ブグ2の完成済みミニフィギュアがゲーム版のキャンペーン景品として存在する。


余談

発表当初は「宇宙暦」という、アナザーガンダムに分類される作品ではあったが、のちに宇宙世紀に組み込まれた。
それ故に、1年戦争から100年以上も経っているのに技術が退化しているなどと色々言われてしまうようになったが、
アナザーガンダムのままだったら本当に黒歴史より闇の彼方に葬り去られる羽目になっただろうから、比較対象としてある意味有名ではある。

CGは十数年前のものに関わらず、関節の動きや姿勢制御など、細かい動きまで丁寧に描かれており、今の視点でも充分に高品質である。
特にコロニーミラー上におけるビームサーベル戦と、広大さと巨大感を演出するカメラワークも注目に値する。
また、農業というテーマを扱ったストーリーや設定、あまり取り扱われない宇宙世紀200年以降を舞台としている点などの独自性に関しても支持する声は多く、超マイナー作品ながら熱心な固定ファンも一定数存在する。

2021年現在ガンダムシリーズを時系列順に並べると、本作の次は『ガンダム Gのレコンギスタ』となる。
しかし、同作にて宇宙世紀末期に深刻な食糧難が発生したと語られたことと、食用賤民の末裔「クンタラ」が登場したことから、
「生物発光体は活かされなかったのか?」「本作は正史に入れなかったのか?」と物議をかもした。

その一方、宇宙世紀0169年を舞台とした漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』は本作に繋がることを前提にした設定が多数盛り込まれており、現状では極めて判断が難しい状態となっている。



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最終更新:2024年03月23日 01:27

*1 一応、ザンスカール戦争期にはジェイブスなどのMSが再び大型化する可能性を示唆した機体が存在するほか、本作と矛盾あれど時代設定は近いガイア・ギアでも大型のマン・マシーンが主流。また、一応設定によるとこの時代には様々なサイズのMSが存在しているらしい。

*2 ゲーム版を製作したサンライズインタラクティブのスタッフのコメントより。正式な設定として取り入れられているかは不明。

*3 ただしスペルはHALOではなくHELLO。誤植なのか意図的なものなのかは不明

*4 ちなみに上記したのは吹き替え版の翻訳で、実際のセリフは“Good bye my friend(さらば友よ)!”である

*5 コロニー内での戦闘だったのでビームの出力を落としていた可能性もある