魔術(TYPE-MOON)

登録日:2013/04/22 (月) 03:01:12
更新日:2023/11/21 Tue 14:58:16
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○魔術の概要

魔力を使って何らかの事象を引き起こす技術の総称。
行使にあたっては、基本的に「魔力」、「魔術回路」、「魔術基盤」、「詠唱」が必要となる。

魔力は、魔術の原動力となるもので、生命力から変換される。
自然の魔力「マナ」、自分の魔力「オド」に分けられ、当然ながらマナの方が圧倒的に多い。量以外に違いはさして無い。

魔術回路は、生命力を魔力に変換し、魔術基盤へ魔力と指令を送るもの。
人体には擬似神経として備わり、量が多い程一度に扱える魔力も増えるが、全く持たず従って魔術も使えない人間も居る。
枝分かれする線の様に図解されるが、実際は点とそれを結んでは切れる線から成り立つ。
初期は魔術回路を使っていても見た目には分からなかったのだが、アニメ化の影響で使用中は光る様になった。

魔術基盤は、コンピュータでいうところのプログラムの集合体。ここにあるプログラムへ魔力と指令を送ることで魔術を行使する。
宗教や学問の形を取り、現地での定着度で魔術の効果にも影響が出る。
特定の地域では大規模かつ超威力の魔術を扱える土着宗教の魔術も、一歩その土地を出ればクソの役にも立たないまじないに成り下がる、なんてケースも。
聖堂教会の洗礼詠唱というこの宗教独自の魔術(と当人らは思想から認めないが)が猛威を振るうのも、広範囲でこの宗教が信仰されているから。
但し魔術基盤を使用しない魔術も存在する。どこぞの天才児などは逐一プログラムを作って即席魔術を行使している。

詠唱は、魔術を行使する合図。主に

  • 魔力を通すだけで魔術を起動させる一工程(シングルアクション)
  • 一つの事柄を自身の中で固定化する一小節
  • 十以上の小節を以って簡易的な儀式と為す瞬間契約(テンカウント)

で分けられる。
長々と地面に大規模な術式を描く儀式をやれば、一端の魔術師なら強力な魔術を扱える。

瞬間契約ともなるとAランク魔術に該当。その威力は家屋を数軒は跡形もなく消し飛ばす。
しかし「竜種」はその程度の魔術や物理攻撃には涼しい顔で耐える、というか無傷。マジやばい。

瞬間契約ではなく、長い時間をかけて準備した大規模な儀式でも行えば対魔力Aに相当するサーヴァント等にも効きはするが、大規模かつ強力な魔術ともなると戦闘中に用意する暇なぞ無いのは勿論、魔術の心得のある者にはその分感知され易くもなり、見えてる地雷状態になる。
個人の戦闘にまで発展した際に実戦に耐え得るのは精々このAランク。

詠唱を簡略にする方法として、「魔術刻印」や「限定礼装」が存在する。どちらも魔力を通すだけで特定の魔術が発動する。
詠唱せず魔術を行使する例もあるが、正規の手順ではなく、術者の暴走と形容してよい。
生きた聖杯の場合は、魔力に「願いを叶える」魔術特性が備わっている為、魔力を放つだけで形になる。

自然に干渉するにはマナを大量に利用する必要があり、大規模な儀式等、準備が要る。
が、逆に言えば、膨大なマナとやり方の過程さえ頭の中にあれば、へっぽこ魔術師でも湖を動かして地形を滅茶苦茶するくらいは訳は無い。
要はその効率が肝。
これは、魔術と言えど過程や理論が分からなければ実現出来ないものは出来ない点は、科学と一緒であることを意味する。

ただし、現代は科学が発展した影響もあり、場合によっては魔術より科学の方が遥かに安上がりで手っ取り早いことも多い。
栄養ドリンクやホッカイロを魔術で再現すると無駄に高額になったり、魔術で遠距離の人間を呪殺するよりは銃火器でもぶっ放した方がマシ、と言った具合。

かつては月の位置関係や星の巡りもあって真エーテルやマナの濃度は非常に濃く、文明が未成熟で神秘の力は現代より遥かに濃かった。
ギルガメッシュの夢見によれば、紀元前4000年になるまでは物理法則すら存在せず、現在とは全く異なる世界だという。
余りにも濃度の違う真エーテルは解放するだけで強力な宝具として機能し、神秘への適応力が高い西暦5百年程度の古代人でも、肉体が耐えられずに破裂してしまう。
そうした環境のため、かつては魔術師(魔法使い)が軽々強力な魔術を振るい無双していた。
かつての最高位の魔術師達、例えばマーリンはその時代全てを見渡す千里眼を持っていたが、神代には過去や未来も全て見通す遥かに強大な魔術師も複数居たという。

が、現在はそれらも大分薄まり、星全体で神秘の力が弱まっている。実際『Fate/EXTRA』ではマナが完全に枯渇しており、大規模な魔術行使は既に不可能になっている。
幻想種最強の竜種や必滅じゃない槍の人の師匠スカサハ、神霊等の強大過ぎる神秘の存在は、
この世の異分子扱いでより神秘の力の強い「根源(の渦)」の属する世界の裏側送り。
肉体を維持出来ず、磁石かダイソンの如く引っ張られて魂がお引越しをしてしまい、現世に留まれない。

例外と言えるのは2つ。
妖精の類の中でも、自力で世界の裏側に渡る力すらなく、ただ消滅を待つのみのもの。
もしくは、ある程度力を保ちつつ現界し続けられる実力を持ち、その力でもって現世に禍を齎そうとたくらむ邪竜の類くらいのもの。
それらですら、中世(西暦千年前後)が存在を維持する限度だろう…とマーリンは見立てていた。
そんな訳で今はどこぞの僻地にへぼい魔獣が少々見つかる程度である。

魔法使いさん曰く
「科学は未来へ、魔術は過去へ向かい、同じ場所を目指している」


○魔術と根源の関係

全ての事象の大元である「根源(の渦)」に辿り着けば、全ての事象の因果関係を体得出来るのでこの世でどんな奇跡も再現出来る。
と考えられて、それを探究方法として最も「根源」に近い術が魔術だと信じる魔術師達に、日夜研究されている。
魔術は科学とは全く別系統の一つの学問でもある。他作品で分かり易く言えば鋼の錬金術師の真理の扉の向こう側と錬金術の関係みたいなもん。
その魔術も細分化され、ルーンやらカバラやら、陰陽道やら仙術等々無数にある。

何で魔術が「根源」に近いか?
「『根源』から事象が発生するまでは川の流れみたいなもので、その到達点である『認識する人間』が増えれば増える程、川支流が細くなって『根源』から遠ざかる…と思う。だから、最もメカニズムが知れ渡ってない『奇跡』だとパンピーが認識する魔術を追及すれば『根源』に一番近い―――んじゃねえかなぁ……多分、きっと、恐らく。」
殆どこんなニュアンス。


○魔術と魔術師

純粋に「根源」を追及する根源厨な研究者、生粋の魔術師達なら、「実は科学の方が根源に近い」とか明示されればすぐさまそっちに飛びつく。リンボーダンスを100年踊れば根源へ到達出来るんなら喜んで100年踊り続けるだろう。

が、魔術行使の可否は先天的素質に左右されることから、選民思想を拗らせた貴族様が多く、有り様が大分変質している。
魔術の研究には膨大な費用がかかるので、実際に高名な魔術師は大金持ちが殆どであることも関係しているのだろう。
「根源」への到達が至上の命題ではあったが、
「目指して到達出来るか、どころか存在するかすら怪しいものを追うより堅実に研究成果残しつつ、貴族として悠々自適に暮らす方がマシ」
と考える層も相当増えた。
それに伴って

「お前呪術とか専攻してんのwwwじゅwじゅwwつwwwwダッセェwwwwwww」

なんて根拠のない差別意識もあったり。西洋基盤の魔術以外認めない傾向が強く、純粋な学者達とも言い難……いや、現実の科学でもある話か?

魔術師達は研究者や貴族としての自負があるので、研究対象じゃなく自分の目的の為に魔術を利用する『魔術使い』を侮蔑している。
貴族思想全開で「魔術の存在が露見さえしなければパンピーなんて実験材料にしても構わんよ」というスタンスの輩が多い「魔術師」も、市民の視点で見れば大差無いクソ野郎に違い無い訳だが。

尚、信仰(想念)の強さと知名度は似て非なるもの。
特に科学が解明され文明のレベルも違っている現代となっては、 下手に知名度が上がる=陳腐化 だから。


「あの人、指から火を出してる。きっと太陽神様の化身だスゲー」⇒信仰(想念)が集いより神秘の力がより強まる

「ぶwwガスバーナー仕込んでんのw?手品乙wwww」
「あの人、火遊びしてドヤ顔とか…ないわー……」
「あーその魔術ね。知ってるよワロスワロス」           ⇒信仰(想念)が弱まり魔術の力も弱まる

といった次第。
つまりは有難味が無くなるか否か、正体や理屈を知られるか否か、という話。
要するに、なんか不思議なものとしてぼんやり知られている分にはいいけど、解析されたりしたらNG。
万一、「魔術を科学的に解明され日常茶飯事の自然現象扱いに」なんてことになったら、魔術師的には目も当てられない。
そういう理由で、魔術協会は必死こいて魔術の存在を秘匿している。

魔術の秘匿の為にも一般社会に溶け込むことは魔術師の責務である。
型月世界で野山で野草採ってたり、薬屋営んでる奴が居たら、魔術師の表の顔だと思って良い。しかし、貴族主義諸々が足を引っ張ってか、どうにも馴染み切れないメカ音痴とかも居る。


○魔術属性・特性

「魔術属性」は、魔術師の得意分野を表すもの。
基本は五大元素(火・地・水・風・空)と、架空元素(虚数・無)の7種類に分類される。木火土金水や黄道12星座なんかでもいいらしい。数すら違ってないか
数の多い火属性持ちは「ノーマル」、希少な風属性持ちは「ノーブル」と呼ばれる。
虚数は「有り得るが物質界に無いもの」。物質界とは異なる場所、虚数空間に干渉できる属性。
無は「有り得ないが物質化するもの」。ぶっちゃけ何なのかワケワカメ。
属性をいくつ持ってるかは人それぞれだが、基本的には1つで稀に2つ持っている者もいるというレベル。
五大元素全てを持った魔術師はアベレージ・ワンと呼ばれる。ここまで来ると最早呪いの領域なんだとか。
自分の属性でない魔術も使えはするが、やはり使い勝手は劣る。火属性の奴はメラゾーマが5秒で出せるが、マヒャドを出すのは30秒かかる、もしくはヒャダルコが限界。とかそんなところ。
起源がそのまま魔術属性になっている例も存在する。自然干渉系の魔術は苦手だが、特定の魔術のみ余人には到達できない領域に辿り着けることもある。

「魔術特性」は、具体的にどの様な魔術になるかを決定する。最も単純なのは「強化」で、魔力で物品や自分を強化する。
他にも魔力などを移し替えられる「転換」、魔力などを奪える「吸収」などがある。極め付けは「万能」なんてのも。


○『Fate/EXTRA』の魔術

この世界では1970年代のある儀式により急激にマナが減少し、1999年にはほぼ枯渇している為、地球上での魔術行使が困難になっている。
元々マナに余り頼っていなかったアトラス院はともかく、マナを使うのが当たり前だった魔術師は変革を迫られ、
禁じ手だった現代科学を取り入れて「霊子ダイブ」を確立した。

霊子ダイブは魔術回路を使って自分の魂をデータ化し、電脳世界に送り出すもの。
通常のハッキングと違ってプログラムを介さず、直接五感を介するようにして情報に情報に触れられるので、ハッカーとして数段上を行くと言える。
通常はウィザードの霊魂が有する情報量を正確に再現させられる情報処理能力のCPUなど殆ど存在し得ないが、
潜入する電脳世界のより高度であればある程霊魂の再現が正確に可能になる。
ムーンセルが構築する霊子虚構世界「SE.RA.PH(セラフ)」 程の性能ともなれば完全にその人間を再現することが可能。

当然魔術回路を介するので、ハッキングに特化した技術のみならずかつての魔術師のように魔術回路の質も霊子ハッカーとしては重要な要素となる。
かつての魔術をマギといい、その術者をメイガスと呼ぶ。
今の魔術をコードキャストといい、その術者をウィザードと呼ぶ。用法としては天才ハッカーと変わらない
魔術回路を利用するからか、単純なハッキング技術でなくても旧世代の魔術をコードキャストとして扱える模様。
マナが無くなってもオドでかつての魔術を行使することは可能であり、メイガスとウィザードを兼務する者もちょこちょこ見られる。
この世界におけるメイガスとしては、ラニ=Ⅷ蒼崎橙子、(時間超越している様だが)蒼崎青子、(生前の)アーチャー(Fate)などが登場している。
殺生院キアラは地上で修得したというダキニ天法を、SE.RA.PHにおいても行使している。


○魔術と魔法

魔法(TYPE-MOON)参照。
要は魔術なり科学なり、その魔法以外で結果を得られる代用方法があるか否かに尽きる。
かつては魔術≒魔法に近かったが、数が減って魔法認定されるもので確認済みなのは5つ。最後の1つは提唱されるに留まる。
その他、固有結界等魔法に近い大禁呪も存在する。


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最終更新:2023年11月21日 14:58