聖ロザリンド(漫画)

登録日:2011/07/11(月) 21:55:39
更新日:2023/07/24 Mon 19:43:07
所要時間:約 5 分で読めます





聖(セイント)ロザリンドとは、1973年に少女フレンドで連載されていたサスペンスホラー漫画である。わたなべまさこ著。

愛らしい天使のような幼女が次々と周りの人間を無邪気に殺していくという(アニヲタ的に)悪夢のような話。

可愛らしい絵柄に強烈なグロテスクな殺人描写のミスマッチで話題を呼んだ。


≪ストーリー≫
ロザリンド・ハサウェイはイギリスの大富豪ハサウェイ家の8歳の一人娘。
薔薇色の頬にふわふわした金髪‥と誰もがみとれるような愛らしさを持った女の子だ。
だが、彼女がギリシャの親戚の家に遊びに行った頃から周りで不審な死が相次ぐ。
そんな中、執事のアルフレッドは見てしまう――ロザリンドが犠牲者の指や目玉を宝物のように大切にしている様を。

そう、ロザリンドは良心や殺人の禁忌という概念すらなく、自分の欲望のままに殺人を犯していく悪魔のような少女だったのだ。
やがて事実が明らかになり教会に入れられ矯正されることになったロザリンドだったが、それで収まるはずもなく。
恐怖の惨劇は留まることを知らずやがて町の中へと拡大していく……。

≪登場人物≫
  • ロザリンド・ハサウェイ
この漫画の主人公。見た目は愛くるしい8歳の幼女で、誰からも「天使の様だ」と評されるほどだが、
実態は本能のままに殺人を犯す野獣のような狂女。

悪魔のような子供だが、何事も疑わず純情。純情である子供であるがゆえに親に対する愛情は強い。
信仰心も篤く、「嘘をついたら天国へ行けない」というキリスト教の教えを固く信じており、
作中でも何度も「私は嘘はつかないわ」と発言している。
(逆説的に「嘘さえつかなければ何をやっても許される」という解釈に繫がっているようでもあるが)

自らの手で死に追いやった人間への罪悪感や憐憫の情はみじんも持たないが、
自分が殺したダリアの母であるパティが悲嘆に暮れている際には、嘘泣きでなく本心から涙を流して悲しみ、
大好きなお手伝いさんのペットを食い殺した野良犬にすさまじい怒りを見せる(そして殺してしまう)など、
子供らしく純粋で優しい一面を持つものの、その純粋さゆえに狂気を拡大させているとも言える。
最愛の母親であるミケーネの死を知った際には絶望し大いに悲しみ、その死を伝えた家政婦を殺害し
事実を長い間伝えていなかった父親バーナードにまでも殺意を向けた。

彼女の犯行の動機に悪意や下心はまるでない。
彼女の殺人の動機は基本的に自分の欲望を叶えるためであり、
彼女にとっては食欲を満たすために食べ物を食べるのと同義。
かわいそうな境遇の人を死に至らしめるのも、「そうすることでその人が救われるから」という、
歪んだ善意と思い込みの代物なのである。

  • ミケーネ・ハサウェイ
ロザリンドの母。
娘に大きな愛情を注いでおり、当初は周りに起こる殺人事件で娘に負担がかかることを心配していた。
だがふとしたことで娘がその張本人であることに気づき苦悩する。
やがてロザリンドにはを飲ませ、自らは拳銃で無理心中を選ぶも、
皮肉なことに自分だけが死に娘は生き残ることになった。


  • バーナード・ハサウェイ
ロザリンドの父。イギリスの博物館館長を務めている。
妻の助けを聞いて駆けつけるも来るなり彼女は死んでしまう。
その後泣く泣くロザリンドを教会に入れて矯正しようとするが、
脱走したロザリンドが行く先々で殺人を犯していると知り彼女を見つけようとするも全て失敗に終わる。
やがて一つの衝撃的選択を下すが…。


  • アルフレッド
ハサウェイ家の執事
前半は彼の視点で描かれる。ロザリンドの正体を知ってしまうも何もできずにいる自分に葛藤する。
結局、ロザリンドの所業を食い止められぬまま、ロザリンドを庇ってコブラの毒にやられ死んでしまう。


以下、哀れな犠牲者たち

  • メリィ夫人
「死んだら時計をロザリンドにやる」と言ったがばかりに氷を張られたベランダに足を滑らせ転落死。

  • ダリア
ロザリンドの従姉。ロザリンドより1歳年上の9歳。
可憐な容姿だが、ロザリンドに嫌味をぶつける、プレゼントを自慢する、自分のいたずらはロザリンドに罪を着せる…など陰険な性格。
「指輪に触れずに取れたらあげる」と言ったら毒入りココアを飲まされ指輪を指ごと食いちぎられた挙句、に突き落とされ死亡。

  • パティ
ダリアの母でアンリの妻。ダリアの死の真相をロザリンド自身の口から知らされたショックと恐怖で気が動転してしまい、
近づいてきた彼女から逃げようとしてベランダに出た拍子に蔓に首を引っ掛けてしまい、
そこへロザリンドがぶら下がったために縊死した。

  • ベン
ホームレス。
「夜は眠らない」という冗談を真に受けたロザリンドに大量の睡眠薬を飲まされ殺害される。
死後、見開かれた彼の目を見て「覗き見できないように」と目玉をくり抜き、以後宝物に・・・。

  • イリアス&マルガリータ
ギリシャの現地の子供。
イリアスはロザリンドに気があるような素振りだったが、実はビッチ気味なマルガリータと恋人同士。
かくれんぼをしている最中、二人で焼却炉の中で逢引していたところをロザリンドに閉じ込められ、生きたまま焼かれた。

  • ヤング刑事
ミケーネの取り調べで泣かせたことに腹を立て、ロザリンドにコンクリートの海の中に突き落とされた。

  • アンリ=ブールボン
ダリアの父でミケーネの兄。パリにある研究所の研究員。
ミケーネから真実を綴られた手紙を受け取り、ミケーネとロザリンドの心中現場へ駆けつけ、結果的にロザリンドを救出する。
ある日ロザリンドに「自分が死んだらロケットをプレゼントする」と言ったばかりに、屋根に蝋を塗り付けられ、日光浴しようとした際に転落死。

  • シスターたち
風邪気味のシスターたちのために「強いお薬(青酸カリ)」を井戸の中に混ぜて全員天に召させる。
その後18人全員の死体を神様の御許に行かせるため、十字架に打ち付け磔にした。

  • 車いすのおばあちゃん
家族に冷たくされ「死にたい」とカワイソアピールしてたため、車いすごと湖に突き落とされ溺死。
なお、実際は家族には優しくされており、半分ボケていたためのひねくれ発言であった。

  • ローザ
砂場で意気投合したリザの母でギャンブル狂。
美人ではあるが、身勝手で酒飲みであり、よき母親とはとても言えない。
架空のママにしか甘えられないリザを不憫に思ったロザリンドの手で首元にバターを塗られてネズミのエサにされ、永遠にリザの枕元で本を読むことができるようにと死体を揺り椅子に座らせられた。

  • ジョナサン
ミケーネに似た娼婦・べべの恋人。
べべは彼と心中しようとしたが逃げられてべべだけが死んでしまう。
が、死ぬ寸前に足を撃たれ動けなくなったところをロザリンドがガスを漏らし火を放って爆死させた。

  • グレーテル&ミンナ
遊んでいる最中にミンナが首から大量出血してしまい、医者の娘のグレーテルが治療する羽目になる。
グレーテルは親の医療行為を見ていたため、簡単な傷の消毒や手当はできたものの、さすがに輸血はしたことがなかった。
それでも「血液型が同じでないと輸血はできない」ことをちゃんと知っており、ロザリンドから血を取ることを止めている。
ロザリンドの提案でグレーテルの血を輸血しようと大量に血を抜いてしまい(グレーテルとミンナは血液型が同じだったため)
彼女は失血死し、ミンナも結局手遅れに。
もしグレーテルが生き残っていたら、きっといい医者になれただろうに…。

  • ローヤル夫人
大富豪の夫人。山道で偶然ロザリンドを車で拾い、ホテルの自室にかくまっていた。
息子や娘がいるようだが、仲が悪いらしく、
弁護士に「犬のニーニョに財産の一切を譲る」と遺言状を書かせて意地悪をしていた。
ついには気まぐれで「ロザリンドに財産の一切を譲る」と遺言状を書き換える始末。
が、ロザリンドはそんなものは欲しがらず、僅かなお金の入った小物入れを欲しがった。
「自分が死んだらお金を(ry」と言ったがために針を後頭部に刺され旅費の金を持ち逃げされた。
しかしロザリンドは結局この金を道中で落してしまった。

  • ジュン
空港でチケットがないロザリンドにチケットを見せびらかし「自分から取れたら(ry」と言って挑発したため階段の手すりに罠を張られ転落死。
デブじゃなかったら助かったのに…。

  • ジム
銀行強盗犯でロザリンドを待ち伏せた警官たちを自分を狙っているものと勘違いして
傍にいたロザリンドを人質に取り時計塔に立てこもる。
が、解放を望むロザリンドに首に巻いていたスカーフを歯車に絡ませられ、引きずり込まれて圧死した。

  • マギー
ハサウェイ家の家政婦。ミケーネが生きていると信じて疑わないロザリンドに彼女の死を伝えるも逆ギレされて舌を切られた

  • 野良犬
家政婦のコティさんのペットの小鳥を食い殺したため、怒ったロザリンドに毒入りの肉を盛られて殺された上、
小鳥を取り出すために腹をかっさばかれた(その小鳥は小箱に入れられてご丁寧にコティさんに返却された)

なお、このシーンの前にロザリンドは小鳥が欲しいあまり、
崖際にコティさんを連れ出して怯える彼女を突き落とそうとする素振りを見せており、
済んでのところで小鳥が襲われたためコティさんは無事で済んだ。小鳥もも含め、ある意味、尊い犠牲である。

物語の結末

父バーナードは苦悩の末、娘を世間の目に晒させないためにも彼女に安らかな死を与えようとする。
そこで彼が選んだのは真冬のアルプスだった。
「あそこに行けばママに会える」
そう言って彼はロザリンドを吹雪の山に放つ。
奥へ行き見えなくなった娘を想い、父は泣きむせぶのだった。

そして、遂にロザリンドは母に慈愛に満ちた抱擁をされる。


白い雪が解けて跡に花が咲くように、彼女の罪もまた雪が浄化してくれるだろう…




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最終更新:2023年07月24日 19:43