大黒柱悲話

登録日:2012/06/18(月) 00:04:10
更新日:2022/05/04 Wed 20:45:57
所要時間:約 2 分で読めます





「大黒柱悲話」とは、ホラー漫画で有名な「伊藤潤二」が描いた漫画である。

ギョ」2巻に特別収録されている。

たった4ページしかない漫画だが、ツッコミ所が満載で、奇妙な存在感のある物語である。


【あらすじ】

とある一家が、家の新築パーティーを開いていた。

仲の良い友人達も呼んで、なかなか盛り上がっている。

「ホントに素敵な家ね。羨ましいわ。」

「皆さん、お酒のおかわりは?」

ふと、一人の友人が、家主である父親が居ない事に気がついた。

「ところでご主人は?」

「あら?さっきまで居たんだけど…」

不思議に思う母親。

すると何処からか、
「お~い、お~い、助けてくれ~」
という声が聞こえてきた。

「あ…、パパの声だ!」

父親の声だと気付く娘。

しかし、父親の姿が見えない。

「お~~~い、お~~~い」

「あなたっ?どうしたの!?どこにいるの!?」

家族は心配になって家中を捜す。

声を辿って行くと、どうやら床下から聞こえてくる様だ。

「ここだ~、床下だ~。助けてくれ~」

「床下でお父さんに何かあったんだわ。助けに行かなくっちゃ!」

家族は床下に潜り込み、父親を捜す。

「あなたっ、どこなの!?」

「あ!」

遂に父親を見付けた。

父親は俯せになり、家の“柱”によって背中から腹部を潰されていた。

「あなたっ…、いったいどうしたというの!?」

駆け寄る家族。

「どうやら私は、柱の下敷きになった様だ……。うぐ…!」

そう言って、血を吐く父親。

「なぜ!?…なぜ柱の下敷きになったのよ!?」

「うぐぐ…話すと長くなる…」

父親は苦しそうだ。

「大変だわ…、とにかく大工さんを呼んでくる!!」

母親が大工を呼びに行こうとすると、父親がそれを止めた。

「ま…待て、お前…。……どうやらこの柱は大黒柱の様だ…。もし私を助け出す為に大黒柱を動かしたりしたら、家全体が崩れ落ちかねないぞ。……建てたばかりなのに。」

「じゃあ…どうしろと言うの!?」

焦る母親に対し、父親は

「俺はこのままでいい……。俺はもうだめだ。このまま家を支えて死ぬ事にする。」

と言った。

「パパ死なないでー!」

「あなたー!」

こうして彼は、妻子や友人達に見守られながらその夜遅く逝った。


彼は現在も、大黒柱の下にミイラとなって横たわっているが、なぜ柱の下敷きになったのかを彼の口から聞き出す事は、もはやできない。




大黒柱悲話 ―完―


追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 伊藤潤二
  • ギョ
  • 大黒柱悲話
  • ホラー
  • ネタバレ項目
  • 犠牲になったのだ
  • まるで意味がわからんぞ!父の日に建ちそうになった項目
  • 漫画
  • 人柱
  • 大黒柱

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月04日 20:45