真・女神転生

登録日:2011/09/19 Mon 21:39:51
更新日:2024/03/30 Sat 21:14:36
所要時間:約 4 分で読めます






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『真・女神転生』とは1992年にアトラスから発売されたRPGである。
FC時代の『デジタルデビル物語』では販売をナムコに委託していたが、本作から開発元であるアトラスが販売も担当。よりオリジナル性を増すと共に、同社の看板タイトルとなった。
当時の何かとバーチャルバーチャル言われてた世相を反映してか、ソリッドで無機質な2Dグラフィックが特徴であり、そこに魅了されたファンが多かった。
シリーズ初期作品ということで、根強い人気も手伝ってか、各ハードに移植がされており、現在でもプレイすることは容易。


【ストーリー】


199X年 東京・吉祥寺――
主人公が不思議な夢から目を覚ますと、現実世界では、近所の公園で殺人事件が起きていた事を知る。
街の至るところに張られた非常線が、事件の存在を嫌が応にも突きつけてくる。

街には不穏な空気に呼応するように、伝説や神話の中でのみ語られていた存在、「悪魔」が現れはじめた。
主人公は、STEVENと名乗る人物から、パソコン通信を介して「悪魔召喚プログラム」を送られる。
悪魔と会話し、仲魔にして、召喚することを可能にする謎多きプログラム。
サバイバル装備を身に付けた主人公は、プログラムの力を駆使して、悪魔との尋常ならざる戦いに身を投じていく。

魔境と化した東京で、彼は未だ、自らの運命を知らない。


【特徴的な要素】


✟敢えて「神を悪魔と呼ぶ」

悪魔と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
サタン?ベルゼブブ? はたまた、ニャルラトホテプ?
まあ、これらも勿論、悪魔というのだが、このゲームでは「神」も「天使」も悪魔と呼ばれる。
なぜならば、神話に語られる神も天使も、決して人を護り、恵みを齎し、救いを与えてくれるような存在ではないからだ。
聖書において最も人を殺したのは、他ならぬ神であるし、“自分とは異なる”というだけで他者を排除するような独善を、果たして善きものと言えるだろうか?
これは決してセム派の宗教だけに限らず、世界中のあらゆる神話・宗教に言える事である。
場所によって時代によって、あるいは文化や価値観によって、善悪はコインの裏表の様に裏返り、曖昧模糊となっていく。
わが国、日本では御霊信仰により「悪魔をあえて神と呼ぶ」という思想があるが、本作においては全く逆の解釈を行っていると言っていい。
すなわち、プレイヤーの凝り固まった価値観と思い込みを排除する目的で、「神をあえて悪魔と呼ぶ」のだ。

現実の宗教に基づいた素晴らしいシステム!…だがそう考えると
世界中のあらゆる宗教に喧嘩売ってるとも言える

ちなみに劇中で神も悪魔と呼ばれる理由が語られているのは後の真・女神転生Ⅴくらい。


✟その者の立場を表す「属性」

もう一つ特徴的なシステムとして属性がある。
主人公達や悪魔には属性があり、それらは直交座標形式で表される。

法と秩序を重んじるLAW
自由と混沌を重んじるCHAOS
そのどちらにも属さないNEUTRAL
「思想」を象徴する横軸

建設的で前向きLIGHT
邪悪で破滅的DARK
どちらでもない中庸なNEUTRAL
「性格」を象徴する縦軸となる。


え?直交座標形式って何かって?
洋ゲーとかの照準を思ってくれれば大体合ってる。

もし主人公の属性がCHAOSな場合、LAWは仲魔にならないというわけだ。

またLAWを崇拝するメシア教、CHAOSを崇拝するガイア教という集団もあるが、これもストーリーに大きく関わってくる。

縦軸の「性格」は悪魔との会話では非常に大きく関わっており、こちらは前作での「GOOD(善)/NEUTRAL(中立)/EVIL(悪)」の区分けに近い。

前作では「魔王」や「邪神」といった「EVIL」属性の悪魔は仲魔にすることができなかった。
本作でもLIGHT属性の「天使」や「魔神」、DARK属性の「魔王」や「外道」などは会話では絶対に仲魔にならない。
ただし悪魔合体であれば作り出すことで仲魔にすることができるようになっている。

✟徐々に奪われていく「平穏な東京」

前作である『デジタルデビル物語 女神転生Ⅱ』は、いわゆるポストアポカリプス…崩壊した近未来の東京を舞台とした作品だった。
こういった退廃した近未来SF作品自体は珍しいものではなく、当時は「ノストラダムスの大予言」と世紀末というジャンルに着目した作品は多かった。
しかし本作は『平和な東京のごく普通の少年』の視点で、何気ない日常に忍び寄る不穏な空気を追体験し、徐々に壊れていく日常の恐怖を描いた異色作である。
「現実の東京」というのも、西洋ファンタジー風の世界観が主流を占めていた当時のRPG市場の中において非常に斬新なもので、このジャンルのパイオニアとも言える。

【進化したシステム】


◎オートマッピング

3Dダンジョンに慣れないユーザーへの配慮から、本作ではシリーズで初めてオートマッピングシステムを採用した。
地上は東京全域を移動できる俯瞰視点の2Dマップとなっており、建物(ダンジョン)に入ると切り替わるようになっている。

◎新たな悪魔合体

前作からほぼ引き継いだ邪教の館による悪魔合体システムだが、本作では新たに特定の悪魔と剣を合体させる剣合体が登場した。
同時に演出も前作までの抽象的な儀式風ではなく、某ハエ男映画のようなカプセルポッドに悪魔達が入れられ
分解液でポッドが満たされた後、入っている悪魔が跡形もなく溶解。
全ての悪魔が溶かされた分解液が回収されると、中央の魔法陣から光の柱がビームのように放たれ、合体後の悪魔が出現する。

仲魔((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

…さらに本作から「人間」も合体できるようになった。もちろんあは~ん♥な方の合体ではない。
敵として出てくる人間(メシア教徒、またはガイア教徒)を勧誘、ポッドにぶち込んで悪魔と合体させると誕生する悪魔はランダムになる。
稀に自分のレベルよりも高い(仲魔にできない)悪魔が生まれる事もあるので、信者達は乱獲される運命にある。
ちなみに人間同士を合体させることはできない。3身合体で人間を合体に用いた場合、合体結果は必ず外道スライムになってしまう。

教徒((:(´;ω;`):))ガクガクブルブル

…合体する前にちゃんと本人達の合意をとって合体させているのだろうか…。

「俺は力が欲しい、悪魔の力でも構わん!」


【魅力的な登場人物】

とても多いので要人だけ。

ヒーロー

幼い頃に父親を亡くし、吉祥寺で母と2人で暮らしている普通の少年。我らがバカ主人公。
魔法の類は一切覚えないので知恵や魔力のパラメータを上げる必要がない。
(悪魔との会話や魔法への抵抗を考慮すると上げておくべきなのだが…*1)
見た目は天パのモコモコ頭が特徴。しかしリメイクではストレートに矯正された。
因みにこの主人公、イラストでは剣を背負っている。…東京ですよね?*2
ファンからは「フツオ」と呼ばれる方が多いかも*3

ヒロイン

磔にされたり監禁されたり捕まるのがとにかくお好きな人。能力UP系は全てこの人に注ぎ込もう。
このゲームの良心、ジオ系の術を覚えてくれる。ハイレグアーマーで鞭やマシンガンをぶっ放す清楚系ヒロイン。
彼女もデフォルト名はない*4。まああっても下記のロウヒーローの件があるのでややこしい事この上ないが。

幼馴染

ヒロインと同じ名前の、主人公の隣の家に住んでいる幼馴染の女の子。この子も捕まり癖がある。
将来はディスコでボディコニアンとして引き籠っている。

ロウヒーロー

ロン毛の優男。ヒロインと同じ名前の主人公の幼なじみの恋人。
分かりにくいだろうが本当の事だから仕方ない。ヒロインが居ない間回復系の術を覚えてくれる。
温厚・誠実な性格で、傷ついた友人を慰めるタイプ。後に餃子になる(見た目的な意味で)
ヒーローと同様に「ヨシオ」と呼ばれることもある*5


カオスヒーロー

ある不良達によっていじめられていた迷彩メガネ。因みにその時銃を所持していた。
母親とは幼い頃に死別し、酒浸りの父親に児童虐待を受け育てられた過去を持つ。
粗暴なようでいて優しく、傷ついた友人をそっとしておくタイプ。
攻撃魔法が得意な他、最重要魔法の一つエストマを習得する。後にサムライになる(見た目的な意味で)
ヒーローと同様に「ワルオ」と呼ばれることもある*6

三人合わせてヨシオ・ワルオ・フツオ。古いTV番組「欽どこ」がネタ元であり、公式ファンブックでの4コマが発祥。

STEVEN(スティーブン)

真っ赤なスーツを着た車椅子の男。本作が初登場して以来、色んな時代で現れる。
悪魔に対抗する手段として悪魔召喚プログラムを制作し、パソコン通信を利用して無差別にばらまいた。
主人公の前に度々現れ、ハンドヘルドコンピュータの機能をバージョンアップしてくれる。
実は魔界とこの世界を繫げて悪魔を現世に呼び出した張本人*7

ケルベロス

シリーズお馴染みの魔獣。今作ではペット。 状況次第では見知らぬ番犬で終わってしまうが。
主人公が飼っているメスのハスキー犬「パスカル」を悪魔合体させるとレベル差に関係なく作り出せる*8

オザワ

不良グループ『TURTLE-HEAD』のリーダー。
様々な工作の実行役として目を付けられたのか、繋がりのあるガイア教勢力より悪魔召喚プログラムを入手し大破壊を生き延び、後に新宿を支配する。
後の作品とGBA版では一気に小物と化した。
というか、本作でもあるアイテムを持って面会した場合「絶対負けるから」(意訳)と追い返される時点で、ねえ?


ゴトウ一等陸佐

我らがフンドシ。クーデターのリーダー。
その素晴らしい演説に共感したり、その魅力的な肉体に思わずホイホイついていったりして多くの人がCHAOSに染まって…?
本名・五島公夫、漢字表記は『五島』(『後藤』を採用している媒体も少数あるが、公式では『五島』が正解)。
自衛隊駐屯地で立て籠もる・フンドシの男といえば、モデルは想像に難くあるまい。
ちなみにTRPG『女神転生TRPG 魔都東京200X』でNPCとして掲載された際、クーデターを起こせる程の説得力を上げるためか階級が「陸将」に格上げされていた(ついでにトールマンも米軍幹部に変更された)。


トールマン

我らがフンドシと比べるとえらく地味な存在。後に大変なものをプレゼントしてくれる。
モデルは実在した大統領トルーマン。と、思われがちだがスタッフいわくどうも言い訳くさいが北欧神話のトールから取ったとの事。
実際のところ正体は魔神トール本人である上、大変なプレゼントについても「我がハンマー」(=ミョルニル)と称しているのだが。
一方、当時から神格を考えると序盤のボス扱いはヒドイ、そもそも唯一神勢力に手を貸してるのはおかしいとブーイングがされており、TRPG版では一部の力のみを憑依させた状態と解釈されたりもした

正体の元ネタが元ネタなのに電撃耐性がなくジオ嵌め技が効いてしまう事もよくネタにされる。

ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、ヴィシュヌ

LAWを代表する天使の方々。一応のトップはミカエルだが、物理反射属性のガブリエルの方が強いともっぱらの噂。
そのガブリエル、後のシリーズとは違い完全に男性寄りのデザインで乳が無い。尚、本作での四大天使の種族名はセラフ(熾天使)
…なんかさらっと違う奴混ざってない?と気付いた方は正解。ヴィシュヌはカオスもカオスな宗教観のヒンドゥーの最高神の一つ*9で最高ランクの魔神。
トール同様に今作ではLAW勢力として一纏めにされている為か、何故か唯一神勢力の外注の様な扱いとなっていたのは激しくツッコミを受けた。


アスラ王、アリオク、アスタロト、スルト、ラーヴァナ、インドラジット

CHAOSを代表する魔族の方々。
因みに今回のトップはアスラ王だが、これは同盟を結んでいるルシファー閣下が前線には立っていないためで、彼とインド系のボスの種族は天魔(他は魔王)となっている。
これはLight-ChaosとDark-Chaosの違いがあり、本作では聖なる者と邪悪な者という立場以上にLawとChaosのスタンスの対立が重要視されてることの証明……かもしれない。
Dark-Lawの邪神もChaos側なあたり細かい部分は気にする必要ないかもしれないが。


エキドナ

この人(?)に従えばCHAOSとなるのだが…実は邪神なのでコイツの属性はLAW。
以降のシリーズにも度々ある事なのだが、種族としてのLAW・CHAOSと思想・立場としてのLAW・CHAOSは必ずしも一致しないという例である。
この辺を踏まえてか、次回作以降は唯一神勢力と、それ以外のLAW・CHAOS=古き神々といった概念が押し出されていった。


ルイ・サイファー

この名前を聞けば9割の方が誰か想像できるだろう。今作より次作で活躍して下さる閣下。
名前からして、某小説を読んだのだろうか。(もっと直接的にはその実写化映画が数年前に日本でもヒットしていたのである。)


ゆりこ

頭の中で主人公と既成事実を築き、執拗につけ回す痛い奴
しかし夢や幻の中でも確固たる姿で出現し、またその遭遇を確信的に口にする謎の人物。果たしてその正体は……
この神話的世界で『百合』と言われて出て来る女は相当絞られるわけだが


赤伯爵・黒男爵・アリス

六本木に平和に住まうひとびと。何故か単独項目があるのでそちらを参照していただきたい。


マーラ

すごく…大きいです…
同類にミシャグジ様もいるでよ!
実際には仲魔専用なので後のシリーズに比べると目立たないポジションなのだが、余りにも余りなデザインから多くのメガテニストが合体に挑んだ。


ツイキ・シュウセイ、コンゴトモヨロシク… ゴジハ・イソイデ・スグニケセ……

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最終更新:2024年03月30日 21:14

*1 開発側としても思う所があったのか、次回以降のヒーローは知恵のパラメーターを試されたり、魔法への耐性を付ける為に魔力のパラメーターを上げる必要が出るようになった。

*2 同じイラスト元での他のヒーロー二名も銃や剣で武装しており、彼の服装もプロテクターやデビルアナライザー、アームターミナルとなっているので、悪魔が跋扈してからのイメージと思われる。

*3 一応プロファイル版では「カズヤ」、攻略ノベル版では「ショウ」という仮の名がつけられている。

*4 プロファイル版では「ユカ」、攻略ノベル版では「アオイ」、『真・女神転生IITRPG 誕生篇 ジャンプスタート・キット 紅蓮の夜』では「高原 マキ(たかはら マキ)」というヒロインの名前が設定されている。

*5 ちなみにプロファイル版では「ユウジ」、攻略ノベル版では「トシキ」という名前がつけられている。

*6 こちらもプロファイル版では「タケシ」で、攻略ノベル版では「テツオ」という名前が付いている。

*7 離れた場所へ物体を転送する『ターミナルシステム』の開発者の一人だった。だがアクシデントによりターミナルが魔界につながったことで、悪魔がこちら側の世界に来る抜け穴を作ってしまう。自身もその際に悪魔に襲われて大怪我をし車椅子になり、代わりに戦えるよう悪魔召喚プログラムを作った。

*8 GBA版で追加されたサブストーリーで、パスカルは主人公が小学5年生の時に母親がナカジマという人物からもらったことが明かされる。

*9 この時点で唯一神に従う一神教とは全く別物