TRPG

登録日:2010/12/27 Mon 22:11:04
更新日:2024/04/03 Wed 21:12:29
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我々には勇気がない。
未知なる危機にたった一つの生命は晒せない。

我々には力がない。
襲いくる危険から身を守るすべを知らない。

我々には機会がない。
この世界に、まだ余人の知らぬ秘境がいかほど残っていよう。

だが、それでも、我々は冒険を体験することができる。そのための方法が、我々には与えられている。

ロール・プレイング・ゲームだ。

勇気も、力も、機会も与えられなくてもよい。
想像力の翼があれば、我々は冒険を作り出すことができるのだ。


富士見文庫 ソード・ワールドRPGリプレイ集8 亡者の村に潜む闇 冒頭より


目次


【概要】

TRPG(テーブルトーク*1・ロールプレイングゲーム)とは数名の参加者達が架空のキャラクターを操り、
コミュニケーションや会話とルールブックに記載されているルールに従って物語やドラマを創造していくゲームである。

簡単に言うと皆で会話しながら進めるオンラインRPGのようなもの。
ただし使うのは鉛筆や数種類のサイコロ、ルールブック等の道具と気の合う仲間達である。

ゲームをする際は事前にゲームマスター(GM)*2という司会進行役がシナリオを用意する。
ほかの参加者はプレイヤー(PL)となり、自分の操るプレイヤーキャラを作成する。
勿論、行動の基準になるルールブックの用意もお忘れなく。

ちなみに、本来「RPG」はこちらを指す言葉であったのだが、日本では「コンピューターRPG(CRPG)」の方が先に「RPG」として定着してしまったため、
そちらと区別するために日本では「TRPG」と呼ばれることとなったが、英語圏でもわざわざ言い換えずとも「TRPG」で通じる。
また、世界各国でCRPGがメジャーな遊びとして認知されてきた影響で、近年は海外でも単に「RPG」と言うと「CRPG」を指す言葉になっている模様。



【歴史】

元々ボードゲームを作っていた人たちがいたが、PLの取り得る行動を拡張していくうちに臨機応変なルールが求められるようになってしまう。
そしてボードゲームの世界には、遠く離れた参加者が自分の手を郵送して遊ぶ遊び方があった。
将棋チェスなら相互に送り合うだけで済むのであるが、多人数のゲームでは何通も出さなければならないため、「一人の所に集中して郵送し、その一人が結果の盤面を各PLに送る」という形式になる。
これを応用して進行を司るGMという役職が置かれ、TRPGが誕生した。
ちなみに先述の「一人の所に集中して郵送」形式自体は、後に商業多人数参加ゲーム形式「プレイバイウェブ(PBM)」、及びそれのネット版「プレイバイメール(PBW)」へと発展。
『蓬莱学園の冒険!』等人気PBM・PBWのTRPG化も行われるようになった。

日本では一部の好事家の趣味だったが、1989年に生まれた国産TRPGソード・ワールドの登場あたりから一気に裾野が拡大。
これを入口としてD&Dなど海外産のものも幅広く受け入れられるようになる。
富士見文庫の関連書籍は一般書店に普通に並んでいたほどで、コンベンションなどのイベントも活性化する。

2000年代後半からニコニコ動画等の動画サイトが台頭し、リプレイ動画が投稿され出したことによりその人気はさらに上昇。
特に、クトゥルフ神話TRPGはそれまでマイナーなものであった立場から一転、TRPGの代表格とも言える存在にまで成り上がった。アニオタの諸兄ならSAN値という単語を聞いたことくらいはあるだろう。

残念ながら今でもそこまでメジャーな趣味では無いが、最近では艦これこのすば等、メジャーなタイトルがTRPGに参入することも多い。
そういったタイトルはTRPGを普段から遊ぶ人よりも、TRPGにあまり馴染みの無いであろう原作のファンをターゲットにしているため、初心者でも遊びやすいような作りになっているという特徴もある。



【ゲームの流れと目的】

TRPGには様々な種類があるが、どんなものでも基本的な進行は

  1. GMがプレイヤーに現在キャラクターが置かれている状況を説明する。
  2. プレイヤーはこの状況に対してどのような行動や判断、アクションをするか決定する。
  3. GMはキャラクターの反応に対してどの様に状況が変化したかを説明する。

というやりとりをシナリオの最終目標(ダンジョンを踏破、モンスター退治、事件の解決など)に達するまで繰り返していく。
この一連の流れをセッションと呼ぶ。



多くのTRPGでは、上記に成否判定(ロール)を加えることでゲーム性を作っている。
これは主にダイス(サイコロ)を使って、プレイヤーの行動が成功したかどうかを判定するもの。

例えば「探す」「調べる」「勘が働く」といった行動が成功するかどうかである。
判定は用いるシステムやルールによって非常に細かく多岐にわたり、もちろん「攻撃する」「回避する」といった戦闘にも使う。

一例
GM「目の前の道が岩に塞がれていて通れない。両脇は崖になっている」
A「岩を登ることはできるかな?」
GM「2D6で○○以上なら成功。盗賊なら-3、重い鎧着てる人は+3だ」
A「楽勝!」
B「失敗したー」
C「やべ、俺ファンブった」
GM「Cが登ろうとして手を滑らせ、Bの上にドスン。あ、ダメージはなしで」
B「重いだろ馬鹿野郎!痩せろ!」
C「すまんすまん」

A「あれ?Cお前って腰に酒瓶を吊るしてる設定だったよな?割れねぇ?」
GM「追加でもう一度判定してみよう。4以上なら酒瓶は無事だ」
C「あー…すまんワハハ」
B「お前ー!俺のカラダになー!」
A「おお、くさいくさい」

こんな感じで行動と判定しながら進んでいく。
見ての通り、現実にそこにあるのは広い机と小道具だけで、キャラクターたちの活動は参加者各々の空想上に存在している。
全てGMとPLの想像力とその共有によって進行するのである。

ビデオゲームに慣れている人からすると、こうした明確な「画」のないゲームという有り方は少々イメージしづらいかもしれないが、ボードゲームなどの非電源ゲームや、ライブ感のある小説といった趣に近いものを想像して欲しい。



TRPGの魅力といえば、プレイヤーにとってはその世界観で自分が作ったキャラクターが様々な事件を解決したり、ダンジョンに眠っている財宝を入手してキャラクターを強くしていく事や、文字通りキャラクターをロールプレイ(演じる)する事での異世界感に浸ることであろう。
もし繰り返しセッションしていればいずれは国や世界を救う英雄になれるかもしれない(一回のセッションで世界を救ったりもするが、それはGMの匙加減である)。

GMは自分の作ったシナリオをプレイヤー達に遊んでもらい、セッションの終わりまで皆に(もちろん自分も)楽しんでもらう事が目的となる。
蹂躙…じゃなくて遊ばれることにより、自分が思ってもいなかった展開や結末を迎える事も醍醐味の一つだ。
また、シナリオの途中で悩んでいるプレイヤー達を見てにやけたり、助けたりするのも良いかもしれない。

その性質上、遊び方、ストーリーは正に無限に(王道の冒険物からネチョネチョな18禁物まで)存在するため、
やろうと思えばリアルにこれ一本(作)で100年遊べます。



【リプレイ】

TRPGの代表的な楽しみ方の一つに 「リプレイ」 というのがあり、これはプレイ当時の状況を記録しておき、後で文章として書き出した読み物である。
富士見書房やエンターブレイン社などから、セッションの様子をライトノベル風に書き起こした公式リプレイが多数発売されており、同人誌やWeb小説などもある。
リプレイはTRPGがどのような遊びなのか雰囲気を掴むのに極めて有用な書籍なので、興味がある方はぜひ一度手に取ってみて欲しい。TRPGの入口として大いに役に立ってくれるはずだ。

また、動画サイトでは 「リプレイ動画」 があり、こちらも同様に参考になってくれるだろう。
これらは必ずしもリプレイとは限らず、リプレイ風にキャラクターを動かして物語を作る動画も多く投稿されている。

注意点として、基本的にリプレイはいわば一流選手のアクロバットのようなものである事が挙げられる。
往々にして人気を博すのは「素人には真似できない」プレイが多いので、参考にする際もそれを踏まえておきたいところ。
実際、クトゥルフTRPGなどはGM(キーパー)の仕事や負担が極めて大きく、そもそも初心者向けでないこともある。

ただ、こういった高度なリプレイも慣れてくれば非常に参考になる事は間違いないので、もし失敗してしまってもTRPGそのものを諦めないで欲しい。



【派生作品】

TRPGのリプレイから始まって小説やアニメへと派生した作品の代表例は『ロードス島戦記』がまず挙げられるだろう。
近年のTRPGから派生した作品ではレッドドラゴン(RPF)がある。
リプレイが読み物として書籍化されている事からも分かる通り、TRPGは小説化との親和性も高いのだ。(もちろん手直しは必要だが)

特にGMを経験すると、シナリオを作る経験だけでなく自分ではないPLの行動がキャラメイクの個性作成にも繋がる。
事前に予想される展開を仕込んでおき、その上で「人間がこの状況で何を思いつくか」という生の実例も得られる。
小説家にもTRPG経験者は多く、小説を書く上でTRPGの経験が活きると言う人も多い。

中にはゲームブックシリーズから生まれた『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー』や、
ゲームブックとTRPGの要素を併せ持った『ブラッド・ソード』、CRPGをTRPG化した『ウィザードリィRPG』といった、特殊なものも存在する。

2010年代では、舞台や設定をTRPGに見立てたライトノベル『ゴブリンスレイヤー』が「GA文庫新作として異例のヒット」を飛ばして話題に。
この作品の主人公が運が絡む要素をなるべく排除し、確実性を重視した作戦や行動を取るのも、運の要素を削ろうとするプレイヤーが元ネタ。
2019年5月には、自身もTRPGプレイヤーである作者の蝸牛くも先生の全面協力を得てグループSNEが制作した『ゴブリンスレイヤーTRPG』が発売されている。



<TRPGと著名人>

少し話題は逸れるが、漫画・小説・ゲームにおける著名人には意外にTRPG経験者が多い。

  • 遊戯王の作者である『高橋和希』先生は大のTRPG好きで、作中にTRPG(GMが俺ルールしまくるが)を何度か登場させたり、カードゲームであるM&Wのノリが完全にTRPG状態となっていたりする。
  • 文豪ストレイドッグスの作者『朝霧カフカ』もTRPGプレイヤーであり、元々はニコニコ動画の人気TRPGリプレイ動画作者であった。
  • FF2シリーズのゲームデザインを担当した河津秋敏氏もヘヴィなTRPGプレイヤーとして知られており、彼がデザインしたCRPGにはTRPGの影響が色濃く見られる。
  • ちょっと変わった所ではポヨポヨ観察日記の樹るう先生なども別著でTRPG経験者である事が仄めかされている。
  • 複数リプレイに参加している鋼屋ジン、自キャラに「ナギ・スプリングフィールド」と付けた赤松健がメインの『アルシャードセイヴァーRPGリプレイ「モーニングムーン」』、奈須きのこ虚淵玄等が参加した三田誠がGMを務めた『レッドドラゴン』等、作家陣がゲスト参加した商業リプレイも複数存在している。

逆にTRPG畑から名をあげた作家もおり、元グループSNEの山本弘や三田誠、冒険企画局の宮澤伊織(プレイヤー参加時の名前「魚蹴」)等が代表か。



【TRPG論】

<プレイ上の注意>

TRPGは他人と対話して遊ぶゲームなので、対人でのTPOも弁える必要がある。

最も大事なのは信頼関係
どんなTRPGでも様々な悪ふざけが起こり得るが、それらは互いの信頼があって初めて成り立つ。
そこをはき違えるとGM・PL問わずただの一人相撲になってしまう。

プレイヤーは、いくらそれなりに自由にキャラクターを動かせるとはいえ、GMや他人を困らせる行動は論外である*3
コミュニケーションによって進行するゲームだという事を忘れてはならない。
ルールブックの確認などもその一環と考えて間違いない。

GMもまた無理難題をふっかけたり、プレイヤーを困らせる事を目的にしているようでは三流以下である*4

尚、これらの中には市販のリプレイや解説本の中にも該当する様なものも多いが、
だからといって「公式でやっていた」とか「こうした方が面白い」という免罪符で行うのは慎むべきだろう。


<マンチキン>

TRPGで古くから存在する用語。
中でもプレイに関して障害となり得る「困ったちゃん」を総称したもの。略称マンチ。
日本で定着したマンチは元祖とも言うべきマンチキンと微妙に意味合いが異なるため、「和マンチ」と呼んで区別される事が多い。
いずれにせよ、場の空気を読まない・GMや他のPLに不満を抱かせる・場の空気を乱すといった共通点は同じ。
またGM版マンチキンと呼ぶべき用語に「吟遊GM」がある。名前の通り吟遊詩人を捩った和製用語で、PLの望まないシナリオを押し付けるGMを指す。

明確な和マンチの特徴として、データの最適化や効率を尊ぶというものがある。
ルールブックを隅々まで読み込み、状況を瞬時に把握し、その場における最適解を導き出す──
と、言えば聞こえはいいが、そうでないPLにとってはガチガチにゲームを押し付けて目立ちたがる効率厨に他ならず、これが不和に繋がるのである。

TRPGでは戦闘が大きなウェイトを占めるケースが多いため、必然的に「戦闘面で能力を追求するPL」「それを前提に難易度調整するGM」が産まれる。*5
後者に対抗するには和マンチでないとキビシイなんて事もあり、このせいで和マンチを単なる厄介者と断じられない一面もあったりする。
(そいつら同士で遊べ!という意見ももっともだが、世の中そう簡単ではない…)

また、和マンチ自体は紛れもない悪口雑言であるため、使用者本人の意思次第で意味合いが大きく変わる事もある。
データを読み込んでいるベテランとして肯定的に捉えて自称するプレイヤーや、和マンチな本人が他人を和マンチ呼ばわりして非難するといった使われ方もされるほど。


<よくないプレイングの例>

ここでの「よくない」はルールで明確に書かれてはいない、ルール違反ではないが「やったら相手に不信感を与えうる」「他者に明らかに負担を強いる」意味での良くないである。

ゲームマスター

  • 初期作成シナリオでドラゴンを出す、そして皆殺し。
  • 実際に戦闘を行うまで呪いアイテムの実際の効果を言わず「使っていたキャラクターは強化されたと錯覚していた」として嘘の効果を申告する。
  • PC達を魔法一発で一蹴した敵ボスのとどめをNPCに刺させる。
  • 紛らわしいモンスター表記でPLを混乱させて全滅させる(「ダイヤゴーレム‘」)。
  • 国の王が偽情報と偽証人と偽造証拠を用いた偽装裁判でシナリオ報酬の大半を奪っていく。
  • 「息子の敵を討ったら城をやる」→「黙っていたが息子は犬の事だったのだ」→報酬は犬小屋。
  • ドラゴン退治で各関所で税金を取り立てて前報酬を吐き出させ、更に帰りも各関所で取り立てを行ってドラゴンの財宝も根こそぎ奪い、更に前報酬の返却税も取り立てる。
  • 敵NPCに捕まり利用され、主要ボスはその敵NPCが倒す展開にする。
  • 世界観に関わる重要なギミックを敵ボスの逃亡に用いて、「これは危険物です」「どうぞ壊して下さい」とばかりの演出をして破壊させる。
  • 異常な数のアンデッドモンスターを出し、更に鬱展開を行ってPLの精神と判断力を消耗させたうえで「判断ミスした」としてシナリオ失敗&次回シナリオをバッド確定の展開にする。
  • 妙に小賢しいPLを警戒し、彼がいない時にシナリオを進めて不利な展開にしたり、PCを呪いにかかり冤罪で投獄拷問され更に敵組織に誘拐される展開にする。
  • 一見しただけで解かる人物特徴を「この地方では当たり前」「聞かれなかった」からとプレイヤーに伝えず、罠にはめる。
  • 遺跡探索で必要アイテムを入手したが「そこの住人たちの配慮を怠った(あくまで遺跡にたどり着いた時に知った事であり、本来の目的ではない)」としてシナリオ失敗扱いにする。
  • 状況的に罠の可能性もあり、普通は持ち運ぼうとは考えにくいアイテムを「PCへのボーナスアイテム」として配置、そしてそれを罠と判断してぶち壊すPC達。
  • 明確にキャラの扱いに差をつけて主要キャラは専用武器やイベントで優遇し*6、不遇キャラの行動だけは(アドリブや後付けで)全て裏目に出るようにする*7

プレイヤー

  • どう考えてもまともなプレイが困難なキャラを作成して(リアルの人間関係を利用して)強引にねじ込む。
  • 願いを叶えてもらうシーンで自分だけ能力上昇を頼んだり詭弁を用いてアイテムをねだる(他のキャラクターは死亡していたキャラクターの蘇生を頼んでいた)。
  • NPCが出す情報を最後まで聞かずに決めつけたり無視しようとする、会話時に適当な返答でNPCをキレさせて状況を悪化させる。
  • 通りすがりのNPCにいきなり「邪悪感知」等のスキルを使用。
  • (技能も無いのに)勝手にサイコロを振って状況を悪化させる、他PCの見せ場を奪う。
  • 勝手にNPCのセリフを被せて変なキャラ付けにする。
  • ひたすらシナリオに絡まない。
  • ひたすら沈黙し、行動指定すらしない。
  • 選択肢を決める場面ですらひたすら引き伸ばし最終決定を決めない。
  • 他のPCに、不快にさせる発言や挑発するような発言をする。



<想像力>

TRPGは参加者同士がある程度共有した 想像力 が必要なゲームでもある。
遊ぶ際はGMもプレイヤーのどちらにも豊かな想像力が求められる。

…といっても、なにも頭が沸騰するまで常にフル回転しろと言うわけではない。
キャラクターとして動くために、どんな世界で、どんな常識を持ち、どんな行動ができ、結果どうなるのかをなんとなく想像するのだ。
実は、これがTRPGの基礎の中で最も重要で、かつ難しいポイントの一つでもある。
ルールブックを読んだだけで身に付くものではないため、初めてTRPGに触れる人にとって最初の壁になりうるほどだ。
ぶっちゃけてしまえば「雰囲気を掴む」という事なのだが。


例えば、キャラクターメイキングの流れを少し想像してみよう。

まず容姿や性格の概要を作らなくてはならない。
すでに作ってみたいキャラクター案が脳に浮かんでいるのなら、それを他人に具体的に伝えられる形に仕上げる。
そうでない場合、例えばゲームの舞台がファンタジーRPGならば、その世界には様々な職業があり、武器があり、魔法があるのだから、
そこから要素を一つ決め、それを土台に肉付けしていくといった方法がある。

ルールに剣を扱うクラスがあるな。よし、これを採用して剣の達人を目指しているキャラクターにしよう。
性格は、ほどほどに熱血…と。

大まかなキャラクター像ができたら、来歴を想像してみたりする。
どんな人生を歩んでいたとしても、これまで生きてきた以上は必ず他人との繋がりを介した経験がある。
あるいは、そのキャラクターの一日を想像してみるのもいいかもしれない。
そうする事で、生活スタイルや行動原理、他人との接し方といったものがなんとなく決定できるはずだ。

今は未熟だけど、達人を目指すストイックな性格で、金より名声を選ぶタイプにしよう。
でも今は貧乏で、夢のために傭兵稼業でなんとか凌いでいる若造かもしれない。
傭兵をしていたなら、他者との協調性はある程度やれるほうだろう。集団行動も苦じゃないだろうな。

ファンタジー系ならば、酒場などで他の参加者のキャラクターと出会い、パーティーを組んで冒険に出掛けるケースも多い。
であるならば、酒場で何をしていたのかも想像してみる。

酒を飲めるほど余裕はないし、次の傭兵的な仕事を探している最中ということにしとこう。
うーむ、ストイックは目指したいが、案外金にはきっちりうるさいキャラになる気がするな。

ここまでくればGMや他のプレイヤーに説明するには十分な造形ができているはずである。
もちろんこうした想像力の土台にはゲーム舞台への理解が必要不可欠だが、GMや他のプレイヤーと相談しながら、
どんな世界なのか擦り合わせをしながら作っていけば、決して難易度は高くない。



シナリオが始まったら、分身たるキャラクターをここまで作った通りに想像して動かす。
慣れるまで多少は不自然でも構わない。
シナリオには舞台がある。キャラクターの前に立ちはだかる障害も登場する。
それはモンスターだったり、陰謀だったり、果ては取るに足らない事件だったりもする。
そうしたキャラクターとその周囲の状況や風景を想像しながら、参加者はゲームを進めていくのである。


<自由度>

TRPGは自由度が高いゲームであるが、制約は多い。
この「自由」とは「他のPC、そして何よりGMが認める限り」「それをする事に納得するに足る理由と必然性を説明できるなら」という前提と言い換える事もできる。
ゲーム進行に大きな支障をきたすような「自由な行動」は決して認められないのだ。

例を挙げると、
「(このキャラは荒っぽい性格なので)自分の上司の執務室のドアを、普通に開ければ良いのに蹴って開けました」程度の自由は認められよう。
だが「(特赦されたサイコキラーなので)街中を探索中に友好NPCを唐突に皆殺しにしました」など到底認められない。
あらゆる突飛で不合理な行いを認めたなら、それはPLだけでなくGMすらもタガが外れて好き勝手暴れる事を意味するのだ。
複数人で一緒に遊ぶゲームである事を忘れた「手前勝手な自由」は最もダメな自由の例である。


つまり「変態的なプレイングができる自由度」は(原則として)無い
当wikiの自由度(ゲーム)の項目を参照してもらえれば、
「寄り道をできる自由」「自由にオープンワールドを移動できる自由」、「極端な構成で遊べるパーティ編成の自由」、「友好NPCを特に意味も無く殺害する自由」、「あえて良心に背いたりふざけた行為をできる自由」、「いきなりラスボスに挑んでいく自由」、「いつまでもメインストーリーを進めない自由」、「ダンジョンを爆破する自由」など、
「近代のコンピューターゲームで言われる自由度」の実現はTRPGにおいてはほぼ不可能、
あるいは理論上は可能でもGMや他プレイヤーに多大な負担をかけてしまい現実的には困難であることがわかってもらえると思う。

制約を受けるのは、シナリオを制御するGMも同様である。
プレイヤーを強制的に負けさせる依頼が罠、本来敵である魔物に善良な個体を出す、叙述トリック
プレイヤーの選択によってバッドエンドにしたり全キャラクターを殺すなど、一人用ゲームでは「自由」なシナリオを遊ばせることができる。
しかしGMの仕事は参加者全員が楽しめるようにすることであり、「PLを不快にする可能性のある展開」は推奨されない。*8

TRPGにおいて「〇〇できる」という行為の全ては「GMや他PLが許せば」という前置き*9が付き、
そしてGMとPLは人間であるため能力が有限であるのが現実である。
無責任に自由度を誇張したがために誤解を招いてトラブルを引き起こす現象に対し、「自由度幻想」という言葉が古くからあるほどである。

また自由度を笠に着た反則技として有名なものに、
『モンスターの体液を汚水と見做し、汚水を浄化する魔法をモンスター相手に使用する事でその血液を真水化させ倒す』
というものがある。
ただのサポート魔法がダメージ計算もへったくれもない即死魔法に変貌する凶悪な使い方だが、
ゲームによってはこの様な「度が過ぎた拡大解釈」はルールで明確に禁止されている
同じ理屈で、「土とは腐敗した植物の成れの果て→土を司る事は即ち植物を司る」と解釈し、
ものを腐敗させる能力で土を腐らせ、植物を操る」などといった使い方もTRPGでは到底認められる事はないだろう。

プレイヤーにしてもGMにしても、TRPGを進める上での「自由度」は必ず決められたルールの下で行使されなければならない。
何故なら、それが無ければ「口が達者で、話術に優れ、小狡い事を思い付く者」が他参加者をやり込め、好き勝手をさせる事を許してしまう為である。
TRPGは会話で進めるゲームであるが、会話で相手を制圧し我を通すゲームではない事は覚えておくべきである。

現代はスカイリムGTAシリーズFalloutなど、「プレイングの自由度が高いゲーム」が多数存在する。
UNDERTALEIbなど、「シナリオの評価が高いゲーム」も多数存在する。
しかしTRPGは好き放題プレイできたり、作者が作ったシナリオを楽しんでもらえる一人用ゲームとは訳が違う
TRPGは多くがソロゲーでもPvPゲームでもない。MMOに近い協力型ゲームである。
そして「シナリオに沿い、異なる意思を持つ複数のキャラクターがゴールを目指す」性質上、
TRPGはみんなで物語を作るゲームとも称される。
「個人の自由度」より「協調」「調和」「常識」こそが一番の大事である。
プレイヤーもキャラクターもGMも節度をもって行動しましょう。

例えばTRPGを基にした電子ゲーム「サイバーパンク2077」のシナリオでは、序盤で依頼を失敗した上に、仲間は死に、依頼人に裏切られる。
しかしこれは実際のTRPGでは推奨されないシナリオである。
なぜなら一人用ゲームのシナリオと違い、犠牲や失敗はプレイヤーの責任になってしまうからだ。
ファイアーエムブレム 風花雪月のような「誰を救い誰を見捨てるか」を選ぶシナリオも同様である。

シナリオの話だと「善良なゴブリン問題」というケースがある。
善良なゴブリンが出ることでPL間でモンスターを殺すことの善悪が議論になってしまい、セッションが上手く進まなくなる現象である。
対策方法は善良なゴブリンを出さず全てのゴブリンを邪悪にするしかないが、
この問題は電子ゲームでは基本的に起こらず、善良なモンスターをいくらでも出すことが可能である。

ゲーム上の処理を優先すれば不自然になるし、自然さを優先すればルールと矛盾するという「首ナイフ問題」というものもある。
敵が人質の首にナイフを突き立て、「動けばこの人質を殺す」と脅している。
しかしパラメータ上、ナイフには人間を一撃で即死させる攻撃力は無い。
このような場合、ゲームの設定と処理を根拠に、敵が人質を即死させるのは不可能と判断し構わず行動する事は是か非か?
という思考実験である。
「適当なパラメータで判定を行い、成功すれば救出できたとする」「GMが『逆らえば確実に死亡するものとする』と先に設定してしまう」「人質は『確実に救出すべき人物(万が一にも死んでしまったらゲームに大きく支障をきたす人物)』と設定する」「『1回しか使えない不可能を可能にするスキルの使い所』として発生させるなら問題にはならない」等々……
PC視点、GM視点問わず様々な回答がTRPGプレイヤーからそうでない者まで色々と寄せられているが、結局のところは円滑なゲーム進行の為に「GMがこうといえばそうなる」で納得してしまう、というのが最も無難であろう。
しかし、ゲームシステムと演出の食い違いといういわゆる「ムービー銃」的な違和感に対し、反論できる余地がある事やそれによってジレンマが発生してしまうのも、ある意味ではTRPGならではである。

これらはTRPGの高すぎる自由度がかえってシナリオの自由度を下げている例といえる。


こうした自由度の高さから生まれる問題の一つに、「アルファストライク問題」がある。
プレイヤーが初手で必殺技を撃って敵を即死させるのが最適解になってしまい、
他のPCの活躍の場が奪われる、耐えられた場合はリソース切れの状態でぐだぐだのバトルになる、というものである。
他にも「硬すぎるPCにダメージを通せる敵の攻撃が、他のPCを一撃で倒してしまう」など、複数人がPCを自由に作るゆえのバランス調整の難しさが付きまとう。

同時に、一人用のゲームを引き合いに出して「『TRPGは自由度が高い』なんて嘘っぱちだ!」「実際にはルールと制約で雁字搦めだ!」「TRPGに自由度など無い!」というのも言い過ぎである。*10

逆に言えば、 他PLとGMさえ許せば何でもできる。
例えば、PCが「10フィートの棒は持っていないが、代わりに槍で罠感知できないか?」と提案してみる、
GMもこのままではパーティーが罠に引っ掛かりまくりダンジョン探索どころではなくなってしまうだろう事を受け、
「10フィートの棒よりは低確率で感知できるものとして認めるよ」などとアドリブを効かせられる。
例えば、不運にもサイコロの出目が極端に偏ってしまいPC側パーティが敵拠点に侵入した直後に壊滅寸前に陥ってしまった場合、
GMが気を利かせて戦闘後に運良くアイテム倉庫を発見できた事にしてあげられる。
こういったアドリブを利かせられる自由度はTRPGならではのものであり、コンピュータゲームには不可能である。

「ある国の独占技術だが、バックにいる先進的な技術力を持った他の国や異星が独自に模倣した」として設定上は使用不可能な武器装備を使用する、
といった事も GMが許可すれば 可能である。
他の仲間が火力or補助支援役を買って出てくれたので、他PCの了解を得た上でサシの殴り合いや、逆に敵を妨害する事しか考えていないビルドを作る、
見た目は幼女だが熟練の格闘家」「飄々としたオカマの僧侶」といった「キャラメイクの自由度」もある*11

先述の通り、ロールプレイの範疇かつムードを壊さない範囲でちょっとした小ボケを挟んでみる、逆にロールプレイを用いて空気を盛り上げさせる、
自PCもしくは他PCの出番に花を添える、更にはアドリブで元々は無かった設定を生やしてみる……といった遊び方はやはりTRPGならではである。


みんなで協力してクリアを目指し常識の範囲で節度を守って楽しむ分には、TRPGは間違いなく「自由度が高い」ゲームなのである。



…ここまで読んでピンときた人もいるかもしれないが、実は変態的な自由度を認める事は不可能ではない。

スムーズに進行し、GMも含む参加者全員を真に満足させられたなら、セッションは成功と言うことができる。
ただその場合はGMの負担が非常に大きいだけでなく、シナリオすら全部アドリブで無用となり、大抵は好き放題暴れて終わるだけでゲームも何もなくなる。
極限に慣れた「分かっている」GMとPLの組み合わせでなければ成立せず、現実的ではないのだ。



【TRPGの例】

  • ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)
1974年にアメリカのTSR社で生まれた世界初のTRPGであり、つまりCRPGを含めた全てのRPGの原典とも言える存在。
世界観はまさしくファンタジーの王道「剣と魔法の世界」であり、近代の数多のファンタジーに影響を与えており、目に見えて強くリスペクトした著名作品も数多い。
初期の世界観は指輪物語風なものであったが、版を重ねていくうちに独自性の高いものとなっていく。例を上げればアラビアンナイト風の「アル・カーディム」や魔術と機械が融合した「エベロン」などの独自世界が用意されており、これらの世界でプレイするにはキャンペーンセッティング」と呼ばれるサプリメントを導入することで可能となる。
1997年にはTSR社が大手TCG「Magic the Gathering」でおなじみの「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト」に買収されて以降は自社制作で販売されている。
2022年現在でも新作シリーズがリリースされており、それまではホビージャパン社が邦訳と販売を行っていたが、2022年からはウィザーズ社が完全に邦訳、販売を担当することとなった。

  • トンネルズ&トロールズ(T&T)
D&D発売の一年後アメリカのフライング・バッファロー社から発売されたTRPG。
種族や武器の種類が豊富*12・ダイズ判定がシンプルな割りにシビア等独自の個性があり、有名呪文が「これでもくらえ!」等愉快な要素も取り揃えている。
ダイスについても、D&Dが「4・6・8・10・12・20面ダイスを使い分ける」のに対し、T&Tは「6面ダイスを幾つも振る」方式。そして白兵戦は「攻撃力を全員分合計してぶつけ合う」という大雑把な処理なので、敵味方とも大人数だとサイコロ数十個が飛び交ったりも。
また結構ユーモアがあり、第5版(最初の日本輸入盤)→改定した5.5版の後、「ファンによる様々な発展形が第6版だ(意訳)」として6を飛ばして第7版を公式で出していたり。なお最新版は『Deluxe Tunnels & Trolls』(完全版)。
世界観は初期は普通の(ハードで異種族多数だが)ファンタジーだったが、後に公式で背景世界の年表が創られエルフの魔法王オーク出身の死の女王を中心とした種族抗争譚が判明し完全版に収録された。
ローカライズは一貫してグループSNEが担当しており、5版の時期には当時公式で設定がなかった「舞台となるドラゴン型大陸*13の竜胴体部分」を舞台にしたバリアント「ハイパートンネルズ&トロールズ」も展開していた。

あと、一人で遊べるゲームブック形式の「ソロアドベンチャー」が豊富に出回っているのも他には無い特徴。ぼっちご用達

  • クトゥルフの呼び声(Call of Cthulhu, CoC)/クトゥルフ神話TRPG
クトゥルフ神話の世界観をベースにした現代ホラー系のシステムとなっており、SAN値/正気度の元ネタでもある。
かの作品群に出てくる、理解の外側にある神や化け物の脅威に脅かされながら、プレイヤーは探索を行ったりNPCと関わったりしながら生還を目指すこととなる。
クトゥルフ神話の生物は人類の常識を超越した存在であるため、彼等と正面からまともに戦っては勝利どころか生存すら難しく、「敵を倒してクエストクリアを目指す」というより「謎を解く」「生き延びる」のを目指す志向に近い。
判定方法が100面ダイス(大抵の場合は10面ダイスを二つ振って片方を10の位、片方を1の位とする)を振って出た目が目標値以下の場合成功と、成功率がパーセンテージでわかりやすい形式である。
這いよれ!ニャル子さん』等、クトゥルフ神話を元ネタにした作品でも登場したりネタにしてたりする。

  • シャドウラン
環境汚染と巨大企業(メガコーポ)の支配が進み、世界に魔法と異種族が復活したもう一つの21世紀を描くサイバーパンクファンタジーTRPG。
プレイヤーは様々な理由から「登録番号(SIN)を持たない『存在しない人材』シャドウランナー」として、企業支配の狭間を法に守られない無戸籍ゆえに出来る裏の仕事で渡っていく。
サイバー化による弊害が「魔法力にも関わり0になると死ぬ『エッセンス』の消耗」として明確化されており、魔法とサイバーの両立は(よほどの外法でない限り)難しくなっている。
人種差別の他に種族差別が加わったシビアな世界や、企業側からの依頼人が使う偽名「ミスター・ジョンソン」、強大な力で社会権力をも得たドラゴンへの警句「ドラゴンに関わるな」等が有名か。
日本では世界設定部分を独自に追加した*14グループSNE邦訳の第2版と、朱鷺田祐介と翻訳チーム「シャドウランナーズ」により新紀元社から展開される第4版・第5版が輸入されている。

日本産TRPGの金字塔で、システムを継承した作品『ソード・ワールド2.0』と合わせてグループSNEの看板シリーズ。
特に初代の関連作品はロードス島戦記*15が有名であろう。

F.E.A.R.の現代ファンタジーTRPG。
レネゲイドウイルスによって超常の力に目覚めた人たちが、日常を守るために非日常の戦闘に身を投じる異能力バトルもの。
GMやプレイヤーは良い意味で厨二マインドを全開にする事が求められる。

  • ナイトウィザード
F.E.A.R.のTRPGで、人外存在などを含む多種多様な「夜闇の魔法使い」が異界からの侵略者と戦う現代ファンタジーもの。
最初からメディアミックスを前提とした展開をしており、PLに声優を起用したり初期のリプレイは「E-LOGIN」というエロゲ雑誌で連載されたり、文字通りエロゲも発売したりアニメ化したりもした

  • メタリックガーディアンRPG
F.E.A.R.のTRPGで、遥か未来の「機甲歴」世界を舞台に巨大ロボで戦うロボットアクションもの。
鉄の城モーショントレースで動く格闘機バックパック換装能力と実弾兵器を無力化する装甲を持つ汎用機
動物型機械生命下半身を四脚・タンクなどに換装する機能や一回しか使えない超火力武器を扱える火力支援機
ロボと戦闘機の二形態を使い分けられる可変機動く棺桶乗る度にパイロットを蝕むリスクがあるロボ時に超常現象を起こす新人類専用機等々、見た事のあるロボは大体再現する事ができる。
公式NPCも呑兵衛ナイスバディ女性艦長やたら生真面目な転校生やら無口で無感情な駆逐艦みたいな名前の少女やら強面の武人(しかし顔に似合わず非常に酒に弱い)テロリストやら白髪ツインテ褐色メガネの秘密組織幹部やら、
敵組織もコロニー国家を離反しテロ集団と化した軍閥非撃破時に必ずドクロ型の煙を上げる連中など、正直言って元ネタを隠す気がまるで無い
言うなればTRPG版スパロボである。
というかブラックホールの技術を持つ試作機がバニシングした機種高速で突撃し必殺の一撃を叩き込む事に特化したロボなど、当然のようにスパロボのオリジナルロボットも再現できる
なお、派生作品にフルメタル・パニック!RPGがある。しかもコラボ作品もある
数年間展開が止まっていたが2021年に突然スパロボが30周年なのに合わせたかのようにかつて世界を滅ぼしたロボットコロニーのロボットがまとめられた。
ちなみに、これらにはヤベーシステム強制搭載である。
さらに、新クラスの実装とこれまで雑誌のみだった追加ルールをまとめた新サプリの製作が発表、2023年11月に発売されている。

滅んだ後の世界で、ゾンビの少女となったプレイヤーが仲間達と協力しながら必死に生き抜いていくポストアポカリプス系のTRPG。
元はロボットものとして企画されていた影響で、体のパーツがポンポン壊れたりすることが特徴。

ディストピア世界で、それぞれのプレイヤーが反政府組織に属していることをGMである都市管理AIに隠しながら、
チームの仲間と協力したり、裏切ったりハメたり密告したり、蹴落としたり爆破したりZAPしたりしながらそれぞれの目的を達成することを目指すTRPG。
TRPGは個々人の好き放題よりも協調性こそが大切と上では何度も繰り返しているが、本作は協力どころか蹴落とし合いこそがミソという点で独特。
上のSAN値同様、今や本作を飛び越えネットミームと化した感のある「市民、貴方は幸福ですか?」「市民、幸福は義務です」「次のクローンはきっとうまくやるでしょう」といったフレーズの元ネタでもある。

  • サイコロ・フィクション(サイフィク)
冒険企画局によって製作された汎用ルール、およびそれを使った作品群の通称。
日本のTRPG界隈が培ったノウハウを感じさせる、コンパクトで洗練されたデザインを有する。
基本ルールブックとリプレイをセットにした1冊で発売するのが特徴で、2021年時点で10作品以上が発売している。
現代に生きる忍者の戦いを描く『シノビガミ』、ホラーもの全般(CoCみたいなのも)をカバーする『インセイン』なんかが特に有名。

  • 艦これRPG
艦これをTRPG化させたゲーム。前述のサイコロ・フィクションで作成された作品の一つ。
GMは「提督」となり、また各PCは必然的に既に用意されている艦娘をロールプレイする事になるが、
原作の設定上の自由度を反映し、艦娘の性格・個性・キャラ付けはいくらかPCの自由・勝手が利く仕様になっている。
また各キャラには「リアクション表」が用意されているためロールプレイに困ったらダイスロールに任せてみる事ができ、
必ずしもオッサンが裏声で艦娘の声真似をしなければならないという事はない
何を聞かれても「胸が熱いな」で済ますある意味原作通りの長門とかも見れる。
因みに、「図上演習」というソロプレイモードも用意されている。

  • ウォーハンマーRPG
英国ゲームズワークショップ社のミニチュアゲーム「ウォーハンマーシリーズ」の一つである「ウォーハンマーファンタジーバトル」の世界観を元にしたTRPG。
初期はゲームズワークショップ社が制作・販売を行っていたが、近年では「Cubicle 7」社が制作・販売を行っている。
プレイヤーは「人間」、「ドワーフ」、「エルフ」、そして小柄な「ハーフリング」の種族になりきって、「キャリア」と呼ばれる職業を選択してウォーハンマー世界で冒険者となって様々な依頼を受注し、解決していく。
シナリオの雰囲気は本家譲りのダークファンタジー的な世界観で、中世ヨーロッパのガチの暗黒時代を思わせるような救いの少ないピカレスク風でハードな内容となっている。
最初に選択できるキャリアは剣闘士や魔術師、修道士などのまともそうなものもあれば、いかさま師、ネズミ捕り、領地代官などの独自色の強いものまで用意されている。
難易度としては死にやすく泥臭いが、初期のみすぼらしい身分からだんだんステップアップしていき、最終的には立派な位階へと成りあがるという暗黒時代の立身出世が楽しめる内容となっている。
設定も本家ウォーハンマーFBと共通しており、30年以上にわたる非常に濃密で完成度の高い世界観が構築されている。
本家のミニチュアゲームやデジタルゲームの「トータルウォーウォーハンマー」、「ウォーハンマーヴァーミンタイド」から入った人にはすんなり受け入れやすいだろう。
2022年現在はCubicle 7によって第4版がリリースされており、国内ではホビージャパン社からスターターキットやルールブック、サプリメントが翻訳されて発売されており、今後も続刊が予定されている。
本格的なダークファンタジー的でハードな世界観を楽しみたい人にはうってつけのシステム。





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最終更新:2024年04月03日 21:12

*1 英語圏では「Tabletop(卓上の)」であり、これは日本で発生した和製英語である。

*2 ゲームによって呼び方が異なるが、役割は同じ。

*3 勝手にルールを改編する或いは使用禁止職業やキャラを用いようとする、依頼人や通行人にいきなり切りかかる、なかなかパーティーを組まなかったり依頼を拒否する、他人が関わるべき状況でしゃしゃり出てムードをぶち壊す等

*4 依頼拒否や予期せぬルートを通ったらドラゴンを出したり隕石落として強制殺害する、予期せぬ行動を取るPLだけ徹底冷遇する、碌なヒントも出さずに「あそこで○○やってたら勝てたのに馬鹿だね~」等

*5 当然、戦闘メインではないシナリオでも目的のためだけにガチガチに特化させるのは同じ事である。

*6 公式リプレイ等ではシナリオの都合の為に意図的にやってる感もあるが、基本的にはやってはいけない行為である。

*7 但し、プレイヤー側が意図的にフラグを折ったり、自滅行動を取った場合は除く。 これらにペナルティを与えないのは別の意味で優遇になってしまう。

*8 こうした展開を辿るリプレイもなくはないが、だいたい初心者が真似していけない問題プレイ扱い

*9 逆に言えばGMの許可さえあればプレイングの幅は大いに広がる。例えば上記の「粉塵爆発を起こしたい」なら、必要となる能力値(知識や教養が妥当だろう)や難易度、「広域に被害を及ぼすので他のPCにも被害が出る」などといった条件をGMが指定したうえで認めることもあるだろう。もっともこの場合大抵は「同じ部屋の中にいるあなたたちにも盛大な被害が!」や「爆発はしたがこの部屋全域に及ぶほどではなかった…そして敵にあなたたちの存在が露見してしまった!」などと結果的に不利な状況を用意されるオチがつきがち。

*10 というか本当に自由自由と喚き散らすのでは、ルールなんぞクソくらえ!を認めるようなものである。

*11 当然、GMは「厳格な宗教なので教義に反する行為は許されない」として破戒僧ロールプレイを認めない事もできる。

*12 中には自分達がモンスターとなって人間共を襲うバリアント『モンスター!モンスター!』というものも存在

*13 後の公式年表で「ルールフ」なる正式名称が判明し胴体部分の設定も出来たためパラレルとなっている。

*14 原語版(及び4版以降の日本語版)ではバブル景気が続きやや古風な文化も復活した皇族や企業による管理社会「日本帝国」(第4版邦訳より)な日本を、「複数企業による中立無法地帯『東京』」と改編。ちなみに原語版の主要都市は複数勢力の狭間となる都市シアトル。

*15 元々「ロードス島戦記」はダンジョンズ&ドラゴンズのリプレイが始まりであり、そこから独自のルール体系である「ソードワールド」が構築・発展していった経緯がある。