自由度(ゲーム)

登録日:2011/12/14(水) 19:57:27
更新日:2023/07/10 Mon 17:27:37
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ゲーム作品における「自由度」とは、特にRPGにて用いられることが多い尺度のスラング。
ゲームの進行経路(成長やシナリオ進行)を、どれだけプレイヤー次第で決められるかを表す。
豊富なコマンドのSLGや大作オープンワールドRPG、サンドボックスゲームは自由が高いと評されるゲームが多い。
ただし、あくまで進行経路の選択の自由であり、大まかな道筋は制作者のシナリオにゆだねられているケースが大半である。


□概要

カスタマイズ要素や寄り道、攻略の手順が多彩であればあるほど自由度が高いゲームと言える。
一般的に自由度が高い方が2周目以降でも楽しめるとされ、自由度が低い作品は2周目以降は同じことの繰り返しになりやすい。
自由度の特に高いゲームは、そもそもゲームクリアという概念を重視せず、半永久的に遊べることを謳うものも見られる。

ただし、自由度が高すぎる作品は取っ付き辛い印象になりがちであり、特に初心者が「何をやっていいか分からない」となることも多い。
そもそも開発力が低いメーカーが無理に自由度を上げ過ぎると、ゲームとしての完成度そのものが大幅に低下することも考えられる。
あくまでゲームとしての特性の一つであり、自由度の高さで必ずしもゲーム自体の優劣が決まるものではない。ゲーム性に合った自由度が一番である。
バランス設計のしっかりしたアクションゲームや、シナリオのしっかりしたRPGなどは自由度が低くとも十分評価される。

尚、自由度が高いと言っても行動範囲や寄り道の多さでプレイヤーの選択肢こそ多いがエンディング自体は一つ、或いはトゥルーエンドが決まっているゲームも多い。

いずれにせよ、ゲームを評価する際の指針になる要素の一つ。


……もっともこの自由度という言葉自体、この項目が出来た2011年当時、すなわちPS3やXbox360が最新ハードだった時代に最も使われていた言葉であり、それから10年も経つと当時ほどプッシュされることは無くなりつつある。
当時はハードの性能向上によって広大なフィールドをシームレスで移動できるようになったり、様々なオブジェクトにインタラクト出来たり、複雑なフラグ管理により様々な選択をできるゲームが急激に増えた時代であった。それらはとても目新しく、素晴らしいものに感じられたため、この「自由度」という概念は手放しに持て囃されるものであった。
しかし次第にそれが当たり前になり新鮮味が無くなると、ある程度の自由度は当たり前で、改めて一つ一つの要素の楽しさが改めて問われるになった。


□自由度の種類

◆シナリオ

町やダンジョンを攻略する順番がプレイヤーの任意だったり、
船や飛空艇を手に入れる事で一気に捜索範囲が拡大したりする作品は自由度が高いと言える。

低レベルの時に頑張って遠くの町に行って強力な装備を手に入れたり、
逆にあまりに敵が強すぎるダンジョンに入ってしまいあっけなく全滅ということも。

逆に攻略する順序がほぼ決まっている作品は「一本道」と呼ばれる。
一本道の作品では、例えば船を手に入れても不自然に浅瀬に制限されまくってたり、町に着くや否やイベントが始まり次の行き先が決定する、
次の目的地以外は何らかの障害物のせいで入れない等がよく生じる。
(昔のゲームはともかく、近年はそこまで不自然にならないよう工夫している作品も少なくはないが)

またクリアに必須では無いサブイベントは「寄り道」と呼ばれる。
シナリオ自体は一本道でも、寄り道の多さから自由度が高いと感じる作品もある。

  • 魔法の鍵入手後はキーアイテム入手を任意の順で決められて一部イベントをスルーできるDQ
  • 好きな職業の仲間を選択出来て世界中に散らばった6つのオーブを順不同で集めていくDQ3
  • 強制イベントが殆ど無く、すぐにエンディングを見る選択もできるメタルマックス
  • シナリオ自体は一本道で寄り道イベントも無いがフィールドが陸続きなのでいきなり後半の街に行けてしまうFF2
  • 中盤までは一本道だが、終盤では多くのサブイベントをスルーしていきなりラストダンジョンに乗り込めるFF6
  • 好きなタイミングでラスボスをブチのめしに行ける上にマルチエンディング搭載のクロノ・トリガー
  • フリーシナリオを採用しプレイヤーの行動が歴史をつくるロマンシング サ・ガ2
  • やたら選択肢が豊富で、シナリオ分岐もする絶体絶命都市
  • そもそもシナリオや固定世界観自体が無く自動生成されるクエストをこなして自由に冒険できるルナティックドーン


◆フィールド

上記のシナリオと被るが、行ける場所が多ければ多いほど自由度は高いとされる。
広さだけでなく、移動手段の数や山を登れる、海を泳げるといった移動の自由さも評価に含まれる。
ちなみにロードを挟まずに一つのエリアになっている広大なフィールドをオープンワールドという*1
洋ゲーに多いが、最近は国産ゲームにも導入され始めている。
(と言うより2D時代のRPGはフィールドマップ上を隅々まで読み込み(この場合だと暗転描写)無しで移動出来ていたのでドラクエやFFは2Dのオープンワールドであったとも言えなくもない。)
もちろんオープンワールドなら良いというものでもなく、その広大なステージに様々なギミックを仕掛けて楽しませることが重要になる。
だだっ広いだけだとただ退屈なものになったり、ギミックこそ手が込んでいても移動が面倒であると評価を落とすこともある。
また、オープンワールドを制作するには膨大な作業量が必要であり、予算の関係でオブジェクトが似たり寄ったりであると没入感を損ねる原因となる。

  • 街を有する島一つをシームレスで好き勝手遊べるグランド・セフト・オート
  • 広大なファンタジー世界を旅するウィッチャー3
  • 地球より広い自動生成フィールドを楽しめるMinecraft


◆育成

ジョブシステム(FF)や転職システム(DQ)によって仲間の育成を自由に行うことができるもの。

レベルアップによってステータスや習得呪文が決まっている作品と違い、
こちらはキャラ自体は同じでも育成次第で何通りもの戦術が生み出され、毎回違う気分で楽しめる。
しかしその反面、誰でも同じ呪文を習得できるせいでキャラの個性が薄れてしまう、育成方法を誤って難易度が大幅に上昇してしまうという欠点も抱えている。

  • キャラクター作成から自分で行えるウィザードリィやDQ3やFF
  • シリーズトップクラスのジョブ数を誇り、多彩な戦術を擁するFF5
  • プレイヤーの戦闘スタンス次第で能力や習得スキルが決まるFF2やサガシリーズ
  • プレイヤーによって技構成やステータスの調整がまるで異なるポケットモンスターシリーズ


◆パーティー編成

パーティーメンバーが多数いて、その中から実際に戦闘を行うメンバーを選出するというタイプ。

物理攻撃、魔法攻撃、回復役をバランスよく組み込んだパーティーが定石だが、
回復魔法役を廃してもう一人攻撃魔法役を追加した超攻撃パーティーや、
商人や盗賊を加えて資金面の確保を重視するなど状況に応じた戦い方が可能。

  • 全8人のパーティーからメンバーを編成するDQ4、同じく全14人から編成するFF6
  • 膨大な種類のモンスターを仲間にしてパーティーを構築していくDQ5やポケットモンスターシリーズ
  • 総勢108人の仲間を増やしパーティを編成する幻想水滸伝シリーズ


◆お遊び要素

味方キャラを攻撃したりと言ったあえて良心に背くような行為を出来る様にしたり、した場合のイベントを製作側が用意しているパターン。

FPS、TPS系ゲームで味方キャラに銃口を向けたり、撃ったりすると……。
(そもそもこういったことが出来ないようになっているゲームも多い。)


◆戦闘スタイル

どのような切り口で敵と戦っていくのかの自由度。
「正面戦闘」を挑むか、「ステルス」でこっそり暗殺するか、など。


「自由度が高い」と評されるゲーム

上記の要素を含みつつ、更に一般的に特に自由度が高いと評されることの多いゲームをご紹介。

◆大航海時代シリーズ

船舶増設、交易、財宝発掘、海賊行為と大航海時代の魅力を詰め込んだリコエイションゲーム。
シリーズを通して自由度が高めで海域次第ではアッサリ死ぬ事もあるなど危険だったりハマりもあるが、
プレイヤーの思うがままに大海原を駆け巡ることが可能。

◆太閤立身伝5

太閤まで上り詰めた豊臣秀吉の一生をシミュレートしたリコエイションゲームの5作目。
好感度を集めて人物カードを集めればその人物でもプレイする事が可能になり、自作した主人公でプレイする事も可能。
これまでの様に武士として出世していく他にも鍛冶屋をきわめて武器を作ったり、茶人になって戦国大名達の心を操ったり茶器を作ったり、
医者になって薬を作ったり、商人になって金を設けたりと言う様な要素も追加された。
勿論、これらの寄り道的要素でもエンディングが見れるので自分の好きな様に戦国乱世の時代を生き抜くことが可能。
実在の人物を主人公として選べる性質上「もしあの人物がこうしていたら?」と言った歴史のIFを体験できる楽しみ方もある。

マインクラフト

言わずと知れた大人気ものづくりゲーム。
広大にも程があるオープンワールド(地球3個分)と、自由に遊べるサンドボックス要素が合体した名作。
無限に広がる地上を冒険するもよし、地下に潜って採掘するもよし、村を見つけて畜産業や農業、林業を営んで発展させるもよし、と様々なロールプレイを楽しめる。
PC版限定だが、MODと言われるツールを入れて世界を美しく彩ることも可能。ただしそれなりのスペックが必要だが。

テラリア

2D版マイクラと称される。
マイクラより冒険、探索、戦闘要素が強い。
こちらも非常に広いフィールドを持つ。

高機動幻想ガンパレード・マーチ

学徒兵として戦うもよし、勉学に励むもよし、バイトするもよし、気に喰わないやつを謀殺するもよし、二股かけて殺されるもよし・・・なシミュレーションゲーム。
「ガンパレみたいなゲーム」というジャンルができるほどの影響力を持つ。
アーカイブスで遊べるが、よりによって膨大なバグまで当時のまんま完備している。
システム的続編の絢爛舞踏祭は自由度高すぎて斜め上の方角にすっ飛んでいったが。
直接の続編であるオーケストラはやや自由度低め。

グランド・セフト・オートシリーズ

オープンワールドの町中を、好き放題暴れまわれるアクションゲーム。
街全体の作りこみが半端ではなく、人間や動物、施設の数もかなり多い。
最近はグラフィックのレベルも高水準で、散策の楽しみも増えた。

龍が如くシリーズ

シナリオそのものは一本道だが、膨大な量のミニゲームが遊べるヤクザアクションゲーム。
毎回舞台となる神室町も年々細かさを増している。そのため最近は本格的にオープンワールド化しつつある

シェンムーシリーズ

龍が如くの雛形になった、色んな意味で伝説のゲーム。
あのGTAよりも早い3Dオープンワールドを実現した画期的な作品である。
膨大な数のNPCに独自の行動をさせたりと、その作りこみは凄まじいの一言。
あまりにディティールにこだわり過ぎたり何でもできるようにしすぎた結果、開発費やら何やらが高騰して大変なことになった。
ちなみにドリームキャストの作品なので、今の時代遊ぶのは困難を極め…ていたが現在は現在はPS4でリファイン版が発売されたので遊ぶ事が出来る様になった。

The Elder Scrollsシリーズ

日本では『OBLIVION』、『Skyrim』で有名になった老舗ファンタジー系RPG。
広大なオープンワールド、ユーザーを縛らないメインクエストに多彩なサブクエスト、自由度の高いキャラクタークリエイト、育成システムなどを、
第一作「Arena」の頃から実現しており、シリーズを重ねるごとにシステムやグラフィックが強化されている。
MOD製作ツールが公式配信されており、ユーザー自身の手で自由度を更に上げる事すらも可能。

メタルマックスシリーズ

必須イベントが少ない事といつでも倒しに行ける賞金首や、戦車のカスタマイズ性によって自由度の高さとやり込みに特化した近未来RPG。
独特の台詞回しや印象に残りやすい賞金首やほぼ趣味の領域になるシステムも魅力。

ウルティマ

世界を救う勇者として召喚された…のだがこの時代ではモラルの要素がないので地道にお金を稼いで装備品を買うも王宮に乗り込んでアイテムを奪い取って国王や兵士を皆殺しにして姫を拉致るもOKと言うとんでもない作品であった。
のちのシリーズでは徳のシステムによってなりを潜めたがこの自由度の高さはウルティマオンラインに受け継がれた。

elona

完全無料で遊べるPC用ローグライクフリーゲーム。
シナリオがおまけと言ってよいほど遊びの幅が広く、各種バリアントも充実の隠れた名作。
作中の倫理観は色々と狂っており、チュートリアルで浮浪者の肉を食ったり殺人より税金滞納のほうが重罪だったりとカオス。

アサシンクリード

フランスのUBIソフトが送る、暗殺オープンワールドゲーム。
シリーズを重ねるごとにフィールドの自由度が上がっており、PS4で発売された近年の作品では歴史上の建物や街を実寸大で完全再現。
ちなみに大抵のゲームでは実際の建造物が登場する際は実物の七割程度の大きさにしている。
古の美しい町並でパルクールを駆使しながら自由自在に駈け回る楽しさは一度は体感して欲しい。
初期の路線は次第にマンネリ化したため、「オリジンズ」以降はアクションRPGへと大幅に路線が変更された。

◆ウィッチャー3

怪物退治の専門家ウィッチャーとなって旅をするファンタジーRPG。
洋ゲー特有の圧倒的物量に加え、往年のJRPG的な細かいシステムとシナリオが合わさった一本。
シナリオ自体がマルチエンディングなことに加え、戦闘や育成方針の自由度が高く、マップも非常に広い上に個性的なサブイベントやミニゲームも充実している。
主人公ゲラルドさんが冷徹な仕事人になるか、人情あふれるおじさんになるか、はたまたカード狂いのデュエリストになるかはプレイヤー次第。

◆ルナティックドーンシリーズ(テンペストは除く)

株式会社アートディングが送るファンタジーRPG。
プレイヤーは一人の冒険者として各地で依頼をこなして名声や実力を高めていく。
結婚、盗みや殺人等の犯罪要素や依頼やシナリオのランダム要素のお陰でプレイする毎に違った冒険が楽しめる。
昔のゲームなのでシステム面の不備やプレイできる作品が限られているのが難点か。

TRPG

一般に「自由度が高い」と言われるゲームなのだが、コンピューターゲームと違って協力して遊ぶのが前提なので、 「ゲームの自由度」の定義がかなり違う
詳しくは項目を参照。

人生

無限に広がるリアルなオープンワールド、あらゆるオブジェクトに介入できるレベルデザイン、全世界70億人とコミュを築ける豊富なキャラクター、数万を超えるミニゲームなど…
自由度という点においては他の追随を許さない究極のゲーム(の、はずなのだが「ここはこう攻略しろ」「○○のイベントくらいしておかないと後々苦労するぞ」とドヤ顔でアドバイスor説教してくる先行プレイヤーがウザい事に不自由を感じるゲームでもある)。
砂粒一つに至るまで物理演算がなされているという拘りようだが、コントロールスキルが無いと多くのミニゲームが攻略不可能となる鬼畜ゲーでもある。
キャラクリが100%運で決まる(一応修行や課金で容姿を変えることが可能だが、センスが無いと他プレイヤーに失笑される)上にコンティニュー不可、ありとあらゆる行動に体力を消費する、一旦差がつくとなかなか取り戻せない、セーブ&ロード不可能などなど、
糞仕様だらけのクソゲーである。
一節によると製作者が7日の突貫工事で作った(最後の一日は何もしていなかったらしいので実質6日だが)上にデバッグを怠ったせいだとか。パッチすら配信しない不誠実な対応にユーザーの怒りは有頂天である。
こんなふざけたもん遊ぶくらいならゲームしよう。





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最終更新:2023年07月10日 17:27

*1 『ゼノブレイド』のように広大なフィールドをロードを挟む複数のエリアで分けている作品や『モンスターハンター:ワールド』のようにマップこそシームレスであるがロードを挟んで移動する方式の作品は、厳密な意味でのオープンワールドには該当しない。こうした作品はメーカーもオープンワールドと明言しない場合が殆ど。