爆導索(遊戯王OCG)

登録日:2011/02/05 Sat 21:56:37
更新日:2023/10/14 Sat 19:31:31
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《爆導索》
通常罠
このカードがセットされたフィールドの縦列全てにカードが存在する場合に発動できる。
その縦列に存在するカードを全て破壊する。

CYBERDARK IMPACTで登場した通常罠。
同パックで多数登場したカードの位置を参照するカードの一枚であり、自分・相手フィールド上の縦列のカードを全て破壊する効果を持つ。
単純に使うだけでも、2:2交換に持ち込める。
真剣勝負で心理戦を引き起こせる稀有なカードである。


「爆導索の縦列にお前いるからパンチな^^」

「“爆導索の縦列”なんであなたの手札を破壊します^^」

とかやった覚えはないだろうか?
そんな人にはとても思い出深いカードである。





あなたを
サテライトキャノン






Q:このカードの発動にチェーンして、このカードを対象に《サイクロン》を発動しました。
この時、このカードの効果解決時にこのカードは墓地にあるので、
その縦列にある自分のデッキと、相手のエクストラデッキ・フィールド魔法を破壊しますか?
また、《マクロコスモス》を発動していた場合はどうなりますか?

A:調整中


なんで?

聞く方も聞く方だがこんな答えをする方もする方である*1


この裁定が通れば、セルフデッキ破壊とかができる。

普通のカードゲームなら常識で考えて出来ないはずだが、そこは遊戯王なので常識外れなことが多々ある。

また、マクロコスモス影響下で除外した時、除外領域を相手のエクストラデッキの横相手のデッキの横にすれば、
相手のエクストラデッキ、相手のデッキ、相手の魔法・罠全てを自由に破壊出来るかもしれないのである。

しかし遊戯王ではよくあることなので仕方がないのかもしれない。





と思ったらそんなことなかったぜ!

A:このカードが効果発動時にセットされていた列のカードを破壊します。《マクロコスモス》の場合も同様です。
……という裁定が現在は降りているため、前述したような事態にはならないのでご安心を。



+ まじめな運用に関する昔話
このカードが登場した「CYBERDARK IMPACT」(2006年8月10日)の時期はまだシンクロ召喚すら存在しない頃。
リンク召喚が存在する今とはルールもゲーム性もまったく違うことを念頭に置いてほしい。

「CYBERDARK IMPACT」ではカードの位置そのものを参照するカードが登場し、その後も数を増やした。つまり厳密にカードの位置を指定しなければならなくなった
本来なら優秀な2:2交換カードである爆導索の被害を未然に防ぐため、モンスターと魔法・罠をずらして置くという「爆導索警戒」というプレイを行うべきである。
しかしこれはぶっちゃけネタの範疇として扱われていた。「爆導索警戒でずらして置きます!」というアピールをするだけで相手が「変な人だな」と笑うような時代だった。
つまり爆導索警戒は、洪水が怖いので浮き輪をつけて通学・通勤するようなレベルの過剰警戒だったのだ。なにせカードの位置を参照するカードは非常に弱かったので、まともな人間は絶対に採用しない。
リンク召喚がある今と違って当時はカードの位置を気に掛けるようなプレイヤーなんているわけもなく、デュエルマットも用意しないのが当然の時代なのでほとんどのプレイヤーは手癖で置いていた。
そしてデュエルマットを用意していたとしても、ほとんどのプレイヤーはプレイ感を優先してどこかしらの列を中心に置いていくことになる。
つまりカードの位置なんてまともに気にするプレイヤーの方が少数派だった。だからこそ相手はこのカードの存在なんて次第に忘れていく。

そのため、爆導索は相手の人生で最初の一回だけは非常にかましやすい。
いざ発動してやると、相手は唖然とする。話だけは聞いたことがあるけれど、まさか本当に使ってくる相手がいたなんて。
そしてギャラリーは騒然とする。やりやがった!爆導索だ!ほんとにやりやがった!
そして以降は、後述のCOOLな心理戦が始まるのである。

たいていの場合は、相手は爆導索を二度と発動されないようにできる限りカードをずらして置く。
そしてもしずらさないで置いた場合はその後ろは絶対にフリーチェーンのカード(当時だとほぼサイクロン)だと分かるのである。それだけこのカードが与える心理的な打撃は大きいのだ。また、装備魔法や《リビングデッドの呼び声》は必ず縦に揃えて置くようになる。
さらに相手がすでに1枚置いている列に、こちらがこれ見よがしに縦列を揃えて2枚のカードを置くと、相手は絶対にその列に最後の1枚を置かなくなるというのも面白い。
こいつは爆導索をかましてきた相手だから注意しなければならないと、相手はありもしない爆導索の影に警戒するようになるのである。

ただし発動できるかどうかが結局対戦相手の手癖、つまりカードゲーム以外の部分に大きく依存する効果。
モンスターと魔法・罠をずらして置くようにするだけで簡単に対処できてしまうので、一発ネタの域は出ない。
こちらが爆導索を使ってくることを知っている相手や、他の人にすでに爆導索童貞を奪われている相手の場合、「爆導索警戒」なんて言葉すら言わずに露骨にずらして置くようになるので爆導索をかませない。
そして周囲の人間の爆導索童貞を奪い尽くした後、このカードは発動すらできなくなるのでデッキから抜けてしまう。まじめに使うとそんなカードである。


さて、デュエルマットを使用しない時にこのカードを使う際は、とにかくフェアプレイを心がけなければいけなかった。
こちらはいちゃもんをつけているわけではありませんよ、ということを常にアピールしなければならないからである*2
そしてもし爆導索を間違いなく発動できるような状態になったときは、普通のカードゲームではなく何か正当なやり取りが行われるように相手に声をかけるのだ。

「ちょっと待ってください。今マットがないけど、これ一列に並んでますよね?」
普段なら絶対に気にしないようなことを突然たずねられた相手は、期待しながら「はい」と答える。そんなことを気にする事情はたったひとつしかないからだ。
あとは先述のように大盛り上がりってわけ。

しかしマットなしでプレイする場合はカイジの地下チンチロ編みたいなもんで、ギミックそのものではなく「それが自分以外に認められるか」が問題になるというとても疲れるカードである。
こちらの言い分がいちゃもんに近い場合、相手やギャラリーは絶対に納得してくれない。こちらが正々堂々かつマナーよく戦っている場合、相手がずらそうとしてもギャラリーがそれを諫めることがある。
だから普段以上に正々堂々と振舞う必要が出てくるのである。マナーをよくするということがゲーム的に大事になるというのもなんだかおかしな話だろう。
というわけで紙でやる分には、カードのテキストそのものではなくむしろ普段の振る舞い、つまり盤外戦術がかなり大事になってくるというわけ。
ルール的に問題を起こすわけではないのだが、ルール以外の部分が大いに問題になってくる。カードのテキストを組み合わせて勝負するゲームなのに、なぜかそれ以外の要素が大事になってくる。
そういう意味では、数ある「調整中」カードの中でもかなりの問題児。こういった話題を激しく嫌う層もいるため、好き嫌いがはっきり分かれる。

遊戯王wikiでは玄人向けと説明されているが、どちらかというと場をわかすのが好きなエンターテインナー向け。
そして《宇宙の収縮》のように例えられているが、実際はそこまで劇的なブラフをかますには相当な盤外戦術が必要になる。これはマナー的に嫌がる人の方が多いので、編集者はやらなかった。
しかし何気なく縦列を並べるだけで相手が露骨に嫌がって置くようになるのは非常に面白かった。

さて、爆導索とは切っても切れないのがジャッジキルに関する話である。
というより爆導索の運用の話をしようとしても、心理戦の話なんて誰もしてくれない。だいたい「セルフデッキ破壊」か「ジャッジキル」のどちらかになってしまう。
これはデュエルマットを使って遊ぶのが一般的ではなかった時代、まさかカードの位置を参照するカードなんて誰も使わないだろうということで、対戦相手がずれたカードの位置を整えたのをしっかり咎めた上でジャッジを呼び、
サイドデッキの爆導索を見せて「こんな風に動かされたんじゃこのカードを運用できない!」といちゃもんをつける、というやつである。
もちろん実際にジャッジキルが成功することは少ないが、当時はむしろこの運用が有名だったし、これまで気にしなくてもよかったカードの位置がある日突然「動かしちゃいけない」と圧力がかかるのは気持ちのいい話ではなかった。
そのため爆導索には嫌な思い出しかないという人も多い。このカードの話をするときはどうしても出てきてしまう、悲しい歴史である。

そんなわけでかつての使用者の視点からいうと、相手に完全に依存する上にそれ以外でも問題だらけだから、デジタル以外ならあんまり使わない方がいいカードの1枚。
現在のマナーのことはよく分からないが、昔の話である。
ちなみにデジタルゲームの場合はカードの位置が調整できないことがある。
この場合は2:2交換を行いやすくなる(発動しやすくなる)が、代わりに狙ったものを破壊することができないので一長一短。


相性のいいカード

各種特殊召喚モンスター

特に剣闘獣のように繰り返し特殊召喚するモンスターの場合、カードの位置を自然にいじることができる。
まさか相手もこんなクソカードを使ってくるとは思わないってわけ。ガイザレス出す?その方がいいと思う。
かつて相性が良かったカードは《ゾンビ・マスター》《異次元の生還者》あたりか。

《ブラック・ガーデン》

収縮フィールド兼トークン発生。相手のモンスターの同列にトークンを湧かして爆導索でカウンターするのもよし、
そこから相手が別列にシンクロして更に湧かしてくるならポリノシスを一緒に構えるのもあり。
後ろのカードも《一族の結束》や《くず鉄のかかし》などを狙い打ちしていければかなりテンポが取れる。



新マスタールール移行に伴って、EXモンスターゾーンも破壊圏内に含まれるようになった反面、縦列のEXモンスターゾーンも全て埋まっていなければ発動が不可能となり一長一短。
しかしカード位置の概念が重要化して来ている昨今、このカードの存在を意識から外すと痛い目を見る可能性も高まっている。
自分がエクストラモンスターゾーンにモンスターを召喚済みなら、もう一方のゾーンの列にセットしてやることでプレッシャーをかけることもできる。
というか、例えこのカードがなかったとしても、おもむろにEXモンスターゾーンの列に適当な伏せカードを出してやることで、相手にこのカードの存在を疑わせてプレイングを制限させるといった芸当も可能。
この場合、伏せられるとしたらフリーチェーンカードや破壊されてもいいカードである可能性が高い、という風に存在感だけで相手の戦法の覗き見ることが可能という何ともトリッキーなカードと化した。COOLである。
更には裏をかいて、爆導索はセットされてないと踏んでフリーチェーンでないカードを置いているであろう、両サイドや中央にこのカードを伏せてやり、奇襲をかけるというのもあり。
ただし、自分も自分で伏せカードの縦列に配置したカードが破壊耐性無しのカードだった場合、このカードではないと看破されかねないので注意が必要。あるいはそれさえもブラフに使えるが。
また、このカードに引き続いて「縦列」を発動条件にしたカードが出現し始めてきている。


《導爆線》
通常罠
(1):このカードと同じ縦列のカード1枚を対象として、
セットされたこのカードを発動できる。
そのカードを破壊する。

言うなれば簡易版の爆導索。圧倒的に取り回しが良くなった反面、対象耐性持ちには通らなくなった。
現状、EXモンスターゾーンの縦列に張って虎視眈々と発動を狙うのが無難か。

イラストでは起爆寸前の爆導索に《キャノン・ソルジャー》が絡まり焦っている。


直通断線(シャットライン)
カウンター罠
(1):このカードと同じ縦列でモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、
セットされたこのカードを発動できる。
その発動を無効にし破壊する。

まさかのカウンター版かつ簡易版の爆導索。
列が合わないと完全に腐るが魔法・罠・モンスター効果全てに対応するのが恐ろしい。

イラストは四体の電池メンが直列を構成しているのを《ボルテック・ドラゴン》にリリースされそうになり直列状態が崩れている。
単四型だけ対応してないせいでリリースを免れているのが細かい。


《鉄騎龍ティアマトン》
特殊召喚・効果モンスター
星4/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守 0
このカードは通常召喚できず、このカードの(1)の効果でのみ特殊召喚できる。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):3枚以上のカードが同じ縦列に存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
このカードと同じ縦列の他のカードを全て破壊する。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードと同じ縦列の使用していないゾーンは使用できない。

爆導索と同様に「縦列」を参照&破壊の特殊召喚モンスター。
さらに同じ縦列の使用してない所を封鎖するオマケ付き。
特殊召喚条件自体は「3枚以上のカードが同じ縦列に存在する」事であるが、
地味に必ずしもそこと同じ縦列に出さなければならない訳ではない。
そこを利用して他の列で条件を満たしてからエクストラモンスターゾーンの前に置いて一掃&封鎖、みたいな芸当も可能。

余談
聞き慣れない言葉だが、爆導索は実在する火工品。導爆線の呼び方がメジャー。
導火線の中の火薬(爆風が音速を超えないものを火薬という)を爆薬(爆風が音速を超え、衝撃波が起きるもの)に置き換えたもので、
つまりはヒモのように細長い形に整えたプラスチック爆薬である。
導火線と違いこれだけでかなり物を壊せる上に伝達速度が速く、線すべてが一斉に爆発するように見える。
戦闘機のパイロットが緊急脱出する時、操縦席の天蓋を吹き飛ばすために仕込まれている。他、爆破工作にも使うことがある。


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最終更新:2023年10月14日 19:31

*1 当時の遊戯王はルールがぐちゃぐちゃであり、こういったとんちのような遊びが流行っていた。このとんち遊びから電波デッキが生まれることもあった。さらに遊戯王OCG事務局にはひとり名物裁定を出す人がおり、これをいじって遊ぶ人もいた。同時期のものだと《スター・ブラスト》の「このカードの性質上、やむを得ないことです。」なんかが有名。

*2 「カジュアルに遊びたいだけですよ」とアピールをするという意味。当時は時折とんでもない地雷プレイヤーが混ざっており、たとえば「相手が僕のライフを把握していないので僕は8000です」みたいないちゃもんをつけて場の空気を冷ますような人がいたのである。