独島級揚陸艦

登録日:2012/07/16 Mon 21:37:46
更新日:2023/01/03 Tue 12:22:15
所要時間:約 6 分で読めます




独島級揚陸艦とは、韓国海軍が保有する強襲揚陸艦。独島とは日韓が領有権を主張する竹島の韓国名である。

独島級揚陸艦

諸元

基準排水量 14300t
満載排水量 18850t
全長 200.0m
全幅 30.2m
喫水 7.0m
速力 23ノット
航続距離 10000海里(18ノット)
最高出力 32000馬力
乗員 330人(海兵隊1個大隊約700人)

兵装

30mmCIWS 2基
Mk.49 21連装ミサイル発射装置 1基

レーダー及び電子機器類

SMART-L3次元レーダー(対空)
MW-083次元レーダー(対水上)
AN/SPS-95Kレーダー(航海)
SLQ-200(v)5Kソナタ統合電子戦システム

機関

斗山SEMT-PIELSTICK 16PC2-5 ジーゼルエンジン 4基2軸

艦載能力*1

艦載機 各種ヘリコプター 10機
艦載艇 エアクッション艇 2隻
車輌 K1(戦車) 10輌
装甲車 16輌


解説

独島級揚陸艦は、韓国機動艦隊創設計画に基づき韓国海軍艦隊の旗艦及び揚陸・物資輸送を主目的として建造された艦である。
とされているが、実際は海上自衛隊のおおすみ型輸送艦に対抗するためという見方が強い。
この種類の船は災害援助などにも使えるので近年需要が高くなっている。

艦体の特徴としてはヘリコプターが発着艦が出来るよう全通甲板を採用し、艦尾にはウェルドックを採用しここに上陸用のエアクッション艇(LCAC)を収容している。

その艦体から多少の改造でハリアーやF-35などの垂直離着陸機が運用可能な軽空母として運用できるとネタにされることもある。
ただし韓国海軍は軽空母への転用はないと表明しているし、船体が小型+大規模改修が必要なので軽空母転用は現実的ではない


…2020年に入ってから、独島級とは別に空母を建造するということが発表された。
コロナ禍もあるしKF-21の開発もあるのに、お金は大丈夫なのか…?*2


問題点

搭載ヘリがない

実はこの独島、ヘリコプターの運用を前提としている強襲揚陸艦なのに搭載ヘリがない。
韓国海軍が現在保有しているヘリの防塩対策が甘い為、常時搭載できるヘリを保有していない。
非常時には陸上ヘリを積載するとのことだがそれでいいのだろうか?

なお、韓国海軍によると2017~2022年までに韓国国産ヘリ『スリオン』の艦載型を搭載するとのこと。
つまり最短でも竣工10年目にして初めて強襲揚陸艦として戦力化が完了するのである。*3

ウェルドックと後部エレベーターが干渉する

後部エレベーターがウェルドックにかぶるように設置されている。
ウェルドックにLCAC(要するにホバークラフト)を2隻収容すると、後部エレベーターとLCACがぶつかってしまう。
そのためウェルドックの上に配置されている後部エレベータが使えなくなる設計。
まぁLCACを一隻ずつ交互に使用するとか、前部エレベーターを使用する、そのそもLCACを使用しない、などの運用でどうにかなる模様。

レーダー

独島に搭載されるSMART-L3次元レーダーはオランダのタレス社製で、英国の45型駆逐艦やドイツのザクセン級フリゲートにも採用されている。

レーダーの構造は電波を飛ばして、跳ね返ってきた電波を解析して敵艦や敵機の数と距離を精査する。
基本的に跳ね返ってくる電波というのは船か飛行機にぶつかって跳ね返ってきたものだが、極稀になんらかの理由で跳ね返り敵艦あるいは敵機と認識することがある。

このように存在しない敵をレーダーが認識してしまう事をゴースト現象という。
独島は公試中にこのゴーストが4~5個発生し、その後建造した企業はこの問題を未解決のまま放置し軍に引き渡した。
勿論現場は大混乱。海軍は建造した企業に改修を厳命。
数回に渡る改修の結果、ゴーストの数を1~2個に減らす事に成功した。

CIWS

独島はやはりオランダ製のゴールキーパーというCIWSを積んでいるが、後部に積んだゴールキーパーは射角の問題から甲板上のヘリコプターを射撃してしまう。

このCIWSという兵器は完全自律式で、レンジ内に目標が入ってきた場合は問答無用で攻撃する。*4
そういう性質から海自でも演習中に米軍機を誤射撃墜しかけることがあるのだが、韓国のものは電源を入れた瞬間に甲板を機銃掃射、といった笑えない事態を引き起こしかねないということなのだ。

さらに言うとゴールキーパーは海自が愛用するファランクスの20mmに対して30mmと大きく、その分重い。
ファランクスの20mmは威力過小が指摘されるなどそれなりに問題がないではないのだが、一方で軽いため設置場所の自由度が高いというメリットもある。
つまりゴールキーパーは大威力であるがために重く、設置場所をかなり補強しなければならないのでそう簡単に移設できるものではないのだ。

ぼっち

通常軍艦は一部の例外を除いてローテーションや互換性の問題から複数建造され、いわゆる同型艦が存在する。
そのため軍艦は普通艦名の前に「〇〇型・××級」と付けて呼ばれるのだが、独島型は独島一隻しか存在しない。
同型艦が存在しないのだ。

独島が故障したり海外に派遣すると韓国に強襲揚陸艦がなくなる為、ドック入りや海外派遣が困難になっている。
一応三番艦まで建造する予定だったが金が無い為二番艦以降の建造は延期となっている。
また(賢明なことに)先にヘリを買うことにした。

二番艦の建造が認められるのはいつになるのだろう?

……と、皆が思っていたのだが、まさかの二番艦計画がついに動き出した。

強襲揚陸艦を追加で建造したいのだが、新型艦となると妥当性検証のため長期間事業がストップする。
その為独島型の追加製造を目論んだ模様。また、設計を変更してMV-22オスプレイを運用できる様にするという話もある。

しかしここでさらに問題が。
独島型の問題点が多く見つかっている上、設計自体少し古くなっている為設計を大幅に変更したいのだが
韓国の兵器調達規則によると、同型艦は原型から20%以上の設計変更を認められない。

二番艦の登場はしばらく先になりそうである。


余談

事故

2013年9月、艦内で発生した火災事故によってメインの発電機1基が壊れ、消火活動の際に海水を思いっきり浴びたもう1基も壊れてしまった。
本来ドクトは4基の発電機を備えており、2基壊れても残る2基でなんとか動かせる・・・はずだったのだが・・・
実は同年4月にその2基は別の事故で壊れてしまって陸揚げされてしまっていた。

欠点について

ここまで独島艦の欠点・問題の原因に触れたい。
  • 一隻の船に多くの機能を詰め込みすぎる
此については予算の問題上、あれもこれもと詰め込みたいが予算が足りないからである。
因みに我らがいずも型は「病院船、指揮能力、輸送、ヘリ空母、軽空母、対潜プラットホーム」と言う欲張りセットである。
  • 正面装備以外の保守・運用に金を割かない(あるいは割けない)
韓国軍の体質による所が少なくない、と言うか徴兵のせいで人件費で首が回ってない。
皮肉な事に嘗ての大日本帝国そっくりで、自衛隊そっくりでもある。





追記・修正は二番艦が就役してからお願いします。

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最終更新:2023年01月03日 12:22

*1 全て一度に乗せられる訳ではない。

*2 海自のいずも級の空母化に対抗しているとする向きもある。

*3 一応ドック型揚陸艦としては使用できるのだが…

*4 最終防衛ラインの迎撃兵器という性質上、そうしないと間に合わない。