完全生命体イフ

登録日:2011/03/01 Tue 14:10:03
更新日:2024/04/20 Sat 02:31:24NEW!
所要時間:約 7 分で読めます



※推奨BGM:ショパン「別れの曲」





イフ「ギャオオオオオオオオ!!」

*1

次回、ウルトラマンマックス


三番惑星
         





※この項目には本編のネタバレを含みます。閲覧は自己責任でお願いします。





我々は、決して開けてはならない『モノ』を、開けてしまった ――ヒジカタ隊長



◆完全生命体イフとは

テレビシリーズ『ウルトラマンマックス』の15話「第三番惑星の奇跡」に登場する生命体。
一応怪獣ではあると思われるのだが、デフォルトと思われる形態に生体反応がない為、「完全生命体」という位置付けとなっている。
余談ながら、「完全生命体」の二つ名を掲げた怪獣としてはデストロイアが有名。

容姿はデカくて白いマッシュルームそのもので弾力がある。




◆作品中での活躍

当初は宇宙からの飛来物であるが、落ちただけで何の反応も示さず、
落下した付近が居住地区に近い事もありDASHの調査対象となっただけの『物質』であった。

しかしカイトが棒でつついても反応が無く、更にどのセンサーにも反応しない事から問題無しとし、
焼却処分となり上空から焼夷弾を投下し全体を燃やそうとした。

しかし………



以下がネタバレ







ヒジカタ隊長「変身した……!?」

エリー「コレは、受けた攻撃に応じて、」

ヒジカタ隊長「…何?」

エリー「火で焼こうとしたら火を吹くものに、ミサイルで攻撃したらソレを発射するものになったのでは」

ヒジカタ隊長「…ということは、攻撃をすればする程?」

エリー「その分強力になってしまう可能性があります」


焼夷弾を受けた瞬間変貌を開始し、容姿が変化。
トゲの塊の様な姿、「第二形態」に変化し周囲に敵を追尾する火炎弾を吐き出し周りを焼却し始める。
DASHが直ちに撃破しようと、戦闘機からミサイルやレーザーで攻撃をかけると岩で出来たタタリ神の如き姿、「第三形態」に変化し周囲に火炎弾、ミサイル、レーザーをばら撒いて暴れ回る。
地上からレーザー銃で攻撃を掛けると、目からもレーザーを出せる様になる。

イフの最悪の特性を理解したヒジカタ隊長は即座に攻撃停止命令を下すがもう後の祭り。
攻撃を立て続けに吸収し凶暴化したイフは都市部へ目掛け侵攻を開始。
そのまま暴れ回るがここでウルトラマンマックスが登場し、必殺のマクシウムカノンでイフを木っ端微塵にしたのだが……、



跡形も無く吹き飛んだ筈の怪獣は、全身を荘厳で禍々しい怪獣の姿である、「第四形態」に再構成して復活*2





コピーしたマクシウムカノンをエネルギー切れを起こす事無く連射してマックスを圧倒し、
マクシウムソードで反撃されると体からマクシウムソードを連続で撃ち出し、遂にはマックスを返り討ちにしてしまった。

その後はDASHが対策を練るも、世界中の兵器を集めて攻撃したとしても、それをそのまま返してくるであろうイフ相手に成す術がない。
出現地域一帯が焦土と化した。
その圧倒的な力の前にヒジカタ隊長は絶望混じりで「恐らくアイツは…地球上に存在する全ての兵器を集めて、一斉に攻撃を仕掛けても……ソレを全て撃ち返すモノに育ってしまう」と焦土と化した街を眺め呟いている。


参考までに書いておくと、当時発売された資料には、マックスの必殺技のマクシウムカノンは「対象を電子レベルまで分解」してしまうという驚異の威力だった。
当然イフも電子レベルで分解された筈である。正に完全生命体の名に相応しい。


この「完全生命体」の前に全てが絶望に沈む筈だったが、事態は一人の少女によって思わぬ方向に向かう事になる。



この回における円谷スタッフの力と魂の込め具合を是非観て欲しい。






但し、一つだけ忘れて欲しくない事がある。
イフにより街は焦土と化したのではない。

我々人類の兵器の力があれだけの被害を出せるものだったというだけなのだ。

ウルトラマンマックスの技については違うと思うものもいるだろうが、
それも逆に「ウルトラマンはこれだけの破壊を引き起こしうる存在」という証明にもなっている。


イフが何故現れたのか、何故存在するのか、劇中では語られていない。

だが力を持つという事がどういう事か、それを教えてくれる生命体であった事だけは間違いないだろう。




【解説】

ちなみにここまでイフの事を書いてきたが「怪獣のページなのに、身長や体重のスペックが無いのは何故?」と思った人はいないだろうか。


書く意味が無いのだ。


作中では攻撃を受ける度に強化され、全長は4〜54m、体重に至っては3万2千トンから4万9千トンまで変貌したものの、
あくまで「イフは何かしらの刺激を受ける度に変化し続ける存在である事」しか描かれておらず、
公式でもイフの能力の限界について語られたことはないのだ(「第三番惑星の奇跡」のテーマを考えると限界が無い可能性もある)。つまり、「あの第4形態ですら未完成である可能性が極めて高い」

もし、マックスの技よりも更に強力な攻撃を受ければどうなってしまう事やら...


「因果律を操作する」「歴史を改変する」「イフをいなかったことにする」等の手段なら、万が一にも対抗出来るかもしれないが、
魔デウスという怪獣がいる事と、イフの能力の限界が設定されていない以上、
イフが因果律操作や歴史改変で受けた影響を返して相討ち、もしくは「『最初からイフがいなかった事にした』という事を無かった事にした」になる可能性も否定出来ないのだ。

「第三番惑星の奇跡」の結末も併せて考えると、此奴は誰かが手出しをしない限りは何もしない、全くの無害な白い塊の姿であり続けるのだから、
“イフを倒そうと思う事自体が誤り”であり、“無駄の極み”なのかもしれない。

と言っても、劇中では攻撃を返しているだけなのでスパークドールズにするといった封印等には弱い可能性があり、
また自然に出来たブラックホールや隕石等といったものにも反応するのかは不明である。

つまり、ここまで出来ると書かれていない為、過剰評価されている可能性も無い訳ではない。
また、イフは受けた攻撃をそのまま返すだけであるので返した攻撃が攻撃してきた相手に通じなければ相手を倒す事は出来ない。
また、攻撃をしなければイフも攻撃してこないので、攻撃さえしなければ完全に無害であり、極端な話、一般人でもイフを無力化できると思われる。
最強というよりも、「無敵」と言った方が今の所は正しいのかもしれない。

最強議論する際にはこれらの事も頭に入れて議論して、荒れない様にしよう。


また、「結局イフは何者だったのか?」もよく議論の的となる。
が遣わせた天使・使徒だったのではないか?」「神そのものだったのではないか?」等諸説あるが、
地球に来た理由については、「何らかの理由があったとすれば、その理由は『人間の傲慢を戒める為』あるいは『力の意味を人間に理解させる為』だろう」との見方が大多数を占めている様だ。

この他、少数意見ではあるが、
「何処かの宇宙人(もしくはその同族)が防衛チームとウルトラマンを自滅させるために送り込んだ刺客ではないか*3
「危険な文明を持つ攻撃的な生物を一方的に裁く為の生体兵器ではないか」
「他の惑星がその能力を生かして惑星同士での戦争で使うための生体兵器が何らかの事故(もしくは性能テスト)で地球に来たのではないか」
「攻撃性等が微塵も無い種族が楽しむ為に造ったのではないか(作中の有様は地球人の獰猛さが生み出した予想外の事態だったという事になる)」
「宇宙人が危険な文明を滅ぼしつつ、友好的な文明とは交流する為に造ったコミュニケーションツールではないか」
さらにはメタな視点から
「不毛な最強議論に明け暮れる者たちを嘲笑し、おちょくるための存在ではないか」
という説も見られる。

劇中で判明しているのは「刺激を反射する」でしかなく、イフ自身に意思や感情があるのかそれすらも不明である為、今も議論の決着は付いておらず、話が話なので決着が着かない方が正しいのかもしれないが……。


ウルトラマンF

ゼットン星人にハイパーゼットンの食料として異世界からM78世界へとやって来た。
何も知らない科特隊の攻撃を受けては進化し、それをそのまま返すと言う事を相変わらずやってのけ、
科特隊は様子見をする事になる。

またここでの描写により、マルス133の様なスぺシウムを用いた光線兵器を食らった場合は、
両腕が剣の様な形状に変化した後スペシウム光線に似たポーズで相手に返すという事が判明している。

その後、ハイパーゼットン(コクーン)と遭遇し、暗黒火球を食らってしまう。
即座に再生し進化しようとするが、進化する前に再度攻撃を食らい粉砕、更に再生を――を繰り返す。

掲載誌が『S-Fマガジン』というのもあってか、人間の細胞に分裂回数がある様に、
イフの再生回数にも限界があるという設定が追加されており、最終的に完全に粉砕され、粒子状態にされてしまう。
その後はハイパーゼットンに吸収されてしまった。

なお、この描写についてのファンからの質問に小林泰三氏は、
あの描写は「イフの再生回数に限界がある」という井手隊員の推測も短く纏める為のものであり、
実際にはイフは倒されてはいないが、再生までに一定の時間が必要なので、その隙をついてハイパーゼットンが吸収しただけである

と回答している。

実際単行本化の際にはこの発言に沿う様な形で加筆が施され、「イフの再生には限界がある」等の設定は削除された代わりに、
「再生途上の形態を繰り返し攻撃したので再生機能が疲労状態に陥って速度や精度が劣化し、再生を開始するまでの間は光の粒子状態になった
と改変された。

また「ハイパーゼットンは吸収した怪獣の力を借りているだけで、その後の再分離も可能である為、吸収した怪獣を殺している訳ではない」とも発言しているので、あれでイフが死んだという訳ではない模様。
ただこのイフがマックスに出ていたものと同一の能力値・個体であったかは小林氏から言及がない為不明。

とはいえ、前述の通り倒すことが出来ない……というより倒そうと考える事自体に意味がない設定のはずのイフを
設定はどうあれこのような「力技で倒すことができてしまう」ような描き方をした事について、
「原作エピソードの本質を蔑ろにしている」と著者を批判する声は決して少なくはないのも事実。
『マックス』に登場したイフを本作同様の手段で対処できるかどうかは、果てしなく微妙なところと言わざるを得ないであろう。
というか仮にできたとしても、さらっと書いてはいるが「暗黒火球クラスの火力をイフの再生速度よりも早く連射してエネルギー切れを起こさない」なんて芸当ができる奴がハイパーゼットン以外にいるのかという問題があるが。



【最後に】

この回の翌週は、宇宙化猫タマ・ミケ・クロが登場するマックス一のカオス回「わたしはだぁれ?」である。



イフの物語の結末を知った方は追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 02:31

*1 この回の次回予告はストーリーのナレーションが無く、爆発するビル群が映された後咆哮をあげるイフの画になり、「別れの曲」をBGMに、火の海となった街、それを見下ろすダッシュマザー、火の海の街を彷徨う少女と場面が切り替わる。その後、佐野史郎氏による次回のサブタイトル読み上げが淡々とした口調で行われる。

*2 ネット等でよく見る怪獣然としたイフのビジュアルは、この第四形態のものである。

*3 しかし、作中では、そのような描写は全く見られない上それだと「何故最初はあの無害な姿で送り込んだんだ?」という疑問が発生する