大韓民国国軍

登録日:2011/04/20 Wed 04:55:57
更新日:2023/11/27 Mon 12:00:25
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大韓民国国軍とは、その名の通り韓国(大韓民国)の国軍。
韓国は隣国である北朝鮮とは戦争を「休戦中」。相手が相手なので年々国防費は増加傾向にある。
徴兵制を採用しており兵士の数が人口に比して多い。

日本との比較*1

  • 日本国(人口1.2億人)
自衛隊
兵力23万人(予備役4万人)
戦車570輌(定数300両・削減中)
艦艇137艦(排水量51万トン)
航空機432機

  • 大韓民国国軍(人口5000万人)
60万人(予備役400万人)
戦車2220輌
艦艇230艦(排水量26万トン)
航空機640機

人口は日本の3分の1だから、人口比で考えると9倍。
さらに韓国は徴兵制である為、予備役の数は日本の100倍なのだ。

平時の指揮権は韓国政府が持っているが、有事があるとアメリカ軍に掌握される。


徴兵制

徴兵制を男子のみ敷いており、兵務庁の管轄。
19歳で男子が全員兵役検査を受け7等級に分類され、健康体の範疇である1〜3級に判定された場合20〜29歳までの間の希望する期間に2年前後*2入隊する。
4級以下の場合、再検査を受けたり公的機関での事務仕事に代わりについたりする(6級*3は免除)。

配属は特に希望しない場合は陸軍配属、海軍空軍は希望者のみ。

しかしやはりというか嫌がる人間が圧倒的に多く、あの手この手で逃れようとする輩が後を絶たない。
偉いさんの親のコネを使ったり海外逃亡したり、仮病を使ったり、スポーツ選手や芸能人などは海外での仕事を利用して徴兵逃れを試みる者も当然いるが、バレると世間からそれこそ親の仇の如く叩かれる*4。無論その家族も例外ではない。
そして兵役を果たしてない奴は採らないという企業も少なくなく、
高卒就職組は兵役を済ませてから就職するのが常で、大学進学組は休学して行くことも多い。
兵務庁も勿論黙っている訳がなく、兵役義務忌避者リスト(事実上のブラックリスト・デジタルタトゥー)を作成してそれに名前を載せられてしまうと厳しい刑罰を受けた上で兵役につかされ、たとえ海外に居てもパスポートを無効化されたりあらゆる仕打ちを受ける。

また、韓流ファンの間では推しが兵役で芸能活動休止はよくあること、というのが常識。このため「除隊までのカウントダウンアプリ」が作られたり、入営前最後のライブに万障繰り合わせて遠征するということが起きる。

ただ、兵役を終えてもその後8年間は「予備役」として年に数回招集されて有事に備え半日~3日程度の再訓練を受けねばならず、それを終えても40歳まで民防衛隊で年に一度簡単なものとはいえ訓練を受けなければならず、かなり長い年月軍との縁が続く事になる。

女性は志願のみ。韓国の長い不景気から結構志願者が入るらしい。

士官の採用は17〜21歳の高校卒業資格者が受験できる士官学校に入学することが必須。男女共採用。


陸軍

装備は近代化を図っており、アメリカ製、国産製装備を開発しているが諸事情によりロシア製も使用している。


主力戦車


M48

アメリカ製のM48、いわゆるパットン、M48A5K。
実は韓国陸軍が強請ってもM60を売ってくれなかったのでこれが未だに1800ほど予備役倉庫に燻っている。
韓国陸軍内部で「せめて火力だけでもどうにかならんか」と新型砲を無理して積んでみたりもした、無論どうあがいてもパットンはパットンだった。
(イスラエル国防軍ですらかなり無茶苦茶やってるから当然であるが。)

K1

韓国初の準国産戦車で主力。
最良戦車M1ですら装備していなかった独立型パノラマ・サイトが装備されているのが特徴。
北朝鮮のT-55を主敵と想定していたため日本の74式と同様の105mmライフル砲を装備しているが、各国の最新MBTには火力で劣る。
120mm滑空砲に換装し、装甲やFCSを改良したK1A1があるが、120mm砲の無理な搭載で機体バランスが悪くなった。

ここまでの火力向上を要求した理由は北の初代将軍様が「T-62国産で1000両くらい作れ」と無茶言ってしかも実現してしまった(無論工業は崩壊した)為である。
最近はどん詰まりも解決され、北朝鮮人民軍の大半の戦車を遠距離からぶち殺せる車両となる。

K2

次期主力戦車。通称「黒豹」「ファクビョ」。
火砲を大型化したK1A1を再設計した戦車。
エンジン周りの開発に難航、当初の予定から5年以上送れて漸く完成した。

昨今開発関連方針を大幅に改善し、欧州諸国に売り込みを仕掛け、2022年にはポーランドが採用することを発表、2023年から納入が開始されている。
また同時期にノルウェー陸軍も主力戦車候補として名が上がり、ノルウェー陸軍装備選定は「性能は十分だしレオパルトに比べると色々弄っていい許可あるしアフターサービスも良いし値段も安い」と評価、2度に渡って政府へK2を推した。
最終的にはドイツのレオパルトが採用されてしまったものの、不採用理由がドイツとの関係を重視した政治的な物であると言われており、K2の性能面はトラブル続きだった初期に比べて非常にまともになったようである。

なお本車で漸くM48を陸軍倉庫から追い出す計画である。
そのため北朝鮮も危機感を抱き新型のM2020を製作した。

自走砲

K9

砲兵大国である北朝鮮に対抗するために生み出された国産自走砲。
他国の自走砲と比較しても遜色ない砲火力を備えつつ、自走砲としては結構な重装甲という設計。
砲周りの開発は難航したものの何とか完成にこぎつけた。

2010年の延坪島砲撃事件では演習中だった車両が奇襲を受け、反撃するも命中精度の悪さや射撃速度の低さ等々を見せてしまったが、これらは対砲兵レーダーがジャミングを受けていたり演習中だったために弾薬を車両外部に出していたり北朝鮮が砲撃してくるわけないと現場指揮官が舐め切っていたりと、どちらかというと運用面での不備が重なったことが大きい。
むしろ2両が損害を受けた(うち1両は直撃弾を浴びた)ものの乗員は1名負傷しただけで全員脱出に成功、残りは反撃に転じられており、重装甲による防御性の高さを証明している。
日本だとこの事件は醜態扱いされているが海外だとむしろ野砲の砲撃に耐えきって反撃出来る実戦系経験アリな自走砲として高評価を受ける一因になっている。

こちらも海外へ売り込みを掛けており、トルコを皮切りにノルウェー、フィンランド、ポーランド、インド、エジプト、オーストラリアなどで採用されている。
その輸出量は非常に多く、2000年から2023年1月の世界の自走砲輸出量の約半数がK9であり、自走砲ベストセラーと言っても過言ではない。

攻撃ヘリコプター

コブラ

世界中で大人気のヘリ。

アパッチ

世界中で大人気のヘリ②。
2016年から2018年を目処に導入予定。

小火器

K2自動小銃
M16に替わり採用された国産小銃。ガリルやAKそっくりの作動方式である。
なにげにイラクやマラウイなど他国でも使用されている。
韓国陸軍内で根強い嫌悪感(すなわち兵役時代というあまり楽しくもない時代を想起させる)ので、ドールズフロントライン実装に際して韓国掲示板が阿鼻叫喚に満たされた。

スーダンにおいて弾薬を自衛隊から借りようとしたが、そもそも89式とK2で装薬の火薬量が違う事が判明して返却された。

K11
グレネードランチャーと小銃を一体化させるというアメリカが既にやらかした事にチャレンジした試作兵器。
夢があって素晴らしい意気込みであったが、夢は夢で終わってしまった。
なお北朝鮮もチャレンジを開始している。


巡航ミサイル

玄武IIIB
韓国産巡航ミサイル。射程は1000kmで、さらに距離を伸ばしたCも開発中。
基本的に韓国陸軍は苦い経験から火力で負ける事を恐れている。

スパイクNLOS
イスラエル製の大型誘導弾、日本における96MPMSなどに近いような存在。
北朝鮮がヨンピョン島への砲撃をした事への対抗からヨンピョン島へ配備され、北朝鮮砲兵陣地に即座にカウンターをぶち込む為に増強された。

弾道弾


ATACMS
アメリカ製の短距離弾道弾、北朝鮮の長射程を誇るコクサン170mm自走砲などの脅威に対抗して保有している。
最近の弾道弾威嚇に対して米韓合同演習を理由に何度か米軍と発射している。

最近話題のハイマースの前任者である。


海軍

北朝鮮を意識してか小型艇やフリゲートが大半を占める。
北との戦闘経験があるため、錬度もそれなりにあると言っていい。
度々空母保有を求めるがこの主張をする派閥の根幹理由は「洋上飛行場を有する事で航空戦力を即死させないようにする」と「逆襲の為に行われる上陸戦に於いて空母を自前で有する事で作戦の多様性を確保する」という歴史的根拠から主張された極々まじめな理由である。

それはそれとして隣の芝を理由にするのも軍人の常だから仕方ない、みんなそうである。

主力艦

世宗大王級駆逐艦

韓国のイージス艦。6隻建造する予定だったが、予算の都合で3隻で今の所ストップ(追加建造は検討中)。
設計ベースの米国アーレイ・バーグ級や日本のあたご級を超える強力なミサイル火力が特徴。

独島級強襲揚陸艦

搭載しているヘリとホバークラフトで重装備を短時間に陸揚げできる強襲揚陸艦。
将来構築される韓国機動艦隊の旗艦となるべく電子兵装が充実している。艦隊旗艦にするには速度がチト遅いような…?*5
ヘリでの荷揚げを前提としている強襲揚陸艦の癖に予算の都合で常設ヘリを積んでいない。

広開土大王級駆逐艦

韓国初の国産駆逐艦。
艦砲、対空・対艦ミサイル、CIWS(近接防御火器システム)、ヘリコプター運用能力と一通り駆逐艦としての能力は備わっているが、如何せんやや小型の船型のせいで艦内容積不足に悩まされており、加えてそれを補うべく大型の上部構造物を備えているためにトップヘビー気味。
ちなみに2018年、海上自衛隊のP-1哨戒機に火器管制レーダーを照射した駆逐艦はコイツ。

忠武公李舜臣級駆逐艦

韓国の第二世代駆逐艦。
広開土大王級よりも大型化することで艦内容積不足やトップヘビー問題を改善し、艦隊防空ミサイルの運用能力を有するなど性能面では順当に進歩している。なお後期建造型では国産VLSを搭載して国産ミサイルの運用能力も付与することを計画しており、そのためのスペースも確保済み。
ちなみにこのような艦級名となったのは、後述する潜水艦に同じ表記の艦と同じ読み方の艦があったため。

その他小型艦艇

新しいの古いのそこそこ大きいの小さいのと100隻以上保有。フリゲートやコルベットも保有しているが、北朝鮮が保有する大量の哨戒艇・高速艇対策のために主力はミサイル艇や哨戒艇。
基本軽装備だがものによっては対艦ミサイルを積載していたりする。

潜水艦

ドイツからの輸入品メインで15隻。

張保皐級潜水艦

ドイツの輸出用ベストセラー潜水艦209型系列。9隻建造で主力。

孫元一級潜水艦

ドイツの輸出用潜水艦214型系列。9隻建造予定で今の所5番艦まで完成。
水中で発電するAIP機関を搭載し、長期間潜行できる。


空軍

アジアではトップレベルの飛行時間・練度を誇る。
実は韓国軍の中で創設から戦闘能力を有するようになるまで滅茶苦茶遅かった、全部アメリカがわるい。

主力航空機

F-4

みんな大好きだったファントム。
現在では退役中、というか「爆弾積めるんならまだ使える」と日本より現役にさせようとしていた辺り陸軍国家の悲しみが見える。
最近事故率が増えてしまい加速度的に退役中。

F-5

冷戦時代の西側陣営御用達の軽戦闘機。
ファントム同様に事故率が増えてしまいこれも加速度的に退役中。

KF-16

F-16の韓国仕様で、空軍の主力機。
AMRAAMやHARMを積んで北朝鮮航空戦力の大概を圧倒している。

F-15K

全般的に高い性能を持つ戦闘爆撃機。
自衛隊のF-15Jが空中戦を重視したC型派生なのに対し、対地攻撃能力付与型のE型派生な為、対地レーダー能力や搭載兵器重量、などで日本のF-15Jを上回る。
空中戦に限ればF-15J改(近代化改造)の方が有利と暴論を言えるが、そもそもK購入理由は「CASをしながら自衛もする」という突撃前提思考でありこんな対決前提からしてナンセンスである。

T-50 ゴールデンイーグル

米ロッキード・マーティンの技術支援を受けて開発した国産ジェット練習機。
そのせいかF-16に通ずるものがある。台湾のF-CK-1にも似た姿だが、アレと違ってこちらは単発機であるためF-16により近い。
練習機型のT-50を皮切りに、軽攻撃機としても運用可能なTA-50や、より本格的な戦闘能力を備えた軽戦闘爆撃機型のFA-50が生まれた。
これら派生型を含め100機以上が国内で運用されているほか、複数の国に輸出されている。
空軍のアクロバットチーム「ブラックイーグルズ」もこれ。
米空軍次期戦闘機トライアルにも参加したが敗北。

F-35 ライトニングⅡ

韓国の次期主力予定ステルス戦闘機。
日本共々多額の開発援助費を支払いA型を受領済み。
更にB型を追加導入を決定したとの報道も。
…載せる空母については決定していない模様。

RQ-4 グローバルホーク

無人偵察機。アメリカも割と乗り気。やはりこれも日本共々欲しがっている。

KF-21 ポラメ

インドネシアと共同で開発されている第4.5世代ジェット戦闘機。計画段階ではKFXと呼ばれており、2021年に型式と愛称が明らかになった。
全体的にF-22に通ずるようなステルス性重視の機体形状をしており、F-4のように胴体下に埋め込む形でミサイルを搭載する予定だが、将来的にはウェポンベイの搭載による更なるステルス性向上も検討されている。
ちなみに空母艦載機型や電子戦機型の開発も検討されている。...載せる空母をどうするかはまた別の問題だが。

軍隊格闘術

1970年代に北朝鮮を仮想敵国として、後述する特攻武術を創始した。ペンやタオルや鞄など身の回りに有る物を武器にする。
軍隊や警察官や民間でも教育されている。

特攻武術

特殊部隊により柔道、テコンドー、ハプキドーなどをベースに創られた軍隊格闘術。


余談

よく「自衛隊と韓国軍が戦ったらどっちが勝つの?」という質問があるが、日韓共に相手を打倒する能力はない。決め手を欠いたまま睨み合いになるだろう。
虎と鮫が喧嘩をしても戦いにはならないのである。

詳細としては
陸上戦力、海上・海中戦力の差によって、韓国は上陸前が難しいが、日本は上陸後が難しい。
それぞれの勝ち筋があるとすれば、韓国はミサイルの飽和攻撃により橋頭堡を確保。日本は海上封鎖+経済制裁による飢餓戦略。といったところだろうか。

しかしこれらはアメリカ、中国、北朝鮮、ロシアを始めとした国際社会が関与しない前提であり、現実的には到底あり得ない。*6
そもそもこれらの意見は、韓国も日本も戦争して得るものは全くと言っていいほど無い以上、両国が戦争する可能性は極めて低い。
上述した外交的リスクは説明するまでもないが、島国の日本が大陸に巨大な領土を得ること、また大陸国家の韓国が本土より巨大な島嶼を得るということは政治経済軍事あらゆる点において想定されていない。*7例えば日本は島国だからこそ陸上戦力より海上・海中戦力に注力しているのであり、韓国を占領すればそのドクトリンはひっくり返る。*8





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最終更新:2023年11月27日 12:00

*1 令和3年版防衛白書参考

*2 期間は区分により多少前後するが最近はやや縮小方向。

*3 補助的な業務も不可能な身体状態だったり身長が140㎝以下だったり、あとは脱北者。

*4 韓国では一般的に兵役を行う事が男性の最低限こなすべき社会的義務のひとつという理念が非常に強く、納税などと同じレベル。

*5 独島級速力・22ノット 他の戦闘艦艇・概ね30ノット以上。

*6 この手の話題になると、たまに「日本に侵略して植民地にしよう」「占領して韓国の力を高めよう」という意見なども出てくるが、そんなことをしようものなら成功しても成功しなくても、どちらにしろ世界中から非難&経済制裁されるのは明白の上、そもそもこの状況をアメリカや中国等が黙って見ていないだろう。もちろん日本側も同じことが言える。

*7 例として、占領地域のインフラ整備や維持のための資金や税金等占領地域から得られる利益より高い巨額の金がかかる。

*8 さらには仮想敵国と接することになる。