クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡

登録日:2010/05/19 (水) 20:52:27
更新日:2024/02/14 Wed 10:10:02
所要時間:約 7 分で読めます






オラたちに明日はない!


1997年に公開された映画『クレヨンしんちゃん』シリーズ第5作。キャッチコピーは「オラたちに明日はない!」
主題歌は、財津和夫の歌う「ひまわりの家」。



新たに原恵一が監督に就任。
ひまわり初登場の映画でもあり、この頃から映画『クレヨンしんちゃん』に派手なアクションシーンが多くなる。
また、SF・ファンタジーなどの非現実的な要素の濃かった前作までと異なり、本作はかなり現実寄りの伝奇風ロードムービーとなっている。
世界観が現実寄りというのは以降の原監督による映画『クレヨンしんちゃん』にも共通しており、本郷監督との作風の違いとしてしばしば挙げられる。



【あらすじ】

ある日、シロの散歩をしていたしんのすけは川原で眠っていたオカマと出会い、そのとき不思議な“タマ”を拾う。
その夜、珠由良ブラザーズと名乗るオカマの兄弟が、しんのすけの拾ったタマを求めて野原家を訪れるが、タマはひまわりが誤って呑み込んでしまっていた。
タマを狙う謎の集団「珠黄泉族」からひまわりを守るために野原家は珠由良ブラザーズと共に青森にある聖地「あ、それ山」に向かうが……。



【登場人物】

◆野原一家

玉を呑み込んでしまったひまわりを守る為に珠由良ブラザーズと行動を共にする。

野原しんのすけ(声:矢島晶子
説明不要の主人公。ちやほやされるひまわりに嫉妬していたが後半では兄としての自覚を持つようになる。
終盤でひまわりと共に魔人ジャークを蘇らせてしまう。
実は今回の話を正しく理解しておらず、ハニワにタマをはめ込むことですべてが解決するのだと勘違いをしてたのである。ハニワとタマの説明はすぐ理解したのになんでそこは間違えるのか…。


野原ひまわり(声:こおろぎさとみ
前年に生まれたばかりのしんのすけの妹。今回の主役にして騒動の原因。
初登場という事もあってか、他の映画よりも暴れっぷりが少ない。


野原ひろし(声:藤原啓治
お馴染み野原家の父親。
アニメの延長で劇場版でも苦労する。今作は珍しく足・靴下を(ヘクソンとの直接対決の1シーン以外)武器にしなかった。
「庇護する・される」事についてのしんのすけとの問答は屈指の名シーン。


野原みさえ(声:ならはしみき)
恐怖の母親。毎回の如く劇場版ではひまわりとかなり危険な目に遭う。
今回は歌の力で敵を追い詰める。


◇シロ(声:真柴摩利)
忠犬シロ公。野原家の逃亡劇について行くが戦闘や活躍は少なく、野原家がその際殺気立っていたこともあってか途中で東北新幹線の棚に置いていかれた。
そしてその際ぬいぐるみ扱いされるなどぞんざいな扱い…(電車内で車掌に「そちらのワンちゃんは…?」と問われたせいもあるが…)
なおその後フェードアウトなんてこともなくエンディングまでに自力で野原家に帰ってきた。すごいぞシロ。


珠由良(たまゆら)ブラザーズ

野原家と共に行動するオカマ三兄弟。新宿でオカマバー「スイングボール」を経営する。三人ともスキンヘッド(毎朝剃ってる)。
声優はクレしん常連のいつもの三人。*1
本名はちゃんとあるのだが、ローズ曰く「その名前は捨てた」らしい。

◇ローズ(声:郷里大輔、大友龍三郎(ゲーム))
珠由良ブラザーズ長男。本名たけし。ピンクの服に青髭が特徴の巨漢。終始野原家と行動する。キレると声がゴツくなる。またの名をかわいい人魚。
体重は相当重い様だが飛び蹴りを披露するなど身体能力は抜群、見た目通りの怪力も持ち合わせでスーパーでは鰹を武器に戦った。
弟達からは「おにいたま」と呼ばれる。
ちなみに中の人は基本的には部長を演じているが、アクション仮面VSハイグレ魔王ではTバック男爵を演じていた。*2


◇ラベンダー(声:塩沢兼人、大滝進矢(ゲーム))
珠由良ブラザーズ次男。本名つよし。緑色のチャイナドレスとアイシャドーが特徴。3人の中ではもっとも女性的な容姿。
スーパーではごぼうを武器に戦った。
中の人ば基本的にぶりぶりざえもんだが、劇場版第2作でも同じくオカマキャラであるサリーを演じている。


◇レモン(声:大滝進矢)
玉由良ブラザーズの末っ子。本名きよし。中の人はカンタムロボ。
黄色の服とタラコ唇が特徴。ひまわりの中のタマを察知するなど霊的な力を持つ。
スーパーではタラバガニの二刀流を武器に戦った。
余談だが、14年後の劇場版作品『嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』にもレモンという同名の幼女スパイが登場するが、当然彼女とは無関係。スタッフ、ちゃんと過去作の確認しなさいよ…


◆同行者

東松山よね(声:山本百合子)
千葉県警成田東西署刑事。自称「グロリア」。
洋画のようにかっこよく悪と戦う事に憧れる女刑事であるが、ドジな性格と問題行動が災いして、署内では資料室の整理係をさせられていた。
成田空港での乱闘事件の捜査中に野原一家&玉由良ブラザーズに偶然遭遇、「銃が撃てるような事件に巡り会えた」ことに喜んで協力することになる。
正義感こそ強いが、ちょっとしたことにでもすぐに銃を持ち出す危なっかしい人物。
「弾は悪人にしか当たらない」と口にするが、実際は悪人にもさっぱり当たらないほど射撃はヘタクソ。
本作のゲストヒロインだが、他の作品の頼れるゲストヒロイン達とは違い、射撃が当たらないわ他のキャラに踏まれるわで情けない面が強調されていた。


◆珠由良族

魔人ジャーク復活の鍵となる玉を守る一族。本拠地は青森県「あ、それ山」。

◇珠由良の母(声:真山亜子)
珠由良族頭領で珠由良ブラザーズの母親。老いてなお軽々と剣を振り回す男勝りの婆さん。
もう1つの玉を守っていた。
高い霊力の持ち主*3で、ヘクソンの襲来やひまわりの居場所を察知した。一方で流行に敏感なようで、東京に向かうローズにカヌレを土産に送るよう頼んでいた。


◇珠由良七人衆

珠由良族を守る七人の精鋭。全員が老年。実力は確かだがヘクソンの前に敗れる。モデルは「七人の侍」。

▽カンベエ
白い頭巾を巻いた糸目のじいさん。モデルは島田勘兵衛。

▽ゴロベエ(声:岩永哲哉)
カールおじさんみたいなじいさん。モデルは片山五郎兵衛。

▽シチロウジ(声:太田勝人)
頬かむりをしたじいさん。モデルは七郎次。

▽カツシロウ(声:中田雅之)
一番地味なおっさん。モデルは岡本勝四郎。

▽キュウゾウ
一番小さいじいさん。モデルは久蔵。

▽ヘイハチ(声:中嶋聡彦)
ニット帽を被ったじいさん。モデルは平八。

▽キクチヨ(声:納谷六朗)
兜を被ったじいさん。モデルは菊千代。



珠黄泉(たまよみ)

今作の敵。かつてジャークを封印した一族だが、現代ではジャーク復活による世界支配を企んでいる。

玉王ナカムレ(声:山本圭子)
珠黄泉族頭領で銀座のクラブ経営者。常に笑顔を絶やさないが実は腹黒。
健康ランドで暴れたら他の客に迷惑になるから止めたりと、一応社会的道徳は持っている。
名の由来はおそらく中村玉緒。


ヘクソン(声:筈見純)
珠黄泉族の血を引く異民の子孫。
ヒマラヤ山地で獣同然の暮らしを続けた結果、超人的な動きと読心術を会得した。
劇場版で野原家を追い詰めた数少ない1人。


◇チーママ・マホ(声:島津冴子)
玉黄泉族の指揮官。子供にも容赦しない残忍な性格。
新体操格闘術の使い手で(中の人繋がり)、リボンで大根を切り刻める。


サタケ(声:立木文彦
元悪役プロレスラー、その前はベビーシッターという異色の経歴を持つ大男。
子供好きで、最後は野原家の味方についた。エンディングでは玉由良ブラザーズの店でウェイターとして働いていた。
中の人は黒磯。


◆その他

◇ジャーク(声:青森伸)
1000年以上ハニワに封印されていた魔人。
どんな兵器をも上回る恐るべき魔力を持つとされている。
かつて珠黄泉族の霊能力者の一人がこの力を利用して世界を支配しようと目論んだが、珠由良族と珠黄泉族が多大な犠牲を払いつつ阻止したと言い伝えられている。
ジャークの封印されたハニワは地中深くに埋められ、ジャークの魔力を結晶化させた二つのタマを珠由良族が、
霊能力者がジャークを操るために使った道具「魔ン棒(まんぼう)」を珠黄泉族が管理することになった。
実は1000年もの封印の間にすっかり力を失ってしまっており、封印が解かれた時には賞味期限切れになっていた。残った魔力も、埴輪から出るときに全部使ってしまったらしい。
品名:魔人 内容量:72キログラム 賞味期限:1996年12月31日
おまけに、1000年以上も股間の珠を取られていた影響でオカマになってしまっていた。さらに言えばジャーク自身も別に悪意ある存在ではなかったようで、1000年前もあくまで魔ン棒によって操られていただけだったとの事。
最後は、玉由良ブラザーズの店でローズ・ラベンダー・レモンと一緒に働くこととなる。


◇臼井儀人(声:臼井儀人)
『クレヨンしんちゃん』の原作者。本人役
映画第5作(暗黒タマタマ)~第8作(嵐を呼ぶジャングル)まで出演しており、*4本作が初登場。
野原一家&玉由良族と玉黄泉族の争いをスルーして、健康ランドのカラオケボックスで「兄弟船」を熱唱していた。
その後、最終決戦に向かう野原一家たちの前に再登場。
「全日本心の演歌カラオケ選手権大会」予選会場の場所を聞くも、先を急いでいたひろしに殴り飛ばされる。

【余談】

  • 「作品のキーアイテムとなる珠を飲み込んでしまう」という展開は映画第1作『アクション仮面VSハイグレ魔王』でも存在し、こちらではしんのすけが飴と勘違いしてアクションストーンを飲み込んでいる。
    前述の通り、今までのSF・ファンタジー路線が本作からは現実寄りになっているため、しんのすけの飲み込んだアクションストーンはハイグレ魔王の魔術によって体内から直接取り出されていたのに対し、ひまわりの飲み込んだ珠は便と共に排泄されるのを待つ形となっている。

  • 青森から敵の本拠地である東京臨海副都心へは、車→特急はつかりで盛岡→東北新幹線で東京(ここでシロが置いて行かれる)→山手線で新橋→ゆりかもめ というなんとも時代を感じさせるルートで向かっている*5
    今は亡き485系(それも国鉄色)、200系新幹線、山手線205系、ゆりかもめ7000系と、今となっては懐かしい面々も揃っている。

  • 「組織にとって重要なアイテムを飲み込んでしまい、それにより組織から狙われる」という展開は『有閑倶楽部』の「香港より愛をこめての巻」というエピソードと共通している。
    コチラも便と共に排泄されるのを待つのだが、飲み込んだのが誰なのかはわからなかったため、組織は対象となる7人+犬1頭を拉致して下剤を飲ませ、その便の中から探り当てるという、地獄絵図が繰り広げられた。少女マンガ史上最も多く並んだとされるアヒルのおまるは圧巻。

  • のちにニンテンドー3DSで発売された『嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ!』では、大友龍三郎氏がローズ、大滝進矢氏がラベンダーを演じている*6


追記・修正をしないヤツにオカマの敵がいるわよ!

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最終更新:2024年02月14日 10:10

*1 ひろしの会社の部長+ぶりぶりざえもん+カンタムロボ。

*2 冷酷非道なのでホモらしい

*3 この霊力はレモンに受け継がれた様子

*4 ヤキニクロードにも登場している。

*5 特急はつかりは2002年の東北新幹線八戸延伸時に廃止されており、現在は新青森から1本で東京へ行ける

*6 大滝氏はレモンと兼任。なお、同名のキャラだった『黄金のスパイ』のレモンは「スノモノ・レモン」名義になっている。