絵柄変化

登録日:2011/08/28 Sun 21:47:28
更新日:2024/03/25 Mon 22:21:15
所要時間:約 20 分で読めます




絵柄変化とは、漫画家やイラストレーターなどの絵柄が変化していくことである。
「絵柄」という言葉に馴染みが無い人に説明すると、本来この言葉はそのまま「絵の柄」、もしくは「構図、模様」を指すが、
俗語として絵の雰囲気、特徴の事を指す「画風」や「作風」と混同して使われている。
したがって正確には画風変化、作風変化と表記するべきだが、本項目では「絵柄変化」と統一して表記する。

ただし、ここではストーリーや思想の変化については扱わない。
大抵の場合のは数を重ねることである程度自然に変化していくが、中にはその変化が非常に顕著な人物も多い。
また、単に画風の引き出しが増えて描き分けることができる人物もいれば、
長期の間が空いたことで以前と同じように描けなくなってしまったというパターンも存在する。
前者の場合変化逆手に取り、劇中で時間が経過するタイプの作品は物語開始以前~直後の出来事を後から扱った回で以前の画風(デザイン)を意図的に真似るというテクニックも存在する。

比較的数は少ないが、絵柄があまり変化しない人も存在する。これを「いい意味での安定」と見るか「停滞」と見るかはジャンルや本人の意識次第。
『スーパーマリオくん』の作者・沢田ユキオ氏のようなパターンは前者と言えよう。

絵柄変化によって従来のファンの感性に合わなくなってしまう事もあり、
そのような場合はファンの間で賛否両論になる事もある。
多くのファンが集まるコミュニティでは荒れやすい話題なので、注意する事。

絵柄変化に関する論争で「劣化」と評する従来のファンも多いが、多くは主観での評価である。
また、 技術的に劣化かどうかを判断するのは、評する側にも相応の教養が必要である事は留意しておきたい

【変化の例】

  • 絵を描く基礎・技術の上達
単純な画力の上昇。おそらく最も多いパターン。
多くの場合は場数を踏むことで基礎部分が上達していくが、プロになってから専門学校や美術大学に入学して学ぶ人物もいる。
逆に自身の絵柄を追及するあまり、基礎の部分から外れていく事も。


  • 無駄な線の削減
こなれてきたことによって無駄が少なくなっていく。大体この手の場合は初期がごちゃごちゃしていて読みづらいことが多い。
中には繊細でやわらかな絵柄から、シンプルで力強い絵柄になるということもある。


  • 無駄じゃない線も削減
いわゆる簡略化。従来の作品よりもシンプルな印象を受ける事も多い。


  • 描き込みの増加
画力の上昇や描く速度が上がったことで緻密になっていく。
これには元から上手い人がさらにグレードアップしていくというパターンも見受けられる。


  • 他者の影響からの脱却
他者の影響が強い人物が、次第に独自の画風を確立していく。


  • 他者の影響を受ける
逆に他者の影響を受けて、自身の作風に取り入れていくというもの。
デビュー時とは別の人物から影響を受けている場合や人間関係の変化でも変わる。
編集などから作風を指示される場合もこれに含まれるだろう。


  • 個性の特化
絵柄の特徴的な部分が強化され、より独自性を持っていく。


  • 時代の変化
時代の流れに伴い、その時々の傾向に沿った絵柄となる。
逆に時代の流れに背くパターンもある。


  • 造形そのものの変化
上記の要素がいくつか複合されたことによって、全く違った絵柄へと変貌する。
中には前途のように、間が空いたことで全く違う絵になってしまったというパターンも。
従来の絵柄も描く事が出来るが、意図的に変えている場合も多く、
一つの作品内であれこれ挑戦してみたり、作風や作品によって変えてみたりと色々ある。
特に後者は、それだけの芸当ができる画力の持ち主でもあったりする。


  • 製作環境の変化
アナログで描いていた人がデジタルに移行するなどして、絵の印象が変わる場合もある。
使っていたトーンが販売停止となり、別のものを使うorデジタルに移行などの例もある。


  • カラー絵の塗り方を変える
塗りを変えると、絵柄そのものは変化していなくても受ける印象が大きく異なる場合がある。


  • アシスタントを雇った
最初は余裕がない新人でも、連載が続き余裕ができればアシスタントを雇えるようになる。
そうなれば、従来よりも一ページ当たりに割ける労力が大きく増すことになるので、より細かい書き込みができるようになる。
また、「人物は得意だけど背景は苦手」という漫画家に「背景が得意」なアシスタントが付けば、それもまた画力が向上したように見えるだろう。


  • 作品に合わせる
作品の内容に合わせて絵柄を変えるという物。
元々引き出しがある人物が行うことが多いが、そうでない人は猛勉強をする事になる場合も。
またコミカライズなどで元デザインに合わせるというのもこのパターンといえる。


  • 体力的な変化
老いや怪我などによる身体機能や集中力の低下などで作業量を減らさざるを得なくなったり
複雑な絵が描けなくなったりしたのをカバーするために絵柄自体を変える例。


  • 病による変化
病などで身体を壊し、作風が変化してしまう物。
腕や指が動かなくなり複雑な書き込みが難しくなったり、脳や眼、精神が病に侵された時にも見受けられる。
作者は自覚しておらず、編集や読者などに指摘されて初めて異常に気付くというパターンも多い。


  • 単なる手抜き
作者のモチベーションが無くなり、雑に書き上げてしまうというパターン。
また、商業作家の場合、締め切りに間に合わせる為に手抜き同然の内容になってしまう事も。
単行本などで修正されるケースも多い。


【大きく絵柄変化してる人物】

デビュー年降順、()内はオリジナル漫画、コミカライズ、イラストレーションなどごちゃまぜ

長谷川町子(サザエさん、いじわるばあさん)※1935年デビュー
 福岡編は師・田川水泡の影響が色濃い、後半になるにつれて頭身が下がりまくる。
 コラムで作者の語るところによると初期の単行本を読んだ読者がパチモノと間違えて作者の所に通報してきたという……
 アニメ版は東京編の中盤当たりのキャラデザがモデルなので連載末期のクレしん体型とはかけ離れている極端なデカ頭+スリムボディに。


手塚治虫鉄腕アトム、火の鳥、ブラック・ジャック他)※1946年デビュー
 何は無くとも元祖。80年代の作品はうまいっちゃうまいがリアルすぎて人を選ぶかもしれない。
ただしアトムに関しては(当時としては大幅な)長期連載に伴い意図的に絵柄を変えていたらしく、丸っこく小学校低学年向けなアトムとスリムな小学校高学年向けを読者が入れ替わったかなと思うタイミングで使い分けていたという。


藤子・F・不二雄(オバケのQ太郎(藤子不二雄Aとの共作)、パーマンドラえもん他)※1951年デビュー
 連載時期が10年単位のため徐々に洗練されてくるのがよくわかる。特に新旧の絵柄が混じったパーマンの単行本最終回『バード星への道』ではギャップに唖然とするかも。


藤子不二雄A(怪物くん、忍者ハットリくん、笑ゥせぇるすまん他)※1951年デビュー
 一見相方のFこと藤本弘と似た絵柄だがオバQ(最初期には石ノ森章太郎もサブキャラ絵を担当)の頃から徐々に相違していき、新オバQの時期には大原兄弟(Aこと安孫子素雄担当)の絵柄でA参加の有無を見分けられるように。


石ノ森章太郎(サイボーグ009仮面ライダー人造人間キカイダー他)※1954年デビュー
 少女漫画風の絵柄が段々洗練されていくが、それ以上にシナリオやセリフ回しが「石ノ森節」を極めていく。


横山光輝(伊賀の影丸、ジャイアントロボ、三国志他)※1955年デビュー
 初期は手塚治虫の影響を受けていた。三国志で独自の絵柄に落ち着いた。

赤塚不二夫(天才バカボン、おそ松くん、ひみつのアッコちゃん他)※1956年デビュー
 初期の松野六兄弟の名残は髪型しか残っていないレベル。イヤミは伸びたり縮んだりした。
 また北見けんいちがアシスタントだった頃には北見顔が散見されたりもした。


永井豪(ハレンチ学園、デビルマンマジンガーシリーズ、キューティーハニー他多数)※1967年デビュー
 初期はいかにもギャグマンガ然としていたが、ハレンチ学園ではじけてからは作風も作画も激変。
 デビルマン以降は一気に書き込みが増え、今では画面がシンプルな日常シーンとそうでない迫力シーンの落差が激しすぎ。


萩尾望都(ポーの一族、トーマの心臓11人いる!、メッシュ、残酷な神が支配する他)※1969年デビュー
 当初は手塚の影響を受けた太めの線で丸っこいデフォルメの効いた作画だったが、『メッシュ』で唐突に別人としか思えない細い線のややリアルより作画に。
 これは心情の変化による意図的なもので、『残酷な~』くらいから揺り戻しで初期の画風に幾分戻り現在に至る。
 それでも『ポーの一族』の新作で当時のキャラクターと同一人物に見えないくらいには別物だが。


石川賢(ゲッターロボサーガ、虚無戦記、魔獣戦線(初期)→真説 魔獣戦線)※1970年デビュー
 デビュー当時~80年代中期くらいまでは戦友・永井豪の影響も強かったが、『魔界転生』を期に独自の画風・作風をより確立してゆく。


かとうひろし(駆けろ!大空 チョコボのふしぎものがたり)※1971年デビュー
 作品間での画風の変化は意図的なものであると明言している。


いしいひさいち(がんばれタブチくん、バイトくん他)※1972年デビュー
 初期の作品はキャラが小顔かつ細身で等身がやや高く、あまり吹き出しを使わないという特徴がある。


魔夜峰央(パタリロ!、ラシャーヌ!他)※1973年デビュー
 初期はいわゆる「お耽美」な少女漫画の世界観そのものをパロっていたため、お目目キラキラでバラが飛び交う絵だったが、
 「ストIV(ストーリー四コマ)」をはじめとした独特な作風を身に着けるに伴い、絵柄の簡略化・ギャグ漫画化が進行。
 そのため現在のキャラクターは初期のキャラクターと同一人物でもまるっきり別人になっている。


平松伸二ドーベルマン刑事、ブラック・エンジェルス、マーダーライセンス牙他)※1974年デビュー
 見やすくはなったが、味気が無くなったという意見も。


小林よしのり(東大一直線、おぼっちゃまくん、ゴーマニズム宣言)※1976年デビュー
 そのままの画風で画力は上昇していく例。


秋本治(こち亀)※1976年デビュー
 連載開始当時にタイムスリップする話は必見。


本山一城(どっきり!エンジェル、キララQQQ、スーパーマリオシリーズ(本山版)他)※1977年デビュー


吉田秋生(カリフォルニア物語、BANANA FISH、YASHA-夜叉、海街diary他)※1977年デビュー
 当初は初期の萩尾望都のようなザ・少女漫画な画風だったが、『カリフォルニア物語』後期から大友克洋の影響を受けた少女漫画とは思えない泥臭い画風に。
 その後も『BANANA FISH』後期から少女漫画的要素を加えたシンプルな絵柄になり『海街~』あたりからあっさりとした画風に、と時代によって絵柄を変えていった。


高橋葉介(夢幻紳士、学校怪談他)※1977年デビュー
 当初は線が太く荒かったが、徐々に色気を帯びた独自の作風に。


鳥山明(Dr.スランプ、ドラゴンクエスト、ドラゴンボール他)※1978年デビュー
 初期はアメコミテイストが強かったが、だんだん簡略化された「完成されたイラスト」に。


ゆでたまご(キン肉マン)※1978年デビュー
 初期はヘタすぎてジャンプ編集部から表紙イラストを描かせてもらえなかった。
 当時のカラーイラストで緑の顔のキン肉マンとかがいるのはそのため。
 その後学校に通うなどして現在進行形で画力が上昇している(特に『Ⅱ世』中盤からは凄い)。


宮下あきら(魁!!男塾、暁!!男塾)※1978年デビュー
 全体的にあっさりし始めた。劣化とか言ってはいけない。


福本伸行(銀と金、アカギ、カイジ、最強伝説黒沢他)※1980年デビュー
 初期は…とてつもなくひどい…っ!! 圧倒的…絵の上手い中学生感…っ! 実は…初期はラブコメ作家でもあったのだ…っ!
 現在のような絵柄は…『天~天和通りの快男児~』で…確立された…!!


荒木飛呂彦(バオー来訪者ジョジョの奇妙な冒険)※1980年デビュー
 初期は純劇画って感じの荒々しさだったが今や現代アートに。巻数が進むにつれジョジョ徐々にキャラがマッチョからスリムになっていく。


高橋和希(遊戯王)※1981年デビュー
 初期は尊敬する荒木飛呂彦風の絵柄だったが、その後はアメコミ風のシャープな絵柄に。
 ちなみに漫画の絵柄変化に関しては29巻にて本人もツッコんでいたりする*1
 連載終了後は非常に厚塗りな画風を披露しており、新規書き下ろしのブラック・マジシャン・ガールが別人過ぎて、もはやブラック・マジシャン・レディ。
 ただアニメ風の絵をかいたり、TRANSCEND GAME 遊戯王のように当時の作画を再現する事もできるようだ。


原哲夫(鉄のドンキホーテ、北斗の拳CYBERブルー、花の慶次、蒼天の拳他)※1982年デビュー
 北斗執筆中からどんどん書き込みが増え、リアルになっていき迫力が増すが、花の慶次では多忙と戦国時代という事情から線を減らしたのだが、かえって見やすくなったと好評に。


あらいずみるい(スレイヤーズ、無敵王トライゼノン他)※1982年デビュー
 『スレイヤーズ』第2部からデジタル化。泥臭さが消え一気にポップに。


尼子騒兵衛(落第忍者乱太郎他)※1983年デビュー
 今の忍たまから入ったちびっ子たちが落乱1巻を読んで仰天するのはいつものこと。


柴田亜美(南国少年パプワくん、自由人HERO、ジバクくん、カミヨミ)※1984年デビュー
 鳥山路線からの脱却に成功した。


衛藤ヒロユキ(魔法陣グルグル)※1985年デビュー
 絵柄が安定しない漫画家として特に有名な一人。全盛期は1巻毎に別物になってるとかざら。
 ドラクエ4コマ漫画時代は一応劇画調の濃い作風だったのだが、作品に合わせてかいわゆる垢ぬけた作風に。
 あまりに変化が行き過ぎて末期には不安な造形になってしまったが、現在は少し戻って来て落ち着いている。
 アニメ版も第一期は絵柄が変わっていたが、作画がどうこうというより連載時期の絵柄が違い過ぎるため。


小畑健(サイボーグじいちゃんG、ヒカルの碁、DEATH NOTE、バクマン他)※1985年デビュー
 リアルタッチな作画だったが、『バクマン』で原作の大場つぐみの要望でデフォルメな絵柄に変えて以降、年を重ねるごとにデフォルメが加速していった。
 しかし『プラチナエンド』では往年のリアルタッチな絵柄に回帰した。


寺沢大介(ミスター味っ子、将太の寿司、喰いタン)※1985年デビュー
 特に『将太』中盤で一気に線が細くなり、1巻*2と最終巻では目の大きさが全く違う。


藤島康介(逮捕しちゃうぞ、ああっ女神さまっ)※1986年デビュー
 テイルズやサクラ大戦からのファンが、初期の「逮捕~」を見て絶句するのは良くあること。


青山剛昌(まじっく快斗YAIBA名探偵コナン)※1986年デビュー
 初期は少女マンガテイストが強かった。


冨樫義博(てんで性悪キューピッド、レベルE幽☆遊☆白書HUNTER×HUNTER)※1987年デビュー
 絵柄もそうだが話のサツバツ度も変わりすぎ。


和月伸宏(るろうに剣心武装錬金、エンバーミング)※1987年デビュー
 初期は師匠の小畑の影響が強かった。エヴァにハマった際には貞本義行氏の影響を受けた事も。
 作品間での画風の変化は意図的なものであると明言している。


臼井儀人(クレヨンしんちゃん)※1987年デビュー
 初期は目も小さく、いわゆる「大人向けギャグマンガ」の色が濃かった。


萩原一至(BASTARD!!-暗黒の破壊神-)※1987年デビュー
 完全版と原作が同じ漫画に見えない。


猫島礼 ※1987年デビュー
 目がぐりぐっとした成人誌時代初期の絵柄から、エッセイなど一般的にシフトしたり、
 アナログ時代のカラーインク作画からデジタル作画移行に伴って少しづつ画風や着色を変化させている。今は結構あっさりした絵になった。


三浦建太郎(ベルセルク)※1988年デビュー
 書き込みすぎて連載できないんじゃないかとかまで言われる始末。初期のアニメ調から巻数が進むにつれリアル指向になっていく。


渡辺道明(ハーメルンのバイオリン弾き、PHANTOM、ラッキーナイトカスタードくん他)※1988年デビュー
 続ハーメルンのカラーイラストはかなり美麗になっている。


CLAMP(カードキャプターさくら魔法騎士レイアース)※1989年デビュー
 ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-を他作と比較すると分かりやすい。CLAMP自体が漫画家ユニットなので、描いてる人が違うこともあるので要注意。


杉森建(ポケットモンスターシリーズ)※1989年デビュー
 ジムリーダーやトレーナーを見ると変遷が分かりやすい。ただし、近年のポケモンシリーズは複数のデザイナーが参加している為、必ずしも氏のイラストとは限らない点に注意。


吉田明彦(タクティクスオウガFINAL FANTASY TACTICSブレイブリーデフォルトFF14)※1989年デビュー
 ジ○リ調だった初期から、西洋絵画を思わせる優しさとダイナミックさを合わせた絵柄に。


板垣恵介(グラップラー刃牙)※1989年デビュー
 第2部でガラリと筆遣いが変化する。スクリーントーンの貼り方が鬼。


久米田康治(行け!!南国アイスホッケー部、かってに改蔵さよなら絶望先生他)※1990年デビュー
 初期はデフォルメがかなり少なかった。


安西信行(烈火の炎MAR、MIXIM☆11、)※1990年デビュー
 泥臭さの残る少年漫画風の絵柄からやけに萌え風の可愛らしいデザインに。
 特に烈火に関しては1巻と最終巻はもはや別人。毎巻の画力の向上がはっきり分かる。


雷句誠(金色のガッシュ!!どうぶつの国、ベクターボール)※1991年デビュー
 初期はそうでもなかったが、ガッシュ連載以降明らかに二次関数レベルで画力が上がっている。


さとうふみや(金田一少年の事件簿探偵学園Q)※1991年デビュー
 粗削りながらも素朴な絵柄から、いかにもジャパニメーション的な非常に可愛らしい作風に。
 本人もインタビューにて金田一初期の絵がヘタだと自虐していた。


ひかわ博一(星のカービィ デデデでプププなものがたり)※1992年デビュー
 最初は原作『星のカービィ』のシリーズ初期のデザインに近いデザインだったが、大体カービィ本編の新作が出たタイミングで絵柄が少しずつ変化し、11~13巻辺りで今のデザインが定着した。
 …したのだが、最終巻辺りで突如絵柄が明らかに大きく劣化してしまう。実はこれには深刻な裏事情があり……。
 詳しい説明は作品の項目を参照してほしい。


尾田栄一郎(ONE PIECE)※1992年デビュー
 連載が進むにつれ線が細くなっていき、アラバスタ編あたりで現在の画風が定着。同時に書き込み量の変化が半端ではない。
 細かい絵の中に挟まれた小ネタをファンが見抜き、さらに小ネタを仕込むという読者との切磋琢磨。


許斐剛(テニスの王子様新テニスの王子様他)※1993年デビュー
 テニプリ初期は顔の描き方のクセが強かったが、話が進むごとにシャープな作風になり気にならなくなった。


草河遊也(魔術士オーフェンBLACK BLOOD BROTHERS)※1993年デビュー
 オーフェン東部編から突如絵本風の垢ぬけた画風に。


熊倉裕一(王ドロボウJING、KING OF BANDIT JING)※1994年デビュー
 元々児童誌としては絵が上手かったが、他からの影響も感じさせる絵柄が独自性を確立すると同時に、もはや別物なほどに画力が上達している。


武井宏之(シャーマンキング、機功童子ULTIMO他)※1994年デビュー
 完全版は最早別漫画。わざと絵柄を変えて描いた『ハイパーダッシュ!四駆郎』は「同姓同名の別人が描いたのか!?」とまで言われた。
 マンキンの主要キャラが少年ばかりだったお陰でやたら艶っぽいショタを描くようになった。


津山ちなみ(HIGH SCORE)※1994年デビュー
 そもそも連載初期まだ中学生で画力(と内容)も相応なものだった。
 その後学業と兼用で荒れ気味だった作画を引きずってコメディとは思えないような怖い画風になってしまったが、4巻くらいから軌道修正してジャンルに即した作画に。


赤松健(A・Iが止まらない、ラブひな魔法先生ネギま!UQ HOLDER!)※1994年デビュー
 現在進行形で画力が上昇中。ネギまの3巻辺りから次第に垢抜けたキャラデザになってはいるものの「味が無い」という意見も。


樋上いたる(KanonAIRCLANNAD、リトルバスターズ!他)※1995年頃デビュー
 パーツが寄せ集まった目の大きな往年のいたる絵から、頭身も伸びてさっぱりした印象の画風に変わっている。(塗りの時代変化も手伝ってではあるが)


村田雄介(アイシールド21ワンパンマン他)※1995年デビュー
 アイシールドでも画力が凄まじいが、ギミックが上達している。

大暮維人(天上天下、エア・ギア化物語)※1995年デビュー
 デビュー当時からそれなりに上手かったが、今はもはや別人が描いているとしか思えないレベルに上達。


平本アキラ(アゴなしゲンとオレ物語、俺と悪魔のブルーズ、監獄学園)※1995年デビュー
 粗くも味のある雰囲気から写実的な絵柄に変遷。女子キャラクターも可愛くなっていった。


久保帯人(ZOMBIEPOWDER.BLEACH)※1996年デビュー
 思い描く一護をビシッと描けるようになったのは尸魂界終盤当たりらしい。


小坂俊史(せんせいになれません)※1997年デビュー
 最初期は不定期連載で1話と1話の間が空いていたためか、回を増すごとに目に見えて絵が上達している。


芳原のぞみ(天使な小悪魔)※1997年デビュー
 少女漫画から4コマ漫画への転向に当たって、徐々に4コマ漫画の技法を取り入れていった。
 特に主人公のまる子は1話の時点ではいかにも少女漫画の主人公の女の子といった感じのキャラデザだったが、
 連載が進むにつれ少しずつデフォルメされていき、最終的には常時3等身未満がデフォになっている*3


小西紀行(西遊記ヒーローGo! 空伝妖怪ウォッチ他)※1997年デビュー
 デビュー当時の絵柄は、言われても後のゴゴゴ西遊記や妖怪ウォッチの作者だとはわからないレベル。


有楽彰展(東京アンダーグラウンド、鬼切様の箱入娘)※1997年デビュー
 東京アンダーグラウンドは絵柄が安定しない事でも有名。
 特に途中でデジタル移行した時にはガラッと変わった。


矢吹健太朗(BLACK CATTo LOVEる -とらぶる-あやかしトライアングル他)※1998年デビュー
 少年漫画テイストからエロスをたたえた雰囲気に。


真島ヒロ(RAVEFAILY TAIL他)※1998年デビュー
 商業デビューはわずか1年差ながら、今や尾田栄一郎とはかけ離れた絵柄に。


さとやす(川上稔作品)※1998年デビュー
 川上側からのキャラ衣装の方向性も合わさり、主に女性陣の描かれ方が年を経るごとに肉感とエロさを増しており、『境界線上のホライゾン』終盤では電撃文庫の限界にチャレンジしている。


藤真拓哉(魔法少女リリカルなのはViVid等)※1999年?デビュー
 多くの人がイメージするのは『なのはViVid』や『アクエリアンエイジ』での眼が大きく童顔気味のキャラクターデザインだろう。
 だが、初期('97~'02頃)の同人誌や初連載『D'V』あたりは全く異なる劇画寄り、かつちょくちょく画風が変わっていた。可愛さ重視になったのは2003年頃から。
 その後上記を経て、'17年頃から少しデフォルメを抑え塗りを淡めにした画風に。ただし『なのは』関連は『ViVid』に近い画風を維持して描いている。


岸本斉史(NARUTO‐ナルト‐)※1998年デビュー
岸本聖史(666~サタン~、ブレイザードライブ、助太刀09他)※2001年デビュー
 双子だけあって絵も似ているが、どちらも2003年頃から段々モノトーン化が進みシンプルで読みやすい絵柄に変貌。


天野明(家庭教師ヒットマンREBORN!、PSYCHO-PASS)※1998年デビュー
 リボーンの1巻と最終巻は完全に別物。


いとうのいぢ(灼眼のシャナ等)※1999年デビュー
 『シャナ』の表紙で変遷が見える。
 一般デビュー初期の絵柄から線を減らし彩度が上がり、『ハルヒ』『ななついろ』で多くの人が見慣れたであろう2006年前後の絵柄に。
 その後陰影の変化や目、唇等のディティールを増し、『天久鷹央』や『FGO』で見かける絵に。


介錯(鋼鉄天使くるみ神無月の巫女、水戸納豆カレー)※2000年デビュー
 瞳が小さくなり線や塗りもシャープに。カレーのパッケージを見ても介錯と気付かなかった人も。


山田孝太郎(ファイアーエムブレム 覇者の剣、聖剣の刀鍛冶)※2000年デビュー
 初期はいかにも少年漫画然としていたがドンドンアニメ調に変化。


塩崎雄二(ZOIDS惑星Zi、バトルクラブ、一騎当千)※2000年デビュー
 大暮の影響を受けている?


藤異秀明(真・女神転生 デビルチルドレンUMA大戦 ククルとナギバトルスピリッツダンボール戦機)※2000年デビュー
 変わりやすいときは1話単位で変化するほど。


澤井啓夫(ボボボーボ・ボーボボ、ふわり!ドンパッチ)※2000年デビュー
 ふわり!ドンパッチは、アシスタントが描いたスピンオフ漫画ではありません。
 濃い目でバイオレンスな作風から華麗な転身。
 月刊誌に掲載しており時間的余裕から一人で書いている。
 作者曰く“日常系”の漫画に挑戦したかったらしい。


岡本倫(エルフェンリートノノノノ極黒のブリュンヒルデ、パラレルパラダイス)※2000年デビュー
 もともとバンダイのゲーム開発部所属で、デビューは28歳。
 『エルフェンリート』原作1巻の画力の低さは作者本人もネタにしている程。


巣山真也(悪魔事典、学校のせんせい)※2000年デビュー
 線が荒かったのが段々スマートになっていった。
 ……のだが、それに合わせて絵柄も変化していっており、線は綺麗になったのに可愛い女の子が売りの漫画で女の子の顔が可愛くなくなっていった。


はいむらきよたか(とある魔術の禁書目録)※2001年以前デビュー
 2001~2002にかけて参加したアダルトゲームブランド「maple」での絵柄は現在とは遠くかけ離れており、見た人は驚くこと請け合い。
 18歳以上の諸君は「ホテル エァグリッフェン」で検索してみよう。
 インデックスのアニメ化決定から作風が完全に変化。どんどん美少年化していく上条さんに加え、女性キャラも巻を追うごとに若返る。


yokoyan(Sound Horizon作品)※2001年頃デビュー?
メジャー一発目の『Elysion』時点である程度同人時代よりスマートな絵柄なのだが、
Roman』以降3次元化前提にCDのジャケットキャラを描く事を求められるようになりキャラの頭身がリアル寄りに。『ヴァニシング・スターライト』では実在人物のイラスト化にもチャレンジしている。


氏家ト全(妹は思春期女子大生家庭教師濱中アイ生徒会役員共)※2001年デビュー
 特に妹は思春期は巻数が進むごとに変化します。


森薫(シャーリー、乙嫁語り)※2001年デビュー
 目に見えて描き込み量が増え描き込み「魔」と化した。


大久保篤(B壱、ソウルイーター炎炎ノ消防隊)※2001年デビュー
 「炎炎~」が大久保作品だと分からなかった読者もいたほど。


福地翼(うえきの法則タッコク!!!アナグルモール、サイケまたしても、ポンコツちゃん検証中)※2001年デビュー
 初期はマジで「絵の上手い中学生」レベルだったのが、十団編辺りから青天井に画力が上昇。


相田裕(GUNSLINGER GIRL、1518!)※2001年デビュー
 GUNSLINGER GIRL連載当初は線が太くなったり細くなったり、パースや構図が若干おかしかったりトーン頼みだったり、
 一時期は老若男女問わず鼻の穴がでかくなったりで絵面がイマイチ安定しなかったが、
 中盤から描き込みの量が半端ではなくなると同時に絵面が安定し始め、1巻と15巻では最早別人レベル。


桜庭コハル(今日の5の2みなみけそんな未来はウソである)※2002年デビュー
 巻を追うごとに、なぜか若返る春香姉さま。
 「今日の5の2」はOVAとTVアニメが全く別の作品にしか見えない。


畑健次郎(ハヤテのごとく!トニカクカワイイ)※2002年デビュー
 連載初期から絵柄変化の間隔が短い傾向にあり、アニメシリーズのキャラデザも製作当時の絵柄に合わせているので、
 これまでの4作のデザインが全員別キャラにしか見えない。
 マリアさんだけ10年前の絵柄に戻してみたなどというメタギャグ(師匠も同じことやってる)を披露している。


星野桂(D.Gray-man)※2002年デビュー
 数巻ごとで差がかなり出てます。


紗池晃久 (ロザリオとバンパイア、ゴーストガール GHOST GIRL)※2002年デビュー
 この手の話題でよく名が上がる1人。池田晃久名義のロザバン初期は太めの柔らかい線とデフォルメ気味の背景などほんわかした絵柄だったのだが、
 シリアスバトルの要素を増やすとともに線もキャラの顔立ちも鋭くなり、陰影が強調され、背景の描き込みも細かくなる。
 画力の向上が半端ではなく、ロザバンの最初と最後では同じマンガ家とは思えない…。


高橋慶太郎(ヨルムンガンド、デストロ246)※2002年デビュー
 ヨルムン中期あたりから印象的な狐っぽい目付きに。


日向悠二(吉永さん家のガーゴイル世界樹の迷宮、リメイク版スレイヤーズ)※2003年デビュー
 ガーゴイル8巻辺り参照。塗りが明らかに別人。


美水かがみ(らき☆すた)※2003年デビュー
 1巻と2巻、6巻と7巻を見比べると特に顕著。単に上達しただけでなく泉こなたは顔パーツのバランスまで割と変わる。
 7巻ごろからは塗りがシンプルになった。アニメ版は3巻辺りの絵柄を基にしている模様。
 本人は絵柄変化を当初快く思っていなかったが、経験し自覚したことで「流行とかあるし変わってもいい」と考えを改めている。


大石浩二(いぬまるだしっ)※2004年デビュー
 当初のたまこ先生はNARUTOのサスケを思わせる硬めの絵柄だったが、だんだん可愛くなっていった。


長野拓造(レイトン教授、イナズマイレブン)※2005年デビュー
 絵柄変遷というより作品ごとに造形そのものを変えている例。


藤巻忠俊(黒子のバスケ、ROBOT×LASERBEAM)※2006年デビュー
 キャラクターのイケメン化が甚だしい。


濱田浩輔(どがしかでん、パジャマな彼女、はねバド!)※2007年デビュー
 デフォルメの効いたタッチからだんだん写実的な画風に。


クール教信者(小森さんは断れない)※2008年デビュー
 試験的に絵柄を大幅に変えたところ、かなり不評だったらしく、徐々に本来の絵柄に戻している。
 「意図的に絵柄を変えて連載を始め、連載中に意図的に元に戻した」というなかなか珍しいケース。


サンカクヘッド(干物妹!うまるちゃん)※2007年デビュー
 2012年辺りから顔の輪郭に丸みがかかり可愛さが増した。


あわ箱(浪漫三重奏、金田一少年の1泊2日小旅行、杖ぺチ魔導士♀の冒険の書)※2009年デビュー
 『金田一~』の最終巻でも「次回からはもっと絵柄ブレないようにします…」と書いている程。


火曜(彼氏ってどこに行ったら買えますの!?、そわそわDrawing、ちょっといっぱい!他)※2011年デビュー
 最初期は2000年代の美少女ゲームを思わせるシャープな絵柄だったが徐々に丸みを帯びた可愛らしい絵柄に。
 さらに「そわそわ~」の後半から液タブを導入した影響もあってか描線が若干太めかつ強弱のメリハリがついたものとなり、
 画面全体の印象がやや濃いめに変化している。


近藤信輔(烈!!伊達センパイ、ジュウドウズ、忍者と極道)※2011年デビュー
 「烈!!伊達センパイ」はヘタウマ風の絵。「ジュウドウズ」でバトル路線にシフトして以降は、陰影が強調され迫力が増した。藤田和日郎っぽいという声も。



ルイス・ウェイン
 19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した英国の画家。生涯を通じて猫の絵を描き続けたが、晩年は精神的に不安定になり、統合失調症とも診断されていた。
 彼の作風は何度も変化している。初期は写実的だったが、やがてデフォルメされた猫が二足歩行で人間のように振る舞ったり服を着るようになった。
 精神的に不安定になってからは背景に極彩色の模様を入れるなどサイケデリックになっていき、最終的にはモチーフが猫かどうかすら分かりにくいサイケデリック・アートに変貌していった。
 後期の作品については「統合失調症による精神状態の変化が作風に影響を及ぼした」という説が一般的で、
 精神病理学の教科書には彼の作品群が「病気の進行を示唆する順番で」掲載されたりもしているが、彼の作品には制作日が入っていないので
 実際に教科書内での掲載順に作品を制作していたという証拠はない事に留意。




追記・修正はイラストを書いてるうちに絵柄が変化した人にお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 漫画
  • イラスト
  • 漫画家
  • イラストレーター
  • 変化
  • 向上
  • 絵柄変化
  • 概要項目
  • 創作
  • 賛否両論
  • 向上心
  • 作風
  • クリエイター
  • イラストレーション
  • 技術
  • 進化
  • 作風
  • イラストレーター
  • デザイナー
  • デザイン

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月25日 22:21

*1 ボクが小学生の頃、近所に小さな貸本屋さんがありました。毎日マンガを借りて寝る前に読むのが日課となっていました。時には十冊以上読んでしまうこともありました。ある時、「何だよこのマンガ!1巻からだんだん主人公の顔が変わってきてるじゃん!」--時は経ちました。--「遊戯王」の1巻を見てみると、何と!今の主人公とは微妙に顔が違うのです。…というワケで子どもの頃の疑問は晴れたのであった。

*2 『将太の寿司』は1巻と2巻のみ短期集中連載で、3巻以降の本編とは繋がらない。

*3 元の絵柄が描けなくなったわけではなく、最終回に登場したまる子の娘は1話の時点でのまる子に似せたキャラデザになっている。