ファイナル・デスティネーション(映画)

登録日:2011/07/08(金) 12:48:28
更新日:2024/04/04 Thu 23:25:49
所要時間:約 6 分で読めます




あなたはいつ死にますか




ファイナル・デスティネーション(Final Desitination)とは、2000年に公開されたアメリカのホラー映画である。
後に展開される「ファイナルデッド」シリーズの1作目。

人が次々に死んでいくショッカー・ホラーの体裁を取っていながら、幽霊や殺人鬼の類は一切登場せず、得体の知れない「死の運命(メタ的に言うなら「絶対折れない死亡フラグ」)」によって偶発的に死ぬという斬新なアイディアにより好評を得た。

監督は『Xファイル』シリーズのジェームズ・ウォンで、元々Xファイル内の1話のストーリーとして考えていたものを長編映画化した。

現在5作目まで続編が製作されており、何故かどれも変則的な邦題になっている。
当初は日本での配給会社がシリーズものとして売り出すつもりがなかったからと言われており、3作目以降は「ファイナル・デッド~」で統一された。

登場人物が死に至る過程がある意味物凄く手が込んでいてネタ要素満載でもある。


≪あらすじ≫

2000年5月13日、アブラハム高校に通うアレックスは、修学旅行でパリへ向かうべく、クラスメートらとジョン・F・ケネディ国際空港を訪れていた。
アレックスたちが乗り込んだのは、ヴォレー航空「180便」。
だが、席に着いた瞬間に飛行機が離陸直後爆発するという悪夢を見たアレックスはパニックを起こす。
そのまま5人のクラスメートと先生と一緒に飛行機を降ろされるが、離陸した飛行機は夢の通り爆発し、彼ら以外の乗客は全員死亡した。

それから数日後、生存者の一人が変死を遂げる。
それから次々と、「本来死ぬはずだった順番」で生存者が次々に死んでいく。
まるで「死神」が死の予定調和を合わせているかのように…

それにいち早く感づいたアレックスは死の連鎖を予想し、食い止めることができるのか――


≪登場人物≫
主人公。ちょっと情緒不安定で冴えない感じの高校生。キャスパーとは無関係。
飛行機爆発の予知をしてしまい、それにより生むはずのなかった生存者を作ってしまう。
だが、生存者たちの死の予兆を見ることができ、それをヒントに死の連鎖を食い止めようとする。
ちなみに誕生日は9月25日で、偶然にも180便の出発時刻(午後9時25分)と数字が一致していた。

  • クレア・リバース(演:アリ・ラーター 吹替:朴璐美(DVD)/冬馬由美(TV))
ヒロイン。
飛行機からはアレックスの言葉を信じ唯一自発的に降りた。
某ゾンビハンターと同名で中の人も同じだが、当然無関係。
父を亡くし母とも疎遠で天涯孤独の身。一軒家で飼い犬と一緒に暮らしており、自宅に設けた作業場でオブジェを作るのが趣味。
一連の事件を通してアレックスと親密になっていくが…

  • カーター・ホートン(演:カー・スミス 吹替:石田彰(DVD)/伊藤健太郎(TV))
ガタイのいいリア充。
短気な上にアレックスとは気が合わず、すぐに彼に突っかかる。180便事故の際も飛行機が墜落すると騒ぐアレックスにキレて殴りかかり、一緒に摘み出された。
でも実はチキンで豆腐メンタル。そのチキンさはどれくらいかと言うと、何をとは言わないが盛大に漏らすくらい。
最終的にはアレックスのことを認めたんだか認めてないんだか…

  • トッド・ワグナー(演:チャド・ドネッラ 吹替:真殿光昭(DVD)/私市淳(TV))
アレックスの親友。
兄であるジョージと一緒に180便に乗っていたが、兄にアレックスの様子を見てくるように言われて飛行機を降りた。
おちゃらけていて女に目がないが、アレックスが予知騒動によって周囲から気味悪がられ孤立する中、兄を亡くした哀しみをアレックスにぶつけることもなく、変わらず親友として接していたイイ奴。
一見、長い間生き残りそうな奴だが…

  • ビリー・ヒッチコック(演:ショーン・ウィリアム・スコット 吹替:小西克幸(DVD)/松本大(TV))
いつもヘラヘラしている優男。
ギリギリで飛行機に搭乗しようとしたところでアレックスたちの起こした騒動に遭遇し、巻き込まれる形で飛行機を降りた。
臆病ですぐパニックを起こす保守的な面もあり、一連の事件からは我関せず主義を取ろうとしていた。

  • テリー・チェイニー(演:アマンダ・デトマー 吹替:落合るみ(DVD)/岡村明美(TV))
カーターのガールフレンド。
アレックスに殴りかかって飛行機を摘み出されたカーターに付き添い、飛行機を降りた。
カーターがアレックスに喧嘩を売りまくることにはうんざりしている。
金髪で結構ムチムチしたお姉ちゃん。

  • ヴァレリー・ルートン(演:クリステン・クローク 吹替:山像かおり(DVD)/金野恵子(TV))
修学旅行の引率教師。
もう1人の引率教師であったムルナウ先生の方がパリには詳しかったため、彼女が飛行機を降ろされたアレックスたちの付き添いとして空港に残ることとなった。
飛行機事故の件は彼女が一番ショックを受けており、事故後はあからさまにアレックスを毛嫌いした。
悲しみのあまり町を出て新居で生活をやり直そうとしたが…

  • ウィリアム・ブラッドワース(演:トニー・トッド 吹替:銀河万丈(DVD)/西凛太朗(TV))
黒人の葬儀屋。
死の運命になぜか詳しく、アレックスとクレアに助言を与える。
ぶっちゃけマクガフィン的な人物。

  • ヴァイン捜査官とシュレック捜査官(演:ダニエル・ローバック(ヴァイン)、ロジャー・グエンバウア・スミス(シュレック) 吹替:野島昭生(ヴァイン・DVD)、田中正彦(シュレック・DVD))
飛行機事故の捜査にやってきたFBI捜査官。
事故や生存者の死を予知したアレックスを犯人と疑っている。












以下死に様のネタバレ。この映画のキモなので注意。












基本的に連鎖的に仕掛けが殺しにかかるピタゴラタイプと一瞬で死ぬタイプが交互に襲いかかる。


  • トッド
自宅のバスルームで洗濯物を取り込んでいたところ、便器から漏れてきた水に足を滑らせバスタブの中へと転げ落ち、その拍子に洗濯ワイヤーが首に絡まってしまう。
ただでさえ滑りやすいバスタブに、悪いことに洗剤まで零れて更に滑ったため立ち上がることができず、そのまま首が絞まり縊死。


  • テリー
カフェに偶然生存者全員が集まった際、繰り返されるアレックスとカーターの言い合いに堪忍袋の緒が切れてその場を離れようとしたが、捨て台詞を吐きながら車道に一歩踏み出した瞬間、猛スピードで横切ったバスに跳ね飛ばされ死亡。

  • ルートン先生
引っ越し作業中、熱湯をカップに入れるも怯えてこぼし、今度は冷えた酒をカップに入れたためヒビが入る。
そのままパソコンの上に酒を持って行ったためモニターに染み込んだ酒によってショートを起こしてモニターが爆発し、破片が首に刺さる。
慌てて台所に戻るも、こぼれていった酒にモニターの火が引火し導火線のごとく伝わって台所全体が燃えてしまう。
倒れた彼女はテーブル上のタオルに手をかけるも、タオルをかけてあった場所が包丁入れだったため、包丁入れから落下した包丁が胸に突き刺さる。
まだ息があったものの、トドメとばかりにガス台の小爆発で煽られた台所の椅子が倒れかかり、包丁が更に深く突き刺さって今度こそ死亡。
……と、作中、もっとも手の込んだプロセスで死亡する。

  • カーター
自暴自棄になり踏切で車を停止させて列車に轢かれようとするが、思いとどまり逃げようとしたところを車に閉じ込められる。
しかしアレックスの助けによって間一髪で回避する。

  • ビリー
カーターの車が電車に潰され粉々になったところ、その破片の鋭利な金属板が電車の車輪に弾き飛ばされ頭部に直撃し、上顎から上を刎ね飛ばされて死亡。

  • クレア
自宅であわや雷や電線で感電死やら爆死やらしかかるが、アレックスの身を挺した助けで助かった。
が、2作目では…


≪死のルール≫

本作では決められた死のルールがある。

1:悪夢による予知で複数の人間が死を回避した場合、本来死ぬ順番に沿って再び死の運命が訪れる。再訪した死の運命を回避した場合、順番は次の人間に回る。
本作では、
  • トッド
  • テリー
  • ルートン先生
  • カーター
  • ビリー
  • クレア
  • アレックス
であり、その順番は飛行機内で座っていた座席に爆発の炎が回った順番であった(7人の座席は丁度燃料供給用パイプに沿った位置にあり、残骸から推測された最初の爆発発生地点から最後に大爆発を起こしたエンジンへの炎の回り方がある程度予想できた)。
ただし、アレックスは予知夢の中では席の交換を頼まれてトッドの隣の席に移動していたが、実際は移動前に予知夢騒動で飛行機を降ろされたため、最初は自分の順番がクレアの前だと勘違いしていた。

2:事故の予知をした人間は、来るべき死の運命の予兆を感じ取ることができる。
幻視のようなはっきりした形だったり、何気ないはずの光景に不吉な予感を感じるといった曖昧なものだったりと、予兆の形は様々。
主人公が感じる予兆の他にも、映画の観客に向けた予兆(伏線)も多数存在し、本作の冒頭ではアレックスの部屋の窓際に吊るされた人形の影が、まるで首吊り死体のように揺れているといったシーンがある。


アレックスが気付いたルールは上記の2つ。だが…








  • 6ヶ月後…
アレックス・クレア・カーターの3人は、180便の事故で行くことのできなかったパリへと向かった。
しかし、無事にパリに辿り着きレストランで祝杯を挙げながらも、アレックスには1つ気がかりなことがあった。
クレアを助けた際に死にそうにはなったが、誰の助けもなく生き残った以上あれが死の運命によるものとは思えなかったからだ。
まだ自分には、死の運命は再訪していない…?
悩むアレックスに、カーターは冗談交じりに「まだお前の順番が続いているかもしれないし、順番が1周で終わるとも限らない」と口にする。
その直後、突如吹いた強風にアレックスは不吉な予感を感じ、クレアたちを危険に巻き込まないように先にホテルに帰ろうとする。

だが、アレックスの目の前でバランスを崩したバスが標識に接触し、弾き飛ばされた標識の直撃を受けて落下した「MIRO 81」の巨大な看板の右半分が、固定用ワイヤーの影響で振り子のようにアレックス目掛けて突っ込んできた。
立ち竦むアレックスを、駆け付けたカーターが咄嗟に押し倒して庇う。
カーターの助けで自分が死の運命を回避したことを悟り、「(死の順番を)飛び越えた」と呟くアレックスを見つめ、カーターは立ち上がりながら「じゃあ次は…?」と口にする。

その背後には、ワイヤーによって引き戻された看板が迫っていた。
裏返しになった「O 81」、「180」の看板が…




≪もう1つのルール≫

3:死を予知するとそれを回避することはできるが、あくまで先延ばしでしかなく、順番が最後まで回るとまた最初に循環する。
なお、今作でカーターの助けによって死の運命を回避したアレックスだが、『2(デッドコースター)』では屋根から落下してきたレンガが頭を直撃し、死亡したことが明かされる。


≪もう一つのエンディング≫

当初はクレアを助けるために電線を掴んだ際にアレックスが死亡、その後クレアがいつの間にかニャンニャンしていたアレックスとの子を産むことで、新たな命が生み出されたことにより死の連鎖が収束するというエンディングだった(ついでにカーターも生存。ちなみにクレアの出産時刻は180便の出発時刻やアレックスの誕生日に繋がる9時25分)。
しかし試写会での評判が悪かったため修正された。

ラストシーンの撮り直しが本編撮影からリアルに6ヶ月後だったので、よく見るとアレックスが激太りしていたりする。
また、クレアの髪も、本編の茶髪から2作目に先駆けて金髪に変わっている。


≪続編≫

2「デッドコースター
3「ファイナル・デッドコースター
4「ファイナル・デッドサーキット
5「ファイナル・デッドブリッジ
いずれにしても海外映画にありがちなパチモンっぽい紛らわしいタイトルだが、原題は全て「Final Desitination 2~5」で統一されている(サーキットのみ「The Final Destination」)。

ちなみに、タイトルの「ファイナル・デスティネーション」とは「最終目的地」という意味であり、飛行機の目的地と人間の最終目的地=辿り着くところである「死」を掛け合わせている。


≪備考≫
シリーズ作に登場する架空の施設名などには、暗殺された政治家や暗殺犯といった縁起の悪い名前が多く使われている。
  • アブラハム高校(『1』に登場する高校):エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ合衆国大統領)
  • マッキンレー(『3』に登場する高校・遊園地、『4』に登場するサーキット):ウィリアム・マッキンレー(第25代アメリカ合衆国大統領)
  • ブース・ストリート駅(『3』のラストに登場する地下鉄の終着駅の1つ前の駅):ジョン・ウィルクス・ブース(エイブラハム・リンカーン暗殺犯)
  • オズワルド駅(『3』のラストに登場する地下鉄の終着駅):リー・ハーヴェイ・オズワルド(ジョン・F・ケネディ暗殺犯)

なお、180便墜落事故は1996年に発生したトランスワールド航空800便墜落事故をモチーフにしており、劇中に登場する事故現場の映像も同事故のものが使用されている。

追記・修正は自分のトンデモ死を予知してからお願いします。


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最終更新:2024年04月04日 23:25