フロム脳

登録日:2009/06/01 Mon 15:44:50
更新日:2023/11/21 Tue 20:26:51
所要時間:約 4 分で読めます




フロムソフトウェアのゲームがきっかけとなり、ある特定の思考回路を持ってしまった人間の頭脳を指す言葉。


《概要》

一言で言えば『考察脳』。

フロムソフトウェア作品の多くは、世界観やキャラクターの詳細な設定をあえて明示しないことが特徴となっている。(後述)

ゲーム内で確認できる断片的な情報、たとえば、
  • アイテムのフレーバーテキスト
  • キャラクターの台詞、メッセージ
  • ムービーシーンでの描写・演出
…などによって、世界観・設定の枝葉の部分は理解できるものの、核心に触れるような部分はぼかされていることが多い。

そのような“ゲーム内で明示されていない部分”に対し、作中で確認できる断片的な情報を繋ぎあわせながら、様々な形・方向性で想像力を働かせて設定を補完するのが「フロム脳」である。


《発症に至るまで》

概要にあるとおり、フロム作品では詳細な設定をあえて明かしていない(と思われる)場面が多々ある。
基本的に『主人公の置かれた立場・状況で知り得る範囲の情報』しかプレイヤーには開示されないのだ。

例えば、ムービーシーンで主人公の前に敵が立ち塞がったとしよう。
その敵は主人公に対し、明らかな敵意を向けている様子だとする。

しかし「なぜ、その敵は主人公に敵意を向けるのか?」という根本的な疑問、つまり、その敵に設定された『動機』や『背景』がゲーム内で明示されないことがある。
主人公と対峙するその敵は、敵対的な態度こそ崩さないが、自身の立場や目的は語らない。そしてそのまま戦闘が始まる。
結果、その敵との戦いを終えても、プレイヤーの感想は「敵の事情はよくわからないが、襲ってきたのでやり返した」という釈然としないものになりがちである。

このようなケースは、フロム作品の至るところに存在する。

  • ある人物が何かしらの事件を起こした。
    • しかし、事件に至った経緯がよくわからない。
      → 経緯は分からないままだが、その事件を前提にして話は進んでいく。
  • 主人公に依頼を持ちかけてくる人物がいる。
    • 相手には何かしらの目的や事情がありそうだが、詳しくはわからない。
      → 相手の思惑は不明だが、主人公が依頼をこなせば話は進む。

何か思わせ振りな台詞や描写を挟みながら、「なぜ?」「どうして?」という疑問を置き去りにしてストーリーが進んでいくため、大抵のプレイヤーは「このゲームはしっかり構築された世界観やキャラ設定がありそうなのに、その全体像がつかみにくい」という印象を抱くこととなる。

しかし、プレイヤーの中には、このフロムゲー特有の「何か裏がありそうな感じ」に魅せられ、ゲーム内で確認できる“事実”と、各々の“推理”や“妄想”とを組み合わせ、作中で描かれていない真相を考察しだす者たちが現れる。

「このアイテムの説明文に◯◯と書いてある」
「このアイテムは◯◯に縁のある場所に落ちていた」
「また、このキャラクターが◯◯について言及している」
「さらに、ムービーをよく見ると◯◯しているように見える」
「つまり、この人物には◯◯な事情があるのでは? この事件には◯◯が関係していたのでは?」

こうして、(一部の)プレイヤーは立派なフロム脳へとその有り様を変質させていく。


《症状》

  • とりあえずテキストは隅々まで読み込む
  • 登場人物のささいな言動にいちいち注視する
  • フィールド上のちょっとしたオブジェクトにも隠された情報がないか考える
  • BGMにも何かヒントがないか検討してみる
  • 関係なさそうな要素も、少しでも接点を見つけたら(ややこじつけ気味であっても)関係があるものとみなし、仮説を立てる
  • キャラクター性の薄い登場人物に対しても、作中のわずかな描写から性格や人物像などを考察したりする
  • 開発が遊びで仕込んだ(と思われる)要素であっても、つい深読みしてしまう


《余談》

「詳細な情報をあえて提示しない」というのはフロム作品全体に共通する傾向であり、フロム作品の始祖である「キングスフィールドシリーズ」からすでにフロム脳を発症した古の者たちもいた。
現在は、売れ線であるソウルシリーズからフロム脳を発症するケースが多い。
ARMORED COREシリーズでは、類語として「ナニカサレタ」「コジマ汚染」「コーラル中毒者」などと呼ばれることもある。

“◯◯(=フロムゲーのタイトル) 考察”などでGoogle検索すれば、どこかのフロム脳患者が想像の翼を広げ、考えに考え抜いた驚くべき考察がいろいろヒットする。
そういった考察を読むのが好きな人は、ゲームを終えてからも(むしろゲームを終えた後ほど)いろいろ楽しめるであろう。


フロム脳患者諸君への注意事項として、まず「想像・妄想」と「事実」は区別して話そう。
あなたが想像で補った設定を、あたかもゲーム内で確認できる事実であるかのように語り、他人に押し付けてはならない。
また、他人が考えた脳内補完・設定を根拠もなく否定するのも良くないし、そもそもフロムゲーのプレイヤー全員が考察を楽しんでいるわけではないこともよく理解しておくべきである。
少なくとも、キャラ性能やゲーム攻略について話しているような場で、いきなり設定考察を始めたりするのは控えよう。
作品に隠された緻密な設定もファンによる考察も、興味がない人にとっては本当にどうでもいい情報なのだ。



どうか追記・修正をお願いします


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • フロムソフトウェア
  • フロム脳
  • AC
  • アーマード・コア
  • 妄想じゃない
  • ナニカサレタ
  • コジマ汚染
  • 考えすぎ
  • 深読み
  • 愛情
  • エロム脳
  • 考察
  • コーラル過剰摂取
  • フロム脳←色は緑か赤

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月21日 20:26