ダーク・キメラ(遊戯王OCG)

登録日:2013/03/23 (土) 15:32:42
更新日:2024/01/02 Tue 20:16:19
所要時間:約 9 分で読めます





ダーク・キメラ/Dark Chimera
通常モンスター
星5/闇属性/悪魔族/攻1610/守1460
魔界に生息するモンスター。闇の炎をはき攻撃する。

Vol.7で登場した闇属性悪魔族の上級モンスター。


●概要

闇属性・悪魔族とそれなりに恵まれてはいる。
だが、下級モンスターに既にこのカードよりステータスが優秀な《デーモン・ソルジャー》がいるため、あまり出番はない。
一応効果使用後の《魔導戦士 ブレイカー》や《ハイドロゲドン》を戦闘で破壊することはできるが、それなら最初から《デーモン・ソルジャー》を使えという話である。

ダーク・キメラ「この身体に攻撃力1600など効かぬ。生まれついての帝王の身体なのだ!」
ジェリービーンズマン「だったら僕は世界最強の戦士だ!」*1

戦闘能力は言うまでもなく低く、それこそどこぞのクズカード代表モリンフェン様に毛が生えたようなステータス。
通常モンスターであるため特別な効果もなしと、性能についてはてんで駄目。
誰にも見向きされず、単なるクズカードとして存在を忘れ去られる……かに思われた。


●中途半端なステータス、そのオリジン


どっこい、このカードは他のカードには見られない特色を一つだけ持っていた。
その中途半端極まりないステータスである。

遊戯王の攻撃力・守備力は基本的に100の倍数、やや半端なものでも50の倍数となる。
2500とか3000とか1550とか。

これ以上細かい数値にしても計算が面倒になるだけなので、当たり前と言えば当たり前である。

……そのはずが、このカードはなんと攻1610/守1460

このような「10刻みの中途半端なステータス」を持っているのは、
《闇晦ましの城》《カードを狩る死神》《闇魔界の覇王》《バロックス》などといった一部のモンスターのみ。
数え切れぬほどのカードが犇く遊戯王の中でもこの値は流石に珍しい。
一応、アニメ漫画オリジナルを含めると攻撃力が1のモンスターや2501のモンスターなど上には上が居たりするがOCG化の際100の倍数に変換されるのがほとんど。

この半端な能力値は、原作、GB版ゲームでの扱いに由来する。
元々、このモンスターは闇のプレイヤーキラーが使用した原作出身のモンスターである。
ちなみに、この時のステータスは「星6/攻2100/守1900」と比較的まとも。中途半端でもない。

闇のプレイヤーキラーは上記の「中途半端軍団」の1体である《闇晦ましの城》によって「フィールドを闇で包み込む」という特殊な戦略を用いた敵。
自軍を闇で覆い隠す事で敵から身を守りつつ、闇討ちの形で一方的に攻撃を仕掛けられる合理的な戦法であったわけだが……。

闇/Yami
フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する
悪魔族・魔法使い族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。
フィールド上に表側表示で存在する
天使族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントダウンする。

遊戯王OCGにはこんなカードがある。
このカードの存在からか、我らがコンマイは闇のプレイヤーキラー産モンスターたちのステータスをとんでもない形で解釈する。

KONMAI「おまえら、《闇晦ましの城》でフィールドが《闇》に包まれてたからそれでパワーアップしてたんじゃね?」

これにより、闇のプレイヤーキラーのモンスターカード群はただでさえ強いとは言えないステータスからさらなる弱体化が決定。
そして、原作におけるフィールド魔法の効果は「対応するモンスターの攻守を30%上昇させる」というもの。

ここはOCGの《闇》に準拠して素直に攻守を200下げればいいものを、
コンマイは律儀にも原作版の《闇》に従ってステータスを調整したその几帳面さを他に活かしてくれれば良かったのに……。

かくして、我々にとって馴染み深い1610という攻撃力を持つOCG版《ダーク・キメラ》が誕生したのだ。

……だが、30%上昇後の能力値は「攻2093/守1893」と、微妙に違う。
さらに原作では、はっきりとカード自体に攻撃力2100、守備力1900と表記されている。
そして原作では「夜にはモンスターはフィールドパワーを受けられない」と闇のプレイヤーキラー本人が断言しており、闇だけ特別と取れる描写はない。

他のモンスターたちも含め、どこから出た数値なんだろうか、これ……


ちなみに「ステータスが中途半端なモンスター」には、闇のプレイヤーキラーが使用した上記のカードたち以外にも
《剣竜》*2
SNo.39 希望皇ホープONE
この2つのカードがある。
前者はダイナソー竜崎が、後者は遊馬先生が漫画版において使用したカード。
特に後者は100の倍数に変換するのが通例だった比較的最近のカードであったため、10刻みのステータスを持つ新規カードとして世のデュエリストたちの度肝を抜いた。
その攻撃力は2510。10の位まで《ダーク・キメラ》と一緒である。



●救世主現る?


さて……時は流れ、《ダーク・キメラ》の誕生以降様々なカードが世に放たれた。
カオス」シリーズを筆頭として効果モンスターが充実し、
徐々に加速していく環境の中でステータスだけが取り柄だった通常モンスターは徐々に肩身を狭くしていく。

増してや、元々使われる要素が無かった初期の弱小上級通常モンスターたちはこれで完全に居場所を失ってしまう。シンクロ召喚の登場がそれを加速させた。
だが……。



「集いし星が、新たな力を呼び起こす! 光差す道となれ!」



カオスエンドマスター/Chaos-End Master
チューナー(効果モンスター)
星3/光属性/戦士族/攻1500/守1000
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
デッキからレベル5以上で攻撃力1600以下の
モンスター1体を特殊召喚できる

初期の上級通常モンスターたちの下に救世主が現れた

レベル5以上で準アタッカーライン以下の攻撃力と言われればまさに初期の上級カードに溢れ返っていたステータスであり、
このカード1枚から上級モンスターを展開できる。

しかも、このカード自身はレベル3のチューナー
たとえばこのカードでレベル5のモンスターを特殊召喚したとすれば、
その後召喚したモンスターでおまけの追加攻撃を行った上でメインフェイズ2にレベル8モンスターのシンクロ召喚が行えるのだ
レベル8モンスターといえば《スターダスト・ドラゴン》や《レッド・デーモンズ・ドラゴン》をはじめとする、
強豪シンクロモンスターたちが軒を連ねる激戦区であり、追加攻撃を行った上でこれらのモンスターをシンクロ召喚できるのは非常に大きい。
仮にステータスが極限まで皆無の0に等しくても、シンクロ等の素材にさえ繋げられればほぼ踏み倒せる。

戦闘破壊をトリガーとする割に攻撃力が然程高くない事は難点だが、幸いにもこのカードは光属性・戦士族。
あの《オネスト》をはじめとした戦闘サポートを受けられるため、まだ何とかなる範囲だろう。

このカードによって、初期に現れた多くの上級バニラは救済される事になる。
流石に環境入りは無理でも、比較的まともなファンデッキは組めるようになった。

あの《モリンフェン》も、《レオ・ウィザード》も、《シェイプ・スナッチ》も。


そしてこの《ダークキメラ》も……、










デッキからレベル5以上で攻撃力1600以下の
モンスター1体を特殊召喚できる。



デッキからレベル5以上で攻撃力1600以下






そう、このカードは救われなかった。彼は《カオスエンドマスター》のサポート範囲から攻撃力がはみ出てしまっていたのである。

僅か10ポイントだけ

攻撃力がなまじ高いために損をするカードというのは少なくないが、ここまでギリギリを攻めていったカードはかつてない。
代表的なカードとしてそれこそ《キラー・トマト》のリクルートが受けられない《モリンフェン》がいるが、それでも50ポイントの差がある。
言うまでもなく、《カオスエンドマスター》がリクルートできない攻撃力の中では最低。

これまで弱小モンスターとして扱われながらも微妙な攻撃力の高さゆえに「同じくキラトマで出せない《モリンフェン》よりはマシ」などと言われてきた《ダーク・キメラ》であったが、
よもやその微妙な攻撃力の高さ、それもこのたった10ポイントという誤差のせいで《モリンフェン》さえ差し置いて通常モンスター最弱の有力候補となってしまった。

……のはずが、遊戯王プレイヤーに「最弱のモンスターは?」と問えば未だに《モリンフェン》と返す者は多い。
《カオスエンドマスター》が登場するまでの10年弱というあまりに長い期間が、《モリンフェン》のイメージを完全に固定してしまったのだろう。

そんなわけで、《ダーク・キメラ》の場合は「弱小モンスター」「クズカード」と揶揄される事はあっても「最弱」とまで言われる事は少ない。
……それはそれである意味不遇かもしれない。



●実際の運用

結果として散々な性能になってしまったが、まぁこうなってしまったからには仕方ない。
あるデュエリスト「この世に使えないカードなど1枚もない」と語った。どうにか使い道を探してやろうではないか。

真面目な話、闇属性・悪魔族・バニラという都合上サポートカードに関してはかなり豊富。この辺りはモリンフェンに通ずるものがある。
《凡骨の意地》のトリガーとなったり、《思い出のブランコ》で復活できたり、《馬の骨の対価》のコストになったり。
《闇の誘惑》のコストになったり、《終末の騎士》《ダーク・グレファー》で墓地に落とせたり。
《魔族召喚師》で蘇生できたり、《悪魔の嘆き》の発動トリガーになったり。
活用法は意外とあり、全力で組めばコンボ前提とはいえ侮れない動きを見せる。それ他の闇悪魔のバニラでも同じとか言わない。

オススメとしては《魔族召喚師》+《レベル・スティーラー》でのコンボ。
墓地に落としたこのカードを蘇生→さらに再度召喚で得た効果を使いダキメを蘇生→墓地の《レベル・スティーラー》で《魔族召喚師》のレベルを下げる
この動きで《レベル・スティーラー》を壁としてフィールドに残しつつ、レベル5のモンスターを2体並べる事ができる。
後はティラスとかヴォルカとか出して相手の度肝を抜こう。もちろん普通に殴ってもいい。
《レベル・スティーラー》禁止になっちゃったからもうこのコンボできないけどね!


そして……ある意味でこのカードを代表するデッキでもあるが、
このカードのような微妙な攻撃力のモンスターと、攻撃力増減カード、バーンカードで相手に面倒な計算を強制するデッキを作る猛者もいる。
通称【脳トレ】【ダーク・キメラ・ジャッジキル】

前述の通り他にもこのカードのような中途半端なステータスを持ったモンスターはいるが、守備的な能力だったり、倍にすると普通の数値になってしまったり、
融合モンスターだったりするため、上記のような面倒な嫌がらせ計算を強いるにはうってつけのカードなのである。

中でも《E-HERO ダーク・ガイア》とのシナジー(?)は強烈。
ダーク・ガイアは攻撃力が融合素材としたモンスターの攻撃力の合計になるという特性があるため、
このカードを素材にすれば融合召喚したダーク・ガイアの攻撃力もやはり中途半端になるのだ。
純粋にアタッカーとして見ても優秀なステータスになるので、戦闘ダメージ量・計算の面倒くささという両面からプレッシャーをかける事ができる

さぁ、君も相手の計算機を取り上げてジャッジキルだ!

…なおその『筋トレ』も【ダイノルフィア】の登場で形骸化した。
能動的にLPを半減し続け、自分のLPを参照するモンスターが主力の為攻撃力3913とか面白い数字がジャンジャン登場する為、もはや《ダーク・キメラ》に居場所はない。


追記修正は《ダーク・キメラ》を積んだデッキで大会に優勝してからお願いします。

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最終更新:2024年01月02日 20:16

*1 ☆3・攻撃力1750

*2 この手のカードのうち、2021年時点でも「何故半端な数値なのか見当がつかない唯一のカード」であり、ある意味でダーク・キメラ以上に不遇。なお恐竜族だが読みは「ソード・ドラゴン」。