七夜黄理

登録日:2010/01/17 Sun 00:58:19
更新日:2024/04/16 Tue 18:26:38
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ななや きり

TYPE-MOON製作の同人ゲーム『歌月十夜』の登場人物・夢十夜四話『赤い鬼神』の主人公。
通称「黄理ぱぱ」「黄理さん」

概要

月姫シリーズの主人公、遠野志貴の実の父。歌月十夜・MELTY BLOODシリーズから登場する七夜志貴の父親ということにもなる。
退魔組織において混血を退治する役目を持ち、当時の暗殺の頂点とされた七夜一族の、最後の当主。
一族の者には御館様と呼ばれていた。

『暗殺』その仕事に何の意味も見出ださず、欲も持たない純粋な暗殺者。
幼い頃から『いかに上手く殺すか』という命題に傾倒し、研鑽と鍛錬を重ねていた。その在り方から七夜の当主に最も相応しいとされ、当主の座には気が付いたら奉り上げられていたというもの。
歴代に伝わる既成の技術を進化させ仕事をし、培った技術は、黄理の代で七夜の名を破格にする。
組織にも歴代最高傑作とされ、混血には鬼神と謳われ恐れられた。
弛まぬ訓練故にモノを殺す能力は非常に高い。
反転した混血・斎木の暗殺を請け負った際には三十人ばかりの混血が守る屋敷から、護衛を全滅させ、目的の斎木をも圧倒的暗殺手腕で殺害し、怪我もなく帰還している。

同じ夜、幼い軋間紅摩に出会う。後に脅威になると直感して右目を潰すも、殺さなかった。
また、斎木の側にいた遠野槙久と思われる混血の青年が、黄理を恐ろしがり発狂して騒いだので、うるさいと胸を穿っている。

後に七夜殲滅を狙い里を襲ってきた遠野槙久の私兵を一人でほぼ壊滅に追いやったが、黄理を殺すためだけに槙久に育てられていた紅摩と再会・交戦。
最初は勝負にならないほど圧倒されたが、暗殺者として百戦錬磨の黄理は紅摩が殺し方を知りもしない、生まれ持ったものが鬼なだけのド素人だと看破、一転して勝機を見出す。
だがやはり人間だった黄理は鬼である紅摩の身体の堅さに適わず、僅差で敗れる。
公式には最初に幼い紅摩を殺さなかった理由、黄理のあり方が、黄理唯一の敗因とされている。

最後の攻撃で、獣だった紅摩に人としての心、生の実感を刻みつけた。この攻撃が確実に入っていたら死んでいたのは紅摩の方であった。
遠野志貴は紅摩を死の象徴としているが、志貴の胸を穿ち臨死体験を与え母を殺したのは紅摩ではない。
自身を穿った者よりも、父を殺した者の事実が恐ろしかったのだろうか。


太鼓の枹・すりこぎ・木切れと形容されるような鉄製の棍を愛用し、殴打器でありながら人体を刃物でも使うかのごとく解体。点穴と呼ばれる攻撃手法を用い肉より骨を折る。また武器の一振りで相手の頭を胴にめり込ませるなど、弱い人の身ながら微少の力で確実に相手の命を絶つという類稀な暗殺技巧を持つ。

空間を立体的に使う体術を用い、その様はさながら巣を張った蜘蛛と形容された。蜘蛛のように隙間を縫い、どこから現れるかわからない脚捌きと獣並のスピードで翻弄した。
殺しに最適な場所を作り出すことに長け、屋内などは大変得意となる殺害現場だったようで、膝くらいの高さの応接机の下で獲物を解体した事もある。
隠行に関しては式神かと見間違うレベルで、殺された者が絶命するまで己が殺されたことに気が付かない程であった。

彼の技巧は奇怪で鮮やかで、人目を惹きつける。息子の志貴や、混血にすら華麗と思わせた。
『七夜黄理故に到達できる地点』という表現すらある。


人の思念を霞のように見る、在りえざるモノを見る眼『浄眼』を持つが、友人・時南宗玄には役に立たないものと語っていたようだ。赤や青といった、人にはあり得ない色で人以外の者の存在を教える他に、波形状に揺れる思念の動きから感情も知ることが出来た。
そのためか、生まれた時から人の思念と口の違いを思い知らされたので、自然と無口になる。口をひらく必要を感じていなかった。
(当時獣であり、同じく人語を理解しようとしなかった軋間紅摩と対比が成されている)
この浄眼は、能力は違えど遠野志貴にも遺伝され、遠野のものは後に直死の魔眼へと発展する。
(紅摩との戦いの最中、黄理は己の考えの中で直死の魔眼の事らしき示唆をしているが、それが後に遠野志貴に宿る能力だとまでは連想していない)


生涯を暗殺者として生きていく事を疑わなかったが、黄理の跡継ぎを渇望する一族の為だけに産んだ子・志貴の誕生で憑き物が落ち、殺しから引退。
退魔組織とも縁を切った。

自身が以前暮らしていた七夜の持つ森に一族ごと隠れ住み、時折、刀崎家など懇意の縁から来る護衛の仕事を、黄理は「生かすのは難しい」と難儀に思いながらもこなした。穏やかさに慣れる様に、静かに朽ちていくような生活を送る。

志貴には体術の基本だけを教え、自分で自分の身を守れるようになるまで日中に連れ出したりはしなかった。
しかし志貴は黄理の体術を真似たりするなど、七夜として充分な素質を兼ね備ていたらしい。幼いながら、この森で七夜一族と共に滅ぶことすら理解しており、それで黄理は志貴に恐怖を覚える。息子はあまりにも父に似すぎていた。
黄理は志貴に同じ道を歩ませたくはなく、自分の後続になるような事は望んでいなかったのである。
ただし、確かに志貴に愛はあったが、過剰な親の愛(いわゆる親バカ)という物とは遙かに遠く、それを理解しなかった男である。
息子が出来人らしい心を手に入れたものの、死に際は黄理らしく志貴の事を思う描写はなかった。


七夜の森は、殲滅後遠野の管理物となっている。
後に軋間紅摩が次代遠野当主・秋葉より、七夜殲滅の謝礼を受け取っていることが明らかになり、どこかの山里・森に移り住んでいるとされている。
この謝礼の存在から現在、森は軋間紅摩の所在地になっている可能性がある。


歌月十夜の彼が登場する短編「赤い鬼神」ではイベントCGが登場しない。
さらに第4回人気投票では何故か絵どころかコマンド表すら載っていない(四条つかさすらあるのに)

MELTY BLOODシリーズでは紅摩や志貴の台詞内で黄理が語られることがあるが、絵は未登場なため姿を見ることは出来ない。
月姫読本に設定ラフ画が二枚載っている。当初、原画家・武内崇が描いた一枚の黄理に対して、原作者・奈須きのこの賛同が得られなかったことから、もう一枚描き下ろされた。
イメージは片方はアヴェンジャー。もう片方は成長した七夜志貴。
アヴェンジャータイプが着ていた衣装はアーチャーに引き継がれたらしい。また、佐々木少年による月姫のコミカライズ「真月譚・月姫」6巻の描き下ろしにおいて少しだけ登場した。


余談だが、七夜の一族は近親婚で、七夜以外の血との交配を行わない。(近親婚と近親相姦は言葉が全然違うので意味を混同しないよう注意)
黄理には兄と妹がいたが、この妹が病弱、志貴の母が病弱と似かよっているため、黄理の妻は黄理の妹なのではないかとの説もあるのだが、ゲーム中、黄理の結婚以前に兄にも妹にも子供がいたことが説明されている。
それにより黄理の語りから、兄や妹の子が当主を継げばよいという考えがうかがえ、わざわざ妹と子作りをする必要はなかったと思われる。
さらに黄理が妻と思われる側近と話しているときの口調から、この妻と妹が同一人物とは考えにくい。
黄理は兄と妹とも特に諍いはもっておらず、ある程度信頼もあったようだ。閉じられがちの隠された一族であるからか、家族仲は良かった方らしい。

退魔家業引退の際も、動揺や反発は見られたが特に離反者もなかったようだ。



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最終更新:2024年04月16日 18:26