宇宙の騎士 テッカマンブレード

登録日:2011/01/23 Sun 15:05:01
更新日:2024/03/30 Sat 20:02:39
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仮面の下の涙を拭え!




これ以上失うものなど、もうないから






『宇宙の騎士 テッカマンブレード』は1992〜1993年に放映されたタツノコプロ製作のSFアニメ(全49話)。
1994年には続編の『宇宙の騎士 テッカマンブレードⅡ』が制作。

タツノコプロがかつて手掛けた『宇宙の騎士テッカマン』を思わせるタイトルだが、続編やスピンオフといった関係ではなく、設定を換骨奪胎して作られたリメイク作。
主人公に襲い掛かる情け容赦のない悲劇とそれでも足掻き続ける展開は、当時の視聴者の涙腺をことごとく破壊していった。
骨太なストーリーと豪華声優の熱演で、現在も語り草になるほど評価が高い。
美少女戦士セーラームーン』という強力すぎる裏番組があったため、当時はさほど注目された作品ではなかったとも言われるが、
セーラームーンが裏番組だった地域の方が少ない*1ため、どこからこのような話が出てきたのかは謎。

また、作画が安定しないというネタ方面でも有名。その回の作画担当によって、キャラクターの顔つきが別人レベルで異なるほど。酷い時は髪の色まで違い、声と服装で判断するしかないという有様であった。これについては、放映当時がおおらかな時代だったこともあり、笑いのネタとして親しまれている。
ちなみにスパロボでの顔グラは、メインキャラ達はOP準拠の良作画のものになっているし、OPにいなかったキャラ達もそこまで作画崩壊はしていないキャラによってはDボゥイ達と作画違くね?という空気が漂っているのだが、
アキが作品によってはカットインで作画崩壊する。あとシンヤも作品によっては最期のシーンで原作のものが丸々背景に使われるため、作画崩壊したシンヤがばっちり登場していたりする。

メインシナリオを手掛けたのは、『天空戦記シュラト』『The SoulTaker ~魂狩~』の関島真頼氏。
そして、意外にもあのあかほりさとるである。
後年、スラップスティックコメディの旗手として名を馳せるあかほりであるが、陰鬱極まりない本作は、彼の作品の中でもひときわ異彩を放っており、「あかほりの本気」と言われている。
むしろ、本作でシリアスに嫌気がさしてコメディ方向にぶっちぎれたのではないかとも。

また、スパロボ参戦で知った若年層も少なくない本作であるが、本作はロボットものではなく変身ヒーローものである。
スパロボでは初めての出来事であり、本作の『スーパーロボット大戦J』への参戦は間違いなくシリーズの転機とも言える。寺田貴信Pも「参戦作品の枠を広げるために採用した」と語っており、実際に、これ以降は生身ユニットに近い作品も増え、ロボットアニメではない作品が度々参戦している。
その他、『タツノコ VS.CAPCOMアルティメットオールスターズ』に主人公のテッカマンブレードが参戦(元々は敵役のテッカマンエビルを出す予定だった)。

なお、『宇宙の騎士テッカマン』をリスペクトして作られた『DETONATOR オーガン』に触発されて本作が制作されたという噂が出回っているが、ソース不明で真偽は定かではない*2
とは言え、『スーパーロボット大戦W』でオーガンと共演した際にはクロスオーバーが秀逸すぎて、同一作品かスピンオフと誤解するプレイヤーが続出するほどの扱いを受けた。


◆ストーリー


連合地球暦192年、謎の知的生命体「ラダム」が突如として地球に襲来。
人類の宇宙進出の希望であった軌道エレベーター基地「オービタルリング」を瞬く間に制圧し、地球侵略を開始した。
ラダムに対抗し得る兵器はオービタルリングのレーザー砲だけであり、そこをラダムに占拠されてしまった人類はラダムの侵略をただ黙って見ていることしかできなかった……。

しかし、そんな人類の前に記憶喪失の青年「Dボウイ」が現れる。
彼は白き戦士「テッカマンブレード」に変身してラダム獣を粉砕。

Dボウイの永くて孤独な戦いが始まった……。



◆登場人物


【スペースナイツ】


Dボウイ(相羽タカヤ)/テッカマンブレード
CV:森川智之
とにかく不幸にして壮絶極まりない人生を歩む主人公。
多くは語らないが、胸に熱いものを秘めた青年である。
家族らと共に宇宙船アルゴス号で太陽系外の調査の途中でラダムに遭遇。アルゴス号はラダムに占領され、自身もテックシステムに取り込まれてしまうが洗脳される前に父に救出されて地球へと帰還。
スペースナイツの仲間と共にラダムに戦いを挑む。

スペースナイツと遭遇した時に記憶喪失のふりをして本名を名乗ることをせずに無茶な行動ばかりとることから、「デンジャラス・ボウイ(危険な男)」略して「Dボウイ」と名付けられた。
左目にはオービタルリング軌道上でダガーにつけられた傷痕が残っている。

物語序盤はテッククリスタルという物質でテックセット(変身)するが、ダガーの策略で破壊された後に機動兵ペガスの力でテックセット、ラダムと肉親たちと戦う。
親しかった肉親や親しかった者との戦い、力を得る毎に脳に負担が生じて記憶や自我を失っていき、痛々しく傷付いていく彼の姿こそ本作を語る上で欠かす事の出来ない所以である。

テッカマンとしては「強襲突撃型」、つまり防備を整えている敵の陣営に先頭で突っ込む斬り込み役という特性を持つ。
クラッシュイントルードの性能がテッカマン勢随一であるなど、大勢相手に突っ込み切り抜けるのに向いた性能はDボゥイの性格にも合致しており、大群相手に暴れるDボゥイは非常にイキイキしている。
一方で「同レベルの強敵とやり合うに当たって、敵の意表を突ける特殊性がない」という問題が中~後半で響いていた。

ちなみに中の人はこのキャラの必殺技のシャウトでマイクを壊したという逸話がある。


◆ノアル・ベルース
CV:松本保典
スペースナイツが保有する戦闘機「ブルーアース号」のパイロットでDボウイの名付け親。
軍人の家系の出身だが、軍に馴染めず、外宇宙開発機構に参加した。
皮肉屋だが根は義理堅く情に厚い。無茶な行動ばかりするDボウイを良く思っていなかったが、共に戦ってゆくうちに打ち解け、無二の親友となる。
アキに気があり、度々アプローチをかけていたが、アキとDボウイが互いに惹かれ合っているのを知ると、潔く身を引き二人を応援し、男気を見せる。
後にソルテッカマン2号機のパイロットになる。

余談だが、ノアルはDボウイのミスリード役を3回(第27話・第28話・第49話)も担当した。


◆如月アキ
CV:林原めぐみ
本作のヒロイン。
Dボウイがやってくるまではスペースナイツでラダム樹の研究をしていた。
文武両道かつ献身的な性格でDボウイに惚れ込んでからは彼に尽くす。だが、調理はてんで苦手。

ストーリーが進むにつれ、Dボウイを襲う過酷な運命を前に自分の無力さに悩んでいく。
ちなみに苗字は続編で初めて公開された。
一番の作画崩壊被害者。設定では伊賀忍者の末裔…らしいが、それは幻の『ラダム再び』でしか活かされなかった。


◆ミレッタ・ルルージュ
CV:横山智佐
スペースナイツのオペレーターでマスコット的な存在。得意技はハッキング。
通称はミリィだが、本名は劇中では明らかにされておらず、「ミレッタ」と呼んだのはスパロボで共演した同じ愛称の人だけ。

Dボウイから妹の姿を重ねられていたが……似てない。作画の問題なのか、外見ではなく雰囲気その他が似ているのかは不明。
なお、ドラマCDでは
「そっくりだって設定だったミユキさんとは、胸の大きさだけは完全に違っていたし!」
「誰が何と言おうと、ミユキさんに似ているミリィです!」
と自分でネタにしている(つまりスタッフも認識している)。


◆本田
CV:飯塚昭三
スペースナイツのメカ主任。通称、おやっさん。
気さくな性格だが、メカを手荒に扱う奴は大嫌いで、ポーカーでノアルに負けた際に譲った腕時計を壊された時には、スパナを振り回しながらノアルを追いかけ回した。
凧作りが趣味で、Dボウイに凧作りを教えて一緒に作ったりしていた。
スペースナイツ最年長でフリーマンの良き理解者。


◆レビン
CV:中原茂
スペースナイツのメカニックでおやっさんの相棒。
メカフェチで料理が得意なオカマ。
Dボウイ(というよりはブレード)LOVEというなかなか業の深い人物。
ペガスの開発には彼が大きく関わっているため、フリーマンと並んで本作随一の功労者でもある。
コメディリリーフとして作中一の癒し要員であり、口癖は「モチのロンよ!」


◆ハインリッヒ・フォン・フリーマン
CV:鈴置洋孝
スペースナイツのチーフで外宇宙開発機構の創設者。
鋭い戦略眼と高い政治能力を持ち、しばしば冷酷な発言をするため、一見冷たそうに見えるが内心は情に厚い。
対ラダム兵器を開発したり、テックシステムを解析してソルテッカマン開発のきっかけを作るなど技術者としても高い能力を持ち、射撃の腕前も高い理想の上司。
コルベットと違い、戦力を平和と仲間たちを救うと言う目的に使っており、敢えてバルザックにデータを盗ませてソルテッカマンの完成の一助と化した様に、戦力の強化を大局的に見据えている。


◆ペガス
CV:飛田展男
身長2.7m、体重6.5t、飛行速度マッハ2
製造番号D23911。元々は作業用パワードスーツだったが、破損したクリスタルとテックセット時に生じる未知の電磁波に耐えられる新素材、そして干渉スペクトルを防御する独自のシステムを組み込まれブレードをサポートする機動兵(ロボット)に急遽改造された。
テックセット時には「ペガス!テックセッター!!」とペガスの前で言う必要がある。「ラーサ!」(了解という意味)
変身能力を失ったDボウイのテックセットを行い、飛行形態となりブレードを乗せる。また、ブレードと接続して強力なハイコートボルテッカを放つことができる。
最終決戦でオメガの攻撃からブレードの盾になり破壊されたが続編でペガスⅡとして修復された。

台詞はほとんど「ラーサ」ばかりだが、言語機能はあり、流暢ではないにしろ会話はちゃんとできる。その機能を面白がったバーナードから、歌を教えられている。




【連合防衛軍】


◆バルザック・アシモフ
CV:堀内賢雄
連合軍少佐。当初はおひげもじゃもじゃ状態で現れたが、実際は端正な顔つき。
掃きだめのようなスラム街で育った孤児であり、強盗で食いつないでいたが、仲間の裏切りで捕えられ、その身体能力を買われて軍人になった。
その育ちから上昇志向が非常に強い。
従軍記者を装ってスパイとしてスペースナイツに潜入。フリーマンから提供される形でテッカマンに関するデータを入手、軍に持ち帰る。
そのデータを元に作り上げられたソルテッカマン1号機のパイロットに任命されるが、エビルに敗れて行方不明に…。

辛うじて生き延びた彼は、自分を助けてくれたリルルとリックの姉弟と共に農夫として生活していた。
スペースナイツと再会した際、リルル姉弟を守るためと親友マルローの敵討ちの為、スペースナイツの義勇兵となる。

最終決戦において、完成した干渉スペクトル砲を手に、テッカマンソードと交戦。人類の未来、何よりも愛する者たちを守るために身を投げ捨て、ソードと共に大気圏で燃え尽きる。リルルが自身の子を宿していることを知らぬまま…

戦後、功績を称えられ、地球連合軍に「バルザック勲章」が設けられたが、かつては名誉と栄光を求めたバルザックの名が、死後に名誉と栄光の象徴に使われたのは、ある意味では皮肉である。

スパロボJでは条件付きで、スパロボWでは無条件で生存する。


◆コルベット
CV:大滝進矢
連合軍の准将。
フリーマンとは犬猿の仲で、その前時代的な思考からレビン(と視聴者)から真空管ハゲと蔑まされている。
英雄願望が強く、自身の利益の為とあらば大勢の人間の命ですら「たかが数億」と切り捨てる事も厭わない非情な性格。
当初はブレードを自身の出世の道具にしようと企んだが、後にそのデータを利用し開発したソルテッカマンに鞍替え。
そして、オービタルリングに向けてフェルミオンミサイルを発射せんとするがブレードに阻止され、フェルミオンミサイルの爆発により死亡。
彼自身あまり誉められた人間ではないが、彼の上司達は危機感より保身と責任の擦り合いに頭を悩ませ、もっと酷い。

と、作中では憎まれ役なのだが、実際はラダムの脅威に現状を正しく把握して危機感を募らせており、連合軍設立への尽力やソルテッカマン製作など一定の功績を挙げている。
唯一の戦力とさえ言えるテッカマンを事情も分からずスペースナイツで独占への口出しも、逼迫した状況からしたらわからなくはない。
しかし、それらを台無しにしているのは、彼の目的が脅威の根絶と平和ではなく、その先の自身の功に置いていたせいでベクトルを誤った馬鹿。
だが、彼がああなったのは上司達に精神的に追い詰められ続けたのだと思うと、同情の余地はある。

スパロボでは原作よりも少しだけ長生きするが、何故かラダムとは全く関係ない所でばかり死亡するという三輪防人に近いポジションに。
機動戦士ガンダムSEED』の登場人物ではありません。念のため。


◆Dr.マルロー
CV:辻谷耕史
ソルテッカマンの開発者。バルザックとは同じスラム街で苦楽を共にした親友。
バルザックと共に出世街道を歩むが、志半ばでラダムの毒牙にあい、死の間際に彼に成り上がりの夢を託した。


◆バーナード・オトゥール
CV:池田勝
連合軍の軍曹。
仲間のことを誰よりも大事にしており、軍に対して良い印象を持っていなかったDボウイに大きな印象を与えた。
ペガスのダニー・ボーイの歌は彼にインプットされたもの。
ブレードがブラスター化するまでの時間を稼ぐためにテッカマンランスの前に立ちはだかり、戦死。

後に、妻のアンジェラも夫のバーナード同様にブレードのために命を投げ捨てた。

スパロボWでは本編以上に重要な役回りを演じることになる。


【ラダムのテッカマン達】



愛していたはずのものさえも、罪と言う名の仮面を付けたら忘れられる


相羽シンヤ/テッカマンエビル
CV:子安武人
Dボウイの双子の弟でラダムテッカマンの前線指揮官的な存在。
作中では兄に酷似しているようだが、正直似ていない。
人間だった時は兄に強い愛情とコンプレックスを抱きながらも兄に追いつくため惜しまず努力する「パーフェクト・ボウイ」だったが、ラダム化した際に兄への愛が裏返って憎しみとなってしまう。
テッカマンになって以降は地球侵略を優先していたが、次第に兄に勝つことが地球侵略以上の目標となり、兄がブラスター化したら後を追うように自分もブラスター化した。

ブラスターテッカマン同士の死闘を制し、遂に「兄越え」を果たすがとどめを刺す前にブラスター化の代償が体を襲い、
自らのクリスタルをブレードに託し息を引き取る。

スパロボWでは条件を満たせば決着の後に押し寄せるラダム獣から兄を守るためにボロボロの体を奮い起こし、立ち上がる。

「兄さん…これが俺に出来る最後のことだよ…。ありがとう、兄さん…。そして、ごめんよ……

余談だが、子安氏は当時スランプで引退も考えるような状態だったが、自分の演技の幅を広げてくれたこの役に愛着を持っている。

なお某所にはタイムカプセルの泣けるシーンの声をガムリンの歌に差し替えた酷い動画がある。


フリッツ・フォン・ブラウン/テッカマンダガー
CV:飛田展男
地球を侵略しに来た最初のテッカマン。
Dボウイのクリスタルを破壊し、変身不能にまで追い詰める。
だが、上述のペガスにより復活を遂げたブレードに葬られる。
ボルテッカを使用しないのは、当初ボルテッカがブレード専用の設定だったため。

なお、ダガー自身は序盤で退場するが、中の人はペガス役で出演し続けるほか、劇中の男性モブの多くを兼任している。


ゴダード/テッカマンアックス
CV:島香裕
相羽兄弟の格闘技における師匠。
電子工学の専門家でもある。
Dボウイのことを「タカヤ坊」、エビルの事を「シンヤ坊」と呼んでいる。
ラダムの洗脳を受けた後もその関係性は変わらず、ブレードの力を確かめるような戦いをしていた。
テッカマン形態は重厚な装甲外皮を持ちテックランサーも長柄のポールアックスという足を止めての打ち合い特化の仕様になっており、打ち合いになるとブレードも防戦一方だった。
ボルテックディスチャージャーは胸部に有る。

最後はブレードに敗れ、クリスタルを渡すまいとボルテッカを放ち自爆。
スパロボWでは最期に人としての意思を取り戻し、Dボウイに自らのクリスタルを託す。


モロトフ/テッカマンランス
CV:小杉十郎太
通称テッカマセランス。
自らを「完璧なテッカマン」と称し、オメガに自身の力を認めさせようとエビルの意思を無視しブレード抹殺に燃えるが、ブラスター化を果たしたブレードに返り討ちにされてしまった。
「フッ……いくら進化したといえど、この至近距離からのボルテッカではひとたまりも……なにぃ?!まさか!!」

カタログスペックでは強キャラのはずが、ロクな出番も与えられないままブラスター化したブレードの当て馬にされてしまった可哀そうなテッカマンである。

スパロボWではなんと11歳の幼女にボコられる。
某所では何故か漫画版の一シーンがコラ素材として使用。セイバー(ソード)、アックスと共に鬱クラッシャーとして活躍するという妙な愛され方をしている。


フォン・リー/テッカマンソード
CV:横尾まり
ラダムの首領であるオメガが人間だった時の婚約者。
ケンゴ(オメガ)に対する愛情はラダムに洗脳された後でも残っている。
並み外れた執念の持ち主であり、シンヤにブラスター化を施したのもケンゴを守るためが故の行為。


相羽ケンゴ/テッカマンオメガ
CV:若本規夫
相羽家の長男にして、ラダムの総司令官。
巨大な体躯を誇るが、ラダム母艦と体が一体化していて基地の外に出ることができない。
最終回の断末魔「ぶるあああああああ!!」は今や若本の代名詞に……

腹部にケンゴの生身の顔があり、スパロボのカットインでもその姿を拝むことができる。
日本一のぬいぐるみ師ではない。

なお、若本氏にとってはまだギャグキャラが定着していない時期の役であり、渋みを利かせた演技は格好いい。
ブラスター化を懇願するシンヤを諌めるシーンは一見の価値あり。

ならんと言ったらぬぁらん!! …許せ、シンヤ…

【相羽家】


相羽ミユキ/テッカマンレイピア
CV:水谷優子
Dボウイの妹。
テックシステム不適合でシステムから排除された後、兄タカヤにラダムの秘密を伝えるために残り少ない命を振り絞りラダム基地を脱走。
スペースナイツに基地の位置などのラダムの秘密を託した後、エビル達に単身で戦いを挑み、捨て身のボルテッカにより自爆。
テックセットではテッカマンブレードの硬派な雰囲気が吹き飛ぶかの様な裸体を披露し、視聴者の度肝を抜いた。
ちなみにレイピアにはボルテックディスチャージャー器官が出来上がっていない。そのため、レイピアがボルテッカを発動すると自爆が確定する。

スパロボでは必ず生存フラグが存在する。


◆相羽孝三
CV:麦人
相羽兄弟の父。
宇宙船アルゴス号の船長として土星に向かう旅の途中、ラダムと遭遇しテックシステムに飲み込まれるが早い段階で体質不適合によりシステムから排除される。
命を賭してタカヤを救出し地球へ向けて脱出させた後、アルゴス号を自爆させラダム母艦を月の裏側に不時着させる。

スパロボWでは『DETOANTOR オーガン』のイバリューダーから「始祖アイバ」として崇められているビックリ設定。
同じ初代テッカマンのリスペクト作品のつながりにして、クロスオーバーにより生まれたスパロボ補正の一つと言える。




◆ラダムとテッカマン

ラダムとは、地球侵略を目的にして大型宇宙船を母船にしてやってきた地球外生命体である。
本編以前にも多くの知的生命体の文明を侵略し、その版図を広げているらしい。
強力な役畜「ラダム獣」を大量に使役し、地球側の防衛や「裏切り者」ブレードの反攻を蹴散らして地球文明を制圧しつくした。
テッカマンとは、ラダムが惑星侵略を行う際に使う「侵略目標の知性体を改造した寄生宿主」である。

+ その正体

◆ラダムとはなにか

ラダムの本体は体長10cmほどのセミの幼虫にも似た脆弱な生命体であり、後日のスペースナイツはこの素材を「ラダム虫」と呼称した。
ラダム虫は一種の寄生虫であり、その本能は強力な「精神寄生性」を持っており、屈強な肉体に寄生して生命体の上位に立つことができる。
そのための器がテッカマンなのだ*3

ラダムの惑星侵略は少々まどろっこしい。
まず、対象の惑星に栄える知的生命体の少数グループを捕獲して母船の「テックシステム」に取り込んで「戦闘用テッカマン」に調製する。戦闘用テッカマンは侵略目標の知識を持ちつつ「自分はラダムである」という本能で行動しており、それを元に惑星侵略の作戦を立て、実行する。
テッカマンブレード本編の戦闘用テッカマン達は、相羽孝三博士が仕掛けたトラブルに対応して
「オービタルリングを制圧し、そこの太陽光発電設備をラダム獣の養育施設として利用するとともに対地レーザー装備を侵略攻撃の補助戦力にする」という作戦を立てた。
想定外のトラブルに即応して新しい作戦を立てる事ができたのは、単なる洗脳ではない元の知性を残したまま調製するテックシステムとラダムの方針が上手くハマっていたと言えよう。

戦闘用テッカマンに率いられたラダム獣の大群が侵略対象の知的生命体の戦力をあらかた滅ぼした後、ラダム獣は「ラダム樹」という植物体に変態し、周辺に根を張り惑星の環境を作り変える。
さらにしばらく期間をおいて、ラダム樹は開花してラダム樹動体という、植物でありながら触根で歩き回り触手でモノをつかむ中間体に変態。周辺にいる知性体を体内に取り込んでしまう。
ラダム樹動体はそれ自体がテックシステムであり、取り込んだ知性体をテッカマンに作り変える。
こうして改造された元惑星住民にラダム虫が寄生し、星はラダムの新しい「母星」と成り代わるのである。

上記の事でわかるが、ラダム側の目的は人類の抹殺ではない。ラダム獣の目的は、地球人類の虐殺ではなく、地上に根を張りラダム樹と化して花が咲いた後、人間を取り込んでテッカマンへと改造し、ラダムの同胞たちの器を確保すること。多少の抹殺は器に対して人類の数が多すぎる事への調整である。
侵略の手順は以下の通り。

侵略対象の惑星に住む知性体を数十人捕獲→母艦のテックシステムで強制フォーマット→戦闘用テッカマンが誕生後惑星に侵略開始→戦闘用テッカマンが知性体の戦力を滅ぼし抵抗出来ないようにする→ラダム獣が地中に潜りラダム樹を生成する→十分なラダム樹を植えた後、寄生対象の知性体が多かった時は戦闘用テッカマンがその数を減らす→ラダム樹が開花し知性体を取り込みテッカマンへとフォーマットする→フォーマット終了後ラダム虫がフォーマット後の知性体を寄生する→これで侵略は完了しその惑星はラダムの物になる。

◆テッカマン

テッカマンはラダムが開発した知的生命体改造装置「テックシステム」を使い対象の知的生命体を調製して生み出されるが、そのフォーマットは大きく2種類がある。
それは惑星侵略を進める為の「戦闘用フォーマット」と侵略後の人々を寄生する為の「量産用フォーマット」である。

1つが、ラダム母船に内蔵されていた巨大な臓物っぽい「テックシステム」で行われる「戦闘用テッカマンフォーマット」。
これは強力な戦闘力を与える上に短期間で調製が終わるが、強引な調製ゆえに相性問題が発生し、不適合者が吐き出される。
不適合者は生体組織が崩壊していてすぐに死ぬが、何をするかわからないので「適合者」はそれの排除に対応せねばならない。
肉体的に適合したとしても、ソレ以外にも様々な不適合が起きる。
地球人類の戦闘用テッカマンはそのメンタルが異常に刺激され、以前の欲動が強調されて以後の活動に影響を与えた。

多数のラダム獣の攻撃を統率し、時には強敵を正面から対決して打ち倒すなどして侵略作戦を進めるのが戦闘用テッカマンの任務である。
ちなみに、「宇宙の騎士テッカマンブレードII」の前日譚「ミッシング・リンク」に登場したテッカマンミハエルと本編の後期に登場したテッカマンデッドはこの戦闘用テッカマンフォーマットを用いたものだった。基本的なスペックが違うのはこのためである。
前者は異星人テッカマンとの融合してのフォーマット、後者は蓄積したデータを用いてのフォーマットを行った。

もう1つが、ラダム樹動体が体内に生成する「テックシステム」によって行われる「量産用テッカマンフォーマット」。
こちらはテックシステムの構築も、取り込んだ知性体の調製もある程度時間をかけるため不適合問題はほとんど起きないが、
生物としての安定性を重視したためか前述の戦闘用に比べると戦闘力は劣る
ほとんどの「ラダムの民」はこちらに寄生する予定である。

ラダム虫に寄生された知性体は永遠に寄生されるが、シンヤとの最終決戦において、宿主が死を迎えることをなった時、その器を見限り、ラダム虫は宿主から離れる。
ラダムの支配から開放された知性体はそのまま死に迎える。
宿主が死を迎えることしかラダムからの支配を抜け出せないのだ。
相羽一家とアルゴス号の人たちは、このちっぽけな虫の為に全てが狂わされた………

◆どうしてこんな面倒なことを…

世界征服の項目にもあるが、武力で世界を征服するなど面倒な事この上ない。だが、ラダムのこの戦略には立派な利点がある。
それは「征服対象の星を、昔から住み慣れた母星のように自分たちの母星にできる」という点である。

新しい別の惑星に住み着くというのは生態系的にも気候的にも多くのハードルが存在する。
だが、そこに住み慣れた生き物を宿主に寄生して支配できればそれらを飛び越えて自分たちのものにできる。
相羽孝三やレイピアのような不適合者やブレードのようなラダム虫に寄生される前に脱出に成功した者の抵抗、
小説版のジュエルのようなそもそも寄生に不適合な種族にぶち当たった場合、「敵に最強の肉体と力を与えてしまう」というとんでもない弱点があるものの、
侵略と移住という行為に関する大問題をクリアできるのは大きいと言わざるを得ないのだ。
もし侵略に失敗しテッカマンのシステムが侵略する惑星に残ってしまったら、ラダムはその惑星を滅ぼす為に大艦隊を送り込む。

因みに「ラダム」の名前の由来は当時世間を騒がせた預言者「ノストラダムス」からである。当人にとってはいい迷惑である。


◆Dボウイの辿った不幸

地球に来た当初はテッカマンということで人々から白い目で見られる

自分の親しかった人達と本気で殺し合うことを宿命付けられる

テックセットが30分を過ぎると暴走、敵味方の区別なく破壊の限りを尽くす

唯一、味方だった妹も酷い最後を遂げる

不完全なテッカマンの代償として肉体が崩壊を始める



夢を見ることさえ諦めて生きていても
理由なき侵略に潰されはしないさ
この星に抱かれて眠れる、その瞬間まで
この身体、バラバラにいっそ砕け散るまで

WOO MY DESTINY

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最終更新:2024年03月30日 20:02

*1 たとえば関東圏はセーラームーンの30分前にやってたので裏番組ではない。大阪が丸被りで、名古屋が放送時間変更がありつつ被っていた時期があった模様。野球中継による時間変更も多かったらしい。

*2 「『ブレード』の企画会議で『オーガン』が参考にされたという噂がある」という程度のものなら『月刊ホビージャパン』1992年2月号に記述があるが、これが噂の出所なのか他に情報源があるのかは謎。

*3 「いかになんでも、あのサイズの生き物がブラックホールを飼いならした超光速航法を使いこなす知性を持つとは考えにくい。ラダム虫は「自分はラダムである」という本能のみの存在で、知能すら寄生宿主に依存しているのではないか」という考察すら存在する。