戦闘力(ドラゴンボール)

登録日:2012/06/02 Sat 00:14:11
更新日:2024/04/08 Mon 12:22:22
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概要

漫画ドラゴンボール』のサイヤ人編から登場した、簡単に言うならば強さを数値化した概念。
初めてこの言葉が使われたのは地球に襲来したサイヤ人・ラディッツがかの有名な戦闘力たったの5か…ゴミめ…と言われたおじさんにスカウターを使った時であり、
地球人で言う所の「気」の大きさである。

表現の難しい「強さ」という概念を数値化した戦闘力は画期的であり、スカウターが廃れた人造人間編以降のキャラもファンの間で戦闘力の議論が行われる。
連載終了後も完全版コミックスなどで公式の戦闘力が設定されるなど、まさに男のロマンである。


スカウター

戦闘力の数値はフリーザ軍で普及している「スカウター」を用いて計測される。
ヘッドマウントディスプレイの一種で、対象の戦闘力数値のみならず距離・方角をも探知するレーダーとしても機能し、さらにスカウター同士の通信装置としても使用可能。
ただし計測には限界があり、対象の戦闘力数値が一定を超えるとオーバーロードを起こし焼き切れてしまう。
旧型スカウターでは約22000まで。新型も大幅に向上したとはいえやはり上限がある。*1
なおこの装置はフリーザ編以降登場しないため、同時に「戦闘力」という単語もほとんど登場しなくなる。
ドラゴンボールにおいて高い知名度を誇る戦闘力だが、実質的にはサイヤ人編からフリーザ編までの用語と言える。

前述の通り、物語の中で最初にスカウターを使ったのはサイヤ人のラディッツ
この頃の孫悟空の数値は平常時で334、重い道着を脱いで416、かめはめ波を放つために気を高めた状態が924に対し、
ラディッツ本人は1500(ただしこれは裏設定)と桁外れに高かった。
この設定があるからこそ、悟空が道連れで死んだ事にも納得しやすい……かもしれない。


「気」と「戦闘力」

スカウターで測れる戦闘力は表層的な力のみであり、気をコントロールできるナメック星人やZ戦士にはあまり有効な情報にならない。
劇中では気をコントロールできる者自体が稀有な存在として言及されている。
前述のように気の変化を伴わず重い道着を脱いだことで戦闘力が上がったり、逆に後述するようにまだ戦闘力のコントロール法を知らないはずのサイヤ人編のベジータやナッパの気が高まったことにZ戦士が言及するシーンが存在するため、
「戦闘力」と「気」に関係はあっても直結はしておらずある種のズレがあるらしい。
…もっともこのスカウターが使われていた時期はZ戦士と敵側に圧倒的な戦闘力差があることも多く、このズレがあるから有利になる事はあまりなかったのだが。
また、スカウターが登場しない時期はもっぱら気の大きさで強さが表現される。

なお、「技を放つために気を高めると戦闘力が上がる」というのは地球やナメック星等特有の技術であるようで、ラディッツはかなり驚いていた*2
地球の戦士たちも鹵獲したスカウターから戦闘力の概念を知り、技を出す前に限らず気合で戦闘力のコントロールが出来るようになっていた。
これは単に瞬間的に戦闘力を高めるだけでなく、スカウター対策として徹底的に気を抑えて気配を殺す事でスカウターによる発見を避ける事も可能。


サイヤ人襲来編

ラディッツを撃破した一年後、新たにナッパベジータの二人のサイヤ人が地球に襲来する。
どちらも原典では正確な数値に乏しいが、ベジータはドドリア曰く「あいつは18000がやっと」、ナッパは4000(こちらは原典では言及されていない)とされる。
たった一年の間に敵の戦闘力は1500から倍以上と10倍強に跳ね上がり、悟空以外の戦士達は次々と倒れていく。ヤムチャシヤガッテ……
地球の戦士たちがナッパ一人に壊滅状態に追い込まれる中、死に瀕する事で戦闘力を増す事で有名なサイヤ人である悟空は界王様との修行もあり大幅に戦闘力を上げ帰還。
さらに戦闘力を数倍に引き上げる元祖チート技・界王拳を習得し仲間を傷つけたナッパ様を瞬殺、ベジータとの死闘を繰り広げる。

前述したように戦闘力は強さの指標の一つだが、それが戦闘の全てではない。
例えば栽培マンの戦闘力は1200だが、溶解液や自爆といった戦闘力で上回る相手をも倒し得る能力を備えている。
また、この時の悟空の素の戦闘力は8000以上、ナッパ4000、ベジータ18000。数値をそのまま当てはめるなら4倍界王拳の悟空が32000となっており、
後のフリーザ編を考えるとこれほどの戦闘力差でナッパやベジータを瞬殺できない時点で、戦闘力は表面的なもので能力や耐久力は考慮されていない事が分かる。
悟空も両名それぞれを「タフなやろうだ」と評するほど。

数値的には一年前の70倍以上にもなるが、ドラゴンボールにおいてこの程度はまだ序の口である。


フリーザ編

ベジータを撃退した後のフリーザ編ではナメック星に舞台を移し、悟空不在でありながら汚い花火ことキュイは18000(当時のベジータと同等)、悟空との死闘から回復したベジータが24000とFF4ダンジョン並の推移を見せる。

なお、ドラゴンボール超 ブロリーでのフリーザの発言によると戦闘力2000で「なかなか優秀」な方らしい。
フリーザ軍の一般戦闘員はピンキリだとは思われるが、ナメック星人たちに対しての「戦闘力がたったの1000で、俺らとやり合えるとでも思ってるのかよ!?」という発言と、
ナメック星到着時のクリリンと悟飯(共に開放時戦闘力1500)に1発で倒されてザーボンが1500を強いパワーと評した点、そもそもナメック星に来ていた一般戦闘員はフリーザ直属の護衛に抜擢されている以上
ピンキリの一般戦闘員達の中でもキリを連れてきていたとは考えにくいため、1500とされるラディッツは一般戦闘員としては無茶苦茶強い部類に入る。
衰退後のフリーザ軍でも「戦闘力1000以上」をスカウトの条件にしているので、ここが一つの基準であるようだ。

ナメック星人は戦闘タイプでない若者の戦闘力でも1000〜3000と高水準。ラディッツ戦時のピッコロさんを遥かに上回っている。*3
かつてはラスボス格だったピッコロ大魔王とかマジ井の中の蛙状態である。
地球で修業に励んでも本来の居住地の非戦闘員に劣るのだから地球の戦闘力レベルは相当低いということになるが、その反面、Z戦士たちは戦闘力が遥かに上の相手にも異常に粘る傾向があるため、
地球の武術は「戦闘力を上げること」よりも「戦闘力が上の相手との戦い方」に重点を置いているという説もある。
力の大会(ドラゴンボール超)でも亀仙人がそれを裏付けるような発言をしている。
また、ナメック星人側としても6つある村落の内4つがフリーザ達の手で一般戦闘員を苦戦させる事無く壊滅している以上、それらの村落には上記の戦闘力のナメック星人はいなかったと見て間違いないので
むしろ戦闘力1000~3000の若者3人はピッコロを除くナメック星人全体で4本の指に入る実力者だった*4事になり、ナメック星人の平均的な戦闘力が1000~3000という事にはならない。

一方、宇宙船の中で100倍の重力下でかめはめ波を曲げて自分に直撃させるなどのドM仕様の特訓とダメージを乗り越えた悟空は、
ベジータを子供扱いしたギニュー特戦隊のリーダー・ギニューの最大戦闘力120000をぶっちぎる180000という圧倒的な戦闘力を身につけていた。
ちなみに界王拳を使ってこの数値ではあるが、悟空本人の申告では「瞬間的に引き出せる力はこんなもんじゃない」との事なのでこの時点で悟空自身が限界と決めていた10倍界王拳は使っていない。
ただ、逆に界王拳を使わない、素の悟空の戦闘力は90000とのこと。

ドドリア曰く、ナメック星人のように戦闘力をコントロールできる種族はめったにいないタイプで、
ギニューは悟空との戦闘時に自分もそれができるタイプであることを告げていた。

かの有名なフリーザ様の名言「私の戦闘力は530000です」が生まれたのもこの時期であり、インフレの兆しはすでに見え始めていたと言える。
ちなみに、ナメック星人で最強の戦闘タイプであるネイルの戦闘力は42000。ベジータ(笑)である。フリーザ本人かギニュー特選隊レベルでようやく上回るという戦闘力であり、仮にフリーザたちがナメック星に来なかった場合、ベジータが無事にドラゴンボールを集められる可能性は低かっただろう。

そして、530000という圧倒的な戦闘力を誇るフリーザ様との決戦において衝撃の事実が判明する。
なんとフリーザは、変身する事で戦闘力が跳ね上がる宇宙人だったのだ!ザーボンが口滑らせてたけど

その上

「オレはその変身をあと2回残している。この意味がわかるな?」



王子じゃなくても戦闘力5以下のオレらは泣きたくもなる。


1回目の変身では戦闘力100万〜120万。クリリン(7万)、悟飯(20万)、ベジータ(25万)を圧倒し、
サービス精神旺盛なフリーザ様は角でクリリンをゆっさゆっさしアニメを見た子供達にトラウマを大サービス。

2回目の変身では戦闘力150万以上。ネイルと融合し、「オレが宇宙一だ」と粋がるピッコロさんをスピードで圧倒。

最終形態では一度死にかける事で戦闘力が大きく上昇したベジータを絶望させ、ギニュー戦から回復し300万の戦闘力を得てチート技・10倍界王拳を使う悟空をも弄ぶ。
この最終形態での戦闘力は50%の状態でも6000万を誇る。

圧倒的っ……!戦闘力っ…………!インフレっ……!


そして、クリリンを殺された怒りで悟空が超サイヤ人に覚醒。
その戦闘力はついに万の位を超え、「100%中の100%」フリーザ様の1億2000万を上回る1億5000万に到達する。


この辺りまでで、劇中では地球でベジータを撃退してから数ヶ月の出来事である。
戦闘力約20000前後が、数ヶ月で1億5000万……ナメック星編がインフレを加速させたと言われるのも納得の数値である。
ちなみにピッコロさんが本気を出そうとした矢先にフリーザが2回目の変身を宣言してついに戦闘力100万クラスでも全然足りなくなってしまった回のサブタイトルが「はてしないエスカレート!!」。全くその通りであった。

USJのアトラクションには蘇ったフリーザが登場。PVでフリーザいわく「今度の私の戦闘力は53億です」。
昔の第1形態の1万倍、最終形態100%と比べても44倍以上である。
どの辺りの頃の強さ準拠か不明ではあるものの超サイヤ人化したベジータや悟空よりも強くなっているが、悟空の元気玉に敗れた。
ちなみにフリーザ様の戦闘力については、声を担当する中尾さんが「ゴールデンフリーザで1垓(10の20乗)」との解釈(53万から数えて190兆倍!)を示しているが、これは否定されても公式設定ともなっていない*5


ちなみに、魔人ブウ編でバビディ一派が使っていた戦闘力を計る単位「キリ」も存在する。天文学的に膨れ上がってしまった戦闘力をリセットする意味合いもあってか超サイヤ人の悟空で3000キリとかなり数字が小さくなったが、使用していたのが作中ではバビディのみでそのバビディも早々に殺害されてしまったため使用期間が極めて短く、戦闘力ほど普及することもなかった。なお、キリを戦闘力に換算するとどれくらいなのかははっきりしていない(一説によると1キリ=戦闘力5万程度ともされる)。

戦闘力たったの5…ゴミめ…なんだと!?

漫画原作で最初に戦闘力の概念や数値が登場したのは前述のとおり
戦闘力たったの5…ゴミめ…」と言われて殺されたかわいそうなおじさんだが
原作で戦闘力の概念はともかく戦闘力の数値を出された最後の人物は誰か覚えているだろうか?

人造人間編の序章で、地球に来たコルド大王やメカフリーザの前に現れた謎の地球人に対して
フリーザが自分の部下に排除を命じたところ、その部下がスカウターの数値を見ながら
戦闘力たったの5…ゴミめ…」とやる気なさげにエネルギー弾で殺そうとしていた。
もちろんご存じの通りこちらのケースは地球人の平均相当まで戦闘力を故意に落としていただけであり
コルドやフリーザの直属である以上ラディッツよりは格段に強いと思われる部下を瞬殺し
そのままフリーザたちも倒してしまった。
ほとんど同じセリフなのだが戦闘力が低い奴を侮蔑する口調として流行ってるのかな?ゴミを5ミにかけてるのか?
作者が意図していたかは不明だが、
「たったの5か…ゴミめ…」と言われて殺されたおじさんに始まり、
「たったの5…ゴミめ…」と言った側が殺されて終わるという妙な対比になっている。

劇場版

意外にも劇場版で戦闘力を言及する場面が少ない。言ったとしても「すごい戦闘力」などの曖昧な表現が多い。
メタ的には戦闘力を測るスカウターを持つキャラクターはフリーザ一味の関係者以外には出しにくいことや、下手に戦闘力を決めてしまうと本編のキャラより強い弱いがわかってしまい、緊張感にかける、強さの設定面での辻褄合わせに苦労してしまうなどがあると思われる。

例外がターレスの登場した『地球まるごと超決戦』。
現在となってはややパラレル色の強い作品であるが、ターレスが戦闘力でこちらを判断してくるシーンがあるのである。
このときは悟飯が1万、ピッコロが1万8千であり、この二人は全くターレスに敵わないのだが、悟空はなんと3万。界王拳も使ってない状態でこの数値であり、しかもまだ上がっていっていたという。
流石のターレスも圧倒されるが、神精樹の実でパワーアップしたあとは一変。10倍界王拳すら軽く叩きのめすほどに強くなった。

その他の作品では『とびっきりの最強対最強』でクウラ機甲戦隊が尻尾の掴まれた悟飯を「たったの50」(初期の悟空やその辺のおっさんより強い!)、悟空を「大した戦闘力じゃない*6」と称した程度。

【同義語】

他には、間接的に強さを表す「懸賞金」と言った例も。
なお、超人強度や懸賞金、捕獲レベルは戦闘力と違い、純粋な強さには直結しない。また似たような例としてニンジャソウル検出器によって「カラテ」「メガカラテ」の単位で示される数値も厳密にはニンジャソウルの残留濃度であるため、厳密な戦闘力とは異なる。
ちなみに、影響力の強さから勘違いされがちだが、「強さを数値で表す」という表現を最初に始めたのは「戦闘力」ではなく「超人強度」の方である。
さらに元を辿るならば、鉄腕アトムの「馬力」が挙げられるかもしれない。
(10万馬力のアトム100万馬力のロボットに立ち向かうため改造してもらうエピソードがあり、この流れは超人強度や戦闘力を上げるため四苦八苦するジャンプ漫画の展開に類似している。)
TRPGの『トンネルズ&トロールズ』では、主にモンスター用としてMR(モンスターレート)というHPと攻撃力を合計した能力値が使われる。



私の追記・修正力は530000です。

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最終更新:2024年04月08日 12:22

*1 ベジータとフリーザの初交戦時に破損。大雑把に見積もっても53万の計測には耐えられないようだ。

*2 サイヤ人やフリーザ一味の技をよく見ると、「溜め」がなく即座に放つ技ばかりである。ベジータがかめはめ波をギャリック砲とそっくりだと驚いていたのも、ギャリック砲もかめはめ波も彼らにとっては珍しい気を溜める技であったためであると言える。

*3 ただしピッコロの名誉のために説明すると、最長老やネイルが「善と悪のピッコロに分かれさえしなければ地球に来たサイヤ人には十分勝てた」とも語っているため、分離で相当弱体化したことがうかがえる。事実、人造人間編で再融合した際は圧倒的なパワーを手に入れていた

*4 ベジータが襲った村に同様の実力者がいた可能性はなくはないが、相手が悪すぎる。

*5 もっともこれは、その時の発言から数字の桁である「垓」とナイス「ガイ」をかけた冗談であると思われる

*6 その後でサウザーが瞬間的に戦闘力が上がるタイプと推察している。

*7 これとは別に霊の強さを指す「霊力」と呼ばれる数値も存在するが、話が進むにつれて重視されなくなっていった。

*8 厳密には魔力・武力・知力の合計値を指すが、次第に合計値のみが扱われるようになった。

*9 「ジャイアント馬場」の略。1ジャバでジャイアント馬場1人分の強さを表す。