ガメラ(平成)

登録日:2010/03/12 Fri 01:51:58
更新日:2023/12/18 Mon 09:43:40
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最後の希望 ガメラ 時の揺りかごに託す
災いの影 ギャオスと共に目覚めん


ガメラは、大映(現:角川映画)が1965年に公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。
『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。
ガメラを見て、亀を飼い始めた人も少なくはないはず。
昭和版では子どもと地球の味方であった。

しかし、平成版では重厚なストーリーと息を呑むバトルシーンとは裏腹に数々のトラウマを子供に植え付けた怪獣でもある。

その正体は超古代のアトランティス文明によって自らが創造したギャオスを用いて人類の幕引きをしようとした者の野望を阻止するために、甲羅状の「器」に地球の超自然エネルギー『マナ』を収束させて創り出された一種の「生体兵器」とされている。
オリハルコンと思しき金属の勾玉を通じて人間と交信することが可能で映画では少女の草薙浅黄がこの役割を果たした。加えて祈りによるパワーアップや復活も行えるため、人間との絆はガメラにとって不可欠に近い。

しかし守るべき対象は人間ではなくあくまで地球及びその生態系であり、生態系の一部である人間のことも守りはするが地球環境に害をなす生物を倒すためならしばしば巻き添えにしてしまうこともある。
特に三作目では環境破壊が進んだことや大量に現れたギャオスへの対処に手が回らなくなりつつあったこともあって人間への被害に無頓着になり、結果として渋谷が壊滅することになってしまった。

その一方で逃げ遅れた子供をギャオスの光線から助けたり、自身を殺そうとした末にイリスに取り込まれた綾奈を救い出したりと年少者に対しては特別なものがある模様(この辺りは子供達の味方だった昭和ガメラに通ずるものがある)。
自己犠牲心溢れるナイスカメである。


なお、本シリーズのガメラはゴジラ VSシリーズ 及び平成モスラシリーズと同年代の製作である。
正確には、一作目は「ゴジラVSスペースゴジラ」と「ゴジラVSデストロイア」の間、二作目以降は平成モスラ三部作と時期が重なる。
またテレビでもウルトラマンティガが登場するなど、にぎやかな時期となった。
彼らライバルたちは該当項目を参照。



基本データ
分類:不明
年齢:推定1億5000万歳
体高:80m
全長:不明
甲羅長径:約60m
甲羅短径:約40m
体重:120t
大気圏内飛行速度:マッハ3.5
水中潜航速度:180ノット
歩幅:不明
エネルギー:プラズマエネルギー
生息地:深海の洞窟

攻撃技
ハード・スラップ
ラッシング・クロー
エルボー・クロー
ブレイク・ファング
カーフ・クロー
シェル・カッター

必殺技
  • プラズマ火球
体内にあるプラズマ変換炉を利用し、口からプラズマの火球を撃ち出す。
威力は高く、3では威力がかなり上がっている。
一作目では成長した中型ギャオスを一発で吹き飛ばし、三作目ではハイパーギャオスを渋谷ごと粉砕した。
またガメラはこれの連射を得意としており、三発連続で放つことが多い。実は三連発すると毎回避けられたり防がれたりしている

  • ハイ・プラズマ
一作目のラストで放った、通常よりも出力の高いプラズマ火球。
浅黄の祈りを受けてコンビナートの爆発エネルギーを全て吸収して撃ち出したものでギャオスの頭を吹き飛ばして大怪獣空中決戦に終止符を討った。
二作目で草体を爆破したときの草体の放つ高濃度酸素を大量に吸収して放った火球もこれと同一とされる。

  • ウルティメイト・プラズマ
究極超烈火球。究極の一撃とも称される。
『マナ』を世界中から収束して体内のプラズマ変換炉で膨大な量のプラズマに変換させ、直接開放した腹部から特大の熱線として放つ。
劇中での無色透明なマナが黄金色に光り輝くエネルギーの波となって日本に集約される描写が非常に美しい。
凄まじい熱量と威力を持ち、ガメラの体が反動で後退してしまうほど。

あらゆるものを粉砕するガメラ最強の必殺技だが、使用するにはマナを過大に消費しなければならず、その結果地球環境が加速度的に悪化し、ギャオスの耐久卵の孵化及び繁殖を爆発的に促進させてしまうという致命的すぎる欠点がある。
G3でのギャオス大量発生、そして変異体イリスの誕生はこれが原因であり、まさに使ってはならない禁断の必殺技だが、
宇宙より飛来したレギオンを倒すにはこれを使わなければならず、止む無く使用するに至ったと劇中でも推測されていた。

  • バニシング・フィスト
京都駅でのイリスとの決戦にて右腕を串刺しにされてDNAを吸収され、触手からプラズマ火球のコピーを撃ち出されるという絶体絶命の危機に使用。
右腕を自身のプラズマ火球で破壊し、放たれたコピープラズマ火球を右腕の断面で受け止め、炎の腕を作り出してイリスの抉れた胸部へ突き刺し、内部から爆破させた。

  • バーナー(本編未登場)

  • ホーミング・プラズマ(本編未登場)
両足を甲羅に納めジェット噴射で高速飛行できる他、甲羅に頭や手足を収納し円盤のように高速回転しながら飛行できる。
無論離着陸時には地表に影響が出ており、『3』では(作風もあって)多数の民間人を吹き飛ばした。
実はジェットの噴射口は肘や膝にあり、手足を出したままでもジェットを噴射できる(『1』の初飛行シーンで確認可能)。


また、平成三部作版ガメラは体を環境に適応させ、より戦闘に適したものに短期間で進化させていくため作品を経る毎にフォルムがより鋭利かつ怪獣らしい凶悪さをもつものになっている。

余談だが自衛隊に撮影協力を依頼し、
その見返りが『戦闘シーンでの自衛隊を格好良く映す』だったので基本的に戦闘機が落ちたりする描写がない。




主な作品

世界を滅ぼす悪魔『ギャオス』を倒すために復活。
巨大な動く環礁として太平洋を漂流していた際にプルトニウム輸送船「海竜丸」と接触し、人類に初めて認識される。

調査チームにより再び発見され、予言が書かれた碑文と勾玉を掘り返されたことにより活動を再開し、ギャオス捕獲作戦展開中の福岡ドームを襲撃。
逃げた一匹は倒せたが残る二匹は逃してしまう。

その後、碑文の内容から最後の希望『ガメラ』と命名されるもその巨体や福岡に少なからず被害をもたらした事から日本政府はガメラを敵と判断。
この時に発見された勾玉のうちの一つは女子高生の草薙浅黄の所有物となり、これがきっかけで彼女はガメラと交信できるようになるが、ガメラのダメージがそのまま反映されてしまうなどかなり危険なシンクロ状態となる。

瀬戸内海に潜伏後は木曽に飛来、ギャオスに襲われかけた米森・長峰らを助け、一匹をプラズマ火球で粉砕。

最後の一匹を追うも、自衛隊の総攻撃を受け富士山麓に追い詰められる。
さらにギャオスからトドメを刺されかけるも浅黄の祈りでこれをかわし、太平洋に逃走。エネルギーを蓄えるために休養する。

そして急成長を遂げ東京に巣を作ったギャオスを討つべく地中から登場。
そのまま低空・地上・成層圏・宇宙圏の激闘を繰り広げ、大気圏外からギャオスもろとも地上に落下するも足を自切されて逃げられ、自分だけコンビナート群に墜落。トドメとばかりのギャオスの追撃で一帯は爆炎に包まれてしまう。
だが、再び浅黄の祈りによって爆発のエネルギーを全て吸収し、超音波メスとハイ・プラズマの撃ち合いの末、頭部を吹っ飛ばして勝利。
浅黄の傷を癒すと一鳴き、海に帰って行った。
この時点で浅黄はガメラの心が見えなくなってしまったが、再びギャオスが現れても必ず来てくれると確信していた。


丸っこかった前作から精悍な姿に進化。エルボー・クローの突出や海亀のような高機動形態など純然にパワーアップしている。

地球外生命体『レギオン』が隕石と共に飛来。
札幌市近郊に落ちた隕石から『草体』と呼ばれる繁殖プラントがすすきので発芽し、自衛隊が駆除に乗り出す一方、ガメラが松島湾から浮上し数年ぶりに姿を現わす。
札幌へ飛来するとプラズマ火球で草体の破壊には成功したが、マザーを叩く前に夥しいソルジャーレギオンの群れに襲われ、全身を負傷し逃走。

数日後、三陸沖に落下した草体の種子が仙台で発芽。再び破壊のために飛来するも、ガメラ来襲を読んでいたマザーレギオンによって叩き落とされ、姿を現したレギオンと対峙。
だが避難民及び浅黄を乗せたヘリを守るべくレギオンの猛攻を自身を盾に守り、漸くヘリが飛び立てた直後にマイクロ波シェルで肩口を吹き飛ばされ、更に連発で放たれて惨敗してしまった。

しかしレギオンが去った後に満身創痍の肉体を引きずって草体の駆除に向かう。
高濃度の酸素が充満する中、草体に辿り着いて掴み倒し種子拡散を阻止したが間一髪で間に合わず大爆発が発生。直撃を身に受けたガメラは炭化したような仮死状態になってしまう。

「ガメラは生きています。必ず復活します。だって…」
「だって…?」
「ガメラはレギオンを許さないから…!」

足利市で自衛隊が総力を駆使してレギオンと闘う中、子供たちや浅黄の願いを受けて完全復活。足利市へ飛来し再びレギオンと対決する。
マザーは小型レギオンを呼び寄せてガメラを襲わせようとするも電磁波に惹かれる習性を利用されて誘導されタイマンとなるが、
自身の2倍以上の体躯にまで成長し、プラズマ火球すら無効化するマザーレギオンには防戦一方を強いられてしまう。
しかしレギオンの進撃を阻止しようとする動きによって自衛隊はガメラの援護を決断。対戦車ミサイルによって干渉波クローを破壊されたレギオンはプラズマ火球を完全に無力化できずにダメージを負い、更にマイクロ波シェル発射の瞬間を狙って焦熱する大角を両腕で捥ぎ取り、レギオンを倒した。

が、レギオンは起き上がると眼を赤く光らせて怒り狂い、奥の手のレギオンビュートを展開。自由自在に動く赤熱の鞭で全身を焼かれ、甲羅ごと身体を貫かれる。それでも食い止めようとするガメラをあしらい、遂にレギオンは最終防衛ラインを突破。
そしてガメラは、最強の必殺技『ウルティメイト・プラズマ』の使用を決断し、辛くも撃破に成功。
ラストの飛び立つガメラに向かって自衛隊員が敬礼するシーンは感動的。

また、ガメラが復活する際に浅黄のものを含め全ての勾玉は砕け、
これ以来彼女はガメラとの交信や祈りもできなくなった(ギャオス大量発生に備え、人間との関わりを断絶するため、という説がある)。


前作の精悍さから一変、まるで悪役怪獣のような剣呑で恐ろしい姿へ変貌。
地球環境激変によるギャオス大量発生で更に進化し、 プラズマ火球の数発で京都全域を焦土にしかけるほどの威力になっており、2の時よりも遥かに強力に、より生物兵器として進化をしている。
渋谷にもギャオスを追撃しながら飛来し、彼らの戦闘で渋谷は壊滅的な被害と一万人を超える死者を出した。今作トラウマシーンその一である。
踏み付けで片付くほど死にかけのギャオスにわざわざフルパワー火球を撃ったり、空を飛んでる相手に上から火球を放ったりと、戦い方が下手なのも一因
これにより日本政府はガメラを「明確な敵」としてとらえるようになってしまう。

一方、第一作でギャオスとの交戦中に家族を奪われ、
ガメラを憎む少女・綾奈が偶然封印を解いたギャオス変異体(かつて飼っていた猫の名前からイリスと命名)をガメラを倒すために育て始める。
が、イリスは次第に本性をあらわし、綾奈を自らに取り込もうとするも失敗。
その後イリスはキャンプ客(当時売り出し中だったヤンクミこと仲間由紀恵)、南明日香村の住民を捕食して成長。
綾奈との完全融合を求めて京都を目指して飛翔。空自、ガメラと空中戦を繰り広げる。
このシーンでの空自の戦闘機の回避力と格好良さは一ど見る価値あり。

最後はJR京都駅でガメラとイリスが巨大怪獣映画初の巨大怪獣同士の屋内戦(巨大でなければ怪獣同士の屋内戦は1996年の『モスラ』に前例がある)を展開し、ガメラはバニシング・フィストで右腕を失いながら辛くも勝利。
綾奈を咆哮によって目覚めさせると浅黄達へ一瞥し、日本に向かって飛来する大量のギャオスを迎え撃つため、ガメラは満身創痍で炎に包まれる京都を去った。


  • ガメラ4 真実
林家しん平監督により自主制作映画。
料金授受を行わないなどの条件の下で大映からも承認されている、平成ガメラ三部作の後日談。CGを中心に製作されている。

ガメラがイリスを撃破した直後、大量のハイパーギャオスが日本上空に飛来した。
満身創痍でありながら尚もギャオス群に立ち向かうガメラ、そして自衛隊。
しかし、圧倒的な手勢の前に自衛隊は苦戦を強いられ、
プラズマ火球を無効化する新種・アルビノギャオスと対峙したガメラは徐々に追い詰められていく。

この作品は自主制作映画として制作されたため、現在ではこの映画を見る事は不可能に近い。




因みに作中では触れられていないが、
平成三部作の世界において亀の先祖にあたる生物は恐竜と同時期に絶滅しており、シリーズを通して「亀」という単語すら登場しない。*1
スタッフも作っている際には亀の存在はないものとして映画を制作していたらしい。
但しガメラ3には亀の置物が密かに登場したり、玄武について触れられたりしている。
これらは、恐竜時代に絶滅したと言うことは化石ぐらいは残っているはずで、そこから想像されたものと考えられる。
(「想像」という熟語はもともと、の骨から生前の姿を正しく想い浮かべることから来た言葉なので、亀の化石から生前の姿を思い浮かべて神話の獣とし、置物とすることはあり得る。現実に竜はそんな感じである。)

「超古代文明との関わりが強い」「地球に害なす存在と戦う使命を背負っている」などモンスターバースシリーズのゴジラはこの平成ガメラから影響を受けたとおぼしき部分が多い。
また、キングオブモンスターズのコンセプトアートにガメラらしき怪獣がこっそり登場している。




――最後の希望・wiki篭もり、時の揺りかごに託す。災いの影、全消しと共に目覚めん。――

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最終更新:2023年12月18日 09:43

*1 実は『ガメラ3』での巨大生物被害審議会の資料に「亀の甲羅状の隆起」という記述がある。