魔石商ラピス・ラズリ

登録日:2013/07/28 Sun 03:22:22
更新日:2023/12/27 Wed 15:04:02
所要時間:約 14 分で読めます





概要

別冊コロコロコミック2012年10月号から2015年12月号まで連載された漫画

作者は桜ナオキ。『レイトン教授』シリーズのコミカライズ作品『レイトン教授とユカイな事件』の作者と言えばピンと来るだろう。実際にとある話にはこっそり彼らが描かれている。
わかりやすく言うとコロコロ版『笑ゥせぇるすまん』『世にも奇妙な物語』『謎の老婆シリーズ』で、絵柄や設定自体は子供向けだがストーリーは大人でも読み応えがあるダークな内容になっている。

特に、急転直下でありながら筋の通ったシビアなストーリー展開によって主人公の行く先々には死体や廃人が積み上がり(比喩ではなく)、その様は小学館公式ホームページの紹介をして「コロコロ史上最悪の物語」とのアオリを入れられるほど。
しかし、ただ怖いだけの物語ではなく根底には「人間欲望がもたらす悲劇」がテーマとして敷かれており、最終回のどんでん返しと切ないラストは読者を驚かせた。

単行本は全4巻。描き下ろしエピソードでは元からデフォルメタッチの画風で書かれたキャラクターが更にチビキャラっぽく描かれていて、よりかわいらしくなっている。
また、レイトン教授らしき人物もコッソリ登場しているので探してみるのも面白い。

なお、主人公とキーアイテムの1つが同じ名前(ラピス・ラズリ)だがこれについて作者はTwitter
『学校であった怖い話』のゲームで、ラピス・ラズリという名の宝石を初めて知った」と語っている。
どうやらこれがきっかけで、作者にはラピス・ラズリにホラーのイメージが付いてしまったようだ。

その後2023年から、作者のSNSにて新エピソードや番外編が掲載されるようになっている。


〈あらすじ〉

この世には、決して入ってはいけない店がある。
もし見かけたとしても、決して入ってはいけない───

その店の名は、運命の宝石店「タリスマン」。
店主であるナゾの宝石商ラピス・ラズリは人々が心の中に持つ心の宝石を対価に、
どんな願いでも1つだけ叶えられる同名の宝石「ラピス・ラズリ」を客に売ってくれる。

宝石がもたらすのは…希望か、絶望か───




〈登場人物〉


  • ラピス・ラズリ
運命の宝石店「タリスマン」を営む、自称『ナゾの宝石商』。
見た目は大きな宝石が前についた帽子と、左右で異なる目(左目は四つ葉のクローバー形の虹彩、右はグルグル目の魔眼)が特徴の少年。
店に訪れた客の持つ心の宝石箱(ジュエルパクト)へ秘められた心の宝石(ハートジュエル)を対価に、1つだけ願いを叶えられる宝石「ラピス・ラズリ」を無償で売っている。

「見せてください。あなたの命の輝きを…!」

「宝石商、お前っていい奴なんだな!」



だが…。




「どうやらあなた───、取り返しのつかないことをしてしまったようですね…」

「お前は…、宝石商!!」


客が自身の願いで窮地へ陥った時には、再びその姿を現す。

予想外の事態に狼狽える客へ追い打ちをかけるかのように、言葉責めと右目の魔眼の力で精神的に追い詰め、絶望を与える。





「その絶望が、心の宝石をより輝かせる!」

「あなたの絶望が、私の願望なのです!」


そして絶望に囚われた客に対して、心の宝石を片手に彼は満面の笑みを浮かべながら告げる。


「最後にまぶしいくらいの絶望を、ありがとうございました」

「またのご利用をお待ちしていますよ」

「来世でね♪」




彼に願いを叶えてもらった者は必ず破滅する運命にある。
話が進む度に顔芸度が上がってきており、絶望を与える際には最早(色々な意味で)イッちゃってると言ってもいい。
特に契約成立前後に関連してアヘっているとしか言いようのない態度を示す描写が散見される。児童向け漫画雑誌でよく通ったものだ。

絶望に染まった心の宝石を集めているらしいが、その目的は不明。
「もう希望は求めない、絶望の力だけが私を救ってくれる」と言っていることから、過去に何かあったようだが…?
ちなみに自分の店を訪れてくる客のことは心の宝石を獲得するための生贄としか思っておらず、18話冒頭のイントロ部分の最後でうっかり本音が出かけている*1
また、作者のTwitterにて両性具有であることが 発覚した。




〈サブレギュラー〉

  • 井児萌(いじめ) 泰造(たいぞう)
学年一のイジメっ子で、乱暴な性格。小学生の割には体格がデカく、目つきも極悪でジャイアンのような愛嬌や良心も皆無。同じ学校に通う児童たちにとって恐怖の象徴と言える存在。
大抵は宝石を手に入れた少年たちから仕返しついでに実験台にされ翻弄されるのがほとんどだが、時には少年たちの願いを加速・暴走させ破滅へ導くトリガーとなることも…。
怪しい力に翻弄されすぎたせいか高校生にも負けないほど鍛えたという妙に努力家な一面や、アイテムでやりこめられた子分の仕返しにきたりと子分思いなところもある。
3巻のカバー裏にようやくプロフィールが載った。久遠回で彼に良く似た少年(後の父親?)・井児萌(いじめ) 真栗(まくり)が登場している。

  • 永里(えいり) アン
トオル回で登場したロングヘアーと切れ長の目が特徴の美少女。ニーソの上に軽く乗った太ももも魅力的。

  • ドッペル
うつるが魔法の鏡で作り出した分身。
見た目はうつるそっくりだが語尾に「なのです」をつける喋り方が特徴で、性格もうつるより丁寧。
うつるに散々こき使われたが魔法の鏡を海へ捨てた後は身代わり生活を満喫しており、モブとしてちょくちょく登場している。

  • お母様方
少年たちの母親。
妙にセクシーで萌えポイントを押さえた母親が多く、一部マニアの熱烈な視線を集めている。特に大介の母親はペットガンで撃たれてアヘ顔を晒し、四つん這いになってお尻を読者側に向けるという児童向け漫画にしてはなかなか際どい描写が見られた。
優の母親? 普通にくまさんみたいでかわいいと思う。

  • ペリドット
ラピスの回想に度々登場する少女。煌めく宝石を髪飾りとして付けている。
ラピスを見守っていたが…。



〈キーアイテム〉


ラピス・ラズリ(宝石)
何でも願いを1つだけ叶えてくれる宝石。楕円形で赤色をした小さな宝石だが、名前に反して色は赤い。中にドクロが入っている時点で怪しいのだが…。
手に入れた者が願いを言うと、その願いを反映したアイテムと化す。
変化したアイテムは上記のように人知を超えた便利なものだが、殆ど説明はされず手探りで使い方を理解しなければならない上に、使い方を間違えると破滅を招く危険極まりないもの。
基本的に使い方さえ間違えなければ無害なことが多いものの、油断したり調子に乗ったりして破滅へと至る使い方をしてしまうのが定番。
更に使った時点でアウトな代物に変化したり、使用者の思惑とは違った形で願いを叶える場合(破滅が待ち受けているのは変わらない)もある。

ラピスは青いラピス・ラズリも所持しているが、これは客に渡していない。(作中ではモノクロなので区別がつかないが色は通常通りの青)


心の宝石(ハートジュエル)
人間の心に存在する宝石で、ハートの形をしている。
宝石商が対価として求めているもので、売買時には「契約成立(エンゲージ)」となる。
ピンチに陥った元の所有者の絶望によって輝きが増し、それを集めるのがラピスの目的。
しかし事が終わるとそれを何かに使うわけでなく、ただ宝石棚に並べて時たま手に取って眺める程度で放置している。とはいえ時々埃まみれになった宝石を手入れしていたりと何だかんだで大事にはしているようだ。ラピス曰く「無くなっても特に不自由はしない」とか。


心の宝石箱(ジュエルパクト)
人間の心に存在する宝石箱。ここに心の宝石が収められており、ラピスの魔眼の力で開かれる。


魔法のアイテム
ラピスが心の宝石と引き換えに客へ手渡すラピス・ラズリによって此の世に顕出する、客の願いを叶えてくれるアイテム。
どんな願いでも叶えられるがごく一部を除いて説明書の類はないので、基本的には自分で使い方を探り当てなくてはならない。
使い方を把握しても一歩間違えれば使用者の命を脅かす、恐ろしい代物になってしまう。また使い方を把握したつもりでいても、表向きの効果の裏をかいた恐ろしい効果が潜んでいる場合がある。
その場合は使用者本人だけでは気付くのはまず不可能であり、ラピスの詳細な説明を受けて初めて判明するパターンがほとんど(勿論、その時には既に手遅れ)。
中には使用者の思惑と違う形で願いを叶えたり、使った時点で使用者の破滅が確定するような代物さえある。



〈ナゾの宝石商のルール〉


1.ラピス・ラズリの対価となる心の宝石は1人に1つのみ。

2.同じ人間にもう一度ラピス・ラズリを譲ることは、対価があろうとなかろうと不可能。

3.宝石商が客の前に再び姿を現すのは、助けるためではなく絶望する様を見届け心の宝石を絶望で輝かせるためだけ。
そして逃げるのは不可能に近い。たとえ逃げ切っても、宝石商はどこまでも執念深く追ってくる。










追記・修正は“自分自身”が望む願いを叶えてから「絶望的に裏切られた」後にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 漫画
  • 別冊コロコロコミック
  • 小学館
  • ホラー
  • 桜ナオキ
  • 願い
  • 絶望
  • どうあがいても絶望
  • 死亡フラグの宝庫
  • バッドエンド
  • 隠れレイトンを探せ!
  • 魔石商ラピス・ラズリ
  • コロコロ史上最悪の物語
  • コロコロコミック
  • ※児童誌です。
  • アヘ顔
  • 衝撃のラスト
  • トラウマ
  • 心の闇
  • 完結
  • コメント欄ログ化項目
  • ラピス
  • ラズリ
  • ラピスラズリ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月27日 15:04

*1 ちなみにそのシーンの直前のコマでは、絶望に興奮するあまりあからさまに勃っているとしか思えない股間の膨らみが見受けられる。

*2 3人とも挨拶のような苗字を持つため仲良くなった経緯がある。