ヤシガニ

登録日:2010/09/23(木) 00:27:57
更新日:2021/09/11 Sat 23:05:45
所要時間:約 6 分で読めます




ヤシガニは甲殻綱 エビ目(十脚目) オカヤドカリ科 ヤシガニ属に属する陸生甲殻類。
学名はBirgus latro(仮名転写:ビルグス・ラトロ)
英名はCoconut crab。
漢字表記は椰子蟹。

陸生甲殻類の中では 最 大 級 の大きさを誇り、体長は最大で40cm、脚や鉗を広げると、なんと1mに達する。
体重に至っては、5kgを越えることがあり、陸上の無脊椎動物で最重。
生息地でバッタリ出くわしたら仰天することだろう。

寿命は50年以上と言われており、甲殻類のなかでも破格の長寿である。

厳密にはカニではなくヤドカリの仲間だが、多くのヤドカリのように巻貝の貝殻を背負う事はない。
しかし幼体は外骨格がまだ発達していない為、貝殻に身を隠す事も確認されている。

インド洋の最西端からミクロネシアまで分布しており、日本でも奄美や沖縄等の亜熱帯地方で見る事が出来る。

体表は基本的に濃い藍色だが、生息域によって様々な色に変化し、明るい紫色や茶色等々を持つ甲殻類として知られている。


日本ではヤシの木の上に棲み、その実を切り落として食べるカニとしてのイメージが定着しているが、実はこれ、口碑伝承から生まれた誤解である。
実際にヤシの実も食べるのだが、ヤシガニ自体は茶色くて大きなあの子と同じく、口に入る物なら何でもかんでも捕食する雑食性の甲殻類。
腐った果実や動物の死骸、果てには産まれたてのウミガメさえ食べてしまう。
因みに餌はその場では食べず、大抵の場合一度巣に持ち帰ってから食べる事が多い。
悪食だが、何ともお行儀の良い事である。

また、光り物に目がなく、銀食器や鍋等のキラキラした物を巣へ持ち帰る習性がある。
持ち帰った光り物をどうしているのかは不明。眺めながらうっとりしていたりするのだろうか……

「ああ……キラキラしてキレイ……」

「私のハサミも、こんなにキラキラに出来たらなぁ……はぁ…」

その習性故、Robber crab(盗賊蟹)と言う別名もある。学名も「盗人のヤドカリ」という意味。

そして、ヤシガニの最大の特徴と言えば、そのでっかいハサミだろう。
力強く猛々しいハサミは、その巨体に見合うパワーを秘めており、何とプラスチック製のボールペンや万年筆、
時には針金や釘さえもいとも簡単に真っ二つにしてしまう。
更に30kg以上の物を持ち上げる事も出来、硬いヤシの実の皮すらバラバラにする。
こんな代物に人間の指が挟まれれば当然、



ヂョキン




ポロッ……




あ゛あ゛あぁぁぁッ!!? オ、おおおおがあ…ぢゃ…ん…


と、取り返しの付かないことになる。
万年筆すらぶッた斬るハサミ。
そんなブツに指を挟まれれば当然、取り返しのつかない悲惨凄惨無惨な事態になるので、ヤシガニを取り扱う際には細心の注意を払うようにしよう。
このパワーのため、うっかり光るものを近づけてキャッチされると取り返すのは並大抵の苦労ではない。

おまけにヤシガニはハサミを触られる事を極端に嫌い、それまでの緩慢で穏やかな挙動とは一変、途端にヤンギレとなって暴れまくる。



「やめてッ!あたしのハサミに……ハサミに触らないでよお!」

少しでも触れようとすれば、問答無用でハサミを振りかざしてヂョキンヂョキンと威嚇し、
運良くハサミを押さえ付けたとしても今度は後脚でガリガリ引っかいて来る。
前脚のハサミ程ではないにしろ、後脚もかなり鋭い為、多数の裂傷は免れない。

しかしヤシガニのハサミは骨格上背後には届かないので、後ろからそっと捕まえるのが理想の扱い方と言える。
レディは優しく扱うもんさ。
が、前述の通り40cmを超える巨大な個体なので、大きさによっては大人の男性さえ捕まえられない。


一部の地域では食用とされ、珍味として重宝されている。

前述の怪力は筋肉…即ち『身』によって引き出されるものであり、
それを生み出すヤシガニのしなやかで引き締まった身は他のカニに比べて非常に歯応えに富み、身体の大きさもあって食べ応えは抜群。味は通常の蟹とほぼ同じ。
炒め物や鍋物にも最適だが、やはり塩茹が最高だろう。

腹部にある所謂『蟹味噌』に当たる部分はかなり脂っこく、ダメな人は本当にダメだが甘味と苦味が絶妙に混ざり合った珍味。

尚、環境や食物によっては体内毒を蓄える事があり、注意が必要。
毒を持ったヤシガニは茹でても赤くならないと言われているが全くの迷信なのでアテにしないように。
食べても致死に至る事は希だが、激しい眩暈や下痢、腹痛、嘔吐の他、感覚異常や神経系の障害に悩まされる事になる。



怪力、重装甲、巨大、毒持ちと死角がないように見えるが、陸の生活に馴染み過ぎた所為か、甲殻類なのに泳げない。
産卵時以外で成体が水辺に近づく事は殆どなく、寧ろ避けて通る程。身体が完全に陸上生活に適応してしまっている為、水の中に入れると簡単に溺れ死ぬ。
唯一の欠点がカナヅチとは、何とも可愛らしい事ではあるまいか。






また、極端に作画の出来が悪いアニメを俗にヤシガニアニメと呼ぶ事もある。
これはTVアニメ【ロスト・ユニバース】の第4話『ヤシガニ屠る』に於ける、セル画パートの壊滅的な作画崩壊の衝撃から取られたもの。

同作は放送当時からOPアニメーションを未完成のまま放映する、随所に余りにも雑なデッサンや作画が露呈している等の欠陥が目立ち、業界から問題視されていた。


うわー、スゴいね。ここまで読んでくれるなんて思ってなかったなあ



…ありがとね、人間さん。こんなあたしの項目読んでくれて



え?追記・修正までやってくれるの・



ふふふ、嬉しいなあ。じゃあ、人間さんに何かお礼あげなくちゃね



あ、そうだ!ケジメノトリカタってヤツ、やってあげよっか



そんな遠慮しなくていいってば。人間さんってみんなこうやってケジメをとって、相手に誠意を見せるんでしょ?



えーっと、確か小指をこうして……











えい♪(ヂョキン)





―― HAPPY END? ――

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最終更新:2021年09月11日 23:05