サイクロンマグナム

登録日:2011/08/06(土) 21:54:41
更新日:2024/04/12 Fri 16:36:02
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最速エアロマシン、
サイクロンマグナムだッ!!






サイクロンマグナムとは、第二次ミニ四駆ブーム期に発売されたミニ四駆であり、第二次ブームを絶頂期に導いたマシンである。

タイアップ漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』では主人公・星馬豪の愛機であり(ステッカーで『豪』と刻印された部分には同じ漢字が彫られてある)、所謂マグナム系の機種では三代目に当たる。
最も長い間、彼と共に走り続けたマシン。


兄弟機のハリケーンソニック同様に抜群の人気・知名度を誇り、二次ブーム経験者なら一目見ただけで間違いなくピンとくるマシンである。



当時の人気は「異常」の一言がピッタリ当てはまるものであった。

その理由は、

●今までのマグナムの面影を残しつつも、一切のムダを省いた上で大胆にもマグナムセイバーに採用された大型ウィングを再び採用する、そのロマン溢れるボディ。
●ほぼスーパー1しかシャーシの選択肢が無かった当時のレース事情に一石を投じるかのように、新規設計されたスーパーTZシャーシの初登場・初採用。
●従来は三本スポークで強度面での不安が指摘されていたが、それを改善しつつ荒々しいフォルムで足回りですら人を魅了する新規設計の"六本スポークホイール"の投入(実際は三本)。

と、当時の全てのミニ四駆ファンを心の底から熱く燃え上がらせる要素だらけの、まさしく「田宮模型の集大成」とも言うべきマシンだったからである。



とある「そごう」の九階で先行販売が行われたが、そんな夢だらけのマシンをミニ四駆ファンの子供や大人が無視できる理由などどこにもなく、なんと九階から一階まで延々と長蛇の列が出来てしまう程であった。

一般販売でもその人気は衰えるどころか、当時放送された今は亡き名番組「TVチャンピオン」の「全国ミニ四駆王選手権」で、プロ部門の参加者がこのサイクロンマグナムを改造したマシンでレース部門ブッチギリ一位を獲得。
その後のエキシビションマッチでも、小学生部門のチャンピオンを完膚なきまでに叩きのめした事から、視聴者は「本当に速いマシン」と認識するようになり、キットの売上は更に加速する有り様となった。


ちなみに日本で一番売れた模型は、なんとこのサイクロンマグナムである。
………と長年言われていたが、実は真っ赤な嘘。
ミニ四駆ヒストリカルガイドにて、歴代ミニ四駆売り上げ4位であることが発表され*1、日本どころかミニ四駆の中でも1位でないことが明らかになった。
恐らくは「ミニ四駆は日本一売れた自動車模型のシリーズ」という話に合わせて言われていたのだろう。
その後、最終記録は歴代3位になった様子。


漫画の活躍

大神研究所での最終決戦中、ブロッケンGの"ハンマーGクラッシュ"により大破したビクトリーマグナム。
しかし、その直前に土屋博士からの支給品である「液体パテ」で応急措置をしていたシャーシは無事だった。
烈が調べてみると、その液体パテにはZMCの粒子が入っていることが判明したため、烈の分も使って全体を修復した、いわば即席マシンである。
……なのにステッカーや塗装が完璧なのは何故か、などと野暮な突っ込みを入れてはならない。

その修理方法は
1.粉砕されたボディを、コクピットを軸にしてパズルのように組み立てる(ウイングは新しく作り直した)
2.パテを乾燥させる
3.発電機の高熱蒸気に手を突っ込んでパテを溶かし、はみ出したパテをナイフで削る*2
4.パテのおかげでほぼ無傷で残っていたシャーシに乗せて完成

途中なんかおかしいぞ。
この豪の命がけの修理で「なんとか形にした」結果、スタイリッシュな細身のボディが完成したのである*3

即席マシンにしては異常な程の高性能を誇り、なんとマシン後方からサイクロンが発せられ、近寄る事も出来ないチート仕様……だったが、すぐ破られた上に無かった事に。
世界大会中盤までは日本代表のエースマシンとして八面六臂の活躍を見せた。

しかしロッソストラーダ戦で最後の力を振り絞り勝利した後は、後継機「ビートマグナム」に生まれ変わる事になる。
ZMCパテで修復されたにもかかわらず壊されたことにはツッコんではいけない。



……が、本編の続編である『Return Racers!!』において
なぜか中学生時の豪がARシャーシ版を所持しており、ブルーメッキ塗装(!?)を施したブルーメタリックバージョンとして使用した。

とはいえ、そもそもMAX編最終話の時点でVマグナムとマグナムセイバーが市販されており、
彼の息子とされる翼が持っていたウィングマグナムがサイクロンマグナムのカスタムモデルとも取れるため、
市販されたサイクロンを豪が改めて入手したと考えれば不思議では無いのだが。
中学生がどうやってメッキ塗装を施したのかについてはツッコんではいけない。

ちなみにそのあと通常カラーのサイクロンマグナムを使用しているシーンがあるのでカラーは戻したのだろう。




アニメでの活躍

レイスティンガーに破壊されてしまったVマグナム。
当初はその残骸と開発時のVマグナムのデータから、大型製造機「Vプロジェクトマシン*4」でVマグナム自体を再造する予定だったが、豪は「俺のVマグナムじゃなくなる*5気がする」と拒み、Jも「もう一つのVマグナムを作るのと同じ」と理解を示し、研究所で見つけた「バーチャルシミュレートマシーン」の元へ案内する。

「最初の最初からやれば豪自身のマシン」として「バーチャルシミュレートマシーン」を使い、
その「Vマグナム」のデータを元にセッティングを進めていく。途中、カイ達がウイルスを仕込む邪魔が入るが、なんとか完成させる。
しかし、ウイルスの最後の自爆により「バーチャルシミュレートマシーン」が故障、残っていた「Vマグナム」のデータも完成した「サイクロンマグナム」のデータも完全に消えてしまう。

そんな中豪は自身の記憶を元に落書(ry……もといイラストに書き起こし、それをJがまともな設計図に纏め、Vプロジェクトマシンにデータを入れ込んで完成させた二人の友情の象徴となるマシン。
この時のVマグナムのボディキャッチ(ボディとシャーシを繋ぐ留め具)をサイクロンマグナムへと受け継がせたシーンで鳥肌が立った者も多いはず。

漫画とは違って「スーパーダウンフォースマシン」の異名を持つほどダウンフォースを発生させるマシンであり、
それによりコーナーや坂道でのがたつきを無理矢理押さえ込み、トライダガーの十八番であった壁走りも使用出来る程。

当初はテストもろくにしていないため、マシンがトップスピードに乗るまで時間がかかる、
さらにカウルがダウンフォースや風圧に耐えられず破損するという弱点があったが、Jと徹底的に空力を見直し、
残された強度問題も土屋博士の持ってきた「対バトルマシン用 プラスチック分子結合強化剤」を使い克服した*6

アニメでは世界大会に入るに従ってグランプリマシンへと生まれ変わり、最初からグランプリマシンとして設計された他国のマシンとも互角に戦い続けた。
ちなみにこの時ウイングの文字が機体名からチームロゴに変わったが、これを再現するには自作シールが必要である。


中盤のロッソストラーダとのレース中に中破、ビクトリーズの各マシンのパーツでマグナムを修復*7
サイクロントライコブラエボリューションハリケーンマグナム』に進化した。

圧倒的な速さで追い上げて逆転するも、マグナムは耐えきれずにフロントが大破しその役目を終える。
漫画版と同様に、(大径タイヤにしつつ可変機構を搭載したサイクロントライ(ryというコンセプトで)ビートマグナムへ生まれ変わる事となった。



現実での活躍

今でもフルカウルマシンはほぼ全て生産されており、勿論サイクロンも模型屋に行けば簡単に手に入る。ただしレースで勝つには腕が必要。

まず、スーパーTZは今でも十分通用する優秀なシャーシであるが、それは性能を100%引き出せる上級者の話。初心者~中級者は大人しくMSシャーシやスーパー2シャーシを使った方が遥かに速い。
サイクロンは現時点で最新のARシャーシに対応している数少ないボディの一つなので、手軽に速さを求めるならARシャーシで。
あくまでTZに拘るのであれば、長く険しい道であることを覚悟しよう。

また、バンパーにFRP等のパーツを取り付ける時や大径タイヤを取り付ける時、フロントカウルに干渉するため加工をしなければならない場合が多い。
が、上手く削らないとライト部分などが案外簡単にへし折れる上に見た目も悪くなるので、根気と注意力が必要となる。



そして2014年、遂に満を持して『サイクロンマグナム プレミアム』としてリニューアルが決定。
シャーシは現在最新にして、十二分にガチの世界でも通用するARシャーシを搭載、
ステッカーもメタリック調の物へと変化と、これ一台を丁寧に組むだけでも相当な走りが期待できるモデルと化している。

ハリケーンソニックプレミアムと同日発売で、この二台は限定ではなく通常生産。
そしてオリジナルのサイクロンマグナムも絶版では無い為、いつでも二つのサイクロンをユーザーは選べる事となる。
タミヤの長年の技術の結晶のARシャーシとメタリックステッカーで新たなる輝きを放つサイクロンか、
今でも技術次第では現役で通用するTZシャーシと懐かしの紙ステッカーを搭載した元祖サイクロンか。
どちらを選んだとしても、決してユーザーを後悔させないだけの魅力がある事には違いない。



長い歴史を誇るミニ四駆の中でもトップクラスの売り上げ記録を持ち、
また二次ブームの中核を担ったマシンであるが故に、限定版・カラーバリエーションも非常に多い。

  • ブラックメッキ
GUPとして発売。
人気機種であったが故に大量生産されたのか、今でもさほどプレ値が付いていない。

  • ゴールドメッキ
二次ブーム当時のコロコロコミック全員応募サービスでの品。
コロコロコミックを買って応募すれば誰でも手にいれられたが、逆の言い方をすれば、
その手順を踏まなければ手に入らなかった品でもあり、今現在美品を手に入れようとすると苦労するかも。

  • シルバーメッキ
限定GUPとして販売。
元の色に近い為、シールとのマッチングが絶妙。

  • ブルーメッキ
限定GUPとして発売した数年後に、リミテッドスペシャルシリーズの一環としてキット化。
非常に人気の高いモデルだったが、最近大会などでばら撒かれて随分と値段も落ち着いた。
そして2018年にはコロコロアニキ誌上通販としてプレミアム版が
こした先生オリジナルデザインのステッカーと共に発売された。

  • レッドメッキ
2002年のダンガンチャレンジin浅草ROXでのみ限定販売された。
ミニ四駆は超氷河期、ダンガンも黎明期の大会での限定販売であった為、
存在自体が殆ど知られて居ない幻のカラー。現物を拝む事すら難しい。

  • クリアボディセット
白部分がクリアになり軽量化した。ボディのみの販売でワンコインと税金分で買える。

  • グリーンクリア
大会配布物。事前告知もあった為、そこそこ出回ったようだが
かなり脆い材質で作られているようで、レースに使ってはいけない完全観賞用モデル
(実際にランナーの入っている袋の中にレースに使わないよう注意書きが入っている)。

  • パープルメッキ
福袋に混入されていた物。レア度はいまいち不明。

  • サイクロンマグナム21st
ゲーセンのプライズ限定として登場したもの。
限定ステッカーとTZ-Xシャーシを採用している為、厳密に言えばただのカラバリではない。
カラーはクリアブルー、クリアレッド、ブラック、ホワイトの4種。

  • サイクロンマグナムメモリアル フルカウルミニ四駆25周年記念
フルカウルミニ四駆25周年を記念した限定キット。
ポリカーボネート製のブリスター成形のボディとTZ-Xシャーシを採用している為、厳密に言えばただのry。
ちなみに、底面に「FULLY COWLED MINI 4WD 25th ANNIVERSARY」の記念ロゴが彫刻されている。
後に、ボディ単体がGUPとして2021年3月に発売予定。

  • サイクロンマグナム GRAHA TAMIYA 1st ANNIVERSARY SPECIAL
下記のサイクロンマグナムTRFの限定キット。
インドネシア「GRAHA TAMIYA」1周年記念モデルで、白のスーパーTZシャーシは強化タイプでボディはオレンジ。
オリジナルと同デザインのステッカーは、青の部分がオレンジに、フロントカウル横の青が銀に差替えられた物。

また、サイクロンマグナムをTRFが改造したサイクロンマグナムTRFも
発売されている。通常のサイクロンマグナムと値段は同じだが
●ボディが最初からある程度肉抜きされている
●ウィングが微妙に大きくなっている
●ステッカーやホイールカラー、フロントローラーのサイズ変更

と幾多ものマイナーチェンジが施されている。
性能に大差は無いのでデザインの好みで選ぼう。



サイクロンに魅了された方の追記・修正をお待ちしています。

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最終更新:2024年04月12日 16:36

*1 リアウイングが破損しやすいという面もあったが、ビクトリーマグナムの方が売り上げは上

*2 この工程が生まれた理由は最初こそ普通に削れていたのだが、パテが完全に固まってしまった事でナイフの刃が通らなくなったため

*3 現実でビクトリーマグナムからサイクロンマグナムを作る猛者もわりかしいるが、パテと新規ウイングだけでここまでやるのはかなり工程を必要としている。

*4 元々Vマシンはこの機械で作成された。

*5 そもそもVマシンは「使い手たる烈と豪によって独自にセットアップされたセイバーのデータ」を元に生み出されたことで「兄弟が造ったマシン」とされていたので、そこからさらに進化していた現状で素のVマグナムを再造したところで「あのVマグナム」の後継機にはなれない。いわばクローンに過ぎないのだ。

*6 土屋博士は最初からこれを使わせようとしていたが、鉄心は子供たちの自立を認め自分たちで解決できる範囲が終わるギリギリまで静止していた。残る問題がボディの素材レベルまで行ったところで寸劇をして強化剤を使用させた。

*7 ウィングはソニック、モーターとギアはトライダガー、プロペラシャフトはコブラ、センサー類はエボリューションから。その他出所不明の白いホイールになり、ボディキャッチが針金らしきもので代用されていた。なお、烈は「ソニックのウイングが合う」と言っていたが実際にはジョイントの規格が違うのでポン付けはできない。穴あけガイド用の凹み(本来はエアロハイマウントローラー装着用)はあるのでそれが使えるほか、コクピット上のインテークも干渉するので削る必要がある。