ドラえもん のび太と雲の王国

登録日:2019/08/25 Sun 23:04:42
更新日:2024/04/17 Wed 03:06:32
所要時間:約 13 分で読めます





地上から消えた動物たちを追え!

謎のUFOの正体は…!?

ほんとうに天国ってあるの?


監督:芝山努
脚本:藤子・F・不二雄
主題歌:武田鉄矢「雲がゆくのは…」


『ドラえもん のび太と雲の王国』とは、『映画ドラえもんシリーズ』の第13作目及び『大長編ドラえもんシリーズ』第12作目のタイトルである。
1992年3月7日公開で上映時間は97分。
同時上映は『21エモン 宇宙いけ!裸足のプリンセス』と『トキメキソーラーくるまによん』の2本。

ここでは原作漫画版を中心に解説する。

●目次

【概要】

雲の中にある天上人の国が舞台。
本作は『アニマル惑星』と同様に環境問題がテーマとなっているが、本作は『アニマル惑星』以上に環境破壊に対して警鐘を鳴らしており、天上人や動物を介して自然の怒りを描いている。
当時はまだまだ密猟問題が洒落になっていなかった時期である事も影響していたのだろう。
特に中盤の大洪水による地上文明一掃のシーンは、大長編ドラえもんシリーズの中でも屈指のインパクトがある場面であり、トラウマシーンに挙げるファンも少なくない。
藤子先生の環境破壊問題に対する本気度がうかがえる描写であるが、一方で氏はこの「雲の王国」について「あくまで『ドラえもん』はエンターテインメントであるのにこの作品ではその枠を超えてしまった。(「優れた天上人」が「劣った地上人」を断罪する、という上から目線の)お説教になってしまっていた」と反省点も述べている。
フワフワとした印象のするタイトルとは裏腹に、扱っているテーマは重い。
中心となる環境問題に加え、「行き過ぎた環境保護活動」「お互いの生存をかけた結果の戦争*1」「抑止力としての兵器が悪用されてしまうとどうなるか」とも取れる描写も見られる。
ただ、いち映画作品として楽しめないのかというとそんな事はなく、窮地に追い詰められながらも強大な敵に立ち向かうのびドラ達、随所に挟まれるハイセンスなギャグシーンは健在である。

本作も例年通り映画公開前からコロコロコミックで連載されていたが、藤子先生の体調不良のために残り2回が描かれず、終盤は絵物語として掲載された。約2年後に雑誌「ドラえもんクラブ」に完結編が掲載されている。
そのため、本作の単行本は映画公開から約2年後に発刊される事となった。

過去の原作に登場していたゲストキャラが何人か再登場しているのも見所の1つ。


【あらすじ】

学校の授業で雲の事を学んでいた時に「天国はどのへんにありますか?」と質問し、皆に笑われたのび太*2
ドラえもんに「天国があればとっくに見つかっている」と否定され落ち込むが、そのすぐ後にドラえもんに雲の上に自分達で天国を作ろうと提案される。
その後は仲間達と協力し、数日後に理想の国「雲の王国」を完成させた。

皆が思い思いに楽しんでいると、王国の雲が北アルプスの槍ヶ岳にぶつかってしまう。
山に下りたドラえもんとのび太は、そこで巨大なカメのような生き物に乗る少年を発見。すぐに少年を保護するが、次の日になると少年は忽然と姿を消していた。
王国内に少年はいなかったので、槍ヶ岳で少年が乗っていた生物・グリプトドンを探す事にする。
グリプトドンも見つからなかったので一旦王国に戻る事にするが、王国を探していた時に天上人の住む雲に迷い込んでしまった。

ドラえもん達は天上人のパルパルに連れられ管理施設まで行くが、彼女の仲間のグリオは彼らを歓迎しておらず、ドラえもん達も彼に不信感を抱いていた。
天上人の態度が引っ掛かったドラえもん達はすぐに脱出しようとするが、落雷によって散り散りになり、ドラえもんが故障してしまう。
静香・ジャイアン・スネ夫はすぐに天上人に保護されるも、ドラえもんとのび太の行方が掴めないまま夜は明けた。

その後、静香達は中央州へ移動する事となり、天上人の世界を見て回る。
だがそこで、天上人が計画する大洪水で地上文明を一掃する「ノア計画」の全容を知り…


【登場キャラクター】

【レギュラーキャラクター】

ご存知22世紀のネコ型ロボット。前作では四次元ポケットを奪われ、前々作では散々タヌキ呼ばわりされ何かと不遇な目に遭っていたが、今回は主役として見せ場が多く優遇気味。
「天国がないなら作ればいい」とのび太に提案。仲間達から資金を援助してもらって必要な道具を揃え、雲の王国を完成させた。
中盤、雷によってコンピューターが壊れてしまい、意味不明な行動や発言を繰り返すようになる。「アップクプーのチンチロリン」
終盤まで使い物にならなかったが、大洪水の時に頭をぶつけた衝撃でやっと元に戻っていた。

ご存知怠け者のメガネ少年。
王国を作る資金が足りず困っていた時に「株式会社」の存在を知り、世にも珍しい「株式王国」という体裁にすることで、友達からスムーズに資金を集める事を思いつく機転を見せる。
王国が完成するとドラえもんの道具で国王となるが、その直後に天上人の雲に迷い込んでしまう。
中盤は故障したドラえもんの世話に四苦八苦していた。
大洪水に巻き込まれ何とか生還すると、全てが大雨で洗い流され文明が滅亡したと絶望する。
だが翌朝に「地上世界が滅びたらドラえもんが存在するはずがない」と気づき、10日以内に天上人の計画を中止させれば地上は助かると希望を持つようになる。

ちなみに最序盤でジャイアントスネ夫に天国の件を馬鹿にされていたが、今作では特にわだかまりもなく2人を雲の王国に誘っている。

ご存知風呂好きヒロイン。
おこづかいが少なかったので、とりあえず100円で1株だけ買っていた。
最後の審判の際、天上人達の言い分も認めつつ「地球を守ろうという運動も広がっているのです」等と小学生とは思えないような発言を行う。
しずかちゃんの弁論が無ければこの裁判終わってたんじゃないだろうか・・・・・・?

ちなみに彼女の数少ない欠点である「下手くそなバイオリン演奏」が披露されるシーンがある。

ご存知頼りになるガキ大将。
手持ちが50円しかなかったので半株だけ購入。
雲の王国建国記念に恐怖のジャイアンリサイタル開催を宣言するが、めでたく未遂に終わった。
最後の審判の際に地上人が言いたい放題言われると、「おれ達を悪魔みたいに言いやがって!」等と喧嘩腰に反論していた。
この他にはモアに捕まって怖がるなど、所謂「漢気溢れる映画版ジャイアン」としては珍しく目立った活躍が少ない。
今作は「環境問題」「裁判」「兵器による戦い」が主で、彼の特異な肉弾戦などが少なかった事も影響したか。

ご存知イヤミなお坊ちゃま。
しかし今作ではへそくりの一部で300株を3万円で購入し王国に大きく貢献、のびドラに持てはやされていた。
が、「自分はカブトムシ大株主である」と気が大きくなり、「建国記念ジャイアンリサイタル」開催を宣言したジャイアンに「止せよ、くだらない」「君の音痴には、皆が迷惑している!!」とド正論を浴びせ怒り狂わせてしまうという、おべっかが得意な彼にしては珍しい素の失態の場面も。
天上人に会うと、彼らの態度から何かを企んでいると推測。
その推測は的中してしまい、「ノア計画」の全貌を知り驚愕していた。

のび太が部屋で友達と勉強すると言い、初日はちゃんと宿題を終えていたので感心する。
だが次の日に部屋がもぬけの殻となっていたので、嘘をついてどこかに行ったと気づきカンカンになっていた。
どこでもドアの鍵が掛かっていたのでドアノブのダイヤルをいじって開けようとするが、どうやっても開かなかったので諦める。
この際にダイヤルをいじった事が、ドラえもん達が「ノア計画」を知る一因となった。

  • のび太のパパ
久々に訪ねてきた友人が株式会社を作る事となり、出資しないかと誘われていた。
これが「株式王国」の閃きに繋がる事となる。

  • 先生
冒頭の理科の授業で雲について教えていた。

【ゲストキャラクター】

  • パルパル
CV:伊藤美紀
天上人で絶滅動物保護州管理員の若い女性。
ドラえもん達が最初に会った天上人で、彼らを歓迎した後に宿舎に案内する。
当初は他の天上人と同じく、我が物顔で地球の環境を破壊する地上人を敵視していたばかりか、小学生3人を地上人代表として「最後の審判」に出廷させる事に何の躊躇いもなかった。
だが実際の法廷においてあまりにもな裁判内容にまずいと思ったのかドラえもん達と交流するうちに考えを改め、静香達に優しく接するようになり、実際の「最後の審判」の内容に「不公平です!この3人は何の準備もなくここに呼ばれてきた*3のです!」とはっきり述べ、一時閉廷に持ち込む。
最後の審判でも地上人を弁護する側へ回っていた。

  • グリオ
CV:村山明
天上人で絶滅動物保護州管理員の男性。
パルパルとは違い終始仮面を被っていたため素顔は不明。
パルパル以上に地上人を敵視(彼の場合パルパルと違い、既に政府から地上人の処遇に関する具体的な命令を受けていた影響もある)しており、度々無礼な態度をとってドラえもん達に「感じが悪い」と思われていた。
だがドラえもん達が夜間に動物保護区に出て行くと、彼らを心配して捜索に向かっていた。
とはいえ、その後はあくまで「脱走した地上人を追い回す天上人」としての描写しかなく、パルパルと違ってドラえもん達に心を許すことは最後まで無かった*4

  • タガロ
CV:高乃麗
無人島で父親や祖父と暮らしていた少年。
父親や祖父と漁へ出た時に嵐に遭い、太平洋の真ん中にある無人島に流れ着く。
その後、家族と共に天上人に吸い上げられ、天上世界で暮らすようになる。
天上人に対し不信感を持っており、仲のいいグリプトドンで天上世界から脱出しようとする。
何とか槍ヶ岳へ降り立つが運悪く吹雪に遭い、空腹と寒さに負けて気絶してしまう。
その後はドラえもん達に助けられるも、すぐに天上人に連れ戻されてしまった。
映画版では、全てが終わった後で故郷に送り届けられた事が判明している。

  • ホイ
CV:松尾佳子
『ドンジャラ村のホイ』に登場した小人族の少年。
かつてドラえもん達にアマゾンの奥地に新しい村を作ってもらったが、あの後でそこにも開発の手が伸びる。
住むところに困っていた時に天上人に雲の上まで連れてきてもらい、現在は絶滅動物保護州に新ドンジャラ村を作りそこで暮らしている。
タガロとは知り合いで、ドラえもん達と再会すると彼のところまで案内する。
その後は万能たづなをのび太に貸し、最後の審判では地上人側の証人として証言を行った。

  • ネッシー
ネス湖に棲んでいると言われているUMA。
そろそろ絶滅しそうだったので、天上人に保護されている。
ホイの友達で、ホイの頼みでドラえもんとのび太を湖の対岸まで乗せていった。
『ネッシーがくる』に登場するネッシーとは外見が全然違っている。

  • ムカシダイダラアホウドリ
地上では既に絶滅している鳥。
現在は絶滅動物保護州にしか生息していない。
ホイの万能たづなで操縦可能となり、ドラえもんとのび太を乗せて天上世界を脱出した。
雲の王国を探して飛んでいた時、まいごさがし機「ごはんだよー」の匂いに釣られ、無事にドラえもん達を王国に送り届けた。

  • フクロオオカミ
シマオオカミとのび太たちに呼称された、既に地上では絶滅した保護されている動物。
餌は与えられているが肉食動物なためか、クァッガの群れを追いかけ回していた。
作中では「弱いものイジメをしてはダメ」とパルパルからの注意で制止*5されている。狩猟本能なんだろうから飼育地域を分けてやった方が……

  • クァッガ
半分だけのシマウマとのび太たちに呼称された、既に地上では絶滅した保護されている動物。
フクロオオカミの群れに追いかけ回され逃げていたが、
保護担当のパルパルには「時々ふざけるの」とちょっとした悪戯に対しての注意のような対応をフクロオオカミにするだけで後はスルーされた不憫な役回りの動物。

  • ホッホくん
ボルネオ島熱帯雨林に住んでいたオランウータン。
のんびり暮らしていた森が地上人によって丸裸となり、住むところを追われ仲間も散り散りになる。
その事を最後の審判で証言した。

  • ウギンバくん
タンザニアのサバンナで暮らしていたアフリカゾウ。
自分以外の家族を、象牙目当ての密猟者に全員殺されており、最後の審判で証言していた際に「犯人の顔は覚えている」と言って4人の密猟者を睨んでいた。
余談だが、国によっては密猟対策の結果ゾウが増えすぎており*6、保護区外に出て農作物を荒らしたり人的被害が多発するという問題が出ていたり、逆にモザンビークのゴロンゴーザ国立公園に暮らすゾウは9割が牙や食肉目当てに密猟者に殺された結果、牙を持たずに生まれてくる個体が激増したという。

  • モア
  • ドードー鳥
『モアよドードーよ、永遠に』に登場した絶滅動物。
タイムとりもちでのび太に捕獲された後、安心して暮らせる無人島を作ってもらった。
現在は天上人に保護されているようで、最後の審判では地上人側の証人として当時の事を証言していた。

  • 大統領
CV:屋良有作
天上世界の大統領。
最後の審判で「ノア計画」が可決になった際には、地上に大雨を降らせるスイッチを押す事となっている。
さすがに地上文明を一度洗い流してゼロにすることには躊躇していたが、世論全体がその方向に動いていたため悩んでいた。
天上世界は人治国家寄りだったのかも知れない。

  • 植物星大使
CV:丸山詠二
大統領と重要な会談をするために地球を訪れる。
会談では「ノア計画」について検討し、地球の空気がどんどん汚れていっている事に憂いていた。

  • 密猟者
CV:小林清志、島香裕、山崎たくみ
ケニアの草原で象の密猟をしていた4人の男達。髭の男がリーダー。
密猟をしていた時に象の群れと共に天上人に吸い上げられ、最後の審判の際に地上人代表として座っていた。


【用語】

  • 天上世界
地球の空一面に散らばり、本物の雲に紛れて浮かんでいる天上人達の国。
12の雲から成り立つ連邦国家で、外見は普通の雲と変わらないため地上人には絶対に見つからないようになっている。
天上人の外見は地上人と殆ど変わらず、パルパル曰く「住んでいるところが違うだけ」*8とのこと。
だが科学技術は地上よりも遥かに高く、異星との交流も盛んに行われている。
また、地上で絶滅の危機に瀕している動物の保護も積極的に行っており、絶滅動物保護州には地上で絶滅したとされる多くの動物が平和に暮らしている。

雲の上には石炭や石油などの資源がないので、エネルギー州で太陽光発電を行い、それをマイクロ波で各州に送り出している。
また、食料は光と水と有機元素を合成させて作っている。

一見すると地球環境にとても優しい理想郷のようなところだが、地上人が環境破壊をしているせいで空気が汚れオゾン層も破壊され続けているため、その影響で年々国全体の人口が減り続けており、他の星へ移住する者が後を絶たない
そのため、天上人の殆どが地上人を敵視している。
また、戦いを続ける地上人が洪水で流された神話があるなど、地上で太古から変わらず争いが続いていることも地上人に対する恐怖の原因になっている。
たまに地上人が迷い込むと住人として生活を保証し住居を提供しているが、「海底鬼岩城」に登場したムー連邦などと同じく、
天上世界や「ノア計画」の存在が地上に漏れないように永久禁固の方針を取っており、逃げられないように発信機つきの指輪をつけさせ行動を逐一監視している。

余談だが、作品冒頭でのび太が「羽衣伝説」「西遊記」「ジャックと豆の木」など、世界各地に天上世界に関する民話や神話があるから天国もあると力説し、ドラえもんに笑われる描写があるが、天上世界が実在したことを踏まえるとそれらの民話のうちいくつかは事実をもとにしていたのでは、と推察される(もっとも西遊記はのび太自身がモデルだが)。

  • ノア計画
天上人が地球を守るために実行しようとしている計画。
史上空前の大豪雨を地上に降らせ、大洪水を起こして地上文明の全てを綺麗に洗い流そうという計画で、最後の審判で可決され次第即座に実行される事となっている。
これは地上人にとってはとんでもない計画であるため、この件は天上人の間でトップ・シークレットとなっている。
地上の生物を絶滅させるつもりはなく、洪水の前にあらかじめ動植物や地上人を天上世界に吸い上げ、全てが終わった後で再び地上へ送り返す事になっている。海底人地底人はどうするのか…?
そのための実験が何度か行われており、タガロ達はその実験に巻き込まれて天上世界へ来る事となった。
この計画に納得がいかなかったジャイアンとスネ夫は何とかしてこの事を地上に知らせようとするも、パルパルから指輪の発信機の事を聞かされて断念している。
行きずりの小学生を地上人代表にしたり*9、地上人による環境破壊の証人・証拠は前もって山ほど集めておきながら、環境保護運動が行われていることは調査せずに「信用できない、証拠を見せろ」と迫っている*10
「君たちの祖先も原始的な暮らしをしてきたのだからそうしろ」といった発言からも、文明レベルを意図的に落とそうとしている*11のが見て取れ、「あわよくばそのまま滅びてしまえ」程度の考えはあった可能性はある。
そもそもが「最後の審判」などというものであり、「神気取りで地上人類に裁きを与える」構図となっていたのは間違いないだろう。
そうしたことは、天上人が現時点での環境破壊によってオゾン層破壊や大気汚染といった被害を直接的に受けているため、地上人への実績・悪感情・固定観念などにも由来している様子。
劇中では「おそるべきは核兵器です!もし、地上人が核戦争を始めれば、我々天上人を含めて地球上の全生物が消え失せてしまうでしょう」と核兵器も引き合いに出されて静香達も絶句。地上人を非常に危険視していた。

なお、現実的に考えるならば、仮に地上が洪水で洗い流されたとすれば、地上に存在するゴミや放射性廃棄物等が陸と海に垂れ流されてしまい、かえって環境汚染が悪化する可能性が高い。
これについては「汚染元である地上人の文明を洗い流せば解決するという安直な考えだった」「天上人は自分達に直接被害のある大気汚染を止める事を優先するあまり、直接被害のない土壌汚染や海洋汚染には気が回らなかった」といった説がある。
または核兵器といった天上人にも危険な文明の破壊を優先したものか。
ちなみに陸や海が汚染されると、酸素を作る植物が被害を受けるため、大気汚染にも繋がる結果になる。


吸い上げ実験の時点で漂流者であるタガロたちの存在がギリギリまで気付かなかったこと、
それでやった行為が「船を作ってすぐ出て行きなさい」とお告げのように警告……
と言う漂流者にどうしろと言う行為の指示(実際に漂流者側は劇中で「出られないから漂流している」と言った旨を指摘していた)。
当然ながら脱出などできなかった彼らは結局押し流されてしまい、
仕方がなく無人島ごと吸い上げられた漂流者たちが客人や虜囚といった形の民家・牢屋への拘留ではなくなんと絶滅動物保護州に収容されたままなこと、
(地上人への配慮を抜きにしても、動物保護や機密の観点から見ても危険な措置。事実漂流者のタガロはグリプトドンと友達となって脱走した)
そもそも動植物を保護するための吸い上げ実験後の無人島に植物の折れた残骸などが残されていることから、
仮に「ノア計画」その物が正しいとしてもそれを安全かつ丁寧に遂行できるのだろうか?
という、天上世界の様々な意味で極端に手際や段取りが悪い事実に対しての疑問、不安も残っているなどこの計画全体的にガバい
あくまで地球環境を重視する天上人からすれば、一応人道的には殺害はできなかったものの、本音としては地上人を滅ぼしてしまいたかった*12のだろう。
この辺りは、環境問題についてはかなり激しく「地上人が悪い!」と描写している今作だが、あくまで天上人は「(悪ではないが)敵*13役」「中身は所詮同じ人間である」である事も(皮肉にもパルパルがそう言っていた通り)間違いなく、「地球環境を守るという理念は立派だが、そのやり方がいくらなんでも強引過ぎる・杜撰である」という落ち度も意図して描いたものと思われる。

余談だが、タガロにドラえもんたちに密猟者と天上世界は捕えた地上人の全勢力に一度は脱走されている。
また、完全に想定外だっただろうが「ノア計画実行中に地上に戻ってきた地上人」を感知できていない。

  • 石頭
ドラえもんの最後にして最大の武器。
雲もどしガスでエネルギー州が壊滅したと知ると、「あんなもの出したのが悪かった。ぼくの責任だァ!!」と泣き喚きながら牢屋の扉に頭突き。
扉をひしゃげさせると、天上人を守るために雲もどしガスのタンクに頭から突っ込み、自分達が造った王国を崩壊させる事で天上世界の壊滅を阻止した。


【ひみつ道具】

  • タケコプター
お馴染みの移動手段その1。

  • 雲かためガス
名前どおり雲を固める事のできるガス。
雲が固まると雪になって落ちていくはずだが、その説明は長くなるという事で省かれた。

  • 雲よせ機
掃除機のような道具で、吸引して雲を吸い寄せる事ができる。

  • ロボッター
これを人型に固めた雲に入れてロボットにしていた。

  • 雲ローラー
固めた雲を整地するための道具。

  • うき水ガス
雲にこのガスをかけると、浮かんだままでそこが水となる。

  • 自動万能工事マシン
設計図を入れると原材料を吸引し、図面どおりの建物を作ってくれる。

  • 植物の元
文字通り。種と肥料がミックスされているのですぐに芽が出る。

  • マジックドーム
薄い煙の膜を作り、膜で覆われたものを見えなくする。
ちなみに膜の中から外は透き通って見える。 
雲かためガスもそうだが、天上世界にも同様の技術があるようだ。

見た目は大きな風車だが、これを刺すとかなりのスピードで進めるようになる。

  • テキオー灯
太平洋の真ん中で海に潜るために取り出すが、のび太が気味悪がったので未使用で終わった。
映画版未登場。

  • ビッグライト
プラモのソーラーカーを大きくするのに使用。

直接登場はしないが王国で遊んでいる時に使用された。

  • どこでもドア
お馴染みの移動手段その2。
時差調節ダイヤルがついており、これを調節すれば家を出た数分後に戻る事ができる。
ママがこれを弄った事で、ドラえもんとのび太は10日後の世界で大洪水が起きる事を知る事となる。

  • お医者さんカバン
山で保護したタガロの診察に使用。

  • 宇宙完全大百科
これを使い、山で見た巨大ガメのような生物がグリプトドンだと突き止めた。

  • まいごさがし機「ごはんだよー」
美味しそうな匂いを出し、腹ペコの人を誘い寄せる。
鼻づまりしていて匂いが感じ取れない時の責任まではとれない。

  • 雲の国王冠と飛行スカーフ
王冠を身につけると、雲の王国にいる間は誰も逆らわなくなる。
スカーフを身につけると、タケコプターなしで空を飛ぶ事ができる。

  • 通りぬけフープ
宿舎から逃げ出す際に使用。

  • びっくり箱???
ドラえもんが壊れていた時に出した正体不明の代物。
びっくり箱のように飛び出してくるが、何に使うものかは不明。

  • 雲もどしガス
雲かためガスで固めた雲をただの雲に戻すガス。
宮殿近くのガスタンクに貯えられており、ガス砲で発射する事が可能。
ドラえもんはこれを使い天上人の計画をやめさせようとするが、これは抑止力として用意したもので本気で使うつもりはなかった。しかし…


【余談】

のび太のパパを演じた加藤正之氏は、映画公開から7ヶ月後に体調不良でパパ役を降板し、翌年の1993年3月に死去したため、本作は彼が最後に出演した映画となった。





追記・修正は環境保護を心がけている人にお願いします。

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  • 前作との凄まじい温度差

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最終更新:2024年04月17日 03:06

*1 所謂「正義VS正義」に近い

*2 しかしのび太にしては珍しく自力で天国の可能性について調べる、その後も雲の仕組みについては授業内容をしっかり覚えている、と「興味の向く事には冴えている」ところを見せる

*3 パルパルも連れてくる事には何ら反対していなかった様だが

*4 後半からは最後の審判で暴れるジャイアンを抑える程度しかドラえもん達と絡むようなことが無かったため。

*5 この辺りの肉食獣の「保護」については「見下してる地上人とやってる事同じでは?」と批判の的になっている

*6 例としてボツワナではアフリカ大陸で最も多い13万頭以上が生息している

*7 この点について、宇宙を非常に速い速度で移動した影響で地球から見れば年月が経過している・植物星は時間の流れが違う可能性などが考察されている

*8 とはいえ作中描写では人類に対する神・天使としてのイメージのままに振舞っていた様だが

*9 現実で分かりやすく例えるならば、ある会社の問題をその会社の新卒社員に、強硬派のベテラン裁判官複数に尋問させると言う、到底公平とは言えない行為である。

*10 劇場版では「地上人は身勝手で嘘つきだ!」という暴言も口走っていた

*11 そもそも「環境を害さない天上人の技術を提供する」などの行為は一切していない様である

*12 最終的に密猟者軍団を救出しているので、最低限の人道的意識は持っていたとも取れるが

*13 他でもない「環境問題をある程度解決している未来のロボット」ドラえもんは「天上人達は何をしようとしているんだ、地上には人類五千年の歴史があるのに!」と終始人類の側に立っている

*14 ソフト版収録「ひみつ道具図鑑」より。