Fate/strange Fake

登録日:2009/06/21(日) 13:49:45
更新日:2024/03/23 Sat 23:41:26
所要時間:約 24 分で読めます





真実は、時に世界の偽りを叩き潰す。

だが、『偽りがそこに存在していた』という『真実』を消すことはできない。

たとえ、聖杯の力を借りたとしても。


Fate/strange Fake』とは、『Fate/stay night』の十数年後の偽りの聖杯戦争を描いたスピンオフ作品。

原典は2008年に成田良悟のホームページに掲載されていたエイプリルフール企画二次創作『Fake/states night』。
2009年にTYPE-MOONエースVOL.2の小冊子付録「Fate/strange fake」として『Fate/Zero』と共通の装丁で書籍化。
さらに2014年に「Fate/strange Fake」と改題して成田良悟本人によって書籍刊行されることが発表された。

ストーリー的には「stay night」から続いているのだが、「なぜか全く違う世界」の出来事であるとされており、
「限りなく本筋に近い偽物の物語」という立ち位置になっている。
その一例として、本作では死徒二十七祖と英霊召喚がどちらも存在している。ディープなファンにはその異質さが分かるだろう。
これは、作品作りで邪魔になる諸々の制約をあえて取っ払い、成田良悟という作家がイキイキと作品を作れる環境作りを行ったためである。
結果的にこの判断が功を奏し(?)、Fateシリーズではダントツで濃い作品となっている。

【原作(小説版)】

電撃文庫から刊行されている。2024年現在9巻。イラストは森井しづき。
Fate作品のみならず、他の型月作品のネタも絡められて描かれるため、コアなファンほど喜べる作品となっている。
中には「それいる?」と言いたくなるような細かい情報やネタまであるが、それもまたこの作品の魅力と言えよう。
基本的に年一ペースで刊行されているが、一時期刊行がストップしていた。原因は作者の持病(指定難病)と思われる。

なお前述の通り成田の根城である電撃文庫からの刊行だが、これはFate作品としては初の一般流通スタートとなる。
(『Zero』や『空の境界』などは同人作品としての特殊な流通でスタートしており、一般書店では取り扱われなかった)

【漫画版】

TYPE-MOON BOOKSから刊行されている。2023年現在5巻。原作イラストと同じ森井しづきが手掛ける。
同じ人が書いているだけあって原作との親和性は非常に高い。
絵が付いたからこそわかる新たな情報や、原作にはなかった詠唱などが追加されている。
もちろんコミカライズなので原作から削られている部分もあるが、基本的には同じ流れなのでこちらでも話は十分分かるだろう。
原作と漫画版を両方読むことで情報量を増やすというぜいたくな楽しみ方も可能である。

【アニメ版】

2023年の夏に原作第1巻収録分を単発作品『Whispers of Dawn』としてアニメ化され、第2巻以降のエピソードもTVシリーズ化が予定されている。
制作は「Apocrypha」と同じA-1ピクチャーズ。
キャラデザは原作や漫画版の森井デザインに寄せられており、これまでのFateアニメより全体的に大人っぽく見えるかもしれない。




ストーリー

第五次聖杯戦争から数年後、アメリカ西部に位置する地スノーフィールドにて聖杯発現の予兆が見られた。
魔術協会の調査の結果、これは何者かがオリジナルの聖杯戦争の技術を模倣した「偽の聖杯戦争」であるらしい。
不完全な模倣ゆえにシステムには欠陥が存在し、在るはずのクラスが欠け、選ばれるはずのないサーヴァントが呼び出される。
そしてアメリカのとある国家機関の思惑により、都市の外からも多くの魔術師達が流れ込む…
本ストーリーは、そんな一触即発のスノーフィールドに一人の旅行者がやってくるところから始まる。
この聖杯戦争は「偽りの聖杯戦争」「真なる聖杯戦争」の二重構造となっており、最初に偽の聖杯戦争のサーヴァント6体を呼び出した状態でセイバー(偽にして真)を呼び出すことで『呼び水』とし、
残りの真の聖杯戦争のサーヴァント6体を召喚する計画であった。


登場人物

【マスター】

  • 「プレイヤー」(Fake/states night版)
この架空のゲームの主人公。欠けたセイバーのクラスを補完する存在。かつて、冬木市に住んでいた。
「エレベーターのある建物に入れない」「時折、血塗れの女の子の幻影を見る」という制約があり、5体の英霊と5本の令呪をもつ。
令呪を消費する事で1人の英霊を30分間召喚し使役出来る。5人を6分間同時召喚というような分割も可能。但し宝具を使用した場合は召喚時間が減る。
hollow ataraxia』のプロローグの怪談話に登場したAさん本人と思われる。

  • アヤカ・サジョウ(Fate/strange Fake版)
CV:花澤香菜
セイバーのマスター。書籍化に伴い「プレイヤー」の代役となった人物その1。沙条綾香そっくりの容姿の金髪の少女。
かつて冬木市にいた頃、同地の蝉菜マンションで何かがあったらしく、その一件から自分を無価値に思っているネガティブな性格。

本編では日本を流離っていた所、謎の女性フィリアに無理やり令呪や仕事を押しつけられスノーフィールドに行かされるも、
ある魔術師に捕まり偽と真の2つの聖杯戦争の架け橋としてセイバー召喚後に殺害される予定だったが、セイバーに命を救われ、成り行きでセイバーのマスターとなる。
当初はセイバーのお節介を嫌々受け止めていたが、彼のポジティブな人柄から色々なものを得ていくことになる。
一時期エルメロイ教室に居た「沙条綾香」とは異なる存在であり、アヤカ本人の記憶も蝉菜マンション絡みを含めかなり曖昧。
非魔術師ながらサーヴァント複数分の維持費を賄える異常な程の魔力量を誇るが、その理由は…。

メタ的には原典の「プレイヤー」から『蝉菜マンション』『複数のサーヴァントを使役(セイバーの能力として)』『複数の令呪を所持』という要素を受け継いだキャラクター。
名前もAyakaで『A氏』。

【偽の聖杯戦争】

  • ティーネ・チェルク
CV:諸星すみれ
アーチャーのマスター。スノーフィールドの原住民たちを束ねる少女。アーチャーを召喚した魔術師を殺害し、その令呪を奪取・再契約を果たす。
スノーフィールドの霊脈を利用した魔術を使用する。彼女の扱う魔術は強力であり、その詠唱は無音にして一瞬。
ただしスノーフィールドから出ると一転し、魔術も一切使えないただの人へと成り下がってしまう。

アーチャーを偉大な王として敬っており、その態度やティーネがまだ子供であることなどから、アーチャーも割と好意的に接している。
主従と言うよりは王と臣下の関係であり、どこぞの優雅たれな人と違い裏もないので相性は抜群。不要になったからとはいえ彼から財宝を下賜されたことも。
一族の悲願として魔術師たちから土地を奪還することを目的としており、命も捨てる覚悟を持っているが、
それが「自分の意思」なのか「運命の濁流に押し流されたもの」なのか本人にも分かっておらず、それをアーチャーから指摘され悩んでいる。
アーチャーの無駄に自信満々な言葉に「よく分からないけど、本当に凄い人なんだ…」と純粋に敬意を抱いており、素は割と子供っぽい。年齢を考えれば当然だが。

CV:松岡禎丞
バーサーカーのマスター。ロード・エルメロイⅡ世の研究室において、留年し続け現役最古参の弟子。
馬鹿でアホの子。年齢は成人前後だが中身は子供っぽい。
性格は壊滅的に魔術師に向いていないが、才能と技能はまさに天賦の才と言って良いレベルというややこしい魔術師。
その問題児っぷりにはエルメロイⅡ世も悩まされているが、「一度引き受けたからには最後まで付き合う」という心意気で面倒を引き受け続けている。
聖杯戦争には「英雄を友達にできたらかっこいいから」という好奇心で参加した。

魔術師としての出自・性格・才能など全てにおいてエルメロイⅡ世の対極に位置する青年で、しばしばどつき漫才をしている。
フラットの言動に血が上りすぎてエルメロイⅡ世が卒倒するのが、とある女生徒曰く「いつものこと」らしいあたりその苦労がうかがい知れるだろう。
ただ、フラット本人はエルメロイⅡ世を非常に慕っており、彼の教室の一員としての誇りを持っている。

若い魔術師らしく現代技術や機械には関心があり、聖堂教会の神父とも心を通わせるなど魔術師としての面以外では割と常識的だったり。
一方で魔術師という枠を逸脱した、不気味な発言をすることも……

Apocypha』や『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』でも魔術協会側の人間として登場し、本作と変わらずの振る舞いを見せている。
ちなみに外部出演の際は作者の成田氏がセリフやキャラの監修を行っているらしい。

  • ジェスター・カルトゥーレ
CV:橘龍丸
アサシンのマスター。スノーフィールド郊外に別荘を持つ魔術師であり高位の死徒。
「六連男装(弾装)」の異名を持ち、魂をリボルバー銃のように入れ替える事によって体を6種類に変換し、使い分ける事ができる。
アサシンを召喚して早々に心臓をぶち抜かれたが、この能力のおかげで生き延びた。
魔力量は凄まじいようで、5体のサーヴァントを同時に使役できると本人は豪語している。

退屈から聖杯の力で蜘蛛を起こして世界を滅ぼそうと思い聖杯戦争に参加するが、アサシンの純粋な信仰心に感動し、それを打ち砕くためアサシンを付け狙うようになる。
感動するほどのアサシンの信仰心を「けがしつくしたい*1」という願望を持っていることで察することが出来るが、かなりの性格破綻者である。

死徒としての実力はかなり高く、1mはあるコンクリートの破片をカノン砲でぶっ放したかのように射出したり、パイルバンカーのような強烈な手刀を叩きこんだりと英霊並みの身体能力を持つ。
死徒特有の「人類史の否定」により人間に対して相性がいい*2ため、英霊の力を借りただけの人間にはめっぽうに強い。一方で死徒らしく代行者は天敵。

アサシンとの関係は最悪。ジェスターは彼女を好いているがそれは上述の通り歪んだものであるため、アサシンの方はジェスターの魔力で現界していることすら許せないほど嫌悪しており、可能な限り迅速に抹殺したいと思っている。
なお、六連男装と名がつく能力の通り、その正体はオンナノコ。ぶっちゃけきのこが「最終的にアサシンと百合百合させたいから」と女の子にしただけで本編ではただの変態死徒である。

  • オーランド・リーヴ
CV:羽多野渉
キャスターのマスター。スノーフィールド市の警察署長。
警察の情報網を最大限に活用し、スノーフィールド市中の情報を掌握している。
警察官としての部下であり、魔術師としての弟子でもある直属の戦闘集団「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」を率い、キャスターに全員分の宝具を造らせて「人間による英霊の打倒」を目指す。
彼自身も日本刀の宝具を持っており、2巻時点では最も真名解放に近いらしい。

性格は堅物で、目的のためなら手段を選ばない冷酷なもの。しかし目的以外での犠牲を嫌悪し、理由もなく民間人を巻き込む輩がいるなら真っ先に排除するべきだという考えも持つ。
また警察署自体を自身の魔術工房に改造しており、結界のほか使い魔を使った攻撃や無数の罠を張り巡らせている。

キャスターとはマスターとサーヴァントとして特に問題のない関係を築いている。
一時は食事や女ばかり要求し不真面目なキャスターを見下していたが、彼が自分の知らない情報収集手段を持っていることを知ってからは猛省し、態度を改めてキャスターの力を評価している。自由過ぎる彼の性格に頭を痛めるのは変わらないが。

今回の聖杯戦争の黒幕側の人間だが、同じく黒幕側のフランチェスカやファルデウスとは目的が違い、必要ならば裏切るつもりであるし、向こうも裏切ってくるだろうと信用は全くしていない。

  • 繰丘椿(くるおか つばき)
CV:古賀葵
ライダーのマスター。10歳の幼女。
両親によって間桐の「蟲使い」の術を改造した細菌を移植され、魔術回路の増大を図られていたが、細菌が脳内で暴走して意識不明となり、現在はスノーフィールド中央病院で入院中。
そんな最中、本来なら彼女の両親が宿すはずだった令呪を彼女が宿してしまい、無意識のうちにライダーを召喚してしまう。

夢の中で「現実の光景を夢の中に投影する」という魔術を開花させる。
元々この夢には無生物以外が存在しなかったが、「まっくろさん」ことライダーの能力によって徐々に住人が加えられることとなる。
しかし彼女が夢の中で何かをライダーに告げる度に、斜め上の方向へ解釈したライダーにより現実世界が大変なことになっているが、6巻後半でその事実を知ってしまい…。

  • 銀狼の合成獣
ランサーのマスター。ある魔術師によって、触媒として造られた合成獣(キメラ)。わんこ。モフモフ。
合成獣のため寿命が短いが、並の魔術師以上の魔術回路を保有する。
触媒のはずが合成獣自体に令呪が宿ってしまい、創造主の魔術師によって処分されかけたところでランサーを召喚。
わんこなので聖杯への願いなどあるはずがなく、ランサーと一緒に森でのんびりしている。
人間に対してあまり懐かないが、アヤカには素直に撫でられていた。

【真の聖杯戦争】

  • シグマ
ウォッチャー(真ランサー枠)のマスター。黒幕側に雇われた魔術使いの傭兵。書籍化に伴い「プレイヤー」の代役となった人物その2。
ウォッチャーからは、現在空席の「(真)ランサー」になる存在と言われ、彼ら(彼女ら?)からは試練を与えられている。
産まれてすぐに魔術的に肉体を弄られ、少年兵として育てられた。外見は若いが成長はしばらく止まっているとのことで、寿命も短いらしい。
悲惨な境遇で育った故か感情が欠落しているが、表には出さないだけで内面で浮き沈みはあったりする。
ウォッチャーを召喚したことを誤魔化す際に「チャップリン!」と咄嗟に口にするなど、プライベートでは喜劇ものの映像視聴を好んでいる。

自分が周りと比べて少し(本人談)おかしいと感じており、周囲は普通に持っている「自分の意志」に関心を抱いている。
聖杯にかける願いは考えておらず、強いて言えば願望器を目の前にしたら自分がどのような行動に移るか知りたいと思っている程度。
だがウォッチャーから「目的を得る」事を勧められ、錯綜する事態や様々な人々との出会いから、6巻最後で「聖杯戦争を破壊する」という目的と、ある存在から依頼された「繰丘椿の守護」、2つの行動理由を得る事になる。

メタ的には原典の「プレイヤー」から『無個性』『複数のサーヴァントと相談』『彼自身が英霊枠となる』という要素を受け継いだキャラクター。
作中での彼の「自分は『一般人A』でも『兵士A』でもなく『Σ』だ」というセリフは『A氏』にかかっている。

なお、彼の母親は衛宮切嗣という魔術師の助手として聖杯戦争に参戦していたという。ただ生まれてすぐに引き離されているので、特に思うところは無いらしい。

  • ファルデウス・ディオランド
CV:榎木淳弥
真アサシンのマスター。偽りの聖杯戦争を設定したアメリカ政府側の青年。魔術協会や聖堂教会より市民団体が怖いととぼける黒幕風公務員。
当初は時計塔の人形師であるランガルの弟子として魔術協会にスパイ活動を行っていたが、聖杯戦争の開幕に伴い協会への宣戦布告を行った。

第三次聖杯戦争にアサシンのマスターとして参加していた人形師の縁者で、人形を使い記憶を代々受け継いできた。
魔術世界に関する知識は豊富で、地の文によると裏の裏にまで精通しているらしい。

近代兵器を装備した私設軍隊を率いており、他人を殺害する時は専らこっちを利用している。
私立刑務所の裏の顔である監視施設を根城にしており、警察署長とは違った方面で優れた情報網を持つ。
だが、やることなすこと裏目に出まくるドジっ子。

  • フランチェスカ
CV:内田真礼
真キャスターのマスター。ゴシックロリータ風の衣装に身を包む、(外見は)10代半ばほどの少女。
偽りの聖杯戦争の主催者側に身を置いている人外。オーランドと手を組んでいるが彼を「若造」と呼び、逆に彼からは「老害」と疎まれている。
服の下の肌には人間の歯のような物でできたファスナーがある。

享楽的な性格で、不測の事態を期待しているようなふしがある。

正体はフランソワ・プレラーティ。ジルの親友である錬金術師で、彼を狂わせた一因でもある。
型月恒例の女体化ではなく、何度も殺されておりそのたびに何らかの方法で新しい肉体で復活して現代まで存在している。
長い年月を生きているためか物凄いところに顔が知られており、キシュアの御老体や享楽主義者のサンジェルマン、
悠久の時を生きた御伽の魔女やモナコの金持ち吸血種、ゴドーワード使いの先生傷ん(ryといった、
知る人なら何の冗談だと言いたくなるような人物の名前を、自分をギャフンと言わせた人間として挙げている。

  • ハルリ・ボルザーク
真バーサーカーのマスター。政府に雇われた魔術師の一人。
父が異端の魔術系譜として協会から追放、殺害された過去を持ち、協会への復讐として神秘の隠匿を排し、魔術の普遍化を目論んでいる。
「マズダ*3」なるものを使用して真バーサーカーを召喚するが、呼び出されたそれはハルリの想像とは違う、異形の何かであった。
その後は真バーサーカーを手懐けたイシュタルと行動を共にし、彼女の協力者――というよりは信者となっている。
祖父と同じく蜂の使い魔を使役する。当初はそこまで強力なものではなかったが、イシュタルの影響を受けてからは大きく強化された。

  • バズディロット・コーデリオン
真アーチャーのマスター。政府に雇われた魔術師の一人。
多くの魔術師を擁するマフィア・スクラディオファミリーの忠実な幹部。「機械に殺意だけが宿っている」と称されるほどの目をした危険人物。
魔術・体術ともに桁外れの戦闘能力を有しており、さらにアトラム・ガリアスタ*4の魔術鉱石技術を盗用・改良して作った「電池」で膨大な魔力を蓄えている。
令呪3画と聖杯の『泥』で、真アーチャーにアヴェンジャーのクラスを付加した。
主であるスクラディオからピアノの腕を褒められており、作中でも冷凍室の中でその腕前を披露していた。

  • ドリス・ルセンドラ
真ライダーのマスター。
強化系魔術の極北とも言われる家系の末裔で、すでに絶滅したとされる『鬼』を目指して幾多の魔の存在を喰らって血肉にしながら血を強くしてきた。
戦闘時には肉体を鬼へと変質させ、圧倒的な速度と物理破壊力を誇る。しかも戦えば戦うほど周囲を自身に有利なフィールドへと変化させるというおまけ付き。
しかし、最強とも謳われた先代当主が日本で本物の鬼と出会って惨殺されてしまい一気に没落。
フランチェスカに声をかけられ、高位の魔である英霊との出会いで良い影響があることを期待して聖杯戦争に参加する。

だが、素性の異なる複数人の真ライダーのマスターが姿を見せ始めるという不可解な事態になり…
+ 以下、7巻エンディングのネタバレに付き注意!
その正体は師匠に代わって同門のフラットを連れ戻すため、ドリスを叩きのめしてマスター権を勝ち取ったエルメロイ教室学生&卒業生一同30名という斜め上のもの。ちなみに遠坂凛とのタイマンに敗れたドリスもマスターの末席として陣営に取り込まれている。
メンバーは凛の他、スヴィン・グラシュエートやカウレス・フォルヴェッジルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト等多彩な天才たちの連合チームであり、魔術を介して全員で令呪を共有している(裏切り癖のある約1名と実質捕虜のドリスを除く)。偽物に過ぎない聖杯に興味はなく、特に凛は「聖杯戦争の解体」を目的に掲げている。
また一同は揃って「冬木市の魔術師沙条綾香」と面識があり、8巻でアヤカと邂逅した際、今ルーマニアにいる綾香そっくりなのに匂いから別人な謎の彼女の素性を訝しむ事に。

ちなみに、ドリスがマスター権を奪われたのは真ライダーの召喚直後なので、単独マスターであった期間はほぼ無い。

サーヴァント

  • セイバー(Fake/states night版)
欠番。主人公がこれに該当する。

CV:小野友樹
荘厳な装束を身に纏った、ところどころ赤毛の混じった金髪の若い男。
約束や職務など騎士道を気に掛けるが、天然かつポジティブで現代の音楽や娯楽について興味津々。
諸事情によりマスターになってしまったアヤカに「黙って助けられてろ」という極度のおせっかい焼き。
召喚前後の騒動で召喚場所のオペラハウスが半壊し、それの弁償をするとテレビカメラの前で宣言。そのまま警察におとなしく逮捕されるなど突飛な行動をとる(本人的には騎士道に従っているだけだが)。
『神速』スキルによって異様な速さを持つ足自慢。

+ 真名
真名は 獅子心王リチャード1世
十字軍として中東遠征に赴いたり、自分の留守中に好き勝手やった弟を成敗したりした勇猛な王。
十字軍遠征の際に、戦場に現れた魔物(死徒)に対して好敵手のサラディーン、当時のハサン・サッバーハと一時共同戦線を張ったという。
その武勇は敵側であった中東勢力から恐れられ、次代以降のハサンにも語り継がれている。
アーサー王大好き勢の一人だが、その中でも多分ダントツでアーサー王への憧れが強い。基本的にアーサー王の事は全肯定。
また7巻では過去にやらかした惨事と思しき光景をアヤカが幻視しており、ゆえに8巻で
アヤカは良くも悪くも躊躇と後悔をせず突き進む彼の行動に対し、マスターとして責任を負い、彼を「濁らせない」覚悟を決めている。

宝具は二つあり、一つは永久に遠き勝利の剣(エクスカリバー)
手にしたものすべてを疑似エクスカリバーにする能力で、木の枝すらエクスカリバーと化す*5
ただし、どんなことがあってもオリジナルのエクスカリバーにその威力が届くことは無い。

もう一つは円き十字に獅子を奏でよ(ラウンズ・オブ・レオンハート)
生前縁があった者たちに呼び掛け、それに同意した魂を同行させる能力。魔力消費の関係から流石に現界させることはできないが、それぞれのスキルや魔術で手助けしてもらえる。
4巻現在で同行が確認できているのは、弓の名手 ロクスレイ 、リチャードの死因となった弓兵 ピエール 、生前の部下である ウィリアム の3人。他にも4人(?)の魂を同行させている模様。

なお開催者はアルトリアを呼び出したかったが、触媒の手違いからか実際に召喚されたのは彼だった。

CV:関智一
Fateシリーズ恒例の金ぴか我様アーチャー。
当初はやる気がなく若返りの薬を使って片手間に済ませるつもりだったが、無二の友であるランサーが召喚された事を察知した途端、かつてないノリを見せた。
どれぐらいやる気なのかと言うと、無二の親友との初戦でいきなり最強宝具を全力ブッパする程である。
自身を召喚した魔術師には心底うんざりした様子で接していたが、ティーネに対してはその臣下の礼と彼女がまだ子供であることから割と優しく接している。
やる気が出て必要ではなくなったからとはいえ、若返りの秘薬をティーネにぽいと下賜する辺り、子供に優しいのはそれがマスターでも変わらない様子。
セイバーと同じく現代生活をエンジョイしており、カジノで大勝して車を手に入れたり、ホテルの内装を金ぴかで統一するなど、相変わらずのやりたい放題。

+ 真名
(今更隠す必要も無いが)真名は 英雄王ギルガメッシュ 。あらゆる英雄譚は彼を元に派生したと言われている。
前述の通り、生前の友であるエルキドゥが召喚されているため、かつてないほどのやる気を出している。

詳細は個別項目にて。

CV:堀内賢雄
紳士的で性格の軽い、正体不明の英霊。「どんなものにでもなれる」能力を持つ。
実体を持たず、何かの姿になっていないときはフラットの脳内に響く声としてしか存在しない。
クラスはバーサーカーなのだが、彼自身が狂気の象徴という存在であり、元々持っている狂気とクラススキルの狂化がかち合って、逆に理性が付与されている。

マスターのフラットに何かと振り回されており、基本的にツッコミ役。
当初は実体の無いままフラットに同行しようとしたが、フラットの提案によって腕時計の姿となり、フラットの左腕に収まっている。

+ 真名
真名は不明だが、歴史上の通称は切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)
切り裂きジャックに纏わる様々な『狂気の伝説』が形を持っただけであり、かつて犯行を行っていた切り裂きジャック本人ではなく、そもそも人ですらない。
「どんなものにでもなれる」のは「誰も正体を知らない」の逆説であり、バーサーカー本人ですら『切り裂きジャック』の素性は分からない。
変身レパートリーは『切り裂きジャックの犯人とされた対象』だが、因果を繋ぐことさえできればサーヴァントにも神にも化ける事が出来る。
聖杯にかける望みは「切り裂きジャックの正体を知ること」。

一つ目の宝具は悪霧は倫敦の暁と共に滅び逝きて(フロム・ヘル)
人が思い描く悪魔の姿と化す、対人特攻宝具。
周囲に居る人の数に応じてその強さは変化し、街中ならば武闘派サーヴァント並みの強さとなる。

二つ目の宝具は其は惨劇の終焉に値せず(ナチュラルボーンキラーズ)
マスターの魔力量に応じた数の分身を作る。
変身やもう一つの宝具と組み合わせて、同じ姿を持つ無数のバーサーカーを生み出すことが出来る。

詳細は個別項目にて。

CV:Lynn
ジェスターによって呼び出された、黒ずくめの女アサシン。
ジェスターは『ハサン・サッバーハ』を指定して召喚したが、呼び出されたのは髑髏の面を持たない彼女であった。
召喚直後にジェスターを殺害し、単独行動を取り始める。

聖杯に望む事は無く、逆に聖杯を求める者を殺そうとする。

+ 真名
真名は無い。かつて暗殺教団に在籍していた、無銘の女暗殺者。
実力は確かだがハサンの名を継げず、そのまま歴史に消えていった存在のはずが、何の手違いか彼女が『ハサン・サッバーハ』として召喚されてしまった。

宝具幻想血統(ザバーニーヤ)は生前の彼女が手にした技が宝具化した物で、
彼女が生きた時代より前に存在した十八人のハサンの御業(ザバーニーヤ)の全てを使う事が出来る*6

詳細は個別項目にて。

CV:森久保祥太郎
息をするように大言壮語や嘘を撒き散らす、やたらテンション高い兄ちゃん。
大体の発言が軽口だが、その辺は腐っても英霊。時々極めて重要な情報をマスターに伝えることもある。

能力として、オリジナル以上の能力を持った贋作宝具を生み出す事が可能で、マスターの部下の装備として提供している。
しかし本人はマスターと殴り合って負けるレベルの身体能力しかなく、どこかのホテルの一室で潜伏(という名の豪遊を)している。
聖杯に望む願いは無く、周囲の人物が聖杯を求めることで生まれるドラマを楽しんでいる。

マスターのことを兄弟と呼び、あちらが堅物なこともあり最初は若干軽蔑されていたが、能力の高さを認められてからは特に問題のない関係を結んでいる。

+ 真名
真名は アレクサンドル・デュマ・ペール *7。フランスを代表する作家の一人である。
アンデルセンとは生前からの友人関係、シェイクスピアとは彼のハムレットを観て劇作家を志したという間柄。
また『モンテ・クリスト伯』の著者でもあり、ある意味の生みの親でもある。

贋作宝具を生み出すのは遥か終わらじの食遊綺譚(グラン・ディクショネール・ド・キュイジーヌ)という宝具。
完成された逸話を持たないアイテムにそれらしい逸話を与えて疑似宝具へ改造し、使い込まれるほどその真価を発揮する。
既に完成された逸話を持つ高位のアイテムに対しては、逸話を与えることが出来ないので疑似宝具にはできない。
二つ目の宝具銃士達よ、風車に挑め(マスカレイド・マスケティアーズ)は他者を支援する宝具で、対象の能力を数倍、数十倍にも底上げする。
ただし、一回の発動で対象に出来るのは1人のみ、一度の現界につき回数制限付き、支援対象は『強大な敵に立ち向かう者』でなくてはならない、など制約が多い。



恐らく過去最悪のサーヴァント。定型を持たず、黒くてのっぺりした姿で椿の前に姿を現す。
椿の純粋な願いに応え、現実世界に居る人や動物を彼女の夢の中へと連れ込む。
また、スノーフィールドから外に出ようとしても、ライダーによって街へと戻されてしまう。

+ 真名
真名は(ペイルライダー)。「病気」という概念が形を持ったサーヴァント。
ある時は黒死病、ある時はスペイン風邪とも呼ばれ、風に乗り、水に乗り、鳥に乗り、人に乗り、世界を制覇した『災厄』という名の騎手。
ヨハネ黙示録における病という災厄を擬人化した騎士『ペイルライダー』に由来する。

詳細は個別項目にて。

CV:小林ゆう
生前のアーチャーにとって唯一無二であった親友。まるで人形のように中性的な雰囲気と美貌を持つ青年。
マスターである合成獣の「生きる」という雄叫びに呼応して参上した。
獣の言葉を理解し、高度の「気配察知」スキルで水源やサーヴァントの存在を判別する。実力も出鱈目で、アーチャーと対等に渡り合えるレベル。
あまりにも可愛かったため本家のエイプリルフールネタ『戦車男』にも出演。

+ 真名
真名は エルキドゥ 。生前の、そしてサーヴァントになってからもギルガメッシュが認めた唯一の友。

宝具以外のステータスを『変容』というスキルにより、ある程度自由に変化させることができる。
そのステータス水準も非常に高く、メアリースーギリギリの公式チートサーヴァントの1体。

一つ目の宝具は人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)
自身を兵器と化す宝具で、ギルガメッシュの宝具と同じ名前を持つ宝具。
その威力も、ギルガメッシュの天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)に勝るとも劣らないトンデモ宝具である。

二つ目の宝具は民の叡智(エイジ・オブ・バビロン)
こちらもギルガメッシュが持つ『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』と対になるような宝具であり、エルキドゥが普段から使っている、大地から武器を生み出す能力がそれである。
その本質は歴史の中で人間が生み出した、あらゆる武装をその場で大量生産するというもの。
人間の歴史が積み重なるほど生産できる武装の種類も増え、この時代に呼び出されたエルキドゥならおよそ半世紀前までの武装を生み出せる。
それらの武装にはエルキドゥの魔力が乗るため、下手な相手なら軽く消し飛ばしてしまう。


詳細は個別項目にて。

身長2メートル越えの細見の弓兵だが、体全体に柄付きの長布を覆いかぶせており、素顔はうかがえない。
弓一つでアーチャーと交戦して、雷撃の自動防御を突破し、王の財宝の数千丁の全力発射を防ぎ切った超技量の持ち主。

本来は高潔な大英雄なのだが、マスターであるコーデリオンの魔術と聖杯の泥、令呪三画の重ね掛けにより暗黒面が押し出されオルタ化し、半ばアヴェンジャー化している。
そのため敵対勢力とはいえ本来ならやらないような幼子(ティーネ)狙いの攻撃もしている。

+ 真名
真名は アルケイデス 。かの大英雄が幼い時に名乗っていた名前である。
当初は本来の姿、名前で呼び出されたが、オルタ化に伴い細身となり、名前もアルケイデスと改めている。
オルタ化の際に自身の持つ高い神性を削ぎ落しており、神というものを非常に嫌うようになった。
また、本来の自分の名を世界から抹消しようとしており、これは本来の名前が神の名に由来する事、一般的にその名前が神と同等に扱われているためである。

生前に成し遂げた十二の偉業が宝具と化した十二の栄光(キングス・オーダー)は、偉業の中で手にした物を使用できる宝具。
ネメアの獅子の皮 』はギルガメッシュの『王の財宝』による武器斉射を防ぎ、『 軍神の戦帯 』は真アーチャーの武具にその力を与えている。
他にも偉業由来の、様々なアイテムを持つ。

また、彼の持つ武術が宝具と化した第二宝具射殺す百頭(ナインライブス)、そして本来ならば使用できない第三宝具も存在する。

詳細は個別項目にて。

  • 真ライダー
黒い馬に騎乗している10代後半の少女。真アーチャーの持っている布と全く同じ宝具を所有している。
真アーチャーとは生前からの因縁があり、さらにオルタ化した真アーチャーの行いに義憤、かなわないと知りつつも戦いを挑む。

自ら真名を名乗るなど、まっすぐな性格――悪く言えば直情的な性格をしている。

+ 真名
真名は ヒッポリュテ 。ギリシャ神話における、アマゾネスの女王である。
生前は真アーチャーの試練に手を貸すも、女神ヘラの策略により
真アーチャーによって殺され、持っていた戦帯を奪われる。

宝具は真アーチャーも持っている戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)
同じ宝具を持つサーヴァントが同時に限界する稀有な例である。
彼女と真アーチャーとでは軍帯の使い方に差があり、真アーチャーは武具に対して帯の力を与えているのに対し、
彼女の場合は自身の体に帯の力を纏わせてステータスを底上げしている。

なお、『Grand Order』に登場する『ペンテシレイア』とは姉妹である。(『FGO』ネタバレにつき 注意 )

ファルデウスが召喚したサーヴァント。
召喚直後に行った「人を殺めるに足るだけの信念を持っているか」という問いにファルデウスが答えたことで彼に従う。
真名はハサン・サッバーハで、過去に存在した十九人のハサンの一人……のハズ。

気配遮断EXによって世界と一体化し、攻撃に転じても気配遮断A+というハサン界にあらわれたチート新星。
スキル『影灯篭』は影から魔力を得ることで霊体なら魔力供給が不要となり、さらにマスターにすらステータスを隠蔽してしまう、隠密系スキルでも屈指のチートスキル。

  • 真キャスター
フランチェスカに呼び出された、彼女そっくりの少年の姿をしたサーヴァント。土地そのものを騙すほどの強力な幻術を使用する。
フランチェスカと共に聖杯戦争を観戦しており、直接戦いには参加しないが、幻術を使ってちょくちょく手を出している。

+ 真名
真名は フランソワ・プレラーティ 。『フランソワ』はフランス語における『フランチェスカ』の男性形であり、事実上の同一人物である。
フランチェスカ本人を触媒に、フランソワ本人が呼び出された。
「最初に死んだ時点」をベースに英霊化しており、現在のフランチェスカよりも知識がやや少ない。

一つ目の宝具は螺湮城は存在せず、故に世の狂気に果ては無し(グランド・イリュージョン)
非常に強力な幻術で、規模やクオリティだけなら固有結界レベルだが、固有結界のように直接的な効果があるわけではない。

二つ目の宝具は螺湮城異本(プレラーティズ・スペルブック)
ジルの持つそれであり、現在はプレラーティの手元にないので使用することが出来ない。
実際に使用できる場合はEXランクの対理宝具となるらしく、ジル使用時とは比べ物にならないであろうことは想像に難くない。

  • 真バーサーカー
ハルリに召喚された、機械人形やゴーレムの様な姿をした異形のサーヴァント。
背負った虹色の光輪で攻撃し、その咆哮はアーチャーにすら恐怖を感じさせる。
使われた触媒や獅子のような姿はとある英霊を思わせるが、明らかにそれとはかけ離れた存在である。

+ 真名
真名はフワワ
かつてギルガメッシュとエルキドゥがその首を刎ねた、レバノン杉の森の番人。獅子のような顔という特徴は彼女にも通ずる。
その身に纏う7つのメラム*8は呼び出された当代のそれにアップデートされ、そのうちの一つにより電気をエネルギーとすることが出来る。

  • 番人(ウォッチャー)
シグマに召喚されたエクストラクラスのサーヴァント。本来は置き換わることのない(真)ランサーの枠と置き換わって召喚された。ただし、当人は召喚されたのではなく脱獄囚と語っている。
現れる度に片足の船長、絡繰り仕掛けの翼を持つ少年、蛇が絡んだ杖の使い手等が代わる代わる現れ、彼らはウォッチャーの「影法師」とされる。コミカライズ版では真の姿と思わしき姿が判明しており、刀剣を咥えた巨大な白いクジラの姿で表されている。
戦闘力を持たない代わりに聖杯戦争を「監視」する力を持ち、ここから得た情報でシグマは状況に応じた最適解を考えて行動している。
また6巻末で記された紹介では部分部分が黒塗りながら6つの所持スキル(内一つは完全に黒塗り)が判明している。
本来はゲートキーパーで召喚される英霊で、作者曰く、シールダーの予定だったとか。
真名は■■■・■■■■、あるいは■■■■■■■となっている。データや影法師の発言によるとマスターに「(達成が不可能に近い)試練」を与える存在らしいが…。


【その他の人物】

CV:浪川大輔
時計塔の講師で、フラットの師匠。「時計塔で抱かれたい男ナンバーワン」「グレートビッグベン☆ロンドンスター」等の異名を持つ。
彼の下に届いたとある小包が、フラットを聖杯戦争へ参加させるに至った*9
ちなみに、彼自身も過去にからサーヴァント召喚の触媒を無断で拝借している事を考えると、因果は廻ると言った所か。
本作は何かと胃が痛むような事態に見舞われる(だいたいフラットのせい)。

Zero』で相棒だったライダーの影響で趣味となったTVゲームを未だに続けている。
『氷室の天地』に登場した、アカウント名『ロンドン☆スター』ではないかと言われていたが、本作では「勝手にアカウント名をそれに登録された」ことが明かされており、同一人物とされている。

  • ロッコ・ベルフェバン
他の作品でも名前が出ている時計塔の講師。典型的な現代技術に詳しくない魔術師。
一度はフラットを受け持ったが、結局はエルメロイⅡ世に押し付けてしまった。
降霊科のお偉いさん方が出払っているため、同科で代理のロードを務めているが代理なので肩身が狭く、同じく肩身の狭いエルメロイⅡ世に同情的。

  • ランガル
CV:咲野俊介
魔術協会の人形師。常に姿を現さずに人形を介してコミュニケーションをとる。
普段は人形の動作をカムフラージュするために、老人型人形を用いて各種人形を使役している。

魔術協会の指示による偽の聖杯戦争の下調べ中に、弟子だと思っていたファルデウスに偵察用人形を破壊され、それ以降はスパイへの警戒を強め既存の人形を使わず、急ごしらえのカカシじみた人形で助手を従えて活動する。

  • 繰丘夫妻
椿の両親。
典型的な魔術師であるため、椿のことも愛娘ではなく血をつなぐものとしてしか見ていない。
触媒を用意し聖杯戦争に参加する予定だったが、ライダーによって精神を夢の世界へ引きずり込まれ、
現実では人形のように家に閉じこもって過ごしている。

  • ヴェラ・レヴィット
オーランド所長の秘書や補佐役を務めるクラン・カラティンの一人。
魔術師の家系に生まれ、素養が無い姉に変わって魔術の知識を受け継いでいる。
そんな姉はスノーフィールドの病院にて働いており、偶然にも椿の担当医だったため、警察組はライダー陣営の真相を知る事となる。

  • ジョン・ウィンガード
クラン・カラティンの一人。
ジェスターによって宝具と右手を食べられてしまうが、キャスターにギミックの仕込まれた義手を与えられ戦線復帰する。
幼い頃に母を亡くした事件をきっかけに警察を志したが、そんな彼の過去にはある意外な人物が関わっていた。

  • ハンザ・セルバンテス
聖堂教会の代行者であり、この聖杯戦争の監督役として派遣された。
監督役としてどこの陣営にも肩入れしないことを誓っているが、マスターの一人である死徒ジェスターは滅ぼそうとしている。
型月作品ではよくある「山育ち」であり、その例に洩れず彼自身も凄まじい戦闘能力を有している。
山育ちで培われた身体能力に加え、武闘派のデルミオ神父に鍛えられた体術により高い格闘能力を持ち、さらに体の七割を聖別済み義体へ交換したサイボーグ神父でもあり、明らかに人間を止めた挙動やギミックが多数仕込まれている。
が、それでも埋葬機関には遠く及ばないとのこと。

一方でやや子供っぽい所があり、同じく子供っぽいフラットとは代行者と魔術師という立場を超えて意気投合していた。
代行者の例に漏れず辛い物好きであり、ジョロキア*10をパクパクとつまんでいる。

椿の夢の世界に現れた謎の存在。
繰丘夫妻が用意した触媒に宿っていた何者かであり、シグマに椿を託す。

「プレイヤー」アヤカをスノーフィールドへと差し向けた張本人である「白い女」。アインツベルンのホムンクルスだが、現在は家と決別してでも何かを成そうとしている。
しかし、スノーフィールドに入ってからイシュタルの残滓に憑依され、意識も体も乗っ取られてしまう。
イシュタルと化してからはハルリに大きな影響を与え続けながら好き放題やらかしており、聖杯戦争どころではない地球規模の危機を引き起こす。

  • ティア
マスターでもサーヴァントでもない新たなる霊長。
本作のサーヴァントの中でも最上位に部類されるランサーとも互角に、あるいはそれ以上にやりあえてしまう超危険存在。

  • 獅子劫界離
『Apocrypha』に登場したマスターの一人で、本作には名前のみの登場。オーランド・リーヴに依頼されある物を届ける。
「噂通りの仕事の速さ」「出来れば身内のマスターに引き入れたかった程」と賞賛されるあたり、こっちの世界でも優秀な魔術師のようだ。
かつてバズディロットを出し抜いたことがあるらしい。

CV:沢木郁也
死徒二十七祖第三位にして、5人の魔法使いのうちの一人。
此度の聖杯戦争にきな臭いものを感じ取り介入するが「表立った行動は馬鹿を喜ばせるだけ」ということで裏方役。
その馬鹿とはおそらくはプレラーティのことだろう。

CV:岸尾だいすけ
死徒二十七祖第二十七位のケータイさん。
二十七祖のお笑い担当と言われるが、今回はキシュア翁と共に真面目なお仕事タイム。
プレラーティが言及する大迷宮とは彼のものと思われる。

  • ヴァン=フェム
死徒二十七祖第十四位の財界の魔王。普通の死徒とは違い、人間社会に馴染んでいる。最近の趣味はエコ活動。
モナコが拠点なので同国が出身のフラットとは以前からの知り合いで、電話番号も交換している。
エスカルドス家の先祖とも知り合いで、その結実を感じ取っていた。

生前にセイバーが出会った不思議な人物。本人曰く「貴族で詐欺師」
スチームパンク風の衣装に身を包み、これまたスチームパンク風の車に乗ってセイバーの前に現れた。
セイバーが生きた時代から数百年後の人物であるプレラーティにも言及されており、またセイバーよりも前の時代の人物であるアレキサンダーに会ったことがあるとも語っている。


舞台:スノーフィールド

アメリカ大陸西部の架空の都市。ラスベガスからやや北の位置に存在する。現在の人口は約80万人。
都市を中心に、北には広大な渓谷、西には森、東には湖沼地帯、南には砂漠地帯が広がり異様なバランスをとっている。
記録によれば20世紀初頭までは先住民族が住むだけの土地であったが、70年ほど前から急激な発展を遂げ、都市の姿をとった。
その影には政府やスクラディオファミリーによる介入があったとされている。


余談

一部の設定は奈須きのこが監修し、特にエルキドゥとアサシンについてはきのこが詳しい設定の説明をしたらしい。
文庫版のあとがきでは成田氏を武内崇氏と共に奈須氏が呼び出したところ、「怒られると思っていたのに続き書いていいんですね! ヤッター!」という喜びと共に、
「とりあえず5巻分くらいのプロットあるんですけど」とどこかのZero作家のようにドサっとプロットを渡され、武内氏と共にドン引きしたというエピソードが明かされている。
ちなみにFateシリーズや型月作品のファンならニヤリとできる描写もあるので、興味がある人は本作を読んでみてほしい。

……そして今作だが、Fateシリーズの中でも特に戦闘力のインフレが凄まじい作品となっている。
作品発表の時点からして、本家チートのギルガメッシュにそれと対等のエルキドゥ、過去最悪のライダーであるペイルライダー、ZEROアサシン以外の全てのアサシンの宝具を使えるハサン候補など、
ぶっ飛んだレベルの鯖が多かったのだが……

いざ蓋を開けてみると、実際にとんでもない様相だった。

まず1巻の時点で、ギルガメッシュとエルキドゥが本気で互角のタイマンを開幕初戦*11で行い周囲の砂漠を半径云kmに渡りガラス化させるという暴挙をやらかし、それだけでも読者の度肝が抜かれてしまったのだが……
次いでの2巻では、(英霊ですらない) 変態死徒 vsYAMASODACHIで八極拳を使うサイボーグ代行者という大激戦が勃発。
更には気配遮断EX持ちの真アサシン、ギルガメッシュの王の財宝を無傷で凌ぎ切り「弱い。エアを出してこい、それで対等だ」と信じられない挑発をぶちかました真アーチャー*12その真アーチャーを軽々と殴り飛ばす別サーヴァントが出現するという事態が起きてしてしまった。
この上でまだ姿を見せてなかったり宝具を見せてないサーヴァント達もいるので、なお勢いは加速しそうであるのが恐ろしいところ。
3巻では英霊以上の力を持つ『何か』がホムンクルスを器として召喚されるなどインフレが更に加速している。作者曰く「チートvsチート」。

一応成田本人もあんまりやりすぎると「ぼくのかんがえたさいきょうのサーヴァント(=メアリー・スー)」と揶揄されると思っていたようだが、
原作者である奈須きのこに「インフレだのはこっち(本編)がなんとかするから、そういうのにビビって縮こまったものを書くのは止めるんだボーイ!」等と発破をかけられたり、
エルキドゥなどのステータスを決める相談できのこ当人から「オールAで」などのインフレ気味な回答をされたりしたことで、現在のようなイレギュラーだらけの様相を呈しているらしい。
インフレし過ぎてメアリー・スーから遠ざかるとはこれ如何に。

また、適当にインフレしているわけではなく、真アーチャーが最強のサーヴァントたるギルガメッシュとやりあえる理由などはきちんと考えられており、それを知れば読者も納得してもらえるんじゃないかなと語っている。
そして、そんな真アーチャーやペイルライダーにしても五次のあるサーヴァントと戦うと相性で全く歯が立たずに敗れる可能性があるらしく、帳尻もちゃんと考えているらしい。
(※ちなみに本作に限らず、FateシリーズひいてはTYPE-MOON作品全般には相性によって勝負が左右されるパターンが多々ある)

なお、本作を執筆するにあたって作者の成田氏が一番恐れているのが『FGO』である。
関係者とはいえFGOに追加されるシナリオやサーヴァントについては知らされていない様で、ネタ被りしないかとビクビクしている。(流石にアスクレピオスに関しては連絡が行き届いていたようだが)
そうは言いつつも、FGOとは連動している部分も少なからず存在する。執筆中にサーヴァントに関する歴史的発見があれば、小説に取り入れたり、作者が幕間の物語を執筆する際にstrangeFakeに対応する伏線を仕込んだりする事も。


追記、修正よろしく。

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最終更新:2024年03月23日 23:41

*1 『けがし』の部分には様々な字が当てられている

*2 絶対的な相性として「死徒(怪物)>人間>英雄>死徒」という構図が存在している。

*3 とある宗教における最高神の名前の一部であり、ある発明家がその名を冠する電球を作った

*4 第五次聖杯戦争でキャスターを召喚した人物

*5 アーサー王を好きすぎて手に持てるものは日用品にすら「エクスカリバー」と名づけた逸話から

*6 ただしその効果は同一ではなく、オリジナルより劣化しているモノもあれば、逆にオリジナルより強力なモノもある

*7 同じ名前を持つ息子は「アレクサンドル・デュマ・フィス」と呼ばれ、「椿姫」を執筆したことで有名

*8 人間の畏れ、人類の脅威となる災厄

*9 エルメロイⅡ世としては全くその気は無かったので半ば事故のようなものである

*10 指折りに辛い唐辛子

*11 此度の聖杯戦争における、サーヴァント同士の第1戦目

*12 上述したとおりギルガメッシュは今回の聖杯戦争に関しては相当乗り気であるため、エルキドゥ以外相手でも割と本気であるにも関わらず