怪盗X(魔人探偵脳噛ネウロ)

登録日:2012/01/16(月) 11:49:31
更新日:2024/03/11 Mon 01:39:30
所要時間:約 8 分で読めます





俺は…誰でもあって誰でもない

俺は…自分の正体(なかみ)がわからない

俺は…知りたい 俺が いったい誰なのか…


怪盗X(サイ)は漫画『魔人探偵脳噛ネウロ』の登場人物。
初登場は3巻。
CV:朴ロ美斎賀みつき

説――【がいよう】

これまでに全世界で数兆円もの被害を齎して来た世界的犯罪者。
作中でも用いられた『怪盗X(サイ)』という呼び名は日本での略称であり、
正式名称は物(monster)強(robber)に、
  • 「未知」を表す『X
  • 「不可視(invisible)」を表す『I
を合わせた怪物強盗(モンスターロバー)X・I(エックス・アイ)
それを縮めて『怪盗X』である。海外メディアによる率直な表現が元で名付けられている。


風貌は青みがかった白髪の幼い少年のような姿をしており、主人公であり探偵のネウロ弥子組の対となるような「怪盗」という設定である。
だが推理物で有りながら単純娯楽漫画である今作で『怪盗』の立ち位置に居るが、従来のイメージ通りの扱いをされる訳もなく、
一癖も二癖ある個性的な人物像となっている。


X――【じんぶつ】

少年のような見た目と裏腹に初登場シーンでは人を一人生きたまま後述する〝箱〟にしてみせたように性格は無邪気で残酷。
人を殺す事に何の躊躇いもなく、それどころか「美術品の窃盗」と「猟奇殺人」は彼の中ではほぼ同列である為、「怪盗」キャラに対するこだわりは一切ない。

特異体質の副作用で脳細胞も変化し続けており、記憶が常に失われている。このせいで自分の年齢や性別、名前なども含めた『自分の正体(なかみ)が自分でも解らず、趣味趣向は安定しない。
美少年のような姿をしているが「今の姿も俺の正体でない」と言い、便宜上無理矢理落ち着かせているだけらしい。
怪盗としての活動をしているのもこれが原因であり、『作った奴の中身が全部詰まった』美術品を盗んだり、その過程で出会った人間を殺害し〝箱〟に加工して観察することで、自分が何者なのかの答えを出そうとしている。
その忘れっぽさも相俟ってアイからも度々指摘されるが、その時はその辺にあった何か高価そうなモノを適当に持ち出して彼女に押し付けている。
そのせいでアイの私室は常にとっ散らかっているらしい。この中の一つが後にとある事情で借金地獄に陥りかけた弥子を助けている。

魔人であるネウロに深い興味を持っており、人間でないネウロの中身を観察することで、
自分自身の正体を知ることが出来るかもしれないという可能性を理由として、ネウロを殺す事に執着している。


力――【のうりょく】

人間の突然変異種ともいうべき存在で、全身の細胞が常に変化し続けており、その変化の方向を操作することで形式問わず様々な人物に細胞レベルで変身する事が出来る。*1
「誰でもあって誰でもない。どこにでもいるけどどこにもいない」と豪語した通り元々老若男女だけでなく心肺停止した完璧な死体にも成り済ませるだけの変身能力を擁していたのだが、ネウロと出会ってから物語が進むにつれ細胞の変異が急速に進んでおり、
  • ドーベルマンに変身して成り済ます
  • 脳の一部を作り替えスパコンの回路を再現する事で電子プログラムを取り込む
  • 最終的には4足4手*2の化物然とした姿にまで変身する
といった事が可能となった。
因みに作中で弥子に3度変身している。一度目は普段の弥子の姿で近づいた為、制服姿のXを見ることが出来た。可愛い。

変身能力以外でも人間を遥かに越えた肉体性能も持っており
  • 人体を一撃で叩き潰して肉塊に変えられる怪力
  • 数メートルもの高さを軽々と飛び上がって高速移動できる瞬発力
  • 複数発の銃撃をノーガードで受けてもものともしない再生治癒力・生命力
などからその異常性が見て取れる。
だが、弱点が無い訳ではなく『関節を壊す』『高圧電流などで細胞を焼き切る』等の手段を用いれば、動きを止める事が出来る。*3


戦闘力以外では超人的な観察眼も有しており、赤い箱に変えた人間の細胞を観察することで対象の体と心の性格、仕草、得意不得意といったものを理解し切ることができる。
美術品の場合は観察した創作物に込められた感情を読むことでその作品の制作者の精神性を読み取ってしまう。
一応外見からでもある程度は把握できるが、完璧に理解するには長い間同居するなどして観察しない限りは箱に加工する工程が必要不可欠となる。


箱――【てぐち】

怪盗Xを怪盗Xと至らしめるその手口は犯行現場から最低一人以上誘拐し、後日、犯行現場に赤黒い何かが入ったガラス製のを送り届けるというもの。
正方形のは、ガラスの重量を除いた重さが、さらわれた人間の体重とほぼ一致する。質量保存の法則である。なお誘拐された人数と同じだけ届けられる
つまりは誘拐した人間を殺害し、死体をドロドロの液体になるまで破壊してからガラスの箱に詰めて送り付けるという、とんでもない猟奇殺人の証である。
この殺人の証は「赤い箱」と呼ばれ、作中の市民から警官に至るまで全世界で恐怖の対象として恐れられていた。

一応サイ自身に他意は無く、「自分の中身を知るために、観察しやすくなるよう箱状に加工しているだけ」なのだがそんな狂った真意を知る術は絶無。
この行動はサイの目的を知らない者に(知っていても恐ろしい事に変わりは無いが)この上ない恐怖を抱かせる事となる。
なお中身を観察するという目的上、塊や繊維が残ってたり、気泡が入ってたり、箱の繋ぎ目を接着剤で止めていたりするのは減点対象らしい。
随分とハードルの高い工作の授業である。


余談だが、作中で確認出来る最大の被害は『最後の自分像』を狙った時の犯行予告である。
その犯行予告とは子供達の平和への祈りや、大人達の欲望渦巻く平和の壁を自身の予告状を貼付けた40個もの箱にすり替えるという常識はずれっぷり。
箱にされた40名の人物は、ネウロの正体を探るために利用した右森米太郎内閣総理大臣をはじめとする日本国政府の高官、官僚達と思われる。





ネタバレ





















正体は「シックス」のクローンに改造を施した実験生物。
実験名は『験体11』。
出生は17年前。性別は雌。つまりJK。
母親も居たのだが出産後に「シックス」によって即処分されており、サイ自身も生後5年間を強化ガラスの中で実験されながら過ごしている。

家庭などあるはずもなく、知人などいるはずもない。
探す自分などもともと存在するはずなかったのだ。
培養を終えた後、社会勉強の為に世間に放たれたが、その際に「飛行機落しのイミナ」こと相棒アイと出会い状況が一変。
5、6年で回収する手筈であったのが、アイの手腕によっておよそ10年もの間「新しい血族」の情報網をかい潜り、痕跡すら掴ませなかった。

『彷徨える怪物』はアイという頭脳を得て『怪盗』へと変貌を遂げだのだ。

その後、「シックス」に捕まった怪盗Xは「シックス」による念入りな調教の結果XI(イレブン)として生まれ変わり、ネウロ最大の敵となる。


このイレブンは女の姿であり、過去にXは一度この姿に変身している。
ちなみにドラマCD版でも可愛いメイドさんに化けていた。

ちなみにこの名前はイレブンが「シックス」の合わせ鏡であることを示しており、Ⅵ(シックス)を上下対称に組み合わせるとⅩⅠ(イレブン)になる。



更にネタバレ




























俺は人間だ。相棒と2人で1人の犯罪者 怪盗〝X〟だ。「新しい血族」なんて…あんた1人でやってろよ


物語終盤、ネウロの策によりXIとして弥子と対峙した際、弥子の記憶の中にある怪盗Xとしての記憶、相棒でもあったアイの情報から、
怪盗Xとしての自分を取り戻す。

その後、弥子と一芝居打ち「シックス」をペテンに掛け、金属細胞の制御を司る心臓を盗む事に成功。その際に「シックス」に言い放ったのが上記の台詞である。
だが直後、教育の過程で仕掛けられていた心臓の爆弾(自爆装置)が爆発。それに加えて「シックス」からの反撃の袈裟斬りを受け、瀕死の状態に。

Xの攻撃によって致命傷を負った「シックス」をネウロが追って行った後、その場にいた弥子にアイが自身にとって掛け替えのない存在だった事を吐露した。

自身の死の間際に「ネウロとの約束だから、もうメソメソ泣かない」と笑う弥子を泣かせる為、ネウロに負けない為に、「最後の攻撃」と称しXIの頃に観察した記憶から正真正銘の笹塚へと変身。
彼の姿、彼の言葉を使い笹塚として弥子に語りかけ、笹塚自身の、そして怪盗X自身の「ありがとう」を伝え弥子を泣かせる事に成功した。


ざまぁ… 見ろ…

泣かせて… …やったぜ

最後の… 変身…

最後の… …顔…

…これが…




が…

「俺」  だ…








奇しくも変身のとけた彼の最後の姿は長年生きてきた『怪盗X』としての顔であった。






















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怪盗〝Ⅹ〟

本名 怪盗〝X〟
生年月日 自在
身長 体重 自在
本当の顔:現在の顔
本当の自分:現在の自分
好きなもの:怪盗〝X〟が好きなもの
嫌いなもの:怪盗〝X〟が嫌いなもの

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最終更新:2024年03月11日 01:39

*1 サイ曰く 癌のようなもの

*2 足は二股、腕の二本は背中から生えている

*3 自己治癒するので、あくまで一時的